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2015年5月 2日 (土)

コンサートの記(188) 井上道義指揮大阪フィルハーモニー交響楽団第487回定期演奏会

2015年4月11日 大阪・中之島のフェスティバルホールにて

午後3時から、大阪・中之島のフェスティバルホールで大阪フィルハーモニー交響楽団の第487回定期演奏会を聴く。今日の指揮者は大フィル首席指揮者の井上道義。

曲目は、石井眞木の「モノ・プリズム(日本太鼓群とオーケストラのための)」(和太鼓:鼓童)、コープランドのバレエ組曲「ビリー・ザ・キッド」、グローフェの組曲「グランド・キャニオン(大峡谷)」

今日のコンサートマスターは首席コンサートマスターの田野倉雅秋。フォアシュピーラーは女性だったが氏名まではわからなかった。大編成の曲が並ぶため、今日は客演奏者が多い。

石井眞木の「モノ・プリズム(日本太鼓群とオーケストラのための)」では、鼓童のメンバー7人が出演。ステージ下手側に小太鼓が7つ、上手側に大太鼓が3つ並ぶ。舞台奥、指揮者の正面には三つ巴の紋様が入った特大の大太鼓がある。井上道義は、この曲は指揮台を用いず、舞台上に直接立って指揮をする。鼓童のメンバーが最初は下手にいて、その後に何人かが上手に移るため、指揮台があると移動に差し支えがあるのであろう。

井上は今日は3つの曲目全てをノンタクトで指揮する。
オーケストラによる序奏の後で、鼓童の7人が小太鼓を鳴らし始める。部分によっては不規則なリズムで水琴窟を聴いているような独特の雰囲気になるが、7人全員が小太鼓を思いっ切り叩く場面の迫力は圧倒的。太鼓の音だけでなく、太鼓が空気を切り裂く音まで聞こえてくるかのようだ。

指揮者正面にある特大の太鼓が叩かれた後で、上手の大太鼓3人、下手の小太鼓7人、そしてオーケストラによる威力抜群のサウンドが造られた。

鼓童によるアンコール演奏がある。「シェイク」という曲である。この曲では井上道義もジャケットを脱ぎ捨てて、特大の大太鼓を叩いた。ただ鼓童がプロの太鼓奏者であるのに比べて、井上はプロの音楽家ではあるものの打楽器奏者ではない。ということで、和太鼓の扱いやリズム感に関しては井上はやはり素人なのがわかる。

コープランドのバレエ組曲「ビリー・ザ・キッド」。それまで前衛的な音楽を書いていたコープランドが大恐慌の煽りを受け、生活のために作曲した分かり易い曲である。コープランドの思惑通り、「ビリー・ザ・キッド」は大ヒットした。聴衆におもねった作品であり、コープランドもあるいは芸術的には不満だったかも知れないが。

大阪フィルは、確実にレベルアップしており、張りと輝きのあるサウンドで愛らしい音楽を奏でる。ホルンもかなり改善されており、今日はちょっとしたミスが1ヶ所あっただけで安定していた。

グローフェの組曲「グランド・キャニオン」。中学校の音楽鑑賞の定番曲であり、第3曲「山道をゆく」などは特に知られている。私も中学校1年生の時に「グランド・キャニオン」を聴いたが、「グランド・キャニオン」の実演に初めて接したのは昨年の1月で、曲を知ってから27年を経ての実演鑑賞であった。昨年の1月に聴いたのは「グランド・キャニオン」初演時のバンド編成(金聖響指揮京都フィルハーモニー室内合奏団。金聖響はスキャンダルまみれであるがどこまで本当なのだろう? 『金聖響は本名』と断言していたのに実は芸名だったということにはがっかりしたが)であったので、フルサイズのオーケストラでの演奏を実際に聴くのは今日が初めてになる。なお、東京では山田和樹指揮日本フィルハーモニー交響楽団が組曲「グランド・キャニオン」を取り上げるそうで、流行りになっているらしい。

グローフェは学校生活からドロップアウトした人物であり、作曲は独学で学んでいる。アカデミズムに不用意に触れなかったためか、聴いてすぐイメージが浮かぶような分かり易い作風を持ち味としている。

第1曲「夜明け」のシンプルではあるが効果的な盛り上げ方、第2曲「赤い砂漠」から伝わってくる陽炎が立つような暑さや神秘感、第3曲「山道をゆく」の軽快さ、第4曲「日没」の色彩感、第5曲「豪雨」の迫力など(雷の音は録音や一部の演奏会は録音された実音を使う場合があるが、今日はスコア通りにティンパニが雷鳴を表していた)が、あたかも映像を見ているかのように聴き手に伝わってくる(ただし、クラシックについて何の知識も持っていない人にも伝わるのかどうかはわからない。中学校の時の音楽鑑賞で「グランド・キャニオン」の感想を書いた同級生の女子は、「明るい」「暗い」の二つしか書いておらず、想像力のない人はいるのだということがわかっている)。

外連味たっぷりの音楽作りを持ち味としている井上は、まさに水を得た魚のように個性を思うがままに発揮していく。大フィルも色彩感や迫力などに於いて現代の日本のオーケストラ演奏としては間違いなく第一級のものを示していた。

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