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2016年3月 7日 (月)

コンサートの記(231) 飯森範親指揮日本センチュリー交響楽団いずみ定期演奏会 No.30

2016年2月26日 大阪・京橋のいずみホールにて

午後7時から、いずみホールで日本センチュリー交響楽団いずみ定期演奏会 No.30を聴く。今日の指揮者は日本センチュリー響首席指揮者の飯森範親。

昨年6月にスタートした「ハイドン・マラソン」の4回目となる演奏会。「ハイドン・マラソン」のファーストシーズンが今日で終わる。

曲目は、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲(ヴァイオリン独奏:郷古廉)、ハイドンの交響曲第18番、ハイドンの交響曲第96番「奇蹟」

今日のコンサートマスターは日本センチュリー響客演コンサートマスターの荒井英治。松浦奈々がフォアシュピーラーに回る。
古典配置での演奏であり、ハイドンの時はパブロ・エスカンデが指揮者の飯森と向かい合う形で通奏低音のチェンバロを弾いた。

弦の編成であるが、ベートーヴェンと「奇蹟」では第1第2ヴァイオリン共に8人、ハイドンの交響曲第18番では各6名と一回り小さくなる。


べートーヴァンのヴァイオリン協奏曲。ソリストを務める郷古廉(ごうこ・すなお。男性)は、宮城県多賀城市生まれの若手。2013年8月にティボール・ヴァルガシオン国際ヴァイオリン・コンクールで優勝並びに聴衆賞・現代曲賞を獲得して注目されている。2006年には第11回ユーディ・メニューイン青少年国際ヴァイオリンコンクールジュニア部門で第1位に輝いていた。
現在はウィーン私立音楽大学(変わった校名だがそういう名なので仕方がない)在学中である。

登場した郷古は、顔写真よりもほんの少しワイルドな印象を受ける。ヴァイオリンであるが、ベートーヴェンを奏でるには少し音の線が細い気がするが、高度なメカニックと磨き抜かれた音色、そして何よりも勢いがある。おそらく現時点ではベートーヴェンよりもモーツァルトの方が合うのではないであろうか。

飯森指揮のセンチュリー響がガッシリとした伴奏を披露。そのため郷古の音の細さが強調されてしまったところもある。
基本的にピリオド・アプローチであるが、徹底したものではなく、弦楽奏者もビブラートを思いっきり掛ける人、そこそこの人、徹底したノンビブラートの人とバラバラである。おそらくベートーヴェンの時代の音楽家もビブラートに関してはバラバラであったはずで、解釈としても説得力はある。

郷古はアンコールとして、J・S・バッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番より“サラバンド”を弾く。高貴にしてスケール豊かな文句なしのバッハであった。


ハイドンの交響曲第18番と第96番「奇蹟」では、センチュリー響の弦楽は徹底したノンビブラート奏法を貫く。飯森もハイドンではノンタクトで指揮。

交響曲第18番は、ハイドンがまだボヘミアのモルツィン伯爵に仕えていた頃の作品。この時代のハイドンについては史料も不足しており、よくわかっていないという。ハイドンというとハンガリーの片田舎に居を構えるニコラウス・エステルハージ候の下で宮廷楽長をしていた時代がよく知られているが、交響曲第18番はその時代よりも前に書かれたものである。
3楽章からなる交響曲であり、第3楽章はメヌエット。第3楽章がメヌエットの場合、普通はその後に第4楽章が来るのだが、この曲では第4楽章は置かれていない。
当時の貴族の趣味に合わせた作品であり、第2楽章で少し影が差す場面はあるが基本的に陽性の楽曲である。飯森の音楽作りは「しなやか」の一言だ。


交響曲第96番「奇蹟」。ハイドンがこの曲を指揮した時、余りの熱狂に聴衆がステージの押しかけたのだが、そのお陰で落ちてきたシャンデリアの下敷きになるのをほとんどの人が免れたという話からタイトルが付いたとされているが(似たようなバリエーションもいくつかある)、ハイドン自身は「そんな話は知らない」と明言しており、少なくともハイドンが演奏を行っていた会場ではそんな事件は起こっていないようである。ただ同時代の新聞記事に、ハイドン自身が関わっていない演奏会でハイドンの別の交響曲を演奏中にシャンデリアが落下するという事故があったと書かれたものがあるそうで、話がごっちゃになった可能性がある。
「奇蹟」は、ロンドンの興行師、ペーター・ザロモンの依頼を受けて書かれたものであり、田舎の貴族ではなく大都会であるロンドンの民衆に受ける必要があったため、ハイドンも持てる力をフルに生かした曲作りをしている(それまでの曲が手抜きだったというわけではないが)。
スケール豊かであり、時に金管のパートが華やかに書かれており、センチュリー響のブラス群も力強い響きで飯森の指揮に応える。
全体を通して集中力の高い、情熱溢れる演奏であり、格調も高い。優れた出来映えである。


演奏終了後に飯森のスピーチ。センチュリー響の「ハイドン・マラソン」の第2回に当たる「いずみ的演奏会 №28」が平成27年度大阪文化祭賞奨励賞を受賞したこと。またセンチュリー響首席トランペット奏者の小曲俊之が音楽クリティック・クラブ奨励賞を受賞したことを伝えた。

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