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2016年5月の24件の記事

2016年5月30日 (月)

芥川龍之介 「煙草と悪魔」(青空文庫)

作品の紹介です。本編は青空文庫でお読み下さい。

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2016年5月27日 (金)

楽興の時(11) 「テラの音」vol.13

2016年4月1日 京都市中京区御幸町通竹屋町下ルの真宗大谷派浄慶寺にて

午後7時から、中京区御幸町通竹屋町通下ルにある真宗大谷派浄慶寺で、「テラの音 vol.13」を聴く。今回はバンジョー奏者の吉崎ひろしによるコンサート。「テラの音」主催者であるヴァイオリンの牧野貴佐栄と、「テラの音」の評判を聞いて是非参加したいと申し出たヴァイオリニストの辻本恵理香も参加する。

「テラの音」は、京都のお寺に気軽に立ち寄っていただこう、そして若手の音楽家と僧侶も育てよう(僧侶の方は冗談だと思うが)ということで立ち上がった企画。僧侶は冗談と書いたが、法話の時間も設けられているので、仏教に興味を持って貰いたいという思いはあるのだろう。残念ながら今日の聴衆は満員ながらお年の方が大半。私よりも若い人は2人か3人しかいない。
バンジョーの吉崎ひろしも52歳と若いとはいえない年だが、前の方の席に座った方達は吉崎のお弟子さんのようである(吉崎よりも年上である)。その他、バンジョーではなくてギターを弾くというお年の方もいた。出来れば若い人に仏教が広まるようになると良いのだが。

浄慶寺の住職である中島宏彰氏も大谷大学仏教学科在学当時はギターの腕で鳴らしたそうである(吉崎談)。中島住職はテレビ朝日系の「ぶっちゃけ寺」に何度か出演しており、先週の放送で、Amazonの「お坊さん便」反対の代表者として意見を戦わしていた。まあ「お坊さん便」は仏教どころか宗教ですらないからね。寺院は数はとにかく多いので(一番多い曹洞宗の寺院だけでも日本全国のコンビニの数を上回る。その他の宗派の寺院を入れるとコンビニの数倍になるだろう。ただもはや寺院として機能していないお寺も残念ながら多い)、寺院を中心にした文化が発生するのが日本的風土と歴史からいえば普通なのだが、廃仏毀釈と神道の国教化の影響がかなり大きく、戦後70年を経てもお寺と一般市民の距離は縮まらず、仏教は哲学でも宗教でもなく、儀式としての葬式仏教としか認識されていない。


吉崎ひろし(吉崎は「よしざき」と読む)は、1986年に高石ともや&ザ・ナターシャ・セブンの3代目バンジョープレーヤーとしてデビュー。今年でプロ音楽科として活動30周年を迎えた。38歳の時からマラソンを始め、最近では丹波篠山のマラソンを走ったという。京都マラソンは一昨年、昨年とエントリーするもくじ引きで外れて参加出来ず、東京マラソンに至っては10年連続抽選で外れたという。東京マラソンの抽選は15倍だそうなので、「普通に考えるとあと5年は外れる」と吉崎は笑いながら語った。関東ツアーを終えて、長野県大町市のホテルでコンサートを行ったとき、聴衆は大町アルプスマラソンの出場者で、マラソンの存在を知った吉崎は飛び入りでマラソンに参加。3時間44分という好タイムで走り、打ち上げでもバンジョー奏者として一緒にマラソンを走った人と盛り上がるという妙な経験をしたそうだ。


オープニングとして、「テラの音」に興味を持ったという辻本恵理香によるヴァイオリン独奏がある。曲目は「アメイジング・グレイス」。前半はよく知られているメロディーを弾き、後半にはアレンジを加える。辻本は双子だそうで、双子の姉妹揃ってヴァイオリンをやっており、Happy      Twinsという、辻本曰く「アホっぽい名前」のユニットでも活動しているそうだ。今日はアコースティックのヴァイオリンだが、エレキのヴァイオリンを弾くこともあるという。

続いて、辻本と牧野貴佐栄のデュオで、バルトークの「2つのヴァイオリンのための44の二重奏曲」より“バグパイプ”、“セルビアの踊り”などが演奏される。

そして、吉崎、辻本、牧野のトリオでピアソラの「リベルタンゴ」が演奏される。20世紀の終わりにヨーヨー・マが出演したウイスキーのCMで一気に有名になった曲である。当時はピアノ編曲版の楽譜も出版されて、私もよく弾いた。ピアソラブームは去ってしまったが、「リベルタンゴ」だけは今でも様々なコンサートで聴く機会がある。

女性二人が去った後で吉崎は、「女性で、綺麗でヴァイオリンも上手いってずるいですね。ただ、同じ人種だとは思ってます。二足歩行だし」とギャグをいう。

吉崎は、「カントリーロード」を歌ってからトークを行う。バンジョーを弾いていると、「なんでバンジョーなんですか?」と必ず聞かれるそうである。吉崎が若い頃はフォークブームで、吉崎も中学生の頃にギターの弾き語りで「神田川」などを歌っていたのだが、ある日、高石ともや&ザ・ナターシャ・セブンのコンサートを聴いて、その陽気さに呆気にとられたそうである。それまで「あなたはもう忘れたかしら」の世界だったのに、「陽気に行こうぜー」と歌われて、興味が沸き、特に丸い形をした楽器に惹かれて、「あれ何?」「バンジョーだよ」ということでバンジョーを弾きたくなったそうである。しかし、親にギターを買って貰ったばかりなのでバンジョーを買うお金がない。ということで、ギターの弦をバンジョー用に張り替え、5つある弦の内の一番上にあるものは短いのだが、フレットに釘を打って、「バンジョーもどき」を完成させ、それで演奏していたそうである。そして高校入学のお祝いにバンジョーを買って貰い、晴れて本格的にバンジョーデビューとなったそうである。最初の頃はギターとバンジョーの両方を弾いていたのだが、「これから本格的に音楽活動をしていくのでどちらかに絞ろう」と思い、「競争率の低い方を選んだ」そうである。しかし後に気づくのだが、「バンジョーは競争率も低かったが需要も低かった」。ただ、バンジョー奏者として活躍をしているのは関西では吉崎一人だけということもあって独占状態であり、色々なところから声が掛かるという。

NHKの「生活笑百科」でバンジョーを演奏しているのも吉崎だそうで、今日はフルバージョン(といっても短いものだが)を演奏する。

その後、THE BOOMの「島唄」の弾き語り、アニメソング「ゲゲゲの鬼太郎」、ロッシーニの「ウィリアム・テル」序曲より“スイス軍の行進曲”などを演奏する。いずれもABCラジオでレギュラーを持っていた時代にリスナーからリクエストされてやってみたことのある曲だそうだが、中には変わったリスナーの方もいて、「左手で押さえて音を出すんですよね。押さえないと演奏出来ませんか?」という葉書(かメールかはわからないが)が届き、そこでフレットを使わずに演奏出来ないかということで……、ここから先は残念ながら企業秘密なんですね。


中島住職の法話。東日本大震災で真宗大谷派の寺院も被害が出たため、中島住職も東北を訪れることが多いのだそうだが、復興住宅の建設が当初は中々進まなかった。被災者はプレハブの仮設住宅暮らし。以前のご近所さんと一緒ではあったが、隣の家の音が丸聞こえという粗悪な環境であったという。だが、復興住宅が次々に建てられ、状況が好転するかと思いきや、復興住宅への入居は抽選式で、お隣さんが誰なのかわからない状態になり、しかも新しいご近所さんはお年寄りばかり。復興住宅街には集会所もないということで、「心が寒くなりました」と言われたそうである。


第二部は、まず辻本恵理香と吉崎ひろしのデュオで「チャールダーシュ」。辻本の腕の冴え、吉崎のリズム感、いずれも見事であった。

ちなみに吉崎のバンジョーは1933年製であるが、辻本のヴァイオリンは更に古く1820年製である。「なんぼ?」という関西らしい質問があったので、吉崎はバンジョーの値段を「高級な軽自動車が買えるぐらい」と答えた後で、「別荘を売ってヴァイオリンを買うという話がありましたが、今は別荘を2つ3つ売っても良い楽器は手に入らないと語る」。

第二部は吉崎のオリジナル曲が多い。吉崎がランナーであるためか、詞の言葉も走る人の発想で選ばれている。というより自然に浮かぶ言葉がランナーのイディオムになるのだろう。

ラストではヴァイオリンの辻本恵理香、牧野貴佐栄も加わり、大ラストでは住職の中島宏彰もギターで参加して大盛り上がりの内にコンサートは終わった。

なお、お年寄りの方は手拍子が基本的に表打ちであるため(洋楽やJPOPは裏打ちである)、結果として拍手が4つ分鳴っているという状態になっていた。

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2016年5月26日 (木)

桜 稲垣早希 コント「とにかく楽して有名になりたい女Youtuber」

桜 稲垣早希公式Youtubeチャンネル「早希TUBE」より

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2016年5月25日 (水)

観劇感想精選(183) 「つじたく vol.1」2016大阪

2016年3月20日 大阪の梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて観劇

午後5時から梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで、「つじたく vol.1」を観る。吉本新喜劇の辻本茂雄とTAKUMA FESTIVAL JAPAN主宰の宅間孝行がタッグを組んだ公演。昨年は東京のみで公演が行われたが、今回は同一演目を大阪でも行う。
吉本新喜劇の辻本茂雄が出るということで、チケットはチケットよしもとでも販売され、私はチケットよしもとの先行予約に当選した。まさかシアター・ドラマシティによしもとのチケットで入る日が来るとは思っていなかったが。
チケットは最前列の真ん中近く。辻本茂雄作の新喜劇演目を観るには最適だが、宅間孝行が書いた短編を観るにはもう少し離れていた席の方が良かったようだ。最前列真ん中で文句を付けてはいけないし、佐藤めぐみを間近で見られたのは良かったけれども。

出演は、辻本茂雄、佐藤めぐみ、伊賀健二、平山昌雄、松原健太、松下大、宅間孝行。歌唱:ハッピーシスターズ。

開演前に、宅間孝行によるグッズ購入者のみ対象の宅間曰く「AKB商法」サイン会がある。ツーショット写真もOKだということだったが、何が悲しくて男二人の写真を撮らなければならないのかわからないので、私はサインは頂いたが、ツーショット写真に収まる予定はなかった(時間の都合上、私の番が回っている前に「サインのみ」に切り替わったが)。宅間さんのところは基本的にパンフレットに外れはない。


15年ほど前、宅間孝行が劇団活動を模索していた頃に大阪を初めて訪れ、「吉本の本場だし、なんばグランド花月に行ってみよう!」ということで、NGKで漫才や吉本新喜劇を観たのだが、新喜劇に出演していた辻本茂雄の茂爺に衝撃を覚えたという(当時、関東では「吉本新喜劇」の存在は知られていたがテレビ放送はされていなかった。私も京都に来るまでは吉本新喜劇を観たことはなかった。現在ではTOKYOMXTVという東京のローカル放送で吉本新喜劇は放送されているが、関東で見られるのは基本的に都民のみである)。泣くほど笑わされたそうで、辻本のファンになり、その後、宅間の劇団が成長して大阪でも公演をやるようになり、吉本の芸人さんや新喜劇の方も大阪の劇場に観に来られるようになったという。宅間も「辻本さんにもうちの芝居を観て欲しい」ということで、辻本が座長として新宿のルミネtheよしもとで新喜劇を上演した際、楽屋にお邪魔して、その後、二人で飲みに行き、辻本も宅間の芝居を観て気に入ってくれて意気投合。一緒に芝居をやろうということになり、「つじたく」が実現したという。


辻本茂雄:作・演出の「新幹線B席!」、宅間孝行:作・演出の「初恋レストラン」、「誘拐犯の憂鬱」、「DUET」の4つの短編からなるオムニバス。辻本の作品は軽演劇、宅間の作品は小劇場演劇からの発展系で、同じ「演劇」の括りの中でも趣はかなり異なる。


