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2018年3月 2日 (金)

観劇感想精選(231) 兵庫県立ピッコロ劇団第60回公演「マルーンの長いみち ~小林一三物語~」

2018年2月27日 西宮北口の兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールにて観劇

午後7時から、兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールで兵庫県立ピッコロ劇団第60回公演「マルーンの長いみち ~小林一三物語~」を観る。阪急、宝塚歌劇団、東宝の創業者である小林一三(いちぞう。「かずみ」と読んだ場合はケラリーノ・サンドロヴィッチの本名になる)の一代記。「マルーン」とは「栗」のことであり、阪急電車の車両の色を表している。作:古川貴義、演出:マキノノゾミ。出演:瀬川亮(客演)、若杉宏二(客演)、平井久美子、平みち(特別客演)、今井佐和子、岡田力(おかだ・つとむ)、木全晶子(きまた・あきこ)、