« コンサートの記(235) 三ツ橋敬子指揮 いずみシンフォニエッタ大阪第36回定期演奏会 | トップページ | 「談ス」京都公演 »

2016年4月 9日 (土)

コンサートの記(236) 山下達郎 「TATSURO YAMASHITA PERFORMANCE 2015-2016 40th ANNIVERSARY」京都公演

2016年3月2日 京都市左京区岡崎のロームシアター京都メインホールにて

午後6時30分から、左京区岡崎のロームシアター京都メインホールで、山下達郎のコンサート「TATSURO YAMASHITA PERFORMANCE      2015-2016 40TH ANNIVERSARY」を聴く。1975年にデビューした山下達郎のミュージシャン活動40周年を記念して、北は北海道北見から南は沖縄県沖縄市まで計64回行われる全国ツアーの50回目の公演が京都で行われる。
ロームシアター京都メインホールは、京都会館第1ホールの跡に建てられ、今年1月オープンしたばかり。ポピュラー音楽のコンサートとしては、今日の山下達郎のライブが杮落としとなるそうである。

ロームシアター京都まではバスを使えばすぐなのだが、歩いても行ける距離なので行き帰りは歩く。「歩いても行ける距離にコンサートホールがある幸せ」を実感したいという自己満足ではあるのだが。

「久しぶり、帰ってきたよ京都」と挨拶した山下達郎であるが、山下によると「京都でライブを行うのは32年半ぶり」になるという。山下達郎のコンサートは必ずセットを組み、今日も舞台下手には三階建てのホテル(後にライトが付き、「OPUS INN」という宿であることがわかる)があり、山下達郎はホテルのセットの玄関から登場した。背後には水平線と桟橋が描かれている。実は京都会館では色々と制約があり、舞台上にセットが建てられなかったので「やろうにもやれなかった」らしい。「ユーミンとか、セットを組む人は(京都会館では)やっていないはずです」と山下はいう。京都会館第1ホールは音響も最低レベル、内装はボロボロでトイレに至っては公衆便所より汚いという有り様で、「とてもじゃないが一流のミュージシャンを呼べるような施設じゃない」と思っていたが、それ以上に京都の文化的鎖国化に貢献してしまっていたようである。山下は「まともなホールがずっとなかったというのもおかしな話なのですが」と言っていたが、京都の文化的鎖国感は根が深い。文化庁の京都移転は決まったが、どうなることやら。
今回のツアーでは、「とにかく明るい曲を」ということで、セットリストにも明るめの曲やノリノリの曲が並ぶ。もっとも明るいナンバーだけではなく、「エンドレス・ゲーム」のような短調の曲も歌われたし、「シリアやガザ地区では酷いことになっている。隣の国なんかでは水素爆弾や核弾頭やら飛ばしている」ということで、1曲だけシリアスな曲をとして「DANCER」が歌われた。

山下達郎はホールの音響にうるさいことでも知られるが、「敷地がないところに建てたのにステージを広めにしたので、客席が狭くなる。そこで縦にした」と表現。ロームシアター京都メインホールは1階席の面積は比較的狭く、特に奥行きはないが、客席は4階まである。「リハーサルの時に客席で確認したのですが、ブロードウェーのミュージカルシアターに近い音です」と山下は述べた。

知らない人はいないというほどの有名曲である「クリスマス・イブ」は歌われる。山下によると「リピーターの方がいて、このツアー7回目なんていう方は『“クリスマス・イブ”はもういい』と言われるのですが、ミュージシャンの中には敢えてコンサートで有名曲を歌わなかったり、一番売れた曲は『こんなの本当の俺じゃない』とかいって歌わない人もいます。ですが私は今日1回来る人のために『クリスマス・イブ』は必ず歌います」と宣言した。

詳しいセットリストは書かないが、「土曜日の恋人」は実は人前で歌うのは初めてになるとのこと。「DOWN TOWN」も歌われたが、これはサビの部分が女声パート(シュガー・ベイブでは大貫妙子)で、山下達郎はファルセットでの歌声となるため、普段は私はこの曲は坂本真綾がカバーしたバージョンで良く聴いている。

カバーのコーナーでは、「最近、カバーブームでみんなカバーやっている。しかもみんなベタな選曲ばっかでみんな同じ歌うたってる状態」と言いながら、「今回は思いっきりベタな歌をやります」ということで、「君の瞳に恋している」を歌う。「君の瞳に恋している」を歌うにあたり、山下は「フランキー・ヴァリの歌は森進一ばりのコブシやヒキ、タメがある」として縦のラインを揃えた歌い方とフランキー・ヴァリ風の歌い方の両方でサビを歌う。ちなみに「君の瞳に恋してる」はかなり有名なナンバーであるがビルボードヒットチャートでは2位が最高だそうである。