辻本茂雄:作・演出の「新幹線B席!」。まず最初に宅間孝行扮するサラリーマンが出てくる。舞台の真ん中に三人掛けの新幹線のシートが置いてある。
ここで宅間が発するのは「説明ゼリフ」と呼ばれるもので、宅間自身はほぼ書くことがないと言えるものである。宅間はB席(真ん中の席)に腰掛けて自分の会社が徹夜で勤務した後で大阪の出張を命じたので鬼だと独り言を言う(説明ゼリフと言っても一種類ではないが、ここでは普通は独り言でも言わないようなものを指すことにする)。更に「寝る時間は東京から新大阪に着くまでの間だけ」と説明ゼリフを続けて眠りに入る。
公務員の辻本茂雄と伊賀健二が現れる。辻本茂雄は「公務員のコンプライアンス」を口にして自分たちが公務員であり、久しぶりの東京出張で楽しくて仕方なかったことを告げるがこれも説明ゼリフである。
伊賀健二は新幹線の席を予約したのだが、予約したのは何故かA席とC席で間を開けてしまっている。辻本は眠っている宅間を見て、「あそこに納税者らしき人がいる。我々公務員は納税者が収めた税金で暮らしているので納税者の邪魔をしてはいけない」と、宅間の邪魔をせずに伊賀をA席に行かせようとするが(辻本が窓側の席を部下の伊賀に譲ったのだ)、伊賀はC席の上に右足で乗り、B席を跨いでA席の上に左足を付けるというやりかたで渡ろうとし、しかも右足が攣ったというので、股間を宅間の顔を前で前後させる。宅間も「何、人の顔の前で股間動かしてんの?!」と起きてしまう。伊賀はA席に渡るが、今度は鞄が宅間の脳天を叩く。宅間は「あんた達、上司と部下か?」と聞き、辻本は「何故それを?」と怪訝な顔をするが、「さっきから二人で上司だから窓側だとか部下に譲るとか話してた」と呆れて、眠る時間が少ないので静かにして欲しいと言って眠るが、伊賀は窓の外を見て、「東京スカイツリーです、東京タワーです、東京ドームが見えます」と言って(東京ドームは東海道新幹線の車内からは絶対に見えないのだが、ネタなので)、辻本も「今夜は阪神×巨人戦だ」、伊賀「離れてはいますけれど、ここから応援しても気は伝わりますよね」、辻本「よし応援だ!」ということで、鞄の中から阪神のメガホンを取りだして叩きながら、二人で「六甲颪(阪神タイガースの歌)」を歌い出してしまう。当然ながら宅間は目覚めて怒る。
辻本が「本当は窓側の席が良かったんだ」と打ち明け、辻本がA席に、伊賀がC席に移る。
宅間のためによく眠れる歌を唄うことにした辻本と伊賀だが、その歌というのが、「(伊賀)羊が一匹、(辻本白目をむきながら)メェー! (伊賀)羊が二匹、(辻本同じく)メェーメェー!!」という誰も聴いたことがない曲で、宅間は気が散って眠れない。
辻本は伊賀に「しりとりをしよう」と持ちかけ、「それもただのしりとりじゃない。窓から見えるもの限定のしりとりだ」とルールを決める。だが、辻本「パトカー」、伊賀「かかし」と続いた後で、辻本は「ショーンK」と言い、宅間に「ショーンKが窓から見えるはずないでしょ!」と突っ込まれる。辻本は「ショーンKが田んぼの真ん中で土下座していた」と嘘をつく。
そして辻本は宅間に、「なんでB席なの? 普通、A席かC席でしょ、一人で座るとしたら」というので、宅間がC席に移り、辻本がA席、伊賀がB席となる。C席に移った宅間は足を組んで、右足が通路側に飛び出た。そこで新幹線は停車し、チンピラ(平山昌雄)が兄貴のためのコーヒーを持って新幹線に乗り込んでくるのだが、宅間が出していた右足に躓いて転倒。チンピラはドスを出して宅間を脅し……。

こうして新喜劇に宅間孝行が参加しているのを見ると、「東京の言葉は軽演劇には合わないんだなあ」と実感出来る。吉本新喜劇もこてこての関西弁ではなく、標準語に近い関西弁が話され、今日の辻本茂雄と伊賀健二も標準語に近い語彙なのだが、二人の話し方は関西弁の影響だと思われるがハキハキとしてテンポが良いため、宅間の話すネイティブの標準語がもたついて聞こえるのである。

ちなみに吉本新喜劇では稽古は本番前日の1日だけしか行わず、辻本が座長の公演では前日4時間だけだそうだが(その代わり、終わったらすぐに次の新しい新喜劇が始まる)、「つじたく」では連続12日、朝から夜までみっちり稽古を行ったという。吉本新喜劇の場合はストーリーも敢えてワンパターンであり、内容よりも役者の魅力で魅せているということもあるが、セリフが飛んだ場合は誰かが突っ込んで修正する。ただ、宅間の劇のようにストーリーで見せるオーソドックスな芝居の場合はセリフが飛ぶと後が続かなくなってしまうため(突っ込んでも後のセリフが変わってしまい、修正が効かない)長期の稽古を行った。だが、その12日間で伊賀健二はストレスもあって7キロも痩せたそうである。


短編4つで出演者が被るということで、出演者の着替え時間を繋ぐためにハレルヤシスターズが演目が終わるたびに歌う。ちなみにハレルヤシスターズはまやが大阪市阿倍野区出身で体重70キロ、まつこは大阪府門真市出身で体重110キロだそうである。二人とも実家は飲食店を営んでいるそうだ。ちなみに辻本茂雄と宅間孝行の父親も共に飲食店経営者だったことがパンフレットに書かれている。


宅間孝行:作・演出の「初恋レストラン」。宅間孝行がドラマ用に書いたシナリオの舞台化。歌謡曲をテーマにするというお約束があったのだが、宅間はモーニング娘。の「抱いてHOLD ON ME」をイメージして執筆。だが、結果的には曲は米米CLUBの「君がいるだけで」に変更になったという。ちなみにドラマでの出演者は宅間本人とともさかりえであったそうだ。

あるレストランが舞台。風間凛(佐藤めぐみ)がマネージャーからの電話を受けている。ドラマの選考には落ち、映画のオーディションの結果も微妙。更には屈辱的な提案もされる。凛は思わず「もうこの仕事辞めます! 結婚します!」と口走ってしまう。
ウエイター役の辻本茂雄は凛を見たことがあるという。凛は実は女優であり、アイドル時代はそれなりに有名だったのだが、最近は仕事に恵まれているとはいえない。
辻本は「化粧品のCMに……」と聞くが、凛は「出てなーい」と言う。辻本は「お顔が糊でバリバリのようですもんね」と返して、凛は「ちょっ、失礼ね!」と怒る。
更に辻本は、「お天気キャスターを……」と言うが凛は「やってなーい」と否定する。辻本は「お顔が嵐が去った後だったようなもので」と言って、凛はまた「失礼ね!」と怒る。
明日は凛の30歳の誕生日。凛は辻本に、「女の30歳って目出度いのかしら?」と聞く。辻本は「もうババアですもんね」と言って更に凛を怒らせる。
辻本は、「朝ドラに……」と言うが、凛は「出てなーい」と否定する(佐藤めぐみ本人は朝の連続テレビ小説「ちりとてちん」に準ヒロインとして出演している)。
そこへトラック運転手の山野達夫(宅間孝行)が店に入って来て、「トイレを貸してくれ」と言う。凛を見た山野は「……風間凛ちゃん。サインして!」と言ってトイレに向かう。だが実は山野と凛は昔からの知り合い、それも初恋の相手同士だったのだ。ウエイターがいたので初対面のふりをしていただけだ。二人とも長崎県の出身で高校時代から付き合っていた(二人の時はセリフが長崎弁になる)。結婚を考えたこともあった。だが、プロポーズを凛は断っていた。風間凛というのは芸名で本名は神保幸。山野と結婚すると山野幸で「山の幸」になってしまう。「しいたけやたけのこみたいになりたくない」と思った幸は、山野に神保家の養子に入ってくれるよう頼んだ。ちなみに幸には兄二人がおり、山野が養子になる必要はない。達夫も長男ではないのだが、「神保って苗字の奴は、一度ぐらいチ○ポってからかわれたことあるだろう。俺、養子に入ったら神保達夫だよ。チ○ポタツオって」と難色を示したのだ。その後、幸が風間凛の芸名でアイドルグループの一員としてデビューした後も、二人の関係は続いていたが、凛の方から一方的に関係を解消した……、かと思いきや、実は凛も山野が関係を清算したものだと思っていた。実はアイドルとして売れ始めていた凛と山野を別れさせようと芸能事務所が画策しており、二人ともそれにまんまと引っかかっていたのだ。
凛はさっきのマネージャーからの電話で「AV女優に転身しないか」と言われたことを打ち明ける。30歳になった今の自分の価値はその程度でしかないのだと思い知らされた。だから、今なら山野(凛は山野のことを「たっちゃん」と呼ぶ)と結婚してもいいと思っているという。
山野からの甘い言葉を期待していた凛だったのだが、山野は凛の予想に反して「もう会うことはない」と告げる。山野は自分は凛の逃げ道ではないと言い、凛の考えの甘さを指摘するのだ。それは山野の優しさであり、男気であり……。
その後は書かないがハッピーエンドである。

トイレを急いでいたため山野は辻本に「トラックちゃんと停め直して来てくれ」と命令し、鍵の束を辻本に投げ渡す。これを辻本はトレイで受け取る。
その後、今度は辻本がサインペンを投げて山野演じる宅間がトレイで受け取ることになるのだが、一度目は失敗。二度目はトレイで受け止めたが胸に当ててストップさせたため、辻本に何度も真似されることになった。



「誘拐犯の憂鬱」。作・演出:宅間孝行。
ホステスの京香(佐藤めぐみ)を誘拐した巌先輩(辻本茂雄)と友男(宅間孝行)。だが、実は京香は友男の彼女であった。巌先輩から「いい女がいるから誘拐しよう」と持ちかけられた友男だったが、誘拐する相手がまさか京香だとは思わなかったのだ。
だが、この京香という女、とんだ食わせ物であることがわかる。京香というのは源氏名で本名は小岩井ノブコ(友男には本名も京香だと嘘をついていた)。実家は貧しく生活保護を受けているのだが、友男には「実家は裕福だ」と嘘をついていた。何人も男がおり、今現在の京香の生活が安定しているのは全員から貢がせているからなのだ。京香は「借りただけ」と言うのだが、実は……。
巌先輩は、京香の本性は知っており、実家ではなく、彼氏から身代金を受ける計画だと友男に告げる。彼氏というのは自分のことだと思い込んでいた友男は自分のスマホが鳴るとまずいというので電源を切ろうとするのだが、それを巌先輩に怪しまれ……。
実は、角材で殴られて気絶した京香が目を覚ましたとき、声を上げられないようにすること、また犯人である自分の顔を見られないようにすること、というのは全てアドリブに任せられており、毎回違うようである。
この短編は映画「アリス・クリードの失踪」に衝撃を受けた宅間が、映画にインスパイアされた書いたというが、パンフレットには「早い話がパクったと思われる」と記されている。



「DUET」。作・演出:宅間孝行。
隆介(宅間孝行)と弟分のシロー(伊賀健二)が話している。シローは隆介の恋人・サキ(佐藤めぐみ)にプロポーズする気なのだ。「人の彼女にプロポーズする馬鹿がどこにいるかよ」と毒づく隆介。隆介はサキが来るはずがないと思っているのだ。だが、サキは待ち合わせ場所の公園にやって来た。
今日はサキの彼氏が交通事故で他界してから丁度1年目の日。サキもシローも喪服を着ている。
背後から、白タイツに羽根を生やすというスタイルの辻本茂雄が登場。辻本の正体は天使だ。実は隆介は死者だったのである。丁度1目年前に交通事故で他界したサキの彼氏は隆介だったのだ。隆介はサキのそばを離れたくなくて天国にいくのを拒んでいるのである。
シローやサキと隆介が話しているように見えたのは、「そう見えた」というだけで、シローにもサキにも隆介の声は聞こえていなかったのだ。この辺の宅間の筆の冴えは流石である。「セリフの間が若干不自然だな」という印象は受けるが、こちらも「そこまで思い切ったことはしないだろう」と思っていたため、見抜けなかった。堂々とやった方が見抜かれないようだ。
サキはまだ精神的に幼いところがあるため、隆介はサキを見捨てて天国へ行くのが心配で仕方がない。天使は弟分のシローとサキが結ばれた方が、見知らぬ誰かとサキが結婚するより良いだろうと提案するのだが、隆介は「サキには俺がいないと」と譲らない。サキは歌うのが好きだった。隆介とデュエットするのが好きだった。だが天使は「君はもう彼女と一緒には歌えないんだよ」と説く。
隆介はシローがサキにプロポーズするのを妨害する。それを乗り越えて何とかサキにプロポーズしたシローだったが、サキは「ごめんなさい」と断る。サキはまだ隆介が忘れられないのだった。
だが、このままではサキが不幸になるだけだと悟った隆介はそっと秘術を使い……。
かくしてシローは、「僕は死にません。僕は死にません。あなたのことが好きだから、僕は死にません」と、隆介と天使から「それってパクリじゃん」と呆れられるプロポーズをして……。


「初恋レストラン」では辻本茂雄の方が、演劇において異物感を醸し出している。同じ演劇でも軽演劇と演劇ではやはり別ジャンルなのだろう。他の作品では宅間孝行と辻本茂雄というアドリブの名手二人の掛け合いだけに即興的な面白さは最上級である。

「大好き」というほどではないが好きな女優の一人である佐藤めぐみ。生で見るのは舞台「世界の中心で、愛を叫ぶ」以来、11年ぶりである。ヒロイン級は少ないが準ヒロインとしては様々な映画やテレビドラマに出演している。宅間が脚本を担当した「花より男子」シリーズに整形美女の三条桜子役で出演。同じく宅間脚本の「間違われちゃった男」にも出演ということで、「つじたく vol.1」の紅一点に選ばれた。
とにかく顔がちっちゃい。顔の面積は隣に並んだ男優陣の半分ぐらいしかない。
演技は安心しており、安心して見ていられる。ただ華には少し欠けるかな。「金八先生」の生徒の中のマドンナ役から注目されていた女優さんだが、小ブレイクはあっても大ブレイクはないのは華がもう一つだからなのか。
カーテンコールでの仕草などを見ていて、「内面は結構男っぽい人だな」という印象を受けたが、自覚があるのか、公式ブログのタイトルは「めぐすけ」というものである。



ラストはハレルヤシスターズが歌い、出演者達が踊るというのでノリノリのなるのだが、そこは大阪。拍手が鳴り止まず、3度も同じ歌と踊りが繰り返される。曲の途中で出演者達はステージから客席に降りるため、体力的にきついのだが、それでも拍手に応えて歌とダンスは続いた。宅間は「大阪最高!」、辻本も「この街、最高!」と語った。

