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2017年2月 1日 (水)

コンサートの記(270) ヤクブ・フルシャ指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団第504回定期演奏会

2016年12月8日 大阪・中之島のフェスティバルホールにて

午後7時から、大阪・中之島のフェスティバルホールで、大阪フィルハーモニー交響楽団の第504回定期演奏会を聴く。今日の指揮者は、チェコ出身のヤクブ・フルシャ。

曲目は、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番(ピアノ独奏:河村尚子)とショスタコーヴィチの交響曲第10番。


1981年生まれの若手指揮者であるヤクブ・フルシャ。東京都交響楽団首席客演指揮者として日本でもお馴染みである。今季(2016-2017)から名門バンベルク交響楽団の首席指揮者に就任。
プラハ芸術アカデミーで、イルジー・ビエロフラーヴェクとラドミル・エリシュカに師事し、チェコ国内で活躍。プラハ・フィルハーモニアの首席指揮者として知名度を上げ、現在では世界的な活動を行っている。
幸田浩子のアルバムにプラハ・フィルハーモニアと共に参加しており、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団や東京都交響楽団とも録音も行っている。

ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番でソリストを務める河村尚子(かわむら・ひさこ)はフルシャと同い年である。兵庫県西宮市生まれ。5歳の時に一家で渡独し、教育は全てドイツで受けている。最初のうちは日本人学校に通っていたが、後に自らの意思でドイツ語の学校に編入。ハノーファー国立音楽演劇大学大学院ピアノ・ソリスト課程を修了。エッセンのフォルクバング芸術大学の教授でもある。現在は、東京音楽大学ピアノ科の特任講師でもあり、同大学指揮科教授の広上淳一とも親しいようで、何度も共演しており、ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」の広上指揮京都市交響楽団との演奏はCDにもなっている。


今日のコンサートマスターは田野倉雅秋。ドイツ式の現代配置での演奏。


ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番。赤いドレスで登場したソリストの河村尚子は今日も怖ろしいレベルの演奏を展開する。
高度なメカニックを誇る河村だが、今日の演奏は技術面で優れているだけでは絶対に弾けない類いのものである。曲が進む毎に輝きを増していくピアノの音色にも驚かされるし、右手と左手が別々の生き物のように鍵盤上で疾駆する様には唖然とさせられる。音は立体感を持ち、感情が宿っている。
第2楽章の哀しみの表現も秀逸であり、「とんでもないレベルのピアニストになってしまったな」という印象を受ける。

フルシャ指揮の大阪フィルは、編成を一回り小さくし、ビブラートを抑えめにしたピリオド・アプローチでの演奏。にも関わらず、広いフェスティバルホールでかなり鳴らす。
チェロやコントラバスをしっかりと弾かせるピラミッドバランスの演奏。古楽を意識したティンパニの硬めの音も特徴である。


河村はアンコールとしてスカルラッティのソナタヘ長調K.17を弾く。フルシャもホルン奏者の前に腰掛けて河村の演奏を聴く。
「玲瓏」そのものだ。


ショスタコーヴィチの交響曲第10番。エキストラを多数入れての大編成での演奏。

フルシャの指揮は、指揮棒を持っていない左手の使い方が巧みであり、雄弁でもある。この曲ではジャンプを繰り返すなど、若々しい指揮姿が印象的である。
オーケストラを鳴らす術に長けたフルシャ。今日も大フィルを盛大に鳴らす。フェスティバルホールの音響は、ショスタコーヴィチを演奏するには実は最適である。大阪市北区と福島区の間にあるザ・シンフォニーホールは優れた音響のホールだが、空間が小さく残響が長いため、最強音で鳴らすと音が飽和してしまうだろう。フェスティバルホールはその心配はない。

ラストもジャンプで決めたフルシャ。実は今日は客の入りはそれほどでもなかったのだが(日本では若い指揮者が振る演奏会は入りが余り良くないことが多い)、聴衆は盛んな拍手でフルシャと大フィルを讃えた。

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