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2015年6月12日 (金)

コンサートの記(193) ヘルムート・ヴィンシャーマン指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団第483回定期演奏会 J・S・バッハ 「マタイ受難曲」

2014年11月28日 大阪・中之島のフェスティバルホールにて

午後3時から、大阪・中之島のフェスティバルホールで、大阪フィルハーモニー交響楽団の第483回定期演奏会を聴く。今日の指揮者はヘルムート・ヴィンシャーマン。1920年生まれの94歳。有名現役指揮者としてはおそらく世界最高齢である。もっともヴィンシャーマンは、J・S・バッハのスペシャリストであり、コンサート指揮者としては3つ年下のスタニスラフ・スクロヴァチェフスキが最高齢になると思われる。

大曲にして、音楽史上最高傑作の座を争う、J・S・バッハの「マタイ受難曲」の演奏である。

福音史家(エヴァンゲリスト)を務める予定だったヤン・コーボウが体調不良のために出演出来ず、テノール・アリアと証人Ⅱを歌う櫻田亮が福音史家も歌うことになった。イエスの言葉を歌うのは三原剛。ソプラノ・アリア、ピラトの妻に秦茂子、アルト・アリア、証言Ⅰに福原寿美枝、バス・アリアに青山貴。ユダ、ペトロ、大司祭、ピラトの4役を歌うのが森雅史。

合唱は大阪フィルハーモニー合唱団と京都バッハ合唱団に、和歌山児童合唱団が加わる。

オーケストラは小オーケストラ二つに分かれて演奏されるのだが、第1オーケストラのコンサートマスターは崔文洙、第2オーケストラのコンサートミストレスに渡辺美穂。

バロック時代の音楽だけに、現代オーケストラの編成には入らない楽器も存在し、ヴィオラ・ダ・ガンバ(チェロの始祖ともいうべき楽器。チェロよりも小さく、丸みを帯びている。演奏するのは客演の平尾雅子)、リコーダー(いずれも客演の秋山滋と木戸麻衣子が演奏)が加わり、第1オーケストラにはオルガン(演奏は室住素子)が、第2オーケストラにはチェンバロ(演奏:廣澤麻美)が配される。

前回の9月の定期で2階席で聴き、音響の良さに驚かされたフェスティバルホール。今日は1階席の最後列であり、通常なら音の良くない席だが、今日は音の抜けが良く、特に不満は感じなかった。

先週からアレルギー性結膜炎に悩まされており、病院で処方された薬も効かず、真剣勝負できないのが残念である。

ヘルムート・ヴィンシャーマンの指揮に接するのはおそらく4年ぶり3度目。いずれも大阪フィルハーモニー交響楽団への客演である。

前回は90歳の指揮者とは思えないほど軽やかな足取りで登場したヴィンシャーマンであるが、やはり年には勝てないのか、今日は杖をついて登場。ただ、前半のアンコールの際や後半の登場の時には杖なしであったので下半身が著しく衰えているということではないらしい。今日も指揮台を置かず、スツールに腰掛けての指揮だったが、立ち上がって指揮する場面も比較的多い。

ヘルムート・ヴィンシャーマンはオーボエ奏者としてキャリアをスタート。オーボエの弟子に宮本文昭がいる。1960年にドイツ・バッハ・ゾリスデンを結成し、半世紀以上に渡ってバッハの音楽に身を捧げてきた。日本での録音のいくつかあり、私の持っているヴィンシャーマン指揮の「マタイ受難曲」のCDは日本でのライブ収録である。

モーツァルトやベートーヴェンがピリオド・アプローチで演奏される以前からバロック以前の音楽では当時の奏法に合わせたものが通例であり、今回も弦楽は一部を除いて完全ノンビブラートである。

94歳になるヴィンシャーマンであるが、年を感じさせない若々しい音を大フィルから弾き出す。合唱も充実した出来だ。

知的コントロールの行き届いたシャープなバッハであり、90代半ばを迎えたヴィンシャーマンの集大成的名演であった。

ヴィンシャーマンはもともとユーモアのある人であるが、前半が終わったときも、総譜を閉じ、客席からの拍手が起こったのを手で制して、第1コンサートマスターの崔文洙やヴィオラ・ダ・ガンバ奏者の平尾雅子を握手を交わしてから、客席の方に向かって自ら拍手をして、客席の拍手を促していた。

終演後も、アンコールの拍手を受けて、舞台の中央へ、と思ったらそこを通過してなぜか舞台上手まで行ってお辞儀をし、男性客の握手の求めにも応じていた。

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