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2016年5月24日 (火)

「エレナー・リグビー(エレノア・リグビー)」

「米を拾う」とありますが、これは当然ながらライスシャワーの後で散らばった米です。

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2016年5月23日 (月)

笑いの林(68) 「天津・向と桜 稲垣早希のここだけの話……密室話」

2016年4月19日 大阪・道頓堀のMILULARIにて

午後10時開演という途轍もなく遅い時間帯に行われる公演を観る。大阪・道頓堀(千日前と書いた方が正確かも知れない)に今年の4月に出来たばかりのライブハウスMILULARIでの公演である。
「天津・向と桜 稲垣のここだけの話……密室話」というトークイベント。約1時間のイベントであるが、「密室話」とタイトルにあるように、「一切外に出さないで欲しい」という話をするコーナーも設けられている(一部を除いてそう大した内容ではなかったが)。

MILULARIは比較的小さな小屋で、40人も入ればギュウギュウになってしまう。そのためチケットよしもとで「稲垣早希」と打ってもヒットせず、告知はほぼ早希ちゃんのブログのみで行われた。
というわけで早希ちゃんの熱心なファン(だけ)が詰めかけている。ちなみに、当日券は立ち見席のみだったようだが、天津・向も早希ちゃんも気を遣って、空いている席に座るよう促した。

天津・向は青、緑、黒の模様の入り組んだ上着(向の衣装を書いても喜ぶ人がいるとは思えないが)、早希ちゃんはツインテールにして、麦わら系の帽子を被り、ボーダーのシャツに水色と白が交互に来るジャンパー、デニム地のサスペンダーミニワンピースという衣装である。みぞおちの近くに「おそ松さん」の十四松の缶バッチを付けている。早希ちゃんは「十四松」推しだそうである。

舞台上手に向が、下手に早希ちゃんが座る。

天津・向と早希ちゃんのコンビは「GTTF(Go To The Futureの略らしい)」に始まり、ムカサキと名前を変えて活動。早希ちゃんヴォーカルのCDなども出しているが、向と早希ちゃん二人でやるイベントは久しぶりだそうである。二人とも劇団アニメ座の座員なので、他の芸人も混じっての仕事は多いようだが。

ちなみに早希ちゃんは、「新生紀ドラゴゲリオンZ」でもやっていたが、物忘れが激しいというので、脳外科を受診し、脳ドックを受けたという。「脳外科」という言葉が出た時点で向は「アウトでしょ」というとが、早希ちゃんのお婆ちゃんがアルツハイマーで苦しんだそうで、「遺伝したらどうしよう」と早希ちゃんは心配になったらしい。京都駅近くの病院とよそで発言してたので、T病院での検査だったと思われるが、結果としては「アルツハイマーは遺伝することはありません」ということで異常なしで(32歳で異常があったらその方が怖いが)、コース立方体組み合わせテスト(簡易知能検査)でもIQ=120と高IQであったが、「稲垣さんの頭は、余り使われていません」と言われてしまったそうである。「(脳ドックに)5万7千円払って、結果は『ただのアホ』でした」と早希ちゃんは芸人としては美味しそうに言う。ちなみに早希ちゃんは高校時代から女優になりたくて、小さな芸能事務所に所属してタレントの卵のようなことをしており、レッスン代を稼ぐためにレジ打ちのバイトをしていたが、その疲れもあって授業中は居眠りばかりしていたそうで、更新したばかりのブログでも「私の高校生の思い出は バイトして受験中(ママ。授業中だと思われる)はずーーーーーーっと寝てて、起きてお弁当食べてまた寝てたっていう最高の思い出のみです」と書いている。これで勉強が出来たら逆に凄い。


なお、向の相方で、「エロ詩吟」で一世を風靡した天津・木村卓寛は、現在ではエロ詩吟が流行らないため、時給1000円のレンタルおじさんをやっているという。時給は高いとはいえないが、人とコミュニケーションを取ることが木村には合うらしい。更にもう一つバイトをやっている。以前はテレホンアポイントメントのアルバイトをしていたが、今度は大型自動車免許を取得してロケバスの運転手も出来るようになったらしい。ちなみに実際に芸人さんを乗せたロケバスの運転手をやったこともあるそうだが、正体を隠したままであり、バレないよう帽子を目深に被っていたという。
向は、「もう芸人から手を引き始めたな」と木村の行動について語る。

早希ちゃんの相方であった増田倫子さんもまずはカフェを始め、早希ちゃんは「あれ、この子、芸人辞めるんちゃう?」と思ったそうだが、実際に芸人を辞め、ティラピスのインストラクターとなり、今はティラピス関連の会社の取締役社長だそうで、早希ちゃんに言わせると「笑っちゃうほど順調」だそうである。

天津も木村が売れていた頃は二人の仲が最悪に近かったらしいが(その頃、まだ早希ちゃんは駆け出しで、天津が出ているラジオ番組のアシスタントをしていた)今は関係が良好になったそうである。早希ちゃんと増田倫子さんもコンビだった頃は会えば仕事の話しかしなかったが、今はそれぞれのプライベートについて話したりするので、仲が良くなったそうである。


ベジータこと、R藤本の話になる。早希ちゃんは藤本と「ドラゴゲリオンZ」というユニット(コンビではないらしい)でニコニコ生放送の番組を持っているが、R藤本については「よくわからない」という。ベジータの格好をしているのはテレビカメラの前や舞台の上だけで、その他の場、例えばヨシモト∞ホールの出待ちの前をタクシーで抜ける20秒ほどの間でさえ、そのために背広に着替えるという。それでいて乗り物酔いが酷く、30分も車で走ると「うー」という状態になってしまうそうだ。


今度は自分がそうだと思うマンガのタイトルを挙げて、相手と一致すればクリアというもの。
「まず、号泣必至のマンガ」として、早希ちゃんは「ばらかもん」を挙げるが、向は「あの花」と書いて「あの花の名前を僕達はまだ知らない」を推す。ただ早希ちゃんにいわせると、「あの花」は「死」がテーマになっていて、「死が一番悲しいのは当たり前」であるため「結果として使い回しになっている」と厳しい。


「向が二番目に好きな漫画は?」で、向は「きんぎょ注意報」と書き、早希ちゃんも同じ答えであったのだが、「きんぎょ注意法」と漢字を間違え、向に「どんな法律?」と突っ込まれていた。

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2016年5月22日 (日)

「正義」の罠

「正義」の欠点は己自身を全能の神と見做してしまう点だ。

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感性

各々がそれぞれの感性を持つのは当たり前のことだ。良いも悪いもない。
己を感性の神様のようにいう者は単に愚かなだけなのだ。

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2016年5月21日 (土)

「みんな」の暴力

たやすく「みんな」などという言葉を使ってくれるな。そもそも「みんな」なんてものは最初から存在しないのだから。

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2016年5月20日 (金)

笑いの林(67) 「新生紀ドラゴゲリオンZ 第26話 大阪劇場版」

2016年5月1日 道頓堀ZAZA HOUSEにて

午後6時から道頓堀ZAZA HOUSEで、「新生紀(しんなまき)ドラゴゲリオンZ 第26話 大阪劇場版」を観る。

東京・渋谷のヨシモト∞ホールで月一で行われている「新生紀ドラゴゲリオンZ 劇場版」。以前、特別編が大阪のやはり同じ道頓堀ZAZA HOUSEで行われたことがあったが、今月は東京での公演はなく、大阪でのこの公演が今月の本公演となる。

ちなみに、当日券販売はあったが2枚だけで、希望者が4名いたためあみだくじで決めていた。


まずベジータことR藤本が上手から登場。言葉を逆さにした業界用語(ベジータ星の言葉でもあるらしい)で自己紹介する。

続いてアスカこと桜 稲垣早希が下手から登場。午前中にパチンコ番組(テレビ大阪の番組なので京都では見ることは出来ない)の収録をやり、ゲストはアントキの猪木だったそうだが、猪木が大声の早口である上に、パチンコ屋の音響がやかましいので、猪木が何を言っているのか全く聞き取れなかったという話をする。ちなみに先週のゲストはブラザートムだったそうで、ゲストがどういう繋がりで選ばれているのかは謎である。


ピンネタ。まずはR藤本の「ベジータのしくじり先生」。テレビ番組「しくじり先生」のベジータ版で、「そのまんま」であるため、テレビで放送出来るネタなのかどうかは微妙。
ベジータはこれまでの人生で27回しくじったそうだが、ライバルの孫悟空(カカロット)に負けたことに始まり、「泣きながら死んでいった」「しかも全く同じことをピッコロが以前にしていたのでインパクトが弱くなった」。その後もベジータは徐々に強くなっていったのだが、カカロットは一足飛びに強くなり、負けてしまったため、「もう闘わない」と言って退散してしまったそうである。
そして再度登場した時は、家族揃ってのピクニックで、戦士ですらなくなっていたという。


合間の映像対決。今日は2回とも「絵画でしりとり」であったが、最初は早希ちゃんが「小銭」で数字の書いた小銭の絵を描いて反則負け。2度目は「格好いいもの」で、「る」から始まったが(前回のラストが「ニコル(藤田ニコル)」だったため)、早希ちゃんがいきなりルイヴィトンのマークを描いて、「ん」で終わったということですぐに負けてしまう。


早希ちゃんのピンネタ「とにかく楽して稼ぎたいYouTuber」。アスカのメイクをしているので多少化粧が濃いめであるが、コスプレなしのパジャマ姿で登場。髪型はツインテール。パジャマの上にカーディガンを羽織っている。

YouTuberとして稼ぐことを目指している女性であるが、昨日、バイト先のレストランをクビになったという。深夜にキッチンでシャンプーをしていたといういわゆるバイトテロでクビになったのだが、女性曰くレストランで仕事をするよりYouTubeの再生回数を増やす方が重要ということで、バイトテロもYoutube用に行ったのである。
そして、「芸能ニュースには興味がない。ベッキーなんてどうでもいい」と言いながら、ベッキーが文藝春秋社に宛てた手紙全文が載せられた「週刊文春」合併号を取り出してベッキーの手紙を読み出し、「反省しているやん」などとつぶやく。
その後、「猫アレルギーになっちゃいました」、「ものもらいになっちゃいました」という「とんねるずのみなさんのおかげでした」で披露したネタを続け、今度は左手に包帯を巻いて、「さっき部屋に押し入っていた男の人に腕折られちゃいました」と嘘をいう。「事件性があった方が再生回数が増える」と女性。今度は大食いネタに挑戦するが大食いではないので、あんパンの4分の1ほどを手にし、「あんパン100個食べるに挑戦しています。実は6時間前からやっていて、これを食べると100個達成です」と4分の1のあんパンを食べるというズルをする。
ちなみに、チャンネル登録者は8名しかいないそうだが、「お誕生日おめでとう」のタスキをし、頭にも「Happy Birthday」のデコレーションをして、「今日でで33歳になりましたー!」と両手を振ったら登録者が1人減ったそうで、「あ! 一人減った! やっぱり年齢? 日本の男どもはみんなロリコンなんだから」とむくれる。頭にきたので、嫌いなYoutuberの悪口をTwitterに書き込むが、途端にチャンネル登録者がゼロになってしまう。実は、誕生日の時だけ録画ではなく生放送にしていたため、裏の顔が全てバレてしまったのだった。


その後、二人で舞台に出てきたとき(早希ちゃんはアスカのコスプレに戻っている)に、R藤本が「着替えたり忙しいな。パジャマで」と言うが、早希ちゃんは「あれは別の人です」「私はアスカです」「着替えてません。ずっとこの格好でいました」と言い張る。


判定人に浅越ゴエ(ザ・プラン9。タキシード仮面のコスプレで登場)を迎えての「実況対決」。写真とBGMをくじ引きで決め、実況を即興で行うという対決。写真は4枚で1組であり、くじ引きということで、写真もBGMも事前に知ることは出来ない。

先攻後攻は戦闘で決めるということになるが、なぜかアスカのはずの早希ちゃんがカメハメ波をやったり、アスカなのにドクターマリオになってレベルアップしたりとわけのわからないことになり、結局、ベジータが譲って早希ちゃんの先攻となる。

1問目。BGMは早稲田大学野球部や高校野球の応援でおなじみの「コンバットマーチ」。写真の1枚目はパプリカを刻んでいる写真(写っているのは手元だけ)なのだが、早希ちゃんは、「さあ、始まりました。ニンジンざく切りザクザク選手権です。現在、刻んでいるのはロバート・デニーロ選手(?)。あ、ニンジンを刻んでいると思ったら実はパプリカです、パプリカを刻んでいます」。写真2枚目は酒の味見をする杜氏の写真なのだが、早希ちゃんは、「あ、これはロバート・デニーロ選手の師匠です(?)。遠くからデニーロ選手の応援をしています。写真3枚目は火を噴く鍋を操る料理職人の写真なのだが、「さて、舞台は飛んでブラジルです。ブラジル人のヤンさん(ブラジル人ぽくない名前だが)、ブラジルから応援しています。ヤンさんの鍋から立ち上る炎にご注目下さい。人型をしています。あの人型を念力で送ります(?)」。最期は白人の少年がソーセージを刻んでいる写真だが、「今度は子供の部、イギリス人のロンドン君(?)が、刻もうとしていますが、上手く刻めません」というような訳のわからない実況となり、判定人と浅越ゴエから「アウト」と言われる。