またアカペラのコーナーでは、ドゥーワップで「チャペル・オブ・ドリームス」、山下達郎の自作である「おやすみ、ロージー」、「エンジェル」が歌われた。「おやすみ、ロージー」は鈴木雅之も歌っており、鈴木雅之は山下達郎が作った音源を使ってカラオケで歌っていたのだが、鈴木の持っているテープが老朽化してきたというので、この間、山下がリミックスした音源を渡したそうである。鈴木は「すげー音良かったよ!」と驚いていたそうだ。「当たり前なんですけどね」と山下。

ちなみに、山下が初めて京都でライブを行ったのは1974年の5月。今も上京区にあるライブハウス「拾得(山下は「じゅっとく」と読んでいたが「じっとく」が正式な名称である)」においてであったそうだが、最前列に一升瓶抱えて寝ているおじさんがおり、30分か40分演奏したところでそのおじさんが起き上がって、「おい、もう止め! 二度と京都来んな!」と悪態をついたそうで、山下はそれがトラウマになっているという。数年後に、「拾得」のオーナーが「あの時は済みませんでした」と謝りに来たそうだが、「オーナーに謝られても」と山下は複雑な心境になったそうだ。
以前から関西ではそうでもなかったのだが、東京などでは業界人が多いということもあり、最前列で偉そうにふんぞり返り、「聴いてやるよ。やってみな」という態度の客がよくいたそうで、「蹴っ飛ばしてやろうかと思いました」と山下は語る。

ちなみに山下は大貫妙子らと組んだシュガー・ベイブというバンドでデビューしているが、シュガー・ベイブのファーストアルバム「SONGS」が発売された頃にはちょうと京都におり、JEUGIAの三条本店で「SONGS」が売られているか調べに行ったのだが売っていなかったそうである。「SONGS」は昨年リマスタリング盤が出たのだが、リミックス盤と二枚組にして発売したところ何とオリコンチャートトップ10に入ってしまったという。シュガー・ベイブ時代の楽曲としては「シュガー」が「今回のツアーで歌い納め」として歌われた。また最近では嵐の新曲「復活LOVE」の作曲と編曲を担当(作詞は夫人である竹内まりや)。これまでもジャニーズ系の楽曲を手掛けている山下であるが、普通はジャニーズ系の楽曲は専門のアレンジャーがいるため、編曲はジャニーズ側に任せるのだが、デモテープを聴いた嵐のメンバーが山下の編曲を気に入ってしまい、「編曲もお願いします」ということになったそうである。山下は「(自分の編曲は)オールディーズだよ」と言ったものの、嵐は「その編曲が良い」と譲らなかったそうである。編曲を手掛けた場合は演奏も行うというので、山下は「復活LOVE」でギターを弾いているという。ここで、「イントロ聴かせて!」と客席から声が掛かる。「今、やろうとしてたのに!」と山下。そしてイントロを奏でる。拍手喝采。ただ山下は「40、50の人に嵐のCDを買ってとは言えないなあ」とこぼす。「でも40代50代の人にも人気あるんですよ、大野君とか。ああ、余りフォローになっていないか」と自分で言う。

本編のラストは「アトムの子」。山下は途中で「アンパンマン・マーチ」を挟みながら歌った。


アンコールで出てきた山下は、「このホールは上から見るとカーネギーホールに似てるんです。敢えて似せてるのかも知れませんが」と言うが、「せや、せや」と言う人がいたので、「人が話している時にそういうこと言わない」と顔をしかめる。
アンコールは、「HAPPY HAPPY GREETING」、「RIDE ON TIME」(親交のあった大瀧詠一の「幸せな結末」「熱き心に」などを途中でメドレーで挟む)など。今回は比較的初期のナンバーが多かったように思う。

そして先日亡くなった村田和人(亡くなる数日前に村田から山下にメールがあり、「体が良くなってきたので来年はライブ200本やりたいです」と書いてあったそうだ。それが最後のメールになったという)のために村田の作品である「一本の音楽」をギターで弾き語りする。
最後の曲は、「YOUR EYES」。32年半ぶりの京都で喝采を浴びた山下達郎は感慨深げな様子であった。

|

« コンサートの記(235) 三ツ橋敬子指揮 いずみシンフォニエッタ大阪第36回定期演奏会 | トップページ | 「談ス」京都公演 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/40048/63461679

この記事へのトラックバック一覧です: コンサートの記(236) 山下達郎 「TATSURO YAMASHITA PERFORMANCE 2015-2016 40th ANNIVERSARY」京都公演:

« コンサートの記(235) 三ツ橋敬子指揮 いずみシンフォニエッタ大阪第36回定期演奏会 | トップページ | 「談ス」京都公演 »