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2018年1月17日 (水)

三善晃 こどものピアノ小品集「海の日記帳」 ふたたび

三善晃は私にとって特別な作曲家である。

東京大学文学部仏文科在学中にパリ国立高等音楽院(パリ音楽院。コンセールヴァトワール・パリ)に留学した三善は、東京芸術大学や桐朋学園大学の教員を務めながら作曲活動を開始、支倉常長を主人公にした歌劇「遠い帆」(余談であるが、初演の総監督を務めた故・観世榮夫は私の師の一人であり、2013年の上演で演出を務めている岩田達宗とは知り合いである)、交響三章などのほか、札幌オリンピックのファンファーレやNHK大河ドラマ「春の坂道」の音楽なども作曲している。

そんな三善の作品の中から、今日はピアノ曲集「海の日記帳」を紹介しようと思う。

楽譜「海の日記帳」

「海の日記帳」は、子供のために書かれたピアノ曲集であり、技巧的には平易なものが多い。ただ、「子供のためのピアノ曲は退屈なものが多い」と考えていた三善はこうした楽曲にも本気で取り組み、弾くのは平易で聴き映えのする音楽を作曲。子供たちに親しまれるだけでなく、プロのピアニストもこの曲集の音楽をコンサートで取り上げるほどのクオリティの高さを誇るものを書き上げた。

下にYouTubeの映像を張ってあるので、それをお聴きいただくとして、音楽以外のこの曲集の特徴としては、詩的なタイトルが挙げられる。「海のゆりかご」、「波が二人で……」、「シシリー島の小さな貝がら」、「海の弔列」、「沈んでいった鍵盤」、「シレーヌの機織り歌」、「手折られた潮騒」、「磯波のキャプリス」、「波のアラベスク」など題名を見ただけでどんな曲なのか聴きたくなる楽曲が目白押しであり、曲の内容もそれに十二分に応えるものである。

子供にピアノを教えるならバイエルやブルグミュラーよりも「海の日記帳」を用いたレッスンの方がずっと効果的であるように思われる。

このピアノ曲集には、三善晃が演奏したCDが出ており、三善のピアノ演奏の記録という意味でも貴重なものになっている。

実は私の戯曲「海のソナタ」は、「海の日記帳」に大いにインスパイアされたものである。劇中で実際に主人公が「海の日記帳」の曲を奏でるシーンも存在する。

 

 

 

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