R藤本への1問目。BGMはリヒャルト・シュトラウスの交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」より冒頭(エンドレスでの再生)。まず指揮者の映像が出る(ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴスだろうか?)。R藤本は「オーケストラ」という言葉が浮かばなかったようで、「指揮者のコンクールだ。まず登場したのはデニーロ・ロバート(?)。吹奏者達に指示しているぞ」という実況に始まり、2枚目のヴァイオリンを弾く東洋人の少年の写真は、「指揮者からヴァイオリンに転向して頑張っている少年」、3枚目の女子高生4人が管楽器を演奏している写真には「千葉商業高校吹奏楽部。『スウィングガールズ』に影響を受けてジャズの演奏をしている(私は千葉市出身なので千葉商業高校は地元の学校であるが、九州出身で東京在住のR藤本がなぜ「千葉商業高校」と言ったのか不思議に感じる)、4枚目はダースベイダーが指揮台に立って指揮している写真だが、ダースベイダーが指揮の戦いに勝ったということにして、「ツァラトゥストラはかく語りき」が映画「2001年宇宙の旅」の最初で鳴る音楽で宇宙繋がりでもあるということも加わり、浅越からOKを貰う。


早希ちゃんへの2問目。BGMは大相撲の一番太鼓。4枚ともアニメ「ドラえもん」から取られたものである。1枚目はジャイアンがのび太の胸ぐらを掴んでいる画なのだが、早希ちゃんはなぜか「寄り切り」と説明。2枚目はのび太がドラえもんの腰にしがみついて泣いている画なのだが、「泣き相撲というものがありまして、のび太がそれをしている最中です」と説明。3枚目はジャイアンが目に涙を浮かべながらこちらへと迫ってくる画だが、「ジャイアンの泣き相撲」と無難に実況。4枚目はロボットらしきものにジャイアンが投げ飛ばされている画だが、「3年に1回泣き相撲があるのですが、6年に1度前々回のチャンピオンが出場するということになっていまして、今、6年前のチャンピオンが現れて、振動でジャイアンを倒したところです」と、変な実況ではあったが浅越にOKと判定される。


R藤本への2問目。BGMはアントニオ猪木のテーマ。1枚目の写真は土俵上で睨み合う朝青龍ともう一人の力士、2枚目の写真は白鵬翔のアップ、3枚目の写真は朝青龍の顔と正面からとらえたものなのだが、R藤本は実況ではなく朝青龍や白鵬の当てレコでセリフを喋ってしまいアウトとなった。ちなみに4枚目は朝青龍が怪我を理由に休場しながら実はモンゴルでサッカーに興じていた時の写真であった。


上手袖からカンペが出たようで、浅越ゴエが実況にチャレンジすることになる。浅越ゴエは「私が勝ったら『ドラゴゲリオン』を乗っ取ります。『ドラゴエゲリオン』にします」と宣言。早希ちゃんが「わー、それ観てみたい」と呑気に言って、浅越と藤本の二人から突っ込まれる。

写真は4枚とも香川照之のもの。BGMはスコット・ジョプリンの「ジ・エンターテイナー」である。
まずは香川照之が演説をしているシーンの写真だが、「大声声出し大会、枚方大会の模様をお送りしています。さて、どんな言葉が叫ばれるでしょうか」、2枚目の写真は香川照之が「ヘルシア緑茶」を飲んでいるCMの画だが、「休憩時間に入りました。ヘルシア緑茶、ヘルシア緑茶を飲んでおります。お腹の脂肪が気になるのでしょうか」、3枚目は「半沢直樹」で土下座をしている時の写真だが、「おおっとこれは痛恨のミス。休憩時間を過ぎてしまいました。これは謝らねばなりません」。4枚目は「あしたのジョー」のセコンド・丹下段平を演じている時の画だが、ペナルティーとしてセコンドを務めることになったということにして上手く纏めた。R藤本は「考えてるときは言葉繰り返しますね。『ヘルシア緑茶、ヘルシア緑茶』って」と指摘。早希ちゃんも「言葉を繋ぐ時は、『カラダは変えられる。』と書かれていることをそのまま読んで自然に進める」と絶賛。ということで、実況対決の勝者は浅越ゴエとなり、R藤本にも早希ちゃんにも点は入らなかった。


今度はドラゴゲリオンのテーマソングの振り付けを浅越と三人で考えようというコーナー。早希ちゃんが振り付けが欲しいと言い、「振り付けといえば浅越ゴエさんということで」と無理矢理進めようとするが、浅越ゴエは振り付けはやらないし、「そんな言葉どこで聞いたの?」と早希ちゃんの言ったことも否定する。
ベジータも「振り付けなんているのか?」と懐疑的である。

早希ちゃんがスタートは考えてきたというのだが、正直ださださ。

早希ちゃんは間奏の所はお客さんにヘッドバンギングして貰おうと提案するが、その後も何かといえば「ここでお客さんが」と客に頼ろうとしすぎたため、ベジータと浅越の二人から「やるのは客じゃない!」と注意される。

それでもR藤本が考えた振り付けはベジータらしい部分もあるのだが、早希ちゃんは「楽しい時間」という歌詞のところでお遊戯のステップを踏むなど、早希ちゃんが入ると急に振り付けのレベルが落ちる。ただ、藤本も浅越も正直振りなどどうてもいいので、「それで良いそれで良い」と進めてしまう。そしてラストは早希ちゃんがなぜか「セーラームーン」を真似た振り付けを考案してしまう。

取り敢えず出来たので、二人で踊ってみることにする。完成度は低いどころの騒ぎではないが、こちらも仕方ないのでヘッドバンギングの部分は付き合う(ただヘッドバンギングは危ないので、右手を右耳の横に添え、人差し指と中指だけを伸ばしたスライダーを投げる時の形で構えて、右手と頭を両方動かした)。

普通はそういうわがままに付き合ってくれる客は少ないのだが、今日はやってくれる人が多いということで、浅越ゴエは「今日のお客さんは温かい」と感心する。R藤本は「みんな保護者の気持ちで観てくれているぞ」と言う。


最期は「ちはやぶる」対決。浅越ゴエが上の句を読み上げるので、先に下の句が浮かんだ方が詠むというゲーム。二人は丸椅子の上に置かれた座布団の上に正座したが、ベジータは途中から正座をやめて普通の座り方に変えた。

百人一首の歌を詠み上げても二人ともわからないし、意味がないということで、上の句は吉本のスタッフが作り、下の句は最初の一文字だけが右上に書かれた紙がホワイトボードに何枚も貼られていて、その頭文字から始まる七七の十四文字を詠み上げることになる。

まず、「食べるけど実はそんなに好きじゃない」にベジータが「天ぷらにしたピッコロの腕」と詠んでOK。

ベジータは、「これだけは宣言したいことがある」にも、「フリーザ芸人二人もいらない」と詠んでOKを貰う。

早希ちゃんもも2度詠んだのだが、ここに書くには差し障りがあるのでカットする。

最後は浅越ゴエの判断で、得点を0点に戻すという荒技があり、早希ちゃんが「死ぬときに棺の中に入れて欲しい」という上の句に、「先に死んだ猫の骨を」と文字足らずで詠んでベジータから「こわー」と言われ、浅越の判定もアウト。ということで、今回は勝者なしという結果に終わった。

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2016年5月18日 (水)

清少納言とは違うけれど

春の夕暮れが一番好きだ。「秋よりも薄く淡い夕焼け」「何かが始まりそうな予感」「帰宅する若者たちの希望に満ちたた声」何もかもが好きだ。

春の夕暮れは私がまだ今よりかは幾分憂いに慣れていなかった頃を思い出させる。「明日は今日より良いはず」「夕暮れの向こうに良き明日がある」「悪夢よりも鮮明な幸福がいつか」。そんな無邪気さとは違った切願を抱いていた日々の記憶を。

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2016年5月17日 (火)

斉藤和義 ギター弾き語り「ずっとウソだった」

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2016年5月16日 (月)

笑いの林(66) 「新世界よしもとライブ」2016年4月2日

2016年4月2日 大阪・新世界の朝日劇場にて
 

良い天気である。だが、これがある場所には災いする。


大阪・新世界にある朝日劇場で「新世界よしもとライブ」を観る。正午開演、午後2時開演、午後4時開演の3回公演。1回の公演は1時間ちょっとだが料金は映画館よりも安い。
出演は、トップバッターのみ毎回交替で他は不動。先頭は正午開演の公演がハブシセン、午後2時開演の公演がカキツバタ、午後4時開演の公演が十手リンジン。
続いて、桜 稲垣早希、吉田たち、川上じゅん、モンスターエンジン、おかけんた・ゆうたの順で出演する。

吉田たちとモンスターエンジンはちょっとネタを変えたが、他は細部が少し違うだけである。

ハブシセンのネタは飛躍のしすぎで笑えない。カキツバタのネタも「上手い漫才師がやれば面白いのかも知れないけれど……」という出来。
十手リンジンは、西手が「ジャンケンに強い。ほとんど負けない」と言いつつ負けるというネタの後で、箱根駅伝のネタ。十田が箱根駅伝に出場する駅伝部の監督、かと思いきや実は部員だったり、西手がエリック・パイナイナという謎の外国人留学生選手になってしまったりする(ワイナイナの親戚という設定らしい)。

ちなみに今日の客入りは笑ってしまうほど悪く、初回が16人、2回目が23人、3回目が15人であった。約半分は早希ちゃんファンの常連さんだったので、その他の人は二桁に乗るかどうかという程度。早希ちゃんが出演していない時の京橋花月の公演ではこれよりも入っていないライブもあったが、早希ちゃんが出演する日にこれほどの不入りということはなかったはずである。
というわけで、正午開演の公演の二番バッターとして登場した早希ちゃんは驚愕。両手で口を押さえて苦笑していた。「地方ではお客さんゼロで、スタッフさんだけの会場でネタをやるということはよくあります」と以前ラジオで話していた早希ちゃんであるが、大阪でこれほど不入りというのは初めてだと思われる。
新世界を訪れた人々は何をしているかというと、大抵の人は串カツ屋に並んでいて長蛇の列である。新世界は串カツの本場で、みんなグルメに来ているのである。吉本の劇場が新世界に出来たということを知っている人は少ないだろうし(朝日劇場は元々大衆演劇のための小屋であり、劇場名も吉本っぽくない)、何よりも今日はお花見日和なのだ。みんなお花見に行ってしまっているのである。

早希ちゃんがやったのはフリップ芸「あんたバカぁ~?!」。「あんたバカぁ~?!」と突っ込みたくなる事象を挙げていくもの。
『ブティックの女性店員』。「お包みしますのでお店の中をゆっくりご覧になってお待ち下さい」「あんたバカぁ~?! ゆっくりご覧になったからここにいるんじゃないのよ!」
『“私、25でもうおばさんだし” “えー、あんたでおばさんならあたしどうなるの?”』、「あんたバカぁ~?! どうにもならない!」
『私、Bカップだけど、CカップよりのBだし』、「あんたバカぁ~?! BカップはBカップよ!」と主張するが、「私はAカップよりのQカップです」と無茶苦茶な主張をする。
『メスシリンダー』「見ないし使わないわよ。あんたバカぁ~?!」
『自分探しのためにインドに行った男子』、「(いかにもバックパッカーという風の絵を見せて)自分探しに行ったのにみんな同じ格好になってるんじゃないのよー! あんたバカぁ~?!」
『ホテル』。「なんでいつもシャンプーが馬湯シャンプーなの? あんたバカぁ~?!」
『ぶりっ子』。「キャー、虫! 背中の虫に虫着いた取って取って、キャー!」、「前髪切りすぎちゃった」、「前髪2cmも切ったんだよ。なんで気づかないの?」、「へくちょん(クシャミ)」、「(歩道の)車道側歩いてくれるんだ、優しー!「レモン搾っちゃいますね」、「野菜取り分けますね……、ってこれ全部私じゃないのよ! 私バカぁ~?!」で終わる。

3回目のネタの前に、本番と本番の間に2時間ほど空くので、すぐそばにある天王寺動物園に行ってきたという話をして、天王寺動物園のことを「街中にあるのでちっちゃいのかな? と思っていたら本格的な動物園で」と語っていたが、天王寺動物園というとメジャーな動物園で、関東でも「天王寺(四天王寺)は知らなくても天王寺動物園は知っている」という人は多いと思われるが、意外と関西では死角になっているのかも知れない。早希ちゃんに関西人を代表させちゃまずいとは思うが。

実は観る側は公演の間の待ち時間は30分あるかないかなのである。開演15分前に開場で整理番号順の入場なので、確実に開演15分前には劇場前にいないといけない。もっとも今日は客が少ないので、整理番号より後に入っても良い席に座れるのだが(ただ15分伸びたところで大したことは出来ない)。
私は今宮戎神社に参拝し、ジャンジャン横丁をウロウロし、天王寺動物園の入り口付近を散歩したりしていた(動物園の中に入る時間的余裕はない)。京都から新世界までは遠いので朝食も満足に食べられなかったが、新世界にある串カツ屋に入る気にもなれなかった。

ちなみに毎回、バルーンアートでエヴァンゲリオンの使徒を作ってプレゼントしていたのだが、初回に「エヴァンゲリオン」を知らないという男性に使徒のバルーンアートをプレゼントしようとするも「いらない」と拒否されるハプニング発生。結局、男性は受け取ったが、別の早希ちゃんファンの人にあげてしまい、2回目の公演でそれを知った早希ちゃんは絶句。「あいつめ……。5分間ずっと悪口言ってやる」と言うも、そんなことをしても面白くないので普通にネタをやった。
しかし、芸人さんからのプレゼントを「いらない」という人がなんで客席にいるんだ? そもそも露骨に拒否は客としてマナー違反だし。


