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2017年5月20日 (土)

観劇感想精選(213) 「エレクトラ」

2017年4月29日 兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールにて観劇

午後6時30分から、兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールで、「エレクトラ」を観る。
女版エディプス(オイディプス)・コンプレックスであるエレクトラ・コンプレックスの語源としても有名な「エレクトラ」。ただギリシャ悲劇に限っても「エレクトラ」という作品はソフォクレス(ソポクレス)とエウリピデスのものがあり、更にアイスキュロスらによるエレクトラを巡るギリシャ悲劇が複数ある。
今回は、アイスキュロス、ソポクレス、エウリピデスらのギリシャ悲劇を中心に、笹部博司が上演台本を制作し、鵜山仁が演出を手掛ける。出演は、高畑充希、村上虹郎、中嶋朋子、横田栄司、仁村紗和、麿赤児、白石加代子。
りゅーとぴあ(新潟市民文化芸術会館)の製作。

舞台下手袖に演奏のための空間があり、チューブラーベルズ、プリペアードピアノなどが生演奏される。

舞台中央にトーテムポールもしくはオベリスクのような柱が一本立っている。トロイア戦争の時代、ミュケナイの王・アガメムノン(麿赤児)の一人語りで物語り始まる。トロイアの王子・パリスがギリシャの王女・ヘレネを掠い、トロイアへと行ってしまったことからトロイア戦争が起こる。トロイアに向かおうとしてギリシャ軍だが風が止んでしまい、船が進まない。ここでアガメムノンはアルテミス神から長女のイピギネイアを生贄として捧げるようお告げを受かる。イピギネイアを生贄として差し出さない場合はギリシャ軍は進退窮まる。そこでアガメムノンは託宣通りイピギネイアを生贄として差し出した。だが、これにアガメムノンの妻でイピギネイアの母であるクリュタイメストラ(白石加代子)が激怒。クリュタイメストラは情夫であるアイギストス(横田栄司)を使ってアガメムノンを暗殺する。
アガメムノンとクリュタイメストラの次女であるエレクトラ(高畑充希)は母であるクリュタイメストラを毛嫌いしている。クリュタイメストラはアイギストスと再婚し、次女・エレクトラと三女のクリュソテミス(仁村紗和)は隠忍自重の日々。エレクトラの憎悪は日毎に増すばかりだ。
使者(麿赤児二役)に連れられて、オレステス(村上虹郎)がミュケナイに戻ってくる。エレクトラとクリュソテミスの実弟であるオレステスは他国に亡命していたのであるが、アポロン神の神託を受け、実父を殺害したクリュタイメストラとアイギストスに復讐しに来たのだ。アポロン神は「オレステスが死んだ」と偽の情報を流すことで王室を油断させるようオレステスに告げていた。

アイギストスの宮殿でエレクトラとクリュタイメストラが言い争いをしている時に、使者がやって来て、オレステスが死んだことを告げ、オレステスの最期をまことしやかに語る。オレステスによる復讐を唯一の生き甲斐にしていたエレクトラは絶望。「もう生きていたくない」とまで語る。
そこへクリュソテミスが、「オレステスが帰ってきた」と言いながらアイギストスの宮殿へ。クリュタイメストラに命じられてアガメムノンの墓を清めに行ったクリュソテミスは墓に髪の毛が手向けられているのを見て、オレステスの帰還を確信したのだ。本気にしないエレクトラだったが、やがて配達夫に扮したオレステスがアイギストスの宮殿に入ってくる。長い間、顔を合わせていなかったため、お互いが実の姉弟だと気づかないエレクトラとオレステスだったがやがて……。

第1幕の上演時間が約1時間40分、休憩を挟んで第2幕の上演時間が約1時間。第1幕がよく知られているソフォクレスの「エレクトラ」の筋書きであり、第2幕はそれとは別の物語が続く。
ギリシャ悲劇が原作であるがラストは悲劇的ではない。エレクトラの「この世に幸福の国を築きたい。それが私の希望、それが私の夢」という一人語りで芝居は終わる。

高畑充希は憑かれたような演技を見せるが、一つ一つの仕草や台詞回しがきちんと計算されたものであり、上手くコントロールされていることがわかる。全ての演技が方程式を解くように解明出来るからである。ということで、彼女は憑依型の女優ではないようだ。「実力派」として知られる高畑だけに、神経の行き届いた迫力のある演技を展開する。
ミュージカル女優として期待されている高畑なので、やはり歌のシーンがある。これはその直後に笑いの要素に変えられる。

白石加代子と麿赤児の存在感も流石。この世代の俳優はただいるだけで、ある意味、異種の空気を作り上げることが出来る。
中嶋朋子の安定感のある演技も優れていたし、村上虹郎と仁村紗和という二人の若手俳優の演技も新鮮だった。横田栄司は二役を演じたがが、いずれも出番は少なめ。アイギストスを演じていた時にはそれをネタにしたセリフもあった。


カーテンコール。高畑充希は、「私は大阪出身なので、親戚一同が、今日、来てます」と言い、これが初舞台でこれまた大阪出身という仁村紗和は、「素敵な観客の皆さんを前に、尊敬する先輩方と舞台に立つことが出来て幸せです」というようなことを述べた。

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