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2017年1月10日 (火)

コンサートの記(264) 小山実稚恵ピアノリサイタル@ロームシアター京都サウスホール2016

2016年11月27日 ロームシアター京都サウスホールにて

午後2時から、ロームシアター京都サウスホールで、「小山実稚恵ピアノリサイタル」を聴く。京都ミューズ(旧・京都労音)主催公演。

日本で生まれ育った女性ピアニストというと、どうしてもあっさりとしたピアノを弾く人が多く、それゆえ現状では、日本人ではあるがヨーロッパで育った女性ピアニスト、例えば内田光子や児玉姉妹、河村尚子などが優勢ではある。そんな中で小山実稚恵は一貫して日本で音楽教育を受け、海外への留学経験がないにも関わらず骨太の演奏を成し遂げることが可能な人である。1990年代に技巧派ピアニストとして注目を浴び、2000年の大河ドラマ「葵~徳川三代」では、シャルル・デュトワ指揮NHK交響楽団と共にオープニングテーマを奏でている。


ロームシアター京都サウスホールでピアノリサイタルを聴くのは初めてである。旧京都会館第2ホールを内部改装したロームシアター京都サウスホールであるが、以前よりステージを広くし、結果、客席は面積が減ったため、2階席を急勾配にするなどして客席数をなるべく多くする工夫がなされている。今日はその2階席の最後列、いわゆる天井桟敷での鑑賞である。
2階席はステージを真上から見下ろすような形になるため、2階席後方から自分の席のある列まで降りていく人は口々に「怖い」「あー、こわ」「高所恐怖症にはきつい」などと言う。
      
2階席後方に向かう階段は狭く、人とすれ違うことが出来ない。これだけでも使い勝手の悪さは想像して頂けると思うが、開演時間に遅れた人は、ホワイエではなく2階席後方で1曲目が終わるまで待機することになる。ホワイエから席に向かうと時間が掛かるためである。ということで、2階席最後列に座っていると、遅れて来たお客さんが後ろで袋をゴソゴソやっているのが聞こえたりして、余り気分が良くない。
ホールの音響が出来上がるのには10年ほど掛かるとされるため、響きを断言することは出来ないのだが、アコースティックはまずまずである。ただ抜群にいい音がするというわけでもないので、使い勝手を考えれば、京都コンサートホール小ホール「アンサンブルホール・ムラタ」やALTIの方がリサイタル会場としては向いているように思われる。
ロームシアター京都は「前川國男が設計した京都会館の外観を生かす」という制約があるため、自由にデザイン出来ないのである。


曲目は、ブラームスの6つの小品から第2曲「間奏曲」、第3曲「バラード」、第4曲「間奏曲」、シューベルトの4つの即興曲作品90、ショパンのノクターン第20番(遺作)、ワルツ第7番、ワルツ第6番「小犬」、ワルツ第2番「華麗なる円舞曲」、ショパンの「アンダンテ・スピアーナと華麗なる大ポロネーズ」、ショパンのピアノ協奏曲第2番より第2楽章「ラルゲット」(ピアノ独奏版)、ショパンのポロネーズ第6番「英雄」

小山実稚恵は、薄紅色のドレスで登場。私の座った席からは鍵盤と手の動きがよく見える。


ブラームスの6つの小品からの3曲は、いずれも拡がりのある美演である。

シューベルトの4つの即興曲作品90。
シューベルトの作品は独特の毒を持っているのだが、小山はそうした不吉な気配を表には出さず、端正なシューベルトを奏でている。設計のきちんとなされたピアノである。
後半の第1曲であるショパンのノクターン第20番(遺作)。映画「戦場のピアニスト」で知名度を上げた曲である。
小山のピアノであるが、この曲では情感は今一つ。哀感が上手く出ず、旋律がサラサラ流れてしまう。小山はウエットな曲目は余り得意でないようだ。

一方で、ショパンのワルツでは優れたメカニックとスケールの大きさを発揮して、ゴージャスな演奏に仕上げた。

小山というと、情熱を鍵盤に叩きつけるようなスタイルが特徴であるが、「アンダンテスピアーナと華麗なる大ポロネーズ」でも、前半のリリックなアンダンテより後半の堂々としたポロネーズ演奏の方が優れている。

ショパンのピアノ協奏曲第2番第2楽章「ラルゲット」。オーケストラ伴奏もピアノ独奏で奏でるように編曲したものである。青春の夢の羽ばたきを華麗に描き出し、未来への不安も顔を覗かせているが、仄かに香る哀愁は控えめ。小山はメランコリーを表に出すのは余り好きではないように思える。

ラストのポロネーズ第6番「英雄」。
日本人女性ピアニストとしてはトップレベルのメカニックを持つ小山だが、この曲では指が思うように動かず、前半に2度ほど「グシャリ」と潰れた和音が出ていたが、その後は立て直して、壮大にして情熱的な英雄ポロネーズの演奏となる。


アンコールは4曲あり、2曲目が終わって、「もう終了かな?」と思ったら、小山がピアノに向かって弾き出す。「今度こそ終わりかな?」と思ったらもう1曲という感じで弾かれた。

アンコール演奏であるが、終演後の掲示がなく、レセプショニストさんにアンコール曲目が書かれた紙を見せて貰ったが、発表すると問題になる可能性があるので公表は控える。4曲とも素晴らしい出来だったので残念なのだけれど。
曲目は明かさないが、1曲目のアンコール演奏は、生まれたばかりの風を思いっきり吸い込んだ時のような爽快感に溢れる演奏であった。

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