吉田たち。一卵性双生児の漫才師である。ゆうへいとこうへいの兄弟で、ゆうへいが青いネクタイ、こうへいが赤いネクタイをしている。ゆうへいが立ち位置向かって右、こうへいが向かって左である。双子で見分けが付かないというので、宮川大助師匠が、「あだ名を付けてやろう」ということになり、ありがたく思ったそうなのだが、「ネクタイが赤と青やな。よし! 『動脈』と『静脈』だ!」と決められてしまったそうである。宮川花子師匠も、「あなた達、この間のNHKでやってた亡霊のネタ面白かったわよ」と言ってくれたそうだが、吉田たちはNHKにも出ていないし、亡霊のネタもやっていないという。吉本新喜劇の島田珠代はこうへいだけがお気に入りで、ゆうへいのことは「ゆうへい君」だが、こうへいのことは「こうちゃん」と呼んでいるという。ただまだ、ゆうへいとこうへいの見分けが付いていないようで、本当のこうへいなのに、「いや、あなたの方じゃない!」などと言われたことがあるそうだ。
ちなみに小学校から高校まで二人ともサッカー部だったそうだが、ゆうへいがコーナーキックを蹴って、それに反応したこうへいがゴールを決めた際、相手のキーパーが「え? コーナーキックを蹴ってゴールも決めた?」という顔をしたそうである。またゆうへいがスターティングオーダーで、こうへいがベンチという時に、ゆうへいが途中交代する際、こうへいと交代だったため、相手チームが「???」となったそうである。


川上じゅんは吉本唯一の腹話術師。腹話術師の川上のぼるの息子で腹話術師界(というほど広いものなのかどうかはわからないが)のサラブレッドである。ちなみに格闘技のレフェリーの資格も持っており、今度は大阪府立体育館に腹話術師ではなくレフェリーとして出演するという。
ホワイトボードにキャラクターの顔を描くと、そのキャラクターの目や口が動き出すという、手品も絡めた腹話術。
毎回、お客さんにステージに上がって貰って、「人間パペット」という芸を行う。アシスタントは出来れば若い男性が良いのだが(いい年したおっさんが上がってもね)、今日は客自体が少ないということもあって、選考にちょっと難航していた。


モンスターエンジン。西森が、「中小企業!」と言って知っている人だけが「技術!」と返すというネタを今日もやる。
西森は大阪府東大阪市の出身。東大阪市は日本一の工場密集地区として知られているが、西森は「工場しかありません。是非来て下さい」と言って、相方の大林に「工場しかない街に行きたいと思うか?」と突っ込まれる。東大阪市には花園ラグビー場があり、ラグビーの街としても知られていて、郵便局で普通に売られている封筒にラグビーボールを抱えて走っている選手の絵が描かれているという。が、西森は東大阪について「引ったくり発生率日本トップレベル」と言って、「ラグビーボールの絵がかばんに変わった」と嘘をついて、「それ引ったくりやん!」と大林に突っ込まれる。
西森は「赤ちゃんが生まれました」というが「3年前に」という、もう赤ちゃんとは呼べない年になっている子供のことを話し、「走ってます」「喋ります」と言うが、「8%はきついな」と消費税の話をしているとまたも嘘をついて、大林に「そんなわけないやろ!」と言われる。
大林も子供が二人いるので、「子供が出来ると節約が大切になる」という話を始めるが、西森は「洗濯機で使った水を風呂に溜めて使ってます」と言って、大林に「逆やろ!」と突っ込まれ、「それで体が痒いんか」と更にネタを続けた。


おかけんた・ゆうた。実はデビュー当時の芸名は完全に別のもので、北きつね南たぬきだったという。
北海道で2月にスーパーの屋外イベントに出演したことがあるのだが、-10℃であり、お客さんも笑うに笑えなかったようだ。なぜそんな季節に屋外でお笑いをやらされたのかは不明。
おかけんたは、学生時代、コーラス部であり、天津・木村がやっていた詩吟をやってみたいというのだが、ゆうたは「吟じます」ではなく「煎じます」と言ってしまい、「煎じますじゃ薬やがな」とけんたに突っ込まれる。ゆうたは「胃悪いねん。脂っこいもの食べられんねん」「淡路にあった淀川キリスト教病院、柴島(くにじま)に移った」などと病気の話をし、スタンドマイクの柱に手を添えているのを見たけんたに「点滴に見えてきた」と言われる。
気分を明るくするために歌を唄おうとけんたが提案し、「ヤングマン」、「世界に一つだけの花」などの出だしをけんたは唄うが、ゆうたは中島みゆきの「わかれうた」、オフコースの「さよなら」の出だしを唄い、最後は島倉千代子の「人生いろいろ」の“死んでしまおう”という出だしを唄って、「死んだらあかんやないか!」とけんたに突っ込まれる。
その後、けんたがドナルドダッグの声真似をし、ゆうたが「それ出来るのお前だけちゃう?」と言うも、最後はゆうたが大滝秀治の物真似を延々とやることになってしまった。

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2016年5月15日 (日)

コンサートの記(241) 「ラ・フォル・ジュルネびわ湖2016」 アンヌ・ケフェレック ピアノ・リサイタル「水の物語」

2016年4月30日 滋賀県大津市のびわ湖ホール中ホールにて

午後2時15分からはびわ湖ホール中ホールで、アンヌ・ケフェレックのピアノ・リサイタル「水の物語」を聴く。水を題材にした作品を連作にしたリサイタル。偶然かどうかはわからないが、フランス人の後輩ピアニストであるエレーヌ・グリモーも同様のコンセプトのCDを最近リリースしている。
CD録音が少ないということもあって、一般的な知名度はそれほど高くないアンヌ・ケフェレックであるが、熱心なクラシックファンの間ではお馴染みの名前である。
今も華奢だが、90年代にNHK交響楽団の定期演奏会にソリストとして客演したケフェレックの容姿をN響首席オーボエ奏者の茂木大輔は「フランス人形のような」と形容していた。
サティ、ドビュッシー、ラヴェルというフランス近代音楽の他にバロック音楽なども得意とするピアニストである。
曲目は、ドビュッシーの「水の反映」、ドビュッシーの「オンディーヌ」、ドビュッシーの「沈める寺」、ケクランの「漁師たちの歌」、ラヴェルの「海原の小舟」、リストの「悲しみのゴンドラ」、リストの「波の上を渡るパラオの聖フランチェスコ」。なお当初は2曲目が「沈める寺」、3曲目が「オンディーヌ」であったが入れ替わりとなった。
びわ湖ホール中ホールは基本的に演劇用のホールであるが音響に特に問題はない。

ケフェレックの意思により拍手は全曲が終わってからにして欲しいということになる。


フランス人ピアニストらしい煌びやかで浮遊感のある音を生み出すケフェレック。基本的に響きで聴かせる曲が多いが、ケクランの「漁師たちの歌」にはシャンソンのような洒落た旋律が登場し、リストの「波の上を渡るパラオの聖フランチェスコ」では雄渾な歌がある。


カーテンコールに現れたケフェレックは、3度目に登場した時に、左手の腕時計の位置を指して、「まあ、もう時間がない!」というジャスチャーをしてピアノに自ら拍手を送り、終演となった。

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2016年5月14日 (土)

コンサートの記(240) 「ラ・フォル・ジュルネびわ湖2016」 大植英次指揮大阪フィルハーモニー交響楽団 リヒャルト・シュトラウス アルプス交響曲

2016年4月30日 滋賀県大津市のびわ湖ホール大ホールにて

午後4時から、びわ湖ホール大ホールで大植英次指揮大阪フィルハーモニー交響楽団によるリヒャルト・シュトラウスのアルプス交響曲を聴く。
考えてみれば、びわ湖ホール大ホールで純粋なオーケストラのコンサートを聴くのは始めてかも知れない。

今日の大阪フィルのコンサートマスターは田之倉雅秋。大編成の曲であるためエキストラも多く入っていると思うが、編成表はないので何人ほど入っているのかはわからない。ドイツ式の現代配置での演奏。

アルプス交響曲ではバンダが活躍し、最近ではカメラとモニターを使用して、指揮者の指示をバンダのメンバーがモニターで見て演奏ということも多いのだが、今日の演奏では副指揮者として金丸克己を置き、バンダを指揮させた。バンダはホール上手袖での演奏となった。


大植はまずマイクを手にスピーチ。大植英次は滑舌の悪い人なので心配されたが、びわ湖ホール大ホールはポピュラー音楽対応で立派なスピーカーがあるため、噛み噛みではあったがスピーチの内容は伝わってきた。
大植は熊本地震について触れ、「被災者の方々のために、余り有名な曲ではないのですが熊本の曲で『五木の子守唄』という曲を演奏したいと思います。拍手はご遠慮下さい」というようなことを語る。「五木の子守唄」は実際はかなり有名な曲だったのだが、一時期放送禁止曲だったこともあり、その時期に大植が日本を離れたため、大植と現在の日本人との間に意識の乖離があるのかも知れない。

弦楽合奏のための編曲。「五木の子守唄」の歌詞内容自体は暗すぎて哀歌には似つかわしくないのだが、メロディーは日本的な哀感がインメモリアムに相応しいものになっている。

メインであるリヒャルト・シュトラウスのアルプス交響曲。
びわ湖ホール大ホールの音響はなかなか良いが、ザ・シンフォニーホールやフェスティバルホールには及ばないように思う。
弦も管も渋めという、大フィルの特製を生かした演奏であり、技術も高い。

最近では抑えた指揮をすることも多い大植であるが、今日は指揮台の上で大暴れ。激しいアクションを次々と繰り出す。

「滝」のリリシズム、「頂上にて」の開放感、「雷雨と嵐、下山」の迫力、「日没」の輝き、始まりとラストの「夜」の仄暗さなど、優れた表現力の発揮された演奏である。

ただホールの音響のせいかも知れないが、全体の造形は大植としては今一つだったかも知れない。パワフルに過ぎたともいえる。
とはいえ、これだけの演奏が安い値段で聴けるというのはありがたいことである。

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2016年5月13日 (金)

蜷川幸雄様江

 
蜷川幸雄様
 
 残念ながらあなたにお目にかかる機会はありませんでした。ですので手短に申し上げます。
 あなたと過ごしたいつくかの濃密な時間は私にとって今でもかけがえのないものとなっております。沢山のご教示をありがとうございました。
             敬白

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2016年5月12日 (木)

追悼・蜷川幸雄 観劇感想精選(182) 三島由紀夫:作、蜷川幸雄:演出 「我が友ヒットラー」

2011年3月11日 東日本大震災発生当日 大阪・京橋のシアターBRAVA!にて観劇

午後7時から、大阪・京橋のイオン化粧品シアターBRAVA!で、ミシマダブル「我が友ヒットラー」を観る。演出:蜷川幸雄。

三島由紀夫の書いた戯曲で一対の作品とされる「我が友ヒットラー」と「サド侯爵夫人」を同一キャストで行おうという試み。いずれも小説家の書いた戯曲らしく膨大な量のセリフのある作品で、一作品の上演だけでも大変なのに二作品をそれも同一キャストで行おうという大胆な企画である。蜷川幸雄も相当来てしまったのか、余命少ないと見て勝負に出たのか。

 

「我が友ヒットラー」。ナチスドイツの独裁者アドルフ・ヒットラーの冷酷さのみならず、人間的な側面にも迫った作品である。ヒットラーを演じるのは生田斗真。出演は、その他に東山紀之、木場勝巳、平幹次郎。

 

平舞台にシャンデリアが吊られているだけの舞台。開演と同時に最近の蜷川演出ではおなじみになった巨大な鏡と、バルコニーのセットが運ばれてくる。

 

3幕からなり、第1幕ではヒットラー(生田斗真)が演説する首相官邸のバルコニーの背後の部屋で、武器商のクルップ(平幹二郎)がエルンスト・レーム(東山紀之)と対談している。ヒットラー首相の友人であるエルンストはヒットラーとの思い出を語り、ヒンデンブルク大統領から大統領の座を奪う気合いを見せる。エルンストは自らが率いる300人の突撃隊がその鍵を握ることになるだろうと自信満々だ。

演説を終えたヒットラーだが、この劇でのヒットラーは人間的な弱さを見せ、不安を口にする。

 

第2幕ははヒットラーとエルンストの談笑場面から始まり、ヒットラーはエルンストに夏の間の休暇を持ちかけ、エルンストもそれを了承する。

ヒットラーが去った後で、ナチス左派のシュトラッサー(木場勝巳)がエルンストにヒットラーと離れて自分と組まないかと持ちかける。シュトラッサーは「ヒットラーはエルンストと突撃隊を裏切ることになるだろう」と断言するが、エルンストは「ヒットラーは自分の親友で裏切ることなどあり得ない」とシュトラッサーをなじる。しかし、ヒットラーはエルンストを怖れていた。

 

第3幕。エルンスト・レームとシュトラッサーらが粛正され(長いナイフの夜事件)、クルップとヒットラーとの対談の場面となる。クルップはヒットラーに犠牲者の銃殺される音が聞こえるといい、ヒットラーにその音を聞くように勧め、彼を誉める。ヒットラーは「政治は中道を行かねばなりません」と宣言して幕を迎える。

 

