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2017年2月20日 (月)

これまでに観た映画より(87) 「竜馬暗殺」

大分前に録画しておいた日本映画「竜馬暗殺」を観る。黒木和雄監督作品。1974年の映画である。脚本:清水邦夫&田辺泰志、音楽:松村禎三。出演:原田芳雄、石橋蓮司、松田優作、中川梨絵、桃井かおり、田村亮ほか。
16ミリモノクロ映像であり、トーキーであるが黒バックに白抜き文字で字幕が入るなど、活動写真を意識した作りになっている。

慶応三年十一月十三日から竜馬が暗殺される十一月十五日までの三日間を描くフィクション。

坂本竜馬(原田芳雄)が、近江屋の土蔵に移る場面から始まる。
中岡慎太郎(石橋蓮司)は、近江屋の娘の妙(桃井かおり)を寝取られた恨みから竜馬を斬ろうとしている。近江屋の土蔵に竜馬が潜伏先を移すように仕向けたのも土佐藩邸から遠ざけるためであった(これは事実とは異なり近江屋は土佐藩邸の目の前である)。
竜馬は寺田屋で幕吏二人を殺害したかどで指名手配されているのだが、人相書きを竜馬は「真情あふるる軽薄な顔をしちょる」と言う。「真情あふるる軽薄」というのは脚本を手がけた清水邦夫の出世作「真情あふるる軽薄さ」(蜷川幸雄演出の舞台)から取られた遊びである。

近江屋の土蔵に入るとき、竜馬は向かいの家の女、幡(中川梨絵)を見て惹かれる。その後、男と女の関係になる竜馬と幡だったが、幡は新撰組隊士の情婦であった。

幡の弟である右太(うた。松田優作)は薩摩藩士に頼まれて竜馬を暗殺するべく狙っている。

かくて、中岡慎太郎、右太、薩摩藩に狙われている竜馬は微妙なバランスの上で生きている。中岡慎太郎とも右太とも時には味方、時には敵だ。

「ええじゃないか」の喧噪が溢れるなか。竜馬は変装して中岡慎太郎を探しに出かける。途中で右太を捕まえ、変装させて、陸援隊士から迫られて窮地に陥っている中岡を連れ出し、中岡も変装させる。

そして運命の十一月十五日。風邪を引いた竜馬は土蔵から近江屋の母屋の2階に移る。竜馬は中岡に「幕府を倒すのは薩長に任せちょけ」と言った上で、「その上で薩長を討つ」と真意を打ち明けるのだった……。


原田芳雄の色気ある竜馬だけが語られることの多い映画だが、確かに原田芳雄の男くさくも色気満点の竜馬は魅力的である。ただ、薩長に幕府を討たせた上で薩長を討つと語る竜馬像はありそうでなかなかなかったものであり、新鮮に映る(史実ではないと思われるが)。

墓地でのロケが多いが、近江屋の裏手は寺町で墓地がたくさんあったという事実もあるが、生と死の近しさが暗示されているようでもある。

坂本竜馬は近眼という設定であるが、これは司馬遼太郎の小説『竜馬がゆく』で語られたフィクションである。竜馬の視力についてはわかっていないが、目が悪かったという証言はなく、庶民でも眼鏡を掛けることがさほど珍しくなかった時代だが、竜馬が眼鏡を持っていた形跡もない。また船を操る海援隊の隊長であったことから視力に問題はなかったのではないかと思われる。
また竜馬が二年前から革靴(ブーツ)を履いているという設定になっているが、有名な写真は写真館にあったブーツをたまたま履いて撮影したもので、日頃からブーツを愛用していたという事実はない。そもそも、身長が170cm以上はあった大男(当時の成人男性の平均身長は150cmちょっと)で目立つため、更に目立つブーツを履くような愚行はしない。

この映画では、刺客は中村半次郎(外波山文明)ら薩摩藩の手のものという設定になっている。薩摩を討つ計画が露見していたということである。

松村禎三のギターなどを中心としたジゴロな雰囲気の音楽も実に良い。

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