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2017年2月14日 (火)

コンサートの記(275) 広上淳一指揮 第12回・京都市ジュニアオーケストラコンサート

2017年2月5日 京都コンサートホールにて

午後2時から第12回京都市ジュニアオーケストラコンサートを聴く。指揮は、京都市ジュニアオーケストラ・スーパーヴァイザーの広上淳一。

2016年4月1日時点で満10歳以上22歳以下の京都市在住・通学の青少年を対象に、オーディションで選ばれたメンバーから構成される京都市ジュニアオーケストラ。誕生日を迎えて、23歳になったメンバーも何人もいる。最年少は誕生日を迎えて11歳である。京都市交響楽団のメンバーが演奏指導を行い、若手指揮者の喜古恵理香(きこ・えりか)と鈴木衛(すずき・まもる)が合奏指導を行った。

オール・フランス・プログラムで、ビゼーの「アルルの女」第1組曲と第2組曲(エルネスト・ギロー編曲)、ベルリオーズの幻想交響曲が演奏される。


開演30分前からロビーコンサートがある。ヘルマンの「3つのヴァイオリンのためのカプリッチョ」、ルクレールの「2つのヴァイオリンのためのソナタ」、ドヴォルザークの「弦楽セレナード」から第1楽章と第2楽章が演奏された。
井伊さんという苗字の女の子が出ていたが、あの彦根井伊氏の家系なのだろか。


ビゼーの「アルルの女」第1組曲、第2組曲。広上は「行きまーす!」というような言葉を発しながらステージに登場(実際になんと言っていたのか聞き取れなかった)。
京都市ジュニアオーケストラは毎年メンバーが異なる。今年は、弦は厚みはないものの輝きがあり、木管も整っているが、金管はちょっと粗めである。
広上は生き生きとした音楽を京都市ジュニアオーケストラから引き出す。自在な指揮をする広上だが、今日は「カリオン」の冒頭を3つにきっちり振るなど、青少年オーケストラ相手ということで、普段よりはわかりやすい指揮をしていたようだ。
「ファランドール」では、広上はラストに向けて金管を煽り、興奮度満点の演奏を生み出していた。


ベルリオーズの幻想交響曲。弦が燦々と輝き、怪しい響きも生む。ただ、厚みは十分ではないため、第1楽章のクライマックス、第4楽章、第5楽章などでは管の勢いに負けてバランスは悪くなっていた。
第1楽章では、コントラバスのピッチカートの後にパウゼを長く取ったのが印象的。第2楽章はコルネット入りの編成で華やかである。

第3楽章のコーラングレ(イングリッシュホルン)とオーボエの掛け合いでは、オーボエはポディウムの後方、パイプオルガンの横に立って吹いた。

第4楽章と第5楽章では、ティンパニが独特の響きを出す。おそらく皮の張り方を変えているのだろ。広上はジャンプを繰り出すなどダイナミックな指揮。第5楽章でクラリネットとフルートがグロテスクに変わった「恋人の主題」を吹く際に、頭の上で両手を広げ、頭頂部に耳のある化け物の姿を真似ているようなおどけた指揮をしていた。打楽器の強打とと金管の強烈な咆哮もあり、迫力満点の演奏である。青少年オーケストラの演奏としてはかなりの上出来だと思う。
なお、第5楽章の鐘は、舞台袖ではなく、舞台上下手奥寄りで叩かれた。


カーテンコールでは、広上は合奏指導の鈴木衛と喜古恵理香(二人とも東京音楽大学指揮科卒で、広上の弟子である)を連れて登場。広上は「セコムちゃん、喜古ちゃん」と呼ぶ。鈴木は名前が衛(まもる)なので、「衛=守る=セコム」というあだ名になったと広上は語る。更に「キコというのは下の名前ではなくて苗字です。喜古恵理香」と喜古を紹介する。

鈴木は、「客席で聴いていたのですが、感動しました」と語り、喜古は、「8月から練習していて、上手くいく日もいかない日もあって。でも今日演奏する姿を見たら涙が止まりませんでした。隣の席の方、すみません」と語った。

広上は、「プロ顔負けの演奏で、『まいったな』と思いながら指揮してました。元々は聴衆を増やそうという目的で始めたのですが、10年ぐらいやれば演奏していた子が音楽好きになって京都市交響楽団の定期会員が増えるんじゃないかと思って」と鮭の稚魚放流のような話をしていた。
更に、「ヨーロッパでは、きちんとした都市には必ずオーケストラがあるわけです。オーケストラは文化都市の顔。日本で今、一番それに近いのが京都だと思います」と広上は述べる。


アンコールは、アンダーソンの「フィドルファドル」。前半を鈴木が、後半を喜古が指揮する。広上は舞台下手でピアニカを演奏していた。
管楽奏者は全員起立しての演奏。鈴木の指揮も喜古の指揮も拍を刻む端正なもの(リハーサルの時間が取れなかった可能性もある)。広上の吹くピアニカの音もよく聞こえた。

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