文学的修辞の多用された作品で、一つのセリフの始まりから終わりまでがかなりの紆余曲折を経るため、集中力をかなり使わないと筋が終えなくなるやっかいな作品である。

膨大な量のセリフを的確にリズム良くハキハキと発するエルンスト・レーム役の東山紀之の演技は一回セリフを噛んだだけでほぼ完璧の出来。非常に理知的な演技で、長ゼリフを次々と繰り出す様は人間業とは思えないほどだ。生田斗真は東山紀之とは正反対の憑依タイプの優れた演技を見せ、一カ所で演技が過多になった他は(あの場面は本人も納得がいっていないだろう)傷が見られない。ジャニーズ事務所の指導の厳しさとジャニーズタレントの並々ならぬプロ根性が伝わってくる。

膨大な量のセリフを聞いていると、言葉という化け物に呑み込まれそうな気がする。その言葉の魅力は妖しく強烈だ。ヒットラーは演説の天才だったが、やはりこのような言葉の魔術の使い方に長けた人物だったのだろう。言葉の怖さが伝わってくる演劇でもある。

ヒットラーは元々は画家志望だった。才能は十分ではなかったが芸術家の気質はあったのだろう。あるいは演劇的な才能もあったのかも知れない。演劇と演説の巧みさとは隣接している。言葉と同時に演劇の怖ろしさも伝わってくる上演であった。

 

東北地方太平洋沖地震の起きた日の上演である。出演者は芸能人だけに東北地方の知り合いも多いだろうが、プロの演技を見せてくれた。感謝したい。

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コンサートの記(239) 「ローム ミュージック フェスティバル2016」より『VIVA!カーニバル!』&『豪華コンチェルトの饗宴』

2016年4月24日 左京区岡崎のロームシアター京都サウスホール&メインホールにて

左京区岡崎のロームシアター京都で行われている「ローム ミュージック フェスティバル2016」のコンサート2つを聴く。

「ローム ミュージック フェスティバル」は今年始まったばかりであるが、メインホールとサウスホールの2つがあるロームシアター京都の他に、中庭になっているローム・スクエアも用いた音楽祭典である。
23日と24日の両日、正午過ぎから、ロームシアター京都のサウスホールとメインホールで行われるリレーコンサートと、その合間の時間にローム・スクエアで行われる大学や高校の音楽団体(今年は、龍谷大学学友会学術文化局吹奏楽部、京都府立洛西高校吹奏楽部、同志社グリークラブ、京都市立樫原中学校吹奏楽部、京都両洋高校吹奏楽部、立命館大学混声合唱団メディックスが参加)の演奏が二本柱となる。


2日目となる今日は、まず午後1時からサウスホールで室内楽とピアノの演奏会があり、注目のヴァイオリニストである小林美樹と売り出し中のピアニストである小林愛実(こばやし・あいみ。血縁関係はないようである)が出演するのだが、昨日舞台を観て、今日コンサートを3本は流石にきついので、この公演は遠慮して、午後3時30分からサウスホールで行われる「VIVA!カーニバル!」というタイトルの室内楽公演から聴くことにする。

曲目は、フォーレの組曲「ドリー」(ピアノ・デュオ:菊地裕介&佐藤卓史)、モーツァルトのフルート四重奏曲第1番より第1楽章(フルート:難波薫、ヴァイオリン:石橋幸子、ヴィオラ:赤坂智子、チェロ:中木健二)、モーツァルトのクラリネット五重奏曲より第1楽章(クラリネット:金子平、ヴァイオリン:石橋幸子&瀧村依里、ヴィオラ:赤坂智子、チェロ:中木健二)、サン=サーンスの組曲「動物の謝肉祭」(ピアノ:佐藤卓史&菊地裕介、フルート:難波薫、クラリネット:金子平、パーカッション:池上英樹、ヴァイオリン:石橋幸子&瀧村依里、ヴィオラ:赤坂智子、チェロ:中木健二、コントラバス:佐野央子)。

美人フルーティストとして有名な難波薫(なんば・かおる。日本フィルハーモニー交響楽団フルート奏者)や、名門チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団に在籍する石橋幸子、読売日本交響楽団首席クラリネット奏者である金子平が参加しており、メンバーはかなり豪華である。


フォーレの愛らしいピアノ・デュオ作品。女性の譜めくり人を付けての演奏である。東京音楽大学の専任講師でもある菊地裕介と、伴奏ピアニストとしても定評のある佐藤卓史(さとう・たかし)の共演。佐藤が第2奏者とペダリングを受け持つ。二人とも洒落た感覚の持ち主だが、佐藤はリズム感に長け、菊地はタッチが冴えている。


モーツァルトのフルート四重奏曲第1番より第1楽章。変なCDでデビューした難波薫であるが、勿論今日は正統派のフルートを聴かせる。音符が天に向かって昇っていく様が見えるほど軽やかなフルートだ。


モーツァルトのクラリネット五重奏曲第1番より第1楽章。金子平のクラリネットは音色が若干重く感じられたが、技術は達者。他の演奏家の技量も高い。


サン=サーンスの組曲「動物の謝肉祭」。アンナ・パヴロワのバレエでも知られる「白鳥」が飛び抜けて有名だが、実際は「動物の謝肉祭」は冗談音楽である。様々な動物が出てくるのだが中に「ピアニスト」が混じっていたり(ピアノのスケールを弾くのだが、わざと下手に弾くよう指示されており、下手に弾けば弾くほど良いとされる)、「カメ」がオッフェンバックの「天国と地獄」より“カンカン”を超スローテンポで弾いただけのものだったり(著作権の厳しくなった今では考えられない曲である)、「ゾウ」もベルリオーズの音楽のパロディだったりする(ゾウのコントラバス独奏を務めた佐野央子(さの・なかこ)の音が乾き気味だったのが気になった)。
「白鳥」の他で有名なナンバーとしては「水族館」が挙げられる。美しくも神秘的な作風で、テレビCMなどにも良く用いられる。ちなみに「郭公」も登場するのだが、郭公の鳴き声を担当するクラリネットの金子平は「水族館」が始まる前に舞台上手袖にはけ、袖から郭公の鳴き声を吹いて、「ピアニスト」の前にステージに戻ってきた。
「白鳥」を奏でたチェロの中木健二。有名ソリストが手掛けた演奏や録音に比べると分が悪いが、それでも十分に美しいチェロ独奏を聴かせた。


今日は最前列での鑑賞となったため、ロームシアター京都サウスホールの音響の良し悪しについては明言出来ない。ただ、素直な音のするホールであることはわかった。



午後5時30分から、ロームシアター京都メインホールで、「豪華コンチェルトの饗宴」というコンサートを聴く。阪哲朗指揮京都市交響楽団の演奏。曲目は、ワーグナーの楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より第1幕への前奏曲、ベートーヴェンのヴァイオリン、チェロとピアノのための三重協奏曲(トリプル・コンチェルト。ヴァイオリン独奏:神谷未穂、チェロ独奏:古川展生、ピアノ独奏:萩原麻未)、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲(ヴァイオリン独奏:神尾真由子)

日本人女性ヴァイオリニストとしては別格級の一人である神尾真由子、売り出し中の新進ピアニスト・萩原麻未が出演する注目のコンサートである。
ヴァイオリン両翼の古典配置での演奏である。今日の京都市交響楽団のコンサートマスターは泉原隆志。渡邊穣は降り番で、フォアシュピーラーに尾﨑平。オーボエ首席奏者の髙山郁子、トランペット首席のハラルド・ナエスは前後半共に出演。フルートは次席奏者の中川佳子が吹く。


京都出身の指揮者である阪哲朗。京都市立芸術大学作曲専修卒業後、ウィーン国立音楽大学で指揮を学ぶ。1995年に第44回ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝して注目を浴びるが、その後、活動の拠点をドイツに置いており、日本のオーケストラから声が掛からないということもあって、今のところ竜頭蛇尾気味の指揮者である。
以前、大阪シンフォニカー交響楽団(現:大阪交響楽団)のニューイヤーオーケストラを聴いたことがあるが、音楽の線の細さが気になった。


ワーグナーの楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より第1楽章への前奏曲。
ロームシアター京都メインホールでオーケストラの音を聴くのは初めてだが、評価の難しい響きである。京都会館第1ホールとは比べものに鳴らないほど良く、ヴァイオリンは始めとする弦楽器の音は美しく聞こえるが、マスとしての響きはモヤモヤとして今一つ手応えがない。内観も含めて同じ永田音響設計が手掛けた兵庫県立芸術文化センター大ホールに似たところがあるかも知れない。コンクリートがしっかり固まりホールの音が引き締まるまで5年程度は掛かるという話もあるので、メインホールの響きもこれから良くなっていく可能性もある。また、コンチェルトでは特に響きに不満はなく、残響も2秒近くあった。
歌劇場を主な仕事場としてる阪。オペラは得意中の得意のはずであるが、重厚スタイルで行きたいのかスマートに響かせたいのか、聴いていてどっちつかずの状態になっているのは気になった。もっと京響を盛大に鳴らしても良いと思うのだが。


ベートーヴェンの、ヴァイオリン、チェロとピアノのための三重協奏曲。昨年、ミッシャ・マイスキー親子のトリオで聴いたばかりの曲である。

迷彩柄風の衣装で登場したヴァイオリンの神谷未穂は、桐朋学園大学を卒業後、ハノーファー国立音楽演劇大学に留学して首席で卒業。その後、パリ国立高等音楽院の最高課程を修了。現在は、仙台フィルハーモニー管弦楽団と横浜シンフォニエッタのコンサートミストレス、そして私の出身地である千葉市に本拠を置くニューフィルハーモニーオーケストラ千葉(今後、千葉交響楽団に改名する予定がある)の特任コンサートミストレスも務めている。

今や日本を代表するチェリストとなった古川展生。東京都交響楽団の首席チェロ奏者でもある。京都生まれであり、2013年には京都府文科賞も受賞している。ちょっと中年太り気味であろうか。黒の衣装で登場。

藤岡幸夫や飯森範親という、関西に拠点を置く指揮者が絶賛するピアニストの萩原麻未。「題名のない音楽会」にも何度か出演している。今日は水色のドレスで登場。広島県出身。広島音楽高校を卒業後、パリ国立高等音楽院に留学。修士課程を首席で修了し、その後はザルツブルクのモーツァルティウム音楽大学でも学んだ。


さて、名手3人によるトリプルコンチェルトであるが、やはり萩原麻未は上手い。というより、マイスキーの娘であったリリー・マイスキーがいかに下手であったかがわかった。
萩原のピアノはエッジが立っており、涼やかな音色を基調としているが音色の変化も自在。場面によっては鍵盤上に虹が架かったかのような印象を受ける。

古川のチェロは貫禄があり、難しいパッセージも難なく弾きこなす。

神谷の艶のあるヴァイオリンも聞き物だ。

阪哲朗指揮の京都市交響楽団はビブラートを徹底して抑えたピリオドアプローチでの演奏。タイトだが堂々とした響きが生まれていた。
神尾真由子をソリストに迎えた、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。

紫紺のドレスで登場した神尾は圧倒的なヴァイオリンを披露する。

神尾というとしっとりとした音色が特徴だが、今日はハスキーな音も出す。特筆は弱音の美しさで、これほど美しい弱音を出せるヴァイオリニストはなかなかいない。

情熱的な演奏であったが一本調子にはならず、足し引きと駆け引きの上手い演奏。阪の指揮する京響も神尾に負けじと個性溢れる伴奏を披露。

神尾、阪、京響3者丁々発止の熱演となり、終演後、客席は多いに沸いた。

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2016年5月11日 (水)

観劇感想精選(181) NODA・MAP 「逆鱗」

2016年3月23日 大阪・京橋のシアターBRAVA!にて観劇

午後7時から、大阪・京橋のシアターBRAVA!で野田地図(NODA・MAP)第20回公演「逆鱗」を観る。作・演出・出演:野田秀樹。出演:松たか子、瑛太、阿部サダヲ、井上真央、満島真之介、池田成志、銀粉蝶ほか。衣装:ひびのこずえ。

松たか子演じるNIGYOの一人語りで劇は始まる。NIGYOは泣きたいと思い、涙を流すため、海原から顔を出す。そして自分が何故泣いているのか? NINGYOが何故歌うのかに疑問を感じ……。

舞台は変わって、海中にある水族館。水槽が一つ空になり、新たに人魚を入れることになる。しかし人魚の存在はまだ確認されていない。しかし、水族館の館長である鵜飼綱元(池田成志)はもうすでに人魚の展示を決定している。鵜飼綱元の娘である鵜飼ザコ(井上真央)は大学で人魚学を専攻しており、柿本魚麻呂(かきのもとのさかなまろ。野田秀樹)教授に師事している。柿本魚麻呂は人魚を捕まえることを約束し、海中水族館の下に、人魚の古代遺跡があったということを鵜飼ザコと共に発表する。人魚の古代遺跡は昔の長さの単位で四丈×四丈の広さ。鵜飼ザコは「四」は「死」の掛詞なのではないかと妄想する。この古代の妄想つまり「古代妄想」は「誇大妄想」という言葉遊びとなってその後も登場する。
水族館で監視員をしているサキモリ・オモウ(阿部サダヲ)であるが、人魚を捕まえるために海に潜る潜水夫ならぬ潜水鵜となり、世界史上初の鵜長に就任する。
水族館のイルカ係をしているイルカ・モノノウは、イルカショーが中止になり、「人魚はいるか? ショー」になりそうなことに抗議、鵜飼綱元に詰め寄る。イルカ・モノノウは午後にやっている鵜飼ショーは中止にならないことを問題視している。イルカ・モノノウは鵜飼の実態は残酷だと訴える。

