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2015年8月 8日 (土)

コンサートの記(198) アリス=紗良・オット ピアノ・リサイタル2015大阪

2015年5月13日 大阪・京橋のいずみホールにて

午後7時から、いずみホールで、アリス=紗良・オットのピアノ・リサイタルを聴く。アリスが協奏曲のピアノソロを務めた演奏会は何度か聴いているが、ピアノ・リサイタルを聴くのは初めてである。

プログラムは前半が、ベートーヴェンの第17番「テンペスト」、J・S・バッハの「幻想曲とフーガ」イ短調、J・S・バッハ作曲、ブゾーニ編曲の「シャコンヌ」。後半はオール・リスト・プログラムで、「愛の夢」第2番と第3番、「パガニーニ大練習曲」より第1番、第2番、第4番、第5番、第6番、第3番「ラ・カンパネッラ」。

アリスは、白のドレスを纏い、代名詞ともなった裸足のピアニストとして登場。いつも早足なのも特徴である。椅子の高さに関しては相変わらず神経質のようで、最初に腰掛けた時は椅子のクラッチを何度も回して高さを調整していた。

ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第17番「テンペスト」。さらりと弾いているようで、情熱が自然に滲み出てくるという理想的なベートーヴェン演奏である。後述するようにショパンではやはり個性的な演奏を聴かせるアリスであるが、ベートーヴェンは正統派。ベートーヴェン弾きとしての才能も十分なようである。

J・S・バッハの「幻想曲とフーガ」は造形よりも情熱を優先させた演奏。バッハというよりもロマン派的な演奏であったが、面白い演奏に仕上がっていた。

バッハ=ブゾーニの「シャコンヌ」。アリスのピアノはやや技術偏重の嫌いもあったが、雅やかにして雄大な世界を築き上げていた。アリスの演奏スタイルはかなり情熱的。時には椅子から腰を浮かせて中腰になってピアノを弾く。ペダリングもかなり上手く、強打しても音の濁ることがほどんどない。

後半のリスト・プログラムでは、アリスの抜群の技術が披露される。「愛の夢」は第3番が「誰でも一度は聴いたことがある」と断言できるほど有名だが、第2番も含めて煌びやかな音色による演奏を行う。

「パガニーニ大練習曲」は、その名の通り、ヴァイオリンの鬼才であるパガニーニが残したヴァイオリンのための楽曲をリストが取り入れたピアノ楽曲集。ヴァイオリンのための原曲も超絶技巧を必要とする作品だが、リストによる編曲も負けず劣らずの難曲である。第3曲の「ラ・カンパネッラ」は原曲よりもリストのピアノ版の方がずっと有名である。

アリスのピアノであるが、とにかく良く指が回る。ペダリングも効果的で、音の抜けに優れ、濁ることがない。曲調の描き分けも見事であった。

アンコール。アリスは、「ピアノに挑むような速い曲が続いたので、ゆっくりの作品を弾きたいと思います。ショパンの『雨だれ』のプレリュードを」と言って、ショパンの前奏曲第15番「雨だれ」を弾く。音を抜くように弱音にしたり、時折テンポを極端に落としたりと、ショパンではやはりアリスは個性的な演奏を聴かせる。

アンコールはもう1曲。グリーグの抒情小曲集より「小妖精(パック)」作品71-3。軽快な演奏であった。

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