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2015年10月12日 (月)

コンサートの記(208) パーヴォ・ヤルヴィ指揮NHK交響楽団第1817回定期演奏会~パーヴォ・ヤルヴィ首席指揮者就任記念~

2015年10月3日 東京・渋谷のNHKホールにて

午後6時から、東京・渋谷区神南のNHKホールで、NHK交響楽団の第1817回定期演奏会を聴く。この9月からN響首席指揮者に就任したパーヴォ・ヤルヴィの事実上の就任披露コンサートである。今日はN響の10月定期Aプログラムの初日。N響は月3回、同一演目2回の定期演奏会を行っており、定期演奏会の数も日本では断トツである。

曲目はマーラーの交響曲第2番「復活」。セレモニカルな場面で取り上げられることの増えている曲で、今日がまさにパーヴォ・ヤルヴィとNHK交響楽団のコンビの船出となる。

現在のNHKホールは1973年竣工。それ以前は愛宕山にNHKホールがあったのだが、手狭であるため閉館。NHKの本庁舎の横に今のNHKホールが建てられている。

基本的に放送収録用のホールであるため、残響はほぼ0。収容人数は約4000人で、日本で定期的にクラシックの演奏会が行われているホールの中では最もキャパが大きい。そのため音の悪さでも有名である。NHKホールの中でも3階席左右の前の方と、2階席前方は比較的音が良いのであるが、今日の私の席は2階席中央の後ろの方。上には3階席の屋根があり、良い音は望めない。残念だが仕方がない。NHKホールは私がまだ二十代で、NHK交響楽団の定期会員だった時に毎月訪れていたホールである。内装は少し変わり、特にトイレは綺麗になった。

地下のクロークでリュックを預け、身軽になる。

NHK交響楽団の月刊誌(兼プログラム)「Philharmony」は一時、有料での提供となったが(その代わり無料の簡易プログラムを配布)、今は来客者には無料で提供、ホールに来られなかった方には300円で販売という制度に戻ったようである。

合唱は東京音楽大学、アルト独唱はリリ・パーシキヴィ、ソプラノ独唱はエリン・ウォール。今日のコンサートマスターは「マロ」こと篠崎史紀。

ヴァイオリン両翼による古典配置での演奏である。私が知っているN響の楽団員は、フルートの神田寛明、第2ヴァイオリンの大林修子、今日はイングリッシュホルンを吹く池田昭子ぐらいであろうか。

まず東京音楽大学の合唱団が上手から登場し、その後、N響のメンバーが出てくる。チューニングを終えてしばらくしてから、パーヴォが下手袖から出てきて指揮台に上がり、拍手を受ける、今日は譜面台と総譜を置いての演奏である。

先に書いた通り、私の座席はすぐ上に3階席が天井のようになっている場所にあり、天井から音が降り注ぐということはない。そのため、音が小さく聞こえるという欠点があるが、それでも音の密度の濃さは伝わってくる。N響の低弦部の力強さは流石であり、これだけでも日本ナンバーワンオーケストラの名に恥じない。

パーヴォの弦楽と管楽の音をブレンドさせる力は天才的であるが、今日もNHKホールでの演奏というハンデがあるにも関わらず、楽器の音の溶け合った美しい演奏が展開される。場面によっては「夢のように」とか「天国的に」という言葉を添えたくなるほどだ。パーヴォの指揮姿も無駄がなく、実に美しい。

第1楽章終了後は、普通に間を取ったパーヴォだが(マーラー自身は、「5分以上休憩を取るように」と指示していたがそれは守ることはなかった)、第2楽章と第3楽章の間はほぼアタッカで入る。第2楽章終了後に咳をするお客さんが多かったのだが、それには構わずティンパニを鳴らして第3楽章に突入した。第2楽章と第3楽章で1つの楽章という解釈なのだと思われる。

ヴァイオリン両翼配置であるためわかったが、マーラーの曲は第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンの役割を完全に分けて書いてある部分が多い。普通は第2ヴァイオリンは第1ヴァイオリンの補助的役割をすることが多く、「影の主役」「名脇役」などと形容されることも多いのだが、マーラーの「復活」では第2ヴァイオリンも表の主役扱いである。

第4楽章のリリ・パーシキヴィのアルトソロも美しく、パーヴォ指揮のN響も立体的な伴奏を奏でる。この立体感は生で聴かないと絶対に味わえない種類のものである。

第5楽章では、冒頭と、更にもう一度ある一斉合奏のパワーが凄まじく、また3階席に陣取っていたと思われるバンダとのやり取りも絶妙である(バンダ達は、全曲が終わる直前にステージに戻った)。パーヴォのリズム感も抜群だ。
視覚的な演出があり、ソプラノ独唱のエリン・ウォールはまず椅子に座ったまま歌い始める。東京音楽大学の合唱団の一員のように聞こえる。そして聴かせ所で立ち上がり、その後に再び座って、アルトのリリ・パーシキヴィの歌が入るところで、二人同時に起立する。ラストではパイプオルガンも加わり、威力満点である。

東京音楽大学の合唱団も良くトレーニングされており、ハレの日を飾るのにふさわしい演奏会となった。

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