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2016年11月27日 (日)

美術回廊(4) 「レオ・レオニ 絵本のしごと」

2013年6月26日 東京・渋谷のBunkamuraザ・ギャラリーにて

東急文化村地下1階にあるBunkamuraザ・ギャラリーに行く。小学校の教科書に載っている「スイミー」で有名な、レオ・レオニ(レオ・レオーニ)の「レオ・レオニ 絵本のしごと」という展覧会をやっている。

オランダのアムステルダムに生まれたレオ・レオニは、幼時より画才を発揮し、9歳で王立美術学校に入学するなど神童ぶりを発揮するが、その後は家族の都合で、ベルギーのブリュッセル、アメリカのフィラデルフィアなどに移り住む。大学は美術大学ではなく、スイスのチューリッヒ大学経済学部を卒業した。その後、結婚してイタリアのジェノヴァで暮らしていたが、ムッソリーニ率いるファシスト党が政権を握ると、人種差別活動が展開され、ユダヤ人であるレオ・レオニはアメリカへの亡命を余儀なくされた。アメリカでは新聞社や出版社のイラストレーターやグラフィックデザイナーとして働く。アメリカ時代の1959年に、これまた有名な「あおくんときいろちゃん」で絵本作家デビュー。この時すでに49歳であった。1962年にイタリアに戻り、1963年に、「スイミー」で現在のスロヴァキアの首都ブラティスラヴァで行われた世界絵本原画展で大賞(金のりんご賞)受賞。以後、1999年に亡くなるまでイタリアで絵本作家として活動を続けた。

レオ・レオニの画は深く読み込む必要はない。絵本は寓意に満ちており、芸術の大切さと芸術家であることの矜持、弱者への温かい眼差しと共に現実の厳しさをも教える、足を知ること、尊大ぶることの愚かしさ、自意識、アイデンティティ、レーゾンデートルといった抽象的な概念を分かりやすく教える、と、分かりやすいものを説明すると難しい言葉を使うことになるというパラドックスに陥るわけだが、大人は抽象概念として理解出来るものの、子供にはまだ無理なので、寓意を用いて分かりやすく伝えるわけである。簡単なものを難しくいうのは簡単だが、難しいものを簡単にするのは難しい。

驚いたのは、「スイミー」を始めとする数多くのレオ・レオニ作品の日本語翻訳の8割以上を詩人の谷川俊太郎が手掛けていたこと。谷川俊太郎が「マザーグース」の翻訳を行っていることは知っており、実際、谷川俊太郎が翻訳した「マザーグース」を楽しく読んで来たのだが、まさか「スイミー」の翻訳者が谷川俊太郎だったとは寡聞にして知らなかった。そして同時にいかにも谷川俊太郎らしい仕事だとも思った。

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