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2016年3月 2日 (水)

コンサートの記(230) パーヴォ・ヤルヴィ指揮NHK交響楽団演奏会大阪公演2016

2016年2月20日 大阪・谷町のNHK大阪ホールにて

午後4時から、谷町4丁目にあるNHK大阪ホールで、NHK交響楽団演奏会大阪公演を聴く。指揮はNHK交響楽団首席指揮者のパーヴォ・ヤルヴィ。
ちなみにNHK大阪ホールはNHK大阪支局の中(NHK大阪ホールと本庁舎とは建物内で分かれている)にあるのだが、本庁舎の方では午後3時から朝の連続テレビ小説「あさが来た」の収録があり、上の階から観覧出来るというのでかなりの人が並んでいた。

響きが今一つのNHK大阪ホール。一昨年の11月に2階席の真ん中で聴いた時にはとても良い音で聴くことが出来たのだが、他の席で聴くと残響不足。今日は前から3列目であったが、残響は1秒にも届かない。
曲目は、リヒャルト・シュトラウスの「変容(メタモルフォーゼ)」、シューマンのピアノ協奏曲イ短調(ピアノ独奏:カティア・ブニアティシュヴィリ)、リヒャルト・シュトラウスの交響詩「ツァラトゥストラはこう語った(ツァラトゥストラはかく語りき)」

今日はゲスト・コンサートマスターとしてヴィスコ・エシュケナージ(ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団コンサートマスター)を招いての演奏である。

今日は弦の配置が1曲ごとに変わる。「変容」ではドイツ式の現代配置だが、弦楽のための作品であり、管楽器奏者がいないので、コントラバスは弦楽奏者の最後列に横一列に並ぶという独特の配置。
シューマンのピアノ協奏曲ではコントラバスが上手に移動してドイツ式の現代配置になる。
「ツァラトゥストラはこう語った」では一転してヴァイオリン両翼、コントラバスは下手端の古典配置での演奏になる。


NHK交響楽団の有名奏者として、オーボエ首席奏者の茂木大輔、フルート首席の神田寛明、チェロ首席の向山佳絵子(元々はチェリストとして個人で活躍していた。旦那はNHK交響楽団首席指揮者の藤森亮一)らが出演。なお、ソロ・コンサートマスターであった堀正文の肩書きが名誉コンサートマスターに変わっているが、これがどういう位置づけのポジションなのかは不明。

おそらくであるが、NHK交響楽団は日本プロオーケストラの中で最も男性楽団員の率が高いと思われる。


リヒャルト・シュトラウスの「変容」。弦楽のための作品であるが、普通の弦楽5部ではなく、全ての楽器を23のパートに分けて演奏される。そのために、例えば第1ヴァイオリンでも演奏をしている奏者と休んでいる人に分かれていたりする。
ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」の第2楽章である葬送行進曲の主題が顔を覗かせ、他の主題とともに変容していく。
仄暗い響きが、どっしりとして分厚いN響の弦楽には良く合っているが、時折、光が差すような明るい音色への変化も見事である。
パーヴォはゲネラル・パウゼも長めの取るが、NHK大阪ホールは弦楽だけだと残響ゼロであり、間が開いた感じになってしまう。


シューマンのピアノ協奏曲イ短調。ピアノ独奏のカティア・ブニアティシュヴィリはジョージア(旧名グルジア。しかし「ジョージア」と「グルジア」では印象が180度異なるな)のトビリシ生まれの若手女性ピアニスト。ウィーン国立音楽大学に学び、2003年にホロヴィッツ記念国際ピアノ・コンクールで特別賞受賞。2008年のルービンシュタイン国際ピアノ・コンクールで3位に入賞している。
パーヴォ・ヤルヴィとはショパンのピアノ協奏曲第2番のCDで共演している。

Youtubeなどでは何故かセクシーな衣装で演奏している映像があったりするが、今日の背中の部分がシースルーになっている黒いドレスで登場する。

出だしが印象的なシューマンのピアノ協奏曲であるが、ブニアティシュヴィリの最初に奏でる音が小さすぎ、「あれ?」と思う。極めて繊細にしてクリアな音色で勝負するピアニストなのであるが、NHK大阪ホールの音響は彼女に味方しなかったようだ。ただガラス細工のように精緻な美音と、鋼のようなタッチで、アンビバレントにして文学的なシューマン演奏を聴かせる。
パーヴォ指揮のN響も憂いを帯びた表情の出し方に旨味がある。

ブニアティシュヴィリのアンコール演奏は、ヘンデル作曲、ヴィルヘルム・ケンプ編曲による「メヌエット ト短調」。極めて精巧で優美な演奏であった。


リヒャルト・シュトラウスの交響詩「ツァラトゥストラはこう語った」。映画「2001年宇宙の旅」でも使われた、冒頭の序奏「日の出」の部分がかなり有名な曲である。
下手な演奏だと、冒頭だけが印象に残って本編が吹き飛んでしまうということになるのだが、パーヴォとN響は語り上手。全編を通して集中力の高い演奏となる。
構築感抜群にして語り上手なパーヴォの棒と、圧倒的な音の威力を誇るN響のサウンドが上手くマッチし、文句なしの名演となる。
フリードリヒ・ニーチェが書いた『ツァラトゥストラ』は「超人」を説くゾロアスター(ツァラトゥストラ)教開祖による一種のエリート主義を描く難解な小説(のようなもの)なのであるが、リヒャルト・シュトラウスはこの物語の本質を上手く音楽にしており、パーヴォの指揮もあたかもニーチェの本を読んだ気になるような(あくまで「気になるような」であるが)想像喚起力豊かな演奏をN響と共に行っていたように思う。

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