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2016年12月26日 (月)

コンサートの記(262) 春秋座オペラ2014「椿姫」

2014年12月20日 京都芸術劇場春秋座にて

午後5時から、京都芸術劇場春秋座で歌劇「椿姫」を観る。ミラマーレ・オペラによる上演。今日明日の2回公演。Wキャストであり、今日の出演は、川越塔子(ヴィオレッタ)、清原邦仁(アルフレード)、片桐直樹(ジェルモン)、白石優子(フローラ)、井出司(ガストン)、西村昭浩(ドゥフォール)、木村孝夫(ドビニー)、土岐真弓(アンニーナ)、松山いくお(グランヴィル)、総毛創(ジュゼッペ)、和田一人(使者)、冨田敦史(召使)。合唱はミラマーレ・ヴィルトゥオーゾコーラスが担当する。

指揮は松下京介。演奏はミラマーレ室内アンサンブル。第1ヴァイオリンがヴァイオリンが2名いる(コンサートミストレス:木須すみれ)他は、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスがいずれも1名ずつで、管楽器などはエレクトーンで演奏される(エレクトーン演奏:塚瀬万起子、佐々木里奈)。エレクトーンが活躍する場面が多いため、少し違和感も感じるが、春秋座は劇場もピットも小さい上に音響設計もなされていないので室内オーケストラ編成でも音が飽和してしまうということもあり(12年前にルーマニアのトランシルバニア交響楽団という中編成のオーケストラが春秋座で演奏を行ったが、フォルテになると桟敷席の板などがゴトゴトガタガタいってしまい、オーケストラの演奏が無理であることがわかっている)オーケストラに関してはある程度目をつぶるしかない。

演出は三浦安浩。廻り舞台を使った演出に特徴がある。
プロデューサー:橘市郎。

第1幕への前奏曲が始まると舞台上手から清原邦仁演じるアルフレードが登場。ヴィオレッタの死を嘆いて倒れ込み、「椿姫」の物語が終わった後の様子がまず描かれる。こうした手法は最近では流行っているようだ。そして、紗幕に光が入り、川越塔子演じるヴィオレッタ後ろを向いているのが見える。やがて大勢の人が現れ、ヴィオレッタは皆に愛想を振りまくのだが、皆、ヴィオレッタの姿が見えないかのように通り過ぎてしまう。象徴的なシーンである。

やがて、幕が上がり、社交界の場となる。有名な「乾杯の歌」が歌われ、ヴィオレッタに恋い焦がれていたアルフレードはようやくヴィオレッタ本人にお目通りが叶い、一層ヴィオレッタの惹かれるのだったが……。

舞台上方に、田の字の形をしたディスプレーがあり、そこにパリのシャンゼリゼ通りを描いた絵、椿の花などが移る。第2幕第2場で用いられた絵はおそらくドガの作品であると思われるが、他の場面の絵の作者はわからなかった。ただ、ディスプレーによる演出はなくても良かったような気がする。余程の初心者でも無い限り絵は自然と想像出来るからである。

当然ながら字幕付きの上演であり、春秋座の場合、字幕スーパーはプロセニアムの上に出るので、2階席の方が鑑賞しやすく、それを見越して敢えて安いチケットを買ったのだが、実際の席は下手桟敷席の前側。まずまずの席である。

ヴィオレッタを歌う川越塔子は、春秋座でのオペラではお馴染みの存在。東京大学法学部を卒業、武蔵野音楽大学大学院修了という異色の経歴を持つソプラノ歌手である。

バリバリのキャリアウーマン的学歴とは対照的に、儚げな女性を演じることを得意としている川越。声の伸びも良く、細やかな演技も見事である。

アルフレード役の清原邦仁は、外見が池田成志に少し似ている。甘い声の持ち主であり、中々格好いい。

キャストであるが、大阪音楽大学出身者がかなりの割合を占めており、自前でもオペラハウスを持っている大阪音大の声楽科の関西での強さが今回も証明されている。

指揮の松下京介であるが、指揮棒の振り幅がオペラ指揮者としてはかなり大きめ。繊細さなどは十分とはいえないかも知れないがしっかりした音楽作りではある。

今回の演出では、ヴィオレッタとアルフレードが離れた状態で幕となるのだが、これは一長一短であるように思う。ヴィオレッタがかつて自分が中心であった社交界の夢の中で息絶えるのは幻想的ではあるが、悲しみは一歩後退した格好になる。例によって廻り舞台を使うのだが、男性歌手が一人、足を取られて転んでしまったのはご愛敬である。

万全の出来とはいえないかも知れないが、見応えのあるオペラではあった。

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