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2015年8月20日 (木)

コンサートの記(199) 「夏川りみと京フィルコンサート」2015城陽

2015年8月4日 京都府城陽市の文化パルク城陽プラムホールにて

午後7時から、文化パルク城陽プラムホールで、夏川りみと京フィルコンサートを聴く。タイトル通り夏川りみと京都フィルハーモニー室内合奏団によるジョイントコンサートである。これまでにも何回か行われており、チケットを手に入れたこともあるが、結局、今日まで来る機会はなかった。文化パルク城陽はプラムホール内は空調が効いているが、その他は冷房がほとんど効いておらず暑い。外にはミストもあるがそれほど涼しくない。

久しぶりとなる夏川りみのコンサート。夏川のコンサートを聴くのは今回で4回目だと思うが、これまでの会場は伊丹、大阪、宇治、そして今回の城陽で、実は京都市内で夏川のコンサートを聴いたことは一度もない。京都のポピュラー音楽のメイン会場である京都会館が取り壊し再建工事中で使えなかったということもあるだろうが、それにしても不思議である。

ミュージカルの指揮などを中心に活躍している井村誠貴(いむら・まさき)の指揮。

曲目は前半後半共に二部構成で、前半一部が京フィルのみの演奏で、ヨハン・シュトラウスⅡ世の「美しく青きドナウ」、ヴォーン=ウィリアムズの「グリーンスリーブス幻想曲」、エドゥアルド・シュトラウスの「カルメン・カドリーユ」、前半二部が夏川りみを迎えて「童神~(ヤマトグチ)」、「ニライの風」、「時の流れに身をまかせ」、「Amazing Grace」

井村誠貴の指揮であるがタメがない。セカセカしたテンポで聴かせ所も過ぎ去ってしまう。音楽作りというより仕事をしている場面を見ているような気分にさせられる。

齋藤一郎を常任指揮者に迎えて合奏力を鍛えているはずの京都フィルハーモニー室内合奏団であるが、ホルンやトランペットが音を外し、スネアが間違えるという調子で、「おいおい、大丈夫かよ」と不安になる。

夏川りみは紫のドレスで登場。井村も客席に「暑いですね」と言っていたが、夏川も「沖縄の方が涼しいです」と言っていた。今日の京都府南部の最高気温は37℃。一方、那覇市の最高気温は33℃。夏川りみの出身地である石垣市の最高気温は31℃であった。沖縄はいうほど暑くはないといわれており、「この夏、日本で最も気温が低いのは沖縄」というのも洒落ではなくよくあることである。地形的にフェーン現象が起きにくいということもあるだろう。

スタンダーナンバー「童神~ヤマトグチ」。この曲は内地の言葉による「ヤマトグチ」バージョンと沖縄の言葉による「ウチナーグチ」バージョンがある。2010年に出産を経験し、フィクションでない心でこの曲を歌えるようになった夏川だが、井村はこの曲の歌詞がよくわかっていなかったようで、夏川の子をあやす仕草(これは出産以前からやっていた振りである)についても「踊ってるのかなと思っていた」そうである。ちなみに、夏川と井村は今日が5回か6回目の共演であるが、今日初めて夏川の仕草の意味がわかったことになる。

夏川の歌声であるが、何よりも広がりがある。ステレオ的に上下左右に広がるという意味だけではなく、一つの音に倍音などが重なって重層的になっている。結果として強烈なヒーリング効果と力強いイメージ喚起力を伴う。

「ニライの風」は、沖縄の東方にあるとされるニライカナイという理想郷を題材に歌ったものである。

「時の流れに身をまかせ」は、台湾でコンサートを行う時に「台湾といえばテレサ・テン」ということで北京語を勉強して、台湾でテレサ・テンの曲を原詞で歌ったところ「大好評を頂きまして」(夏川談)ということで、一部を北京語で歌う。ただこの曲は極めて内省的な曲であるため夏川のドラマティックな歌い方は余り曲調に合っていなかったと思う。

「Amazing Grace」。1番は英語詞で歌ったが、2番と3番は予め歌詞解説を行った上でウチナーグチで歌った。

後半。第1部は、「80日間世界一周」、「スカボローフェア」、坂本龍一の「ラスト・エンペラー」。
「80日間世界一周」は京フィルのヴァイオリンの音が美しく、「スカボローフェア」も神秘的な感じがよく出ていたが、「ラスト・エンペラー」は井村の解釈が軽めであり、切なさがきちんと伝わってこない。

後半第2部。「愛よ愛よ(かなよかなよ)」は宮沢和史の作詞・作曲であるが、「頑張らなくてもいいよ」という普通とは違った応援ソングなのが新鮮だったと夏川は言う。

ここで、夏川の三線が運ばれ、「何を歌うかわかったでしょ」と夏川は言う。「今の私があるのも全部この曲のおかげさあ」と言って、夏川は「涙そうそう」を三線を弾きながら歌う。やはり名曲であり、優れた歌唱である。映画「涙そうそう」はひどい出来だったが。

「安里屋ユンタ」(この曲では三線なし)では、「サーユイユイ」、「マタハリヌツンダラカヌシャマヨ」はお客さんが歌う。更に夏川は客席と掛け声の練習をする。夏川が「ハーイヤ」というとお客さんは「ハーイヤ、イヤササ」と応える。実のところ大阪ではないのであんまり歌っている人はいなかったのだが(私は歌ったが)、カチャーシの練習もして皆でやったので、それなりに盛り上がった。

アンコールは、宮沢和史作詞・作曲のヒット曲「島唄」。三線を弾きながら夏川は始めはウチナーグチで歌い、その後、ヤマトグチにチェンジした。THE BOOMのオリジナルに比べると、良い意味でウエットな歌唱であった。

オーケストラが非力であったが、夏川の歌声はこれからも聴き続けて行きたいと思える満足のいくものであった。なお、夏川と井村と京フィルは明日は舞鶴でコンサートを行うそうである。

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