海上水族館に電報配達員のモガリ・サマヨウ(瑛太)がやって来る。電報を届けに来たのだが、サキモリ・オモウにも鵜飼ザコ(減圧室という「とある訓練のための部屋」に一緒に入る)にも電報を受け取って貰えない。サキモリ・オモウは視力が良く、沖に誰も見えない船が見えるという。
鵜飼綱元は、本物の人魚が見つかるまで、偽物の人魚を展示することにし、そこにNINGYOもオーディション参加者として参加……、ここで場面が一変する。NINGYOはモガリ・サマヨウを連れて海底へ。そこには地上では鰯ババアとして過ごしている逆八百比丘尼(銀粉蝶)率いる人魚の一族がいる。逆八百比丘尼は娘であるNINGYOは誰も自分より長生き出来ない定めであり、そのため人魚の数は減っているのだという。NINGYOはサキモリ・オモウがここで腐乱死体になる定めだと脅す。
ここで再び場面は変わる。先程の海底の場面は他の人にいわせると「夢」を見たに過ぎないようだ。しかしモガリ・サマヨウは渡すはずの電報をなくしていることに気づく。
「七人の侍」よろしく、七人揃った潜水鵜達のお披露目。だが、七人といいながら実際は五人しかいない。そこでイルカ・モノノウとモガリ・サマヨウも加わることになってしまう。
取り敢えず潜った潜水鵜は、頭のない魚の巨大な胴体のみを引き上げる。実はこれは人魚の祖である生きている化石「シーラニンギョ(シーラカンスの人魚版)」であり、鵜飼綱元は記者会見で発表する。

贋人魚のオーディションが行われ、参加者は次々と合格するのだが、最後尾にいたNINGYOだけが「もういい」として追い返されそうになる。NINGYOは、「どうして? 私だけが本当の人魚なのに」と訴えるが、人魚に同化した、ちょっと頭のおかしな「どうかした女」とされてしまう。「どうかした女」となったNIGYOは人魚同一性障害とされる。NINGYOは水底の人魚とは別人で、本人は「いけてない方のリケジョ」と自己紹介し、「実はカナヅチなの」とも打ち明ける(余談であるが演じている松たか子本人もカナヅチである)。モガリ・サマヨウは先程NINGYOが電報を取り上げたのだと思い、「電報を返せ」と言うが、NINGYOは覚えがないという。取り敢えず人魚として海の底に電報を取りに行くことにするNINGYOだったが、カナヅチの人魚が海に飛び込んでも大丈夫なのかと心配するNINGYOであったが、とにかくサキモリ・オモウとモガリ・サマヨウと三人で飛び込んでみることにする。
飛び込むや否や、NINGYOは態度を豹変させる。NINGYOはやはり人魚達の頭目的存在であり、母である逆八百比丘尼(車椅子に座っている)と共に、人間は人魚の肉を食べて不死身となるが、そのお返しとして人魚は海で死んだ人間の首の所に逆さまに生える鱗、つまり「逆鱗」を食べているのだと告げる。「NINGYO EAT A GEKIRINN」という文字が背後のスクリーンに浮かぶ。NIGYOによると人魚というのは人間の妄想で生み出されたもので、アンデルセンに散々もてあそばれ、人間に対して「恨みます、恨みます、中島みゆきよりも恨みます」の感情を抱いているという。そして「歴史とは塩なの」という独自の考えを語る。また自身はアフロディテの化身であり、魚座になった二匹の魚についても触れる。
実は、サキモリ・オモウとモガリ・サマヨウが海底にいる間に、陸上では2ヶ月が経過していた。サキモリ・オモウは他の人の考えていることがわかるという特殊技能のようなものを身につける。

さて、この地方ではイルカのことをハタハタとも読んでいるのだが、実はハタハタは魚編に雷で鱩と書き、鵜飼ザコは「魚雷とも読めますね」と陰のある笑みを浮かべながらいう。実は鵜飼ザコや柿本魚麻呂が研究している人魚とは「マーメイド」のことではなく、「人間魚雷」の略称だったのだ。「NINGYO EAT A GEKIRINN」は「NINGEN GYORAI KAITEN」つまり「人間魚雷回天」のアナグラムであることがわかる。
鵜飼ザコは「戦争が始まってくれないと自分たちの研究してきたことが無駄になる」と語る。そう、潜水鵜達は知らず知らずのうちに人間魚雷に乗り組むための訓練を受けていたのだ。

サキモリ・オモウが持ってきた電報の内容が明らかになる。「チビトデブガ インディアンノバシャデ シュッパツ」という意味のよくわからないものだ。NINGYOが謎解きをする。「チビは原爆リトルボーイ。デブは同じくファットマンであり、インディアンノバシャというのは原爆を積んだ重巡洋艦インディアナポリスのこと」だという。沖に見えた船はインディアナポリス号だったのだ。電報の続きは「シキュウ      NINGYO EAT A GEKIRINN ヲハツドウセヨ」つまり、至急、人間魚雷回天作戦を発動せよ」というものであった。
NINGYOは「昔、昔の昔、昔、昔、昔。10年一昔というから70年ほど昔の話をしましょう」と言って、70年前の大戦で人が魚雷に乗り込む人間魚雷回天なるものが存在したことを告げる。

柿本魚麻呂教授と鵜飼ザコは鵜飼綱元に人間魚雷について説明している。命中率を上げるために搭乗する人間が犠牲になるのは仕方がないという考えだった。

サキモリ・オモウやイルカ・モノノウ、そしてモガリ・サマヨウらは「忠臣蔵」に掛けたと思われる47人の人間魚雷特攻隊員としてインディアナポリス号に向かうことになる。しかし、すでに広島と長崎に向かって爆撃機は出発していた。インディアナポリス号はもう空だ。モガリ・サマヨウはそれに気づき、「チビトデブハモウイナイ      カエリノフネダ」と電報を打つ。しかし電報は届かない。
特攻隊長となったサキモリ・オモウとモガリ・サマヨウ(二人は言葉を交わさずとも相手の考えが通じるため、NINGYOが声にならない声を変わりに発する。アンデルセンの声をなくした人魚とは逆の発想である)が空の船に人間魚雷を仕掛ける意味があるのかと意見を交換しているが、その間にも人間魚雷回天は発射されていく。しかしなかなか命中しない。最後になってようやくインディアナポリス撃沈に成功するのであるが……。


非人間的肉弾兵器「人間魚雷回天」を題材にした舞台である。最初はファンタジーかと思わせておいて、重い主題を持ってくるのは野田秀樹らしいやり方だ。銀粉蝶が演じる「誰かの母親」が、「忘れられるのがかなしい」とした人間魚雷回天の悲劇に客席からはすすり泣きも聞こえた。
言葉遊びの面白さ、アナグラムや暗号の用い方なども巧みである。今回の作品のセリフには初期の野田秀樹作品に多く見られたような詩的なレトリックが散りばめられているが、必要以上にポエティックになっていたのが少し気になる。野田秀樹の作風がまた変わろうとしているのだろうか。人魚と人間が表裏一体というのは昔から使われている手法ではあるが上手いと思う。

半透明の幕とライトを使った演出は効果的であり、人海作戦も成功している。シャボン玉の使い方など、いつも以上に綺麗な見せ方になっているが、これも戯曲と連動しているのだろうか? 野田秀樹本人は現代美術家の名和晃平の影響を受けたと語っているが、今日見た耽美的傾向はそれだけでは説明できない気もする。

NINGYOを演じた松たか子(緑色のロングのウィッグを付けて演じている)ももう38になるが、相変わらず可憐さを巧みに出す演技に変わりはない。ラストシーンの説得力も松たか子が演じてこそであろう。

主演した大河ドラマ「花燃ゆ」が歴史的惨敗に終わった井上真央であるが、大河を終えて初の仕事がこの野田の舞台で、役名がザコであるため、「本読みをしながら『私、雑魚って呼ばれちゃうんだ』と思いました(笑い)」とパンフレットのインタビューで語っている。悪女役であり、そうした雰囲気を作り出すのに長けている。ただ他の俳優に比べると窮屈そうな演技にも映った。彼女は映像の方が向いているのかも知れない。

純朴そのもののモガリ・サマヨウ(「殯彷徨う」でそのままの役名であるが)を演じた瑛太は「MIWA」の時と同様、ナチュラルな演技。ちょっととぼけた役を演じると彼は嵌まる。
阿部サダヲはちょっとしたアドリブをいれるなど、楽しそうに演じていた。

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2016年5月10日 (火)

観劇感想精選(180) 「同じ夢」

2016年3月4日 西宮北口の兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールにて観劇

午後6時30分から、西宮北口にある兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールで、「同じ夢」を観る。作・演出・出演:赤堀雅秋。他の出演は、光石研、麻生久美子、大森南朋、木下あかり、田中哲司。

千葉県船橋市郊外にある精肉店が舞台である(赤堀雅秋と麻生久美子が私と同じ千葉県出身である)。「津田沼」という千葉県の地名(駅名)や総武線の「亀戸」、神奈川県藤沢市など、どこも私にとっては土地勘のある場所である。

イントロダクションとして、光石研演じる松本昭雄が精肉店の裏にある屋内のリビング、ダイニングキッチンなどに掃除機を掛けるというだんまりがある。昭雄は掃除機を掛け終えて、コードを本体に吸い込ませるということを三度ほどやる。それからコードを首に巻いて考えに浸る……、溶暗。

明かりが付くと、ダイニングキッチンには精肉店従業員の稲葉和彦(赤堀雅秋)、昭雄の友人で文房具屋を営む佐野秀樹(田中哲司)、リビングには田所元気という男(大森南朋)がいてソファに腰掛けている。
稲葉は佐野に「朝、何食べた?」と聞いたのだが、佐野は何故か思い出すことが出来ない。ただ麺類でないことは確かだそうだ。稲葉の方は昨夜すき焼きを作ったのだが食べきることが出来なかったので、今朝もすき焼きにしたという。だが、稲葉に言わせると「すき焼きは美味いが朝食うもんじゃない」そうだ。
やがて2階から昭雄の娘で今はOLをやっている松田靖子(木下あかり)が降りてきて、田所と話を始める。田所は今は神奈川県藤沢市に住んでいて警備員をやっているという。藤沢から船橋まで電車で来たのだが、「成田行くやつ(成田EXPRESSのこと)乗ると速いから。高いけど」と田所は語る。
表にある精肉店で働いていた昭雄がリビングにやって来て稲葉に早く店に戻るよう告げる。ここで佐野が昭雄に借りた5000円を返すよう要求する。だが、昭雄には佐野から5000円を借りた覚えがない。「借りた記憶がないものは返せない」と突っぱねる昭雄だったが、最終的には財布をテーブルの上に置いて、「好きなだけ取ればいい!」と佐野に捨て台詞を吐いて店の方に行ってしまう。
舞台上手側にある入り口から高橋美奈代(麻生久美子)が入ってくる。高橋は田所に見覚えがなく、田所も高橋が何者なのかを知らない。高橋は訪問ヘルパーをしている女性で、昭雄の父親の介護をするために毎日通っているのだ。ちなみに昭雄の父親は1階のリビングの裏、襖の向こうの部屋に寝ているらしい。
靖子が高橋に田所の正体を明かす。田所は以前はトラックの運転手をしていたのだが、昭雄の妻(つまり靖子の母親)を十字路で轢き殺してしまい、それから10年間、昭雄の妻の命日には毎年線香を上げに来るのだという。今日が昭雄の妻の命日だったのだ。ちなみ交通事故であるが昭雄の妻の方が飛び出したのであって田所に非はなかったという。

田所が煙草を買いに出掛け、靖子は2階に戻り、稲葉は店番に戻り、佐野はトイレへ。ということで一人になった高橋。リビングの奥の襖がドンドンと鳴らされるのを聞いてうんざりとした表情を浮かべ、煙草を吸うが、テーブルの上に財布が置いてあるのを見て、札を抜き取り……、だが、誰も見ていないと思った高橋であるがトイレから出てきた佐野が高橋のやったことを見ていた。佐野に声を掛けられた高橋は脅迫されるものだと思い、ビクビクしたままである。だがそんな怯えた様子の高橋に佐野は「ケーキ食べよう」と優しく声を掛ける。何か魂胆がある、と気を許さない高橋であるが、佐野にバツイチで6歳の女の子がいることは告げる。するといきなり佐野から「昭雄と再婚してやってくれないか」と頼まれて高橋は驚く。
一方、靖子は実は田所に恋をしていた。だが、田所は靖子を恋人として見ることはどうしても出来ない……。

      
暗転後、時間が経過し、その日の夜になっている。昭雄は頼んだ寿司がまだ届かないのでイライラしている。靖子に寿司屋に電話するように言い、靖子は「自分で電話すればいいじゃん」と言いながら寿司屋に電話するが、寿司屋には注文が入っていないようである。靖子は「電話に出たのが片言の日本語を喋る中国人だったので嫌な予感がした」と言う。
昭雄がイラついているのは寿司が待っても待っても届かないからだけではない。稲葉がレジの金をくすねたのだ。稲葉は20年以上この店で働いているのだが、レジの金をくすねたのはこれで実に6回目になるという。しかし「あの人はうち以外で働くのは無理」として昭雄は稲葉を許すしかない。

