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2016年7月 5日 (火)

観劇感想精選(187) 「とりあえず、お父さん」

2016年1月22日 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて観劇

大阪へ。梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで午後6時30分から「とりあえず、お父さん」を観る。イギリスの劇作家であるアラン・エイクボーンの手によるシチュエーションコメディの上演。
作:アラン・エイクボーン、上演台本:藤井清美、演出:綾田俊樹。藤原竜也、本仮屋ユイカ、浅野ゆう子、柄本明による四人芝居である。

最初の場はロンドンにあるジニィ(本仮屋ユイカ)のアパートの一室である。ジニィは保険のセールスマンであるグレッグ(正式な名前はグレゴリー。藤原竜也)と同棲している。

ある朝、ジニィは午前8時24分初の電車に乗るためにシャワーを浴び、急いで支度している。ベッドでまだ寝ていたグレッグ(裸だったので情事があったのかも知れない)は電話の音に起こされる。グレッグは電話に出るが誰が掛けたのかわからないまま切れる。
 
ジニィがバスルームから出てきて身支度を始めるが、グレッグは入れ替わりにバスルームに自分がジニィにプレゼントした花を生けようとする。が、バスルームにはグレッグが送った花束以外にも5つほどの花束がすでに生けられていた。ジニィは角の花屋さんがサービスでくれたというのだが怪しい。更に鏡台の引き出しからは大量のチョコレートが出てくる。ジニィは女友達がダイエットを始めたので不必要になったチョコレートを全て自分にくれたのだと語るが、ジニィもまた「ダイエット中」だとグレッグに語ったことがあり、辻褄が合わない。
 
グレッグには気になることがあった。ベッドから起き上がる時にベッドの下に足を入れる癖がグレッグにはあるのだが、その時、足に引っかかったのはLサイズのスリッパ。グレッグは大柄ではなく、スリッパはMサイズである。昨日起きた時はLサイズのスリッパはベッドの下にはなかった。ということは、グレッグが留守にしている間にジニィが他の男を連れ込んだ可能性がある。ちなみにジニィの前の彼の情報はジニィから得ており、ジニィとは親子ほども年の離れた男だったという。それ以前にもジニィは4、5人の男と付き合っていたことがあるようで、恋多き女である。恋多き女をものにするには先手必勝とばかりにグレッグはジニィにプロポーズ。二人は出会って1ヶ月前後しか経っていないのでスピード結婚である。だが、ジニィは喜ぶものの今すぐの結婚に関しては保留であり、両親にもまだグレッグは会わせられないという。
ちなみに最初にアプローチしてきたのはジニィの方だそうで、清楚な外見とは裏腹に肉食系女子であることがわかる。

ジニィが朝の汽車に乗って向かおうとしているのはバッキンガムシャーにあるロウアー・ペントンという場所。そこに両親が住んでおり、里帰りするのだという。ジニィとの結婚を急ぎたいグレッグは両親に会いたいというが、ジニィに拒まれる。だが、グレッグはベッドの棚の上に「バッキンガムシャー、ロウアー・ペントン1 柳が目印」とメモされた煙草の箱を発見していた。ジニィにそれが両親の住所だと確認したグレッグは、ジニィが出掛けた後で、自分も午前8時24分発の電車に乗るためにタクシーを飛ばす。無事、午前8時24分発の電車の乗り込むことが出来たグレッグはバッキンガムシャー、ロウアー・ペントン1を目指す(グレッグの旅の行程はキャットウォークから降りてきたスクリーンに投影された映像で描かれる)。両親に挨拶することでジニィとの結婚を一気呵成に進めようと図ったのだ。だが、実はジニィは午前8時24分の電車には乗り遅れており、グレッグはジニィより先にフィリップ(柄本明)とシーラ(浅野ゆう子)の夫婦に会うことになる。


「間違いの喜劇」の手法を用いたファルスである。一つの勘違いが更なる勘違いを呼ぶという勘違いの連鎖で笑いは進む。この手の作品は日本人の現役劇作家としては三谷幸喜や宅間孝行が得意としているが、イギリスのコメディは日本のそれよりも毒が強い。ウェルメイドではあるのだが、ハッピーエンドなのかどうかは見方によって変わりそうである。

仕掛けに次ぐ仕掛けがあり、ここにストーリーを書いてしまうとネタバレになってしまって、これから観る人が楽しめなくなってしまうため、その後の内容に関しては伏せておく。ちなみに最後まで勘違いしている人が一番幸せなようである。


浅野ゆう子はまさに嵌まり役。シーラのキャラクターに最も合った日本人女優は浅野ゆう子だと断言しても間違いないだろう。

本仮屋ユイカは細部までコントロールの行き届いた演技が魅力的。また仕草の一つ一つがとてもチャーミングである。

藤原竜也は個性の強い演技であるが存在感は十分であり、ここぞという時の演技にはやはり説得力がある。

柄本明は喜劇を得意としているが、今日は調子はそれほど良くなかったようである。綾田俊樹が演出ということで劇団東京乾電池色が強く出てしまったのかも知れない。

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