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2015年7月 7日 (火)

第22回京都五花街合同公演「都の賑い」

2015年6月28日 京都四条南座にて

午後2時30分から京都四條南座で第22回京都五花街合同公演「都の賑い」を観る。京都にある五つの花街(祇園甲部、祇園東、宮川町、先斗町、上七軒)の芸妓と舞妓が合同で行う公演。以前は京都会館で行われていたが、京都会館のリニューアルに伴い、3年前から南座で行われるようになっている。「都の賑い」は今後も南座を会場に行われる予定だが、来年1月に京都会館の後継劇場となるロームシアター京都の杮落とし公演として、京都の五花街に加えて東京の新橋、金沢の三茶屋街、博多の券番の三つの花街から芸者を招いて「八花絢爛」という公演が開催されることになっている。

まずはお膝元である祇園甲部の公演、常磐津「常磐の老松」。立方は、そ乃美、孝鶴。地方は、浄瑠璃が豆千代、芳豆、小桃。三味線が恵美二、小恵美、君鶴。

菅原道真伝説を題材にしたものであるが、菅原道真自身は出てこず、文殊菩薩の浄土が仄めかされ、連獅子を使った舞が行われる。祇園甲部の舞は京舞の代表格である井上流であり、オーソドックスな舞である。

続いて、こちらも南座のすぐそばの宮川町の公演。長唄「菊の泉」。立方は、ふく紘、富美苑、ふく愛、ふく恵、君綾。地方は、唄が、ふく葉、富美祐、ちづる、弥千穂。三味線が敏祐、千賀福、小扇。上調子が、ふく佳。

五花街の中で最も多くの舞妓・芸妓を抱えるという宮川町。京おどりは五花街の踊りの中で最も華やかなことで知られる。
愛らしい踊りが特徴。なお、今日は下手3階サイド席に座ったのだが、この席からは芸妓達が花道の上に出てきて行う舞を観ることは出来ない。

南座の向かい側にある祇園東。元々は祇園乙部と名付けられたのだが、祇園甲部より劣るという扱いが嫌であるため祇園東に改名している。実際は祇園の北にあるのだが、北だと敗北に繋がるので東を採用したのだろうか。五花街の中では一番苦戦している花街である。立方は、つね有、満彩美、雛菊、美晴。地方は唄が美弥子、つね和、まりこ。三味線は豊壽、つね桃、上調子は弘子。
演目は清元「六玉川(むたまがわ)」。日本国内に6つある玉川を読み込んだ清元である。六玉川のうち、山城・井出の玉川、紀伊・高野の玉川、近江・野路の玉川、攝津・玉川、そして多摩川の表記でも有名な武蔵・玉川の五つが出てくる。武蔵の玉川は『万葉集』の東歌に出てくる「多摩川にさらす手作りさらさらに何そこの児のここだ愛しき(かなしき)」という有名な歌が取り入れられ、武蔵・調布(東京都調布市)が歌詞にも出てくる。
着物の色は地味だが、囃子に鈴の音を取り入れるなど、音も踊りも美しい。

上七軒の長唄「座敷舞道成寺」。京都の花街のうち4つは鴨川のそばにあるご近所さんだが、上七軒だけが遠く離れた北野にある。
立方は尚子(なおこ)一人で、他の花街とはスタイルが違う。地方は唄が、尚ひろ、梅智賀、市桃、玉幸。三味線は尚鈴、勝也、尚そめ、里の助。男みたいな名前の人もいるが全員女性である。
舞うのが一人だけということもあり、他の花街とは違ったスター性に富んだ舞となる。
歌詞には、日本全国の花街が登場する。江戸の吉原、京の嶋原、伏見の墨染(現存せず)と撞木町(大石内蔵助が遊んだことで知られるが現存せず)、大坂の難波四筋(新町、堀江、南地、北新地。いずれも往時の面影なし)、奈良の木辻(今は廃れている)、長崎の円山(丸山。ここは今でも栄えている)などである。

ラストは先斗町。演目は常磐津「扇獅子」。五台山の文殊菩薩の浄土に向かう途中にあるとされる「石橋(しゃっきょう)」を踏まえた内容となっている。立方は、朋ゆき、光菜、もみ壽。地方は語りが久ろく、豆千佳、市穂、市真芽。三味線がミヨ作、かず美、もみ蝶、市菊。
ラストでは牡丹の花飾りが用いられる。視覚的効果も十分な華やかな舞である。また、この舞でも鈴の音が使われる。

花街の謡であるが、写真帳に歌詞が載っていたからよくわかったものの、節回しが独特な上に選ばれる言葉も古典調なので、慣れないとなかなかすんなりとは耳に入らない。歌詞もそれほど内容重視ではないので、意味が分からなくても舞自体を楽しむことは可能であるが。

舞であるがどの花街も舞がきちんと揃っているのは当然として、動きに無駄が全くない。流石は舞のプロ達である。

続いて「舞妓の賑い」として、五花街合同による舞妓の演舞がある。ステージの中央に宮川町、上手手前に祇園甲部、上手奥に先斗町、下手手前に上七軒、下手奥に祇園東の舞妓各4名ずつが陣取り、「京を慕いて」に合わせて踊る。ただ、五花街は踊りの流儀は全て異なり、宮川町が若柳流、祇園甲部が井上流、先斗町が尾上流、上七軒は花柳流、祇園東が藤間流である。そのため振付はバラバラであり、それぞれに個性がある。祇園甲部は写実的な舞があり、祇園東は「舞扇」という言葉が歌詞に出てきたときに実際に扇子を懐から取り出して舞う。「京を慕いて」は1番から4番まであるのだが、1つ番が終わる毎に舞妓達が時計回りにポジショニングを変更する。今回は上七軒だけがセンターポジションに来ることがなかった。
各番の終わりは「京の月」で終わるのだが、ここだけはどの花街も振付が一緒である。4番が終わるとステージ上にいる全員が同じ振付で舞い、ラストとなる。
なお、地方は今回は先斗町が担当した。

最後は「祇園小唄」に合わせて出演者の勢揃い。袖から順次出てきて、舞台中央奥で二人一組となり、一緒に前に出てきてポーズを決め、拍手を貰った。

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