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2018年2月 2日 (金)

楽興の時(19) 京都市交響楽団指揮者による音楽ワークショップ「指揮者のお仕事! ハーモニーって?」 高関健指揮墨染交響楽団リハーサル

2018年1月29日 京都・丹波橋の京都市呉竹文化センター ホールにて

午後7時から、丹波橋にある京都市呉竹文化センター ホールで、京都市交響楽団指揮者による音楽ワークショップ「指揮者のお仕事! ハーモニーって?」を見学。今回は京都市交響楽団常任首席客演指揮者である高関健が、アマチュアオーケストラである墨染交響楽団を指揮して、メンデルスゾーンの交響曲第3番「スコットランド」第1楽章のリハーサルを行う。

墨染交響楽団は2006年の結成。京都市伏見区墨染に本拠を置き、京都市呉竹文化センターの指定団体にもなっている。

今回も女性司会者が登場し、いかにもお役所的なコメントで進めていく。京都市交響楽団と京都市呉竹文化センターの主催なのでこうなってしまうのだろう。広上淳一だったら突っ込みを入れていただろが、高関なのでとくにそういうこともない。

高関は半袖シャツで登場。「一人だけ季節が違って見えますが、指揮していると暑くなりますので」と述べ、「今日が初顔合わせ。リハーサルもしていないのでどうなるのかわかりません。マイクがあるので聞こえると思いますが、何を話すのかもわかりません」と語った。

高関はノンタクトでリハーサルを開始。後でわかったのだが、今日の午前と午後に京都市交響楽団を指揮して京都コンサートホールで「京都市の小学生のための音楽鑑賞教室」を行い、そこから呉竹文化センターに移る際に指揮棒を持ってくるのを忘れてしまったそうである。

まず冒頭から第2主題が登場した少し後まで通す。バランスは滅茶苦茶。各楽器ともぎこちない。この状態から指摘を加えて、発表出来る水準まで持って行く。持ち時間は1時間ほど。その後、第1楽章を通して発表演奏(のようなもの)を行う。

まず冒頭では、互いの音をよく聴くように指摘。「指揮者に合わせようとしても合いません」と語る。4拍子と16拍子合わせ方や、レガートの築き方など述べ、ピアノの指定では「ピアノでしょ、ピアニシモじゃないでしょ」と音が痩せ気味であることを指摘する。一方、第1ヴァイオリンがピアニシモの指定で洗練度の不足した音を出した時には小声で「ピアニシモなんですけど」と囁くように言って、きめ細かな演奏を促していた。

指摘が入った直後から墨染交響楽団の合奏がメキメキと上達。高関の指揮者としての確かな腕が感じられる。
その後、ヴィオラとチェロが同じメロディーを奏でる部分では、「チェロとヴィオラが合わせるときは一段階弱くしないといけない」と語り、「書かれた当時はそのままで良かった。多分、ヴィオラが弱かったんでしょう。今はヴィオラ上手いので」ということで譜面をそのまま演奏しただけでは上手くいかないこともわかる。高関はTwitterでスコアリーディングの結果を発表しており、様々な発見があることがわかる。

「急がない」ようにという指摘もあり、「ここは一番速い人が勝ちじゃありません」と語って、必要以上の加速でアンサンブルを乱さないよう要求し、別の場面では「自分の出番が終わっても気を抜かないように」「スーパーマリオと一緒。私は上手くないけれど。あなた達の方が上手いでしょう。一つ飛び越えたと思って油断してたらすぐやられる」

ちなみに「スコットランド」交響曲の思い出を語る場面もあり、「高校2年生の時、初めて第2ヴァイオリンとしてオーケストラで演奏したのがこの曲だったんです。先生に滅茶苦茶怒られた。『お前出て行け! 外でさらってこい』って言われた」そうである。

チェロがメロディーを歌う場面では、「ここがメンデルスゾーンが書いた一番美味しい旋律でしょ。クリームたっぷりにチーズが入った。だから(もっとはっきり弾かないと)勿体ない」「ここがチェロが一番美味しいところでしょ。ハンバーガーにアボカドとチーズを加えた。向こう(第1ヴァイオリン)は普通のハンバーガー。(客席に)ハンバーガーにアボカドとチーズを加えたってわかります?」「メンデルズゾーンのチェロ協奏曲だと思って」と指示していく。

そんなこんなで指摘するたびにアンサンブルの精度と音の密度が上がっていく。日本の第一線で活躍している指揮者の実力はやはり伊達ではない。

第1楽章のリハーサルを終えたところで質問コーナーが設けられ、ここで高関が指揮棒を忘れてきたことが明かされる。指揮棒を持っての指揮とノンタクトの指揮での違いだが、高関自身は「あまり変わらない」と思っているそうだが、「ただし合唱を指揮するときは指揮棒なしで振った方がやりやすいように思います。100人以上のオーケストラの時は、指揮棒があった方が見やすいようです」と語った。

ちなみに高関が指揮者を志したのは小学校5年生の時だそうで、楽譜を買ってきたため覚えているという。買ってきたのはカバレフスキーの「道化師」の総譜。運動会で良く流れる「ギャロップ」が有名な曲である。


メンデルスゾーンの交響曲第3番「スコットランド」第1楽章の演奏。アマチュアオーケストラの演奏ということで、低弦が掠れたような音を出したり、木管が感興を欠いたような吹き方をしたりという欠点もあったが、リハーサル冒頭と同じ団体の演奏とは思えないほどの水準に達してはいた。これぞプロの指揮者の技である。

最後にまた女性司会者が登場して、お役所的な紹介(3月には下野竜也指揮による吹奏楽のワークショップがあること、スプリングコンサートのこと)がある。その間、高関も墨染交響楽団の団員も手持ちぶさたの様子。一々言わなくてもいいいような紹介なのだが、お役所なのでやらないと気が済まないのだと思われる。

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