田所は津田沼のインターネットカフェに出掛けていたのだが戻ってくる。そして亀戸に帰ったはずの高橋も戻ってきた。佐野が高橋に戻ってくるよう言ったのだという。
そうして寿司を待ちながらやり取りをするのだが、実は高橋には好きな人がいることがわかる。6年間ずっと付き合っている人なのだが、妻子持ちであり、不倫ということになる。だが、結婚することは出来ないとわかっていても高橋は別れることが出来ないのだった。昭雄と結婚する気にもなれないのである。そして、高橋は昭雄の父親からセクハラを受けていることも打ち明ける。だが、セクハラの事実がわかったからといって今すぐどうなるというものでもない。結局、全員が全員、袋小路に嵌まったまま動けないことがわかったところであっさり舞台は終わる。


全員が今、袋小路にあって身動きが取れない状態であることは描けているので、一応、形にはなっているのだが、これだけのメンバーを集めたのだからもっとドラマ性豊かな芝居を観たかったというのも本音である。赤堀雅秋の作・演では無理かも知れないが。

光石研の演じた松田昭雄は、以前に光石が演じた「水の戯れ」(作・演出:岩松了)の北原春樹に似たところがあり、光石のキャラクターに合っていた。

一見、いい人なのだが、少し暗い背景を持つ高橋美奈代を演じた麻生久美子も嵌まり役。というより麻生久美子という女優は何をやっても嵌まってしまうという得がたい女優なのであるが。今日は前から2列目であったので、麻生さんの目の演技の上手さを楽しむことが出来て良かった(若手女優で目の演技が一番上手いのは麻生久美子だと思う)。単純に麻生さんを間近で見られたというのも嬉しかったのだけれど。
ちなみにローソンという具体的なコンビニの名前が出てくるが、それは麻生久美子がローソンのテレビCMに出演しているからだと思われる。

田中哲司はそれなりに見せ場があったが、大森南朋はこの程度の役では物足りない。大森南朋の良さがもっと生かせる場面が欲しかったと思う。それにしても大森南朋も年を取るごとに少しずつではあるが実父である麿赤児に顔が似てきている。遺伝というのは凄い。

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2016年5月 9日 (月)

冨田勲作曲 大河ドラマ「徳川家康」オープニングテーマ

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2016年5月 7日 (土)

ザ・タイマーズ 「原発音頭」

顔も声も歌い方も忌野清志郎に似ているZERRYが率いる謎の覆面バンド、ザ・タイマーズの「原発音頭」です。音源の発売はされていません。

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2016年5月 5日 (木)

コンサートの記(238) 広上淳一指揮京都市交響楽団第600回定期演奏会

2016年4月15日 京都コンサートホールにて

午後7時から、京都コンサートホールで京都市交響楽団の第600回定期演奏会を聴く。今日の指揮は京都市交響楽団常任指揮者兼ミュージック・アドヴァイザーの広上淳一。

京都市交響楽団の記念すべき600回目の定期演奏会。京都市交響楽団は今年創立60周年を迎えるが、年度初めのコンサート(京響の定期演奏会は4月始まりである)が折り目のコンサートと重なるのは実は初めてだそうである。

曲目は、コープランドの「市民のためのファンファーレ」、モーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」、リヒャルト・シュトラウスの交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」(オルガン独奏:アレシュ・バールタ)

開演20分前からプレトークがある。広上は今日は珍しくジャケットを着て登場。また、今年で京都市交響楽団在籍31年目で現役最長となるテューバの武貞茂夫もステージに呼ばれる。
武貞は1985年に京都市交響楽団に入団。京響では小林研一郎と同期になるそうだ(小林研一郎は1985年から2シーズンだけ京響の常任指揮者を務めている。当時の京響は今とは違い、2年ほどでコロコロ指揮者を変えていた)。広上は「小林先生は昔もあの口調でしたか?」と聞いて、小林の物真似をやってみせる。小林研一郎も京響時代のことを手記に書いているが、当時、京響は廃校になった出雲路小学校の校舎を練習場として使っていたのだが、小林によるとガラス窓が破れたままになっていたりと環境は悪く、冬は隙間風で寒くて大変だったそうである。武貞によると現在の京都市交響楽団の練習場は出雲路小学校を取り壊してその跡地に新たに建てられたものだそうだ。
武貞が京響に入団して、初の演奏会に臨んだときの指揮者は山田一雄だったそうだが、「棒がわかりにくかった」(広上は「指揮が下手だったわけじゃないんです。音楽的な指揮だったんです」とフォローする。ただ、山田一雄の棒が下手だったことは定説である)そうで、途中でわからなくなってしまい、テューバを吹くのを止めようと思ったら、周りの楽団員が、「指揮見るな! 指揮見るな!」と言い、感覚で吹いたら上手くいったそうである。吹奏楽から始めて音大を出るまでずっと「指揮をよく見ろ」と言われていたのに、プロになった途端に「指揮見るな!」と言われたと武貞は楽しそうに話す。山田一雄というと指揮に熱中する余り、指揮台から転げ落ちたというエピソードが有名だが、京響を指揮した時もそうしたことはあったらしい。

広上は京都会館第1ホールについても話すが、「響きの悪い」「やればやるほどストレスの溜まっていく悪夢のようホール」と語り、余程音響が嫌いだったようである(京都会館第1ホールの音響は間違いなく国内最低レベルであった)。ロームシアター京都メインホールの非公開初演は広上淳一指揮京都市交響楽団によって行われているが、広上はロームシアター京都メインホールに関しては、「立派なオペラハウス」と認めている。


コープランドの「市民のためのファンファーレ」。広上が京都市交響楽団の常任指揮者に就任して最初のコンサートの1曲目で取り上げた曲である。広上はノンタクトでの指揮。

金管楽器と打楽器からなる編成であるが、まずトランペットの音が外れ、続いてホルンのリズムが合わずと、残念ながら万全の出来にはならなかった。


モーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」。つい先日、第1楽章だけ演奏した曲である。
今日の京都市交響楽団のコンサートマスターは渡邊穣。フォアシュピーラーに泉原隆志。ドイツ式の現代配置での演奏である。

ビブラートはそれほど抑え気味ではないが、ボウイングは明らかにピリオドアプローチのそれ。古雅な雰囲気溢れるモーツァルトを楽しむことが出来る。
煌びやかでエネルギッシュ第1楽章、澄み切った味わいのある第2楽章、節度のある盛り上がりを見せる第3楽章、緻密にして高雅な第4楽章。
広上指揮の「ジュピター」全曲は、5年ほど前に広島交響楽団を指揮したものを聴いているが、音の輝きは京都市交響楽団の方が上である。

広上の指揮であるが、両手を互い違いに上げ下げしたり、指揮棒を逆手に持って指揮したり、指揮棒を持たない左手一本だけで指揮したりといつも以上にユニークである。


メインであるリヒャルト・シュトラウスの交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」。2月にパーヴォ・ヤルヴィ指揮NHK交響楽団の大阪公演で聴いたばかりの曲だ。パーヴォとN響は電子オルガンを用いていたが、京都コンサートホールには立派なパイプオルガンがあるため、今日は勿論、それを用いる。ステージ上で演奏台を置いてのリモートコントロールでの演奏。パイプオルガン独奏のアレシュ・バールタは、1960年チェコ生まれのオルガニスト。ブルノ音楽院とプラハ音楽アカデミーに学び、1982年にリンツ・アントン・ブルックナー国際オルガン・コンクールで優勝、1984年には「プラハの春」国際オルガン・コンクールでも第1位に輝いているという。

京都市交響楽団の首席フルート奏者であった清水信貴は卒団したが、副首席奏者を格上げということはなく、今日はモーツァルトでは副首席フルート奏者という肩書きのままの中川佳子が、リヒャルト・シュトラウスでは客演の上野博昭がトップの位置に座った。トランペット首席のハラルド・ナエスはリヒャルト・シュトラウスのみの参加。クラリネットは後半しか出番がなかったが小谷口直子がリヒャルト・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」でトップを吹いた。オーボエの髙山郁子もリヒャルト・シュトラウスのみの参加である。

響きの威力自体はやはりNHK交響楽団の方がある。残響のないNHK大阪ホールであれだけ響かせるのだからそれは明白だ。だが、音の輝きとなると京都市交響楽団も負けていない。
広上の指揮も語り上手であり、「ツァラトゥストラはかく語りき」という楽曲の構成を上手く詳らかにしていく。
また、アレシュ・バールタのオルガンも極めて効果的であった。

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観劇感想精選(179) 「UMEDA BUNRAKU うめだ文楽2016 傾城阿波の鳴門 ~十郎兵衛住家の段~」

2016年3月25日 大阪・北梅田のグランフロント大阪のナレッジシアターにて観劇

午後7時から、北梅田のグランフロント大阪北館4階にあるナレッジシアターで、「UMEDA BUNRAKU うめだ文楽2016」を観る。在阪民放5局が共同で梅田で文楽を上演しようという試み。
国立文楽劇場が大阪にあるように、大阪は文楽発祥の地であり、文楽の首都なのであるが、国立文楽劇場での演目は遅い方でも午前4時開演と、9to5で働いている人は土日か休日しか観に行けないという状況である。歌舞伎も開演時間はほぼ同じだがスター俳優のいる歌舞伎に比べ、文楽は人形が演じるため客が入りにくいということもあった。そこで「UMEDA      BUNRAKU」は、午後7時から比較的短めの演目を上演することにしている。演じられるのは「傾城阿波(の)鳴門 ~十郎兵衛住家の段~」。また、毎回、ゲストによるポストトークがあり、今日は矢野・兵動の兵動大樹がゲストとして呼ばれる。明日のゲストは桂南光、その後、コシノヒロコ、わかぎゑふ、三浦しをんと続く。

ナレッジシアターに来るのは久しぶり。2013年の杮落とし公演「ロボット演劇版:銀河鉄道の夜」を観て以来である。ナレッジシアターの稼働率自体がそれほど高いようには思えないのだが。


まずはプレトーク。関西テレビの川島壮雄(かわしま・もりお)アナウンサーの司会。メインゲストの兵動大樹が出てトークを行った後に、人形遣いである吉田幸助、吉田簑之、吉田玉勢が呼ばれ、川島の司会で4人のトークが行われる。兵動大樹は大阪生まれの大阪育ちだが文楽を観たことはこれまで一度もないそうで、川島との二人でのトーク中に、「今日もこれ(プレトーク)終わったら帰っていいですか?」とボケる。兵動は番組の企画で人形遣いではなく太夫に一日弟子入りしたそうで、その模様が背後のスクリーンに映される。「傾城阿波鳴門」の子役・おつるのセリフを読み上げ、その後、笑いのやり方を教わる。笑いであるが、高笑いに至るまでずいぶんと時間が掛かる。「昔の人はこんなにゆっくり笑ってはったんでしょうかね?」と兵動が語っている。
さて、映像が終わってから兵動が種明かししたのだが、基本的に文楽の作者は町人の出身であり、武士階級の人が笑うところを見たことがなかったため、想像で武士の笑いを書き上げたところ、妙にゆっくりしたものになってしまったそうだ(武士は基本的に文楽や歌舞伎などを観てはいけない決まりになっており、文楽や歌舞伎の作者とは交流がなかったのである)。
なお、阿波藩出身者の話であり、阿波徳島藩の藩主は代々蜂須賀小六の家系である蜂須賀氏であるが、そのまま出すのは拙いので玉木氏という架空の大名になっている。


徳島城主玉木氏の家宝である刀剣が盗まれる。阿波の十郎兵衛は家宝の刀剣を探すため、大坂・玉造に出て、盗賊の銀十郎として妻のお弓と暮らしている。
お弓が留守を守っている間に、9歳の少女が訪ねてきた。阿波徳島から来たという少女にお弓は同郷だということで好感を覚える。だが、その子が3歳の時に両親から引き離されておばさんのところで育ったということで、「もしや」との思いがお弓に芽生える。お弓が少女に両親の名前を聞くと、「ととさんの名前は十郎兵衛、かかさんの名前はお弓と申します」と言ったため、少女が我が子・おつるであると知る。名乗り出たいという思いに駆られるお弓であったが、今は盗賊の女房という身。おつるに本当のことを打ち明ければおつるを却って不幸にする。ということで、泣く泣くおつると別れる。おつるが野宿をしているというので、小判を与えるのだが、これが後に災いを招く。
おつるが去った後、どうしてもおつるのことが気に掛かるお弓はおつるの後を追う。だが、おつるは銀十郎となった十郎兵衛と出会い、お弓と入れ違いに家へと帰ってくる。おつるは乞食にたかられそうになっていたおつるを助けて家へと帰って来たのであるが……。


字幕なしの上演であり、有料パンフレットにも床本は入っていない。そのため、地の文は何と言っているのかわかりにくかったが、台詞が多く、台詞は聞き取りやすいため、内容を理解するには十分である。

リアリティということに関すると、現在では今一つかも知れないが、今では失われてしまった日本人の美質というものが文楽にそのまま込められているのもわかる。
お弓の心理のきめ細かさ、日本人女性ならではの愛らしさや艶やかさといったものは現代の多くの女性からは失われてしまったものである。ちょっとした仕草が美しい。

人形であるため表情は変わらないのであるが(目や眉が動く人形もいるが)、その無表情が逆に多彩な表情に見える。能面にも通じる日本古典芸能の美点である。


今日は1時間程度の演目であったが、太夫がこれほど長い時間に渡って唄うことはないそうで、太夫の竹本小住大夫、三味線の鶴澤寛太郎にも盛んな拍手が送られた。

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