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2017年5月13日 (土)

コンサートの記(298) アラン・ギルバート指揮 東京都交響楽団大阪特別公演2017

2017年4月23日 大阪・中之島のフェスティバルホールにて

午後2時から、大阪・中之島のフェスティバルホールで東京都交響楽団の大阪特別公演を聴く。今日の指揮者は日米ハーフのアラン・ギルバート。ニューヨーク・フィルハーモニックの音楽監督であり、NHK交響楽団へたびたび客演していたことでも知られる。1967年生まれ。現在、ジュリアード音楽院指揮・オーケストラ科ディレクター、ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団桂冠指揮者、NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団首席客演指揮者も務めている。

今日のコンサートマスターは矢部達哉。ドイツ式現代配置での演奏である。今日の都響男性団員は大半が燕尾服ではなく背広姿である(全員背広に見えたのだが、全ての男性楽団員を確認出来たわけではない)。

曲目は、ベートーヴェンの劇付随音楽「エグモント」序曲、ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」(ピアノ独奏:イノン・バルナタン)、ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」

開演前にステージ上でティンパニ奏者が練習していたのだが、音色が硬かったため、ベートーヴェンではピリオド・アプローチが行われることがわかった。


ベートーヴェンの劇付随音楽「エグモント」序曲。ギルバートはベートーヴェンは「エグモント」も「英雄」も暗譜で指揮した。
弦楽器はビブラートを控えめにして、ボウイングもピリオド特有のものである。ピリオドのためか、音色が若干乾き気味である。
ギルバートの指揮は指揮棒を持たない左手を右手と同じぐらい多用するのが特徴。拍を刻むのではなく、音型を指揮棒で示していくタイプである。両手よりも上体の動きで指揮することもある。
バランス感覚も良く、やや地味ながら好演であった。


ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」。ピアノ独奏のイノン・バルナタンは、1979年、イスラエルのテルアビブ生まれのピアニスト。ニューヨーク・フィルの初代アーティスト・イン・レジデンスを務めたそうである。
バルナタンはピアノをバリバリ弾くタイプではく、音を丁寧に置いていく感じだが、技巧にはキレがあり、ロマンティシズムの表出も上手い。
ギルバート指揮の都響は十全とは言えないかも知れないが、甘美な音色を生んでいたように思う。


メインであるベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」。ギルバートは、第1楽章、第3楽章、第4楽章ではピリオドとしては平均的な速度を採用。第2楽章「葬送行進曲」はピリオドとしてもやや速めである。
弦楽は「エグモント」よりもビブラートを更に抑えた演奏。時折、完全ノンビブラートで生み出される響きが美しい。
ギルバートは管楽器を浮かび上がらせるのが上手く、都響の管楽器も巧者揃いである。特に金管は全員腕利きだ。
今日のギルバートは、残響2秒程度というフェスティバルホールとしては理想的な残響時間を生んでいたが、ゲネラルパウゼを長めに取るのも特徴。今日は私は3階席の4列目、下手端の方で聴いていたが、あるいは指揮台の上ではもっと残響が長く聞こえたのかも知れない。

第1楽章の主題行方不明は原譜通り採用。ギルバートは木管を強調することはせず、本当に行方不明のように聞こえた。意図的にそうしたのかも知れない。

第2楽章には「タタタタン」という、後に交響曲第5番で使用される「運命動機」の原型が聴かれるのだがギルバートはそれを強調することはなく、主題を吹く管楽器の方を優先させていた。

第3楽章と第4楽章の間はアタッカで繋いだギルバート。見通しの良い端正な仕上がりで、ベートーヴェンがモーツァルトから受けた影響なども際立たせて、アポロ芸術的な「英雄」となった。

カーテンコールでは、ギルバートは最後は客席に向かって手を振り、コンサートはお開きとなった。

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