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2015年10月26日 (月)

コンサートの記(211) シベリウス生誕150年 藤岡幸夫指揮関西フィルハーモニー管弦楽団 「関西フィルハーモニー管弦楽団 Meet the Classic vol.31」 シベリウス 交響曲第1番ほか

2015年8月11日 大阪・京橋のいずみホールにて

午後7時から、大阪・京橋のいずみホールで、「関西フィルハーモニー管弦楽団 Meet the Classic vol.31」を聴く。今日の指揮者は関西フィル首席指揮者の藤岡幸夫。「Meet the Clsassic」はそもそも藤岡が立ち上げた企画だそうである。

曲目は、ルロイ・アンダーソンの「舞踏会の美女」、菅野祐悟の「永遠の土」(世界初演)、菅野祐悟の箏と尺八と管弦楽のための協奏曲~Revive~(関西初演。箏独奏:遠藤千晶、尺八独奏:藤原道山)、シベリウスの交響曲第1番。

「軍師官兵衛」、「ガリレオ」、「花咲舞が黙ってない」などの音楽で知られる菅野祐悟の新作が2作含まれているのが特徴である。また生誕150年を記念して東京では3つ、広島で1つ行われるシベリウス交響曲チクルスは関西ではゼロではあるが、藤岡と関西フィルは1年に1曲ペースによる「シベリウス交響曲全曲演奏」を行っている最中であり、定期演奏会で取り上げられる交響曲第6番の他に、今日は交響曲第1番、そして今月末に京都府城陽市で交響曲第2番の演奏が行われる予定であり、シベリウスの祝祭年に合わせた曲目を入れている。

「Meet the Classic」は藤岡によるトークを交えてのコンサートであるが、藤岡本人は「話すのは余り得意ではない」そうで、日本語に訳すと「クラシックとの出会い」というタイトルのコンサートであり、わかりやすさを心がけているためトークを入れているようである。

いずみホールは基本的に室内楽、器楽、室内オーケストラのためのホールであり、フル編成のオーケストラが演奏すると音が飽和しやすいのだが、そこは藤岡も勿論心得ていて、スケールを拡げすぎずにまとめるという演奏を目指していたように思われる。

ルロイ・アンダーソンの「舞踏会の美女」。藤岡はルロイ・アンダーソンの作品を気に入っており、ことある毎に演奏しているが、今日も華麗な音色を駆使した優美な音楽作りを行う。「舞踏会の美女」はワルツであるが、藤岡は3つ振らずに、1拍目だけを指揮棒の上げ下げで示すため、指揮姿だけだと二拍子で振っているように見える。

菅野祐悟の「永遠の土」。菅野は会場に来ており(開演直前に客席に入ってきた。自分の席に間違えて座っているお客さんがいたようで、共に苦笑いを浮かべていた)、藤岡から招かれてステージに上がり、「永遠の土」についてのちょっとした解説を行う。
「永遠の土」というのは聖書の用語だそうで、元の言葉を記すと「人間は土に命を吹き込まれて造られた」。つまり「永遠の土」とは人間のことである。人間は土から生まれて土に帰るというのがキリスト教の発想のようである。
菅野は、キリスト教系の幼稚園に通っていたそうで、聖書を読む授業のようなものがあり、その時にこの言葉に触れたという。菅野はキリスト教徒ではないので、他の言葉は忘れてしまい、今は聖書に接する機会もないそうだが、この言葉のことはよく覚えており、インスピレーションを受けたそうである。

ちなみに、菅野は「子供の頃から自分の理想とする音楽が頭の中で響いていたのですが、ありとあらゆる場所を探してもそんな音楽はない。ということは自分で作るしかない」ということで作曲家になったそうである。

「永遠の土」は、弦楽とビブラフォン、マリンバという変わった編成による楽曲。しっとりとした音楽で始まり、やがて哀感が増していく。ビブラフォンは普通に演奏されたりもするが、鍵をヴァイオリンの弓で擦るという特殊奏法も用いられる。藤岡はこの曲だけはノンタクトで指揮した。

菅野祐悟の箏と尺八と管弦楽のための協奏曲~Revive~。シアトル交響楽団の委嘱によって作曲された作品であり、まず藤岡幸夫指揮日本フィルハーモニー交響楽団による世界初演が東京で行われた後で、シアトルでの初演が行われ、シアトルでは演奏終了後にオールスタンディングオベーションとなった曲であるという。箏と尺八の世界初演、シアトル初演の奏者は今日と同じ。シアトル交響楽団を指揮したのは残念ながら藤岡ではないという。

ソリストである遠藤千晶と藤原道山が登場し、藤岡と菅野を交えての4人でプレトークが行われる。藤原道山は「なんで俳優にならなかったのだろう?」と思わせるほどの男前であり、イケメン指揮者といわれている藤岡でさえも「(藤原は)格好いいから(横に並ぶの)嫌になっちゃう」と発言していた。藤原道山のような顔立ちこそイケメンではなく正真正銘の「男前」というのであろう。写真映りは余り良くない方だと思われるが、実物は谷原章介と西島秀俊の顔を足して二で割ったとうな顔立ちで、谷原や西島よりも男前である。

遠藤が演奏する箏は、十三絃といわれる最も一般的な箏であり、オーケストラと共演するには音の数が少ないが、これを箏柱を動かして調弦を変えることで多彩な音を生み出すという特殊奏法が行われる。

尺八は藤原道山によると、「尺八とは思えないほどノリノリ」であり、そのため藤原は今日は和服ではなく洋装で来たという。

遠藤も藤原も東京芸術大学音楽学部および同大学院出身であり、同窓である(パンフレットに書かれたプロフィールでは、遠藤は「東京藝術大学」という表記を採用し、藤原は「東京芸術大学」という新字体を用いている)。

オーソドックスな3楽章を採用した協奏曲。各楽章には英語によるタイトルが付けられており、第1楽章には「Sunrise」、第2楽章には「Pray」、第3楽章には「Future」とある。

第1楽章は箏の独奏から始まる。いかにも「和」といった風の凛として華やかな感じだが、曲調は徐々にドラマティックになっていく。

第2楽章は、尺八が民謡のような懐かしさを感じさせるメロディーを吹く。この旋律はラストにも戻ってくる。

第3楽章は、管楽器奏者がほぼ全編に渡って手拍子を行うという個性的なもので、ノリはラテンである。藤原道山も手拍子を行う場面が一箇所だけあり、オーケストラメンバーとの掛け合いとなる。

調性音楽であり、わかりやすく楽しい音楽であった。

 

後半、シベリウスの交響曲第1番。藤岡と関西フィルは2009年にこの曲を演奏しており、私もその演奏会を聴いている。その時の藤岡の解釈はややスポーティーな印象を受けたが、今日は良い意味で自然体の音楽を奏でることが出来ていたように思う。

関西フィルは関西のプロオーケストラの中では非力な部類に入ると思うが、シベリウスの演奏にはパワフルさはさほど重要ではない。メカニックは管も弦も安定しており、ライブ演奏としてはなかなかの完成度に達していた。

アンコール演奏は、エルガーの「夕べの歌」。藤岡のアンコールの定番だそうだが、私は聴くのは初めてである。抑制の程よく効いたノーブルな演奏であった。

関西フィルは今後も音楽監督であるオーギュスタン・デュメイや首席指揮者である藤岡の指揮による意欲的な演奏会が続く。プログラムだけを比較すれば関西で一番面白いかも知れない。

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