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2017年7月21日 (金)

コンサートの記(310) 「アルディッティ弦楽四重奏団×白井剛」

2017年6月23日 左京区岡崎のロームシアター京都サウスホールにて

ロームシアター京都サウスホールで、午後7時から「アルディッティ弦楽四重奏団×白井剛」を聴く。現代音楽のスペシャリストとして知られるアルディッティ弦楽四重奏団とコンテンポラリーダンスの白井剛(しらい・つよし)のコラボレーション。
アルディッティ弦楽四重奏団の演奏を聴くのは初めて。白井剛のダンスを見るのは約12年ぶりである。

前半は、アルディッティ弦楽四重奏団のみの演奏で、クルタークの「ミハーイ・アンドラーシュへのオマージュ~弦楽四重奏のための12のミクロリュード~」、細川俊夫の「沈黙の花」、リゲティの弦楽四重奏曲第2番。後半がアルディッティSQと白井剛のジョイントで、クセナキスの「ST4」、「Ikhoor for torio」、「Terras」。


今日は前から4列目のほぼ真ん中。音はよく聞こえるが、魅力的な響きというほどではない。今日はダンスとのコラボであるが、弦楽四重奏のみの演奏をするには、京都だとアンサンブルホール・ムラタやALTIの方が良いように思う。

アルディッティ弦楽四重奏団のメンバーは眼鏡率が高い。第2ヴァイオリンのアショット・サルキシャン、ヴィオラのラルフ・エーラース、チェロのルーカス・フェルスが眼鏡を掛けており、第1ヴァイオリンのアーヴィン・アルディッティも演奏時には老眼鏡を掛けるので、全員が眼鏡だ。
そんなアルディッティ弦楽四重奏団の演奏であるが、流石の切れ味を聴かせる。


クルターク・ジェルジ(ジェルジ・クルターク)の「ミハーイ・アンドラーシュへのオマージュ~弦楽四重奏のための12のミクロリュード」。細切れの和音が続く。12の短い音楽が紡ぎ出され、1編1編があたかも俳句を聴くような趣がある。


細川俊夫の「沈黙の花」。生け花と能楽にインスピレーションを受けた作品である。弦の歌が能楽の謡のように聞こえ、ピッチカートが鼓のように響く。日本的な「好み」を聞き取るという上ではわかりやすい作品である。


リゲティ・ジェルジ(ジェルジ・リゲティ)の弦楽四重奏曲第2番。
今日演奏された作品の中で最も絶対的な作品である。そのため「見立て」や「直喩」が出来ないのであるが、響きの重なりの中に美を見いだすことは可能である。


クセナキスの楽曲によるアルディッティ弦楽四重奏団とコンテンポラリーダンサーの白井剛によるセッション。幕が上がると、舞台の奥には譜面台が並ぶ。中央やや上手より奥には譜面台がごちゃごちゃに固まった場所もある。

音楽史上、最も厳格に数学理論を音楽に持ち込んだクセナキス。建築にも詳しく、パリ時代には建築家のル・コルビジェの助手を務めたこともある。
坂本龍一がクセナキスに憧れ、東京芸大在学中に、クセナキスの理論に独学でものにしようとしたが果たせず、ポピュラーミュージックへ転向したという話は比較的知られている。

数学的発想から生まれたのかどうかはわからないが、クセナキスの音楽からはミニマル・ミュージックへの萌芽やロックの先駆けともいうべきリズム要素が聴かれ、ポピュラーミュージシャンにクセナキス好きが比較的多いということも、こうした要素から見れば納得出来る。


現代音楽とコンテンポラリーダンスというと、ともに「絶対」指向のものであるため、互いが互いを隔て合うような、独特の感じになりやすい。そこに調和はないし、安易な調和は音楽と肉体のお互いのパフォーマンスを低下させるだろう。

白井剛は、基本的には音楽に合わせて踊る。ピッチカートが続けば細かく手を動かすし、長めの歌にはそれに合うようなゆったりとしたテンポで踊り、音楽の中にあってより遠くを目指すような仕草をする。

ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラの3台の楽器のために書かれた「Ikhoor」は、冒頭はストラヴィンスキーの「春の祭典」にもよく似たバーバリズムの横溢である。ただ白井はそれとはまた別の要素を見いだしたようで、野性味爆発というより、死の目の前であがく何かの姿を丹念に演じているように見えた。


「Tetras」。この曲では白井がアルディッティSQの前に出て踊り、よりコラボレーション色が強く出る。わかりやすい音楽ではないが、リズムはノリがあり、激しい変拍子の応酬というわけでもないので、踊りやすい曲ではあると思う。

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