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2018年2月19日 (月)

コンサートの記(346) 京都フィルハーモニー室内合奏団室内楽コンサートシリーズ vol.65「ドラマチック・ロシア」

2018年2月15日 京都府立府民ホールALTIにて

午後7時から、京都府立府民ホールALTI(アルティ)で、京都フィルハーモニー室内合奏団室内楽コンサートシリーズ Vol.65「ドラマチック・ロシア」を聴く。

京都フィルハーモニー室内合奏団は、定期演奏会でも比較的珍しい曲を取り上げることが多いが、室内楽シリーズでは更にマニアックな曲をプログラミングしてくる。今日演奏される曲も実演でもCDでも聴いたことがないものばかりである。

曲目は、バラキレフの八重奏曲、グリンカの悲愴三重奏曲、エワルドの金管五重奏曲第4番、プロコフィエフの五重奏曲。曲目はトランペットの西谷良彦が監修したものだという。

出演メンバーは、岩本祐果(ヴァイオリン)、中野祥世(ヴァイオリン。契約団員)、松田美奈子(ヴィオラ)、佐藤響(チェロ)、金澤恭典(かなざわ・やすのり。コントラバス)、市川えり子(フルート)、岸さやか(オーボエ)、松田学(クラリネット)、小川慧巳(おがわ・えみ。ファゴット)、御堂友美(みどう・ゆみ。ホルン)、西谷良彦(トランペット)、白水大介(しろず・だいすけ。トランペット。客演)、村井博之(トロンボーン)、藤田敬介(チューバ。客演)、初瀬川未雪(はつせがわ・みゆき。ピアノ。客演)

バラキレフの八重奏曲。曲前のトークは中野祥世が受け持つ。バラキレフは早熟であり、この曲も13歳の時に書き始めている。ただバラキレフは遅筆であり、完成までに6年を要したそうである。
フルート、オーボエ、ホルン、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、ピアノという編成。
バラキレフは西欧の音楽を真似るのではなくロシアならではの音楽を書くことを目指し、ロシア五人組の頭目となった人物だが、初期作品ということもあり、西欧の古典派からの影響が濃厚である。ただ、木管の旋律などにはバラキレフの個性がすでに現れている。

グリンカの悲愴三重奏。クラリネット、ファゴット、ピアノの編成による曲。グリンカがイタリアに留学していた時代に書いた作品だそうで、松田学のトークによるとオペラ的な要素が感じられる曲だそうである。なお、2月15日はグリンカの命日だそうだが、これは偶然であり、曲目が決まってから会場を押さえるそうなのだがALTIが空いていたのがたまたま2月15日だったようである。
旋律が豊かであるが若書きということもあり、特に魅力的な作品とはなっていないような印象を受ける。

エワルドの金管五重奏曲第4番。トロンボーン奏者の村井博之のトーク。「エワルドという作曲家を知っている人は金管奏者に限られると思います」と語る。
トランペット2、ホルン、トロンボーン、チューバという編成。演奏時間30分の大曲である。
結構、高音を強調する傾向がある。金管の合奏だけに輝かしさがあり、旋律にも魅力がある。

プロコフィエフの五重奏曲。プロコフィエフだけは20世紀に活躍した作曲家である。1891年生まれだがこれはモーツァルトが死んでから丁度100年目に当たる。また逝去したのは1953年3月5日だが、全く同じ日にスターリンが他界している。ということで生年はモーツァルトの影に隠れ、没年月日はスターリンの方に注目が行くという不運の作曲家と見なされることもある。
ヴァイオリンの岩本祐果のトーク。ロシア革命を受けてアメリカへの亡命を決意したプロコフィエフはシベリア鉄道に乗って東へと向かう。アメリカへの途中に日本にも寄っているのだが、京都にも来ており、祇園に行ったそうである。五重奏曲は、オーボエ、クラリネット、ヴァイオリン、ヴィオラ、コントラバスという編成で演奏されるが、こうした編成による五重奏曲は他にはほとんど例がないそうである。元々は「空中ブランコ」というサーカスのための音楽として書かれたものだが、今では室内楽曲として定着しているようだ。

個性的な音楽を書いたプロコフィエフ。五重奏曲もキュビズムの絵画の中に迷い込んだような趣を持つ。美しさ、崇高さ、野性的な部分、キッチュな要素などが渾然一体となった音世界である。

アンコールとして金澤恭典編曲による、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲より第2楽章が演奏された。

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