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2016年11月27日 (日)

コンサートの記(260) 藤岡幸夫指揮関西フィルハーモニー管弦楽団第278回定期演奏会

2016年10月14日 大阪・福島のザ・シンフォニーホールにて

午後7時からザ・シンフォニーホールで関西フィルハーモニー管弦楽団の第278回定期演奏会を聴く。今日の指揮者は関西フィル首席指揮者の藤岡幸夫。年1作、7年がかりで行われる「シベリウス交響曲チクルス」の第5回である。

曲目は、吉松隆の「夢色モビールⅡ」(1993/98)、バルトークのヴァイオリン協奏曲第2番(ヴァイオリン独奏:オーギュスタン・デュメイ)、シベリウスの交響曲第2番。


開演20分前から藤岡幸夫によるプレトークがある。まず藤岡の慶應義塾高校・慶應義塾大学の先輩である吉松隆の「夢色モビールⅡ」について、「吉松さんの作品は関西フィルで沢山取り上げましたが、考えたら『夢色モビールⅡ』はまだやってないのでやることにしました」とのこと。
バルトークのヴァイオリン協奏曲第2番については、「無調ではなく調性音楽ではありますがギリギリのところを突いている」と評価。「デュメイさんのヴァイオリンも含めて良い意味で悪魔的になっています」と語る。
シベリウスの交響曲第2番。「シベリウスというと北欧の自然を描いたというイメージがありますが、人間的なドラマも描いています。この交響曲第2番では人間的な葛藤が良く出ていまして、最愛の娘を亡くして、失意から妻子を残してイタリアへ慰安旅行に出掛けた時に書かれたわけですが、娘を亡くした絶望から這い上がろうとしているシベリウスの姿を聴き取ることが出来ます。第2楽章は特に深い絶望。第4楽章はよくフィンランドの民族的高揚と捉えられますがもっと私的なものだと思われます」という意味のトークを行う。

アメリカ式の現代配置での演奏。コンサートマスターは岩谷祐之(いわや・すけゆき)である。


吉松隆の「夢色モビールⅡ」(1993/98)。この曲は1993年にサキソフォン奏者・須川展也のために書かれた曲で、当時はサクソフォンとハープ、弦楽四重奏のための室内楽曲であった。その後、オーケストラコンサート用にアレンジされ、独奏楽器とハープ&弦楽オーケストラのための作品となり、98年に初演。今日はこの98年版をヴァイオリン独奏バージョンにて演奏を行う。ヴァイオリン独奏はコンサートマスターの岩谷祐之が務める。

吉松らしい繊細な美しさを持った曲。旋律が瑞々しく、美しい。ヴァイオリン独奏の岩谷、ハープの佐々木美香ともに達者な演奏を聴かせ、満足のいく出来となった。


バルトークのヴァイオリン協奏曲第2番。ヴァイオリン独奏のオーギュスタン・デュメイは関西フィルの音楽監督でもあり、関西フィルのポストを持つ音楽家同士の共演となる。

バルトークのヴァイオリン協奏曲第2番は吉松作品とは対照的に美しい旋律は意図時に退けられており、断片的なメロディーが鳴る中で展開がなされているという難解な作品である。大作でもあり、今日は終演時間がいつもより遅れた。

第1楽章ではデュメイは豪快な演奏を展開。関フィルも負けじと野性味溢れる伴奏を展開する。
関西フィルは関西のオーケストラの中では非力な方だが、今日は威力ある音を聴かせる。ただ無理矢理出したという印象も否めず。音がひりついているように聞こえ美しさという点ではもう一歩。
第2楽章の痛切さ、第3楽章のスケールの拡がりなどを上手く表現した演奏であったが、曲自体が難しく、演奏は見事なものだとわかるのだが曲の内容を十全に把握することは現時点の私には困難である。この曲のCDは1種類しか持っていないはずだが今度じっくり聞き込んでみようか。


シベリウスの交響曲第2番。爽やかさ溢れる音色でこの曲をスタートさせた藤岡だったが、第1楽章の途中でテンポを落とし、神秘的な一面を演奏にくわえる。この第1楽章では金管が不調であり、音を外したり出だしが揃わなかったりした。その後持ち直しただけに残念。
第2楽章や第4楽章での悲壮感の表出は今一つだったが、第4楽章では暗さを強調しない分、楽曲の把握がしやすくなるというプラスの面がある(把握しやすければいいという訳ではないことは勿論であるが)。
第3楽章のオーボエの歌は牧歌的であり、素晴らしい雰囲気を生み出していたように思う(オーボエ:佛田亜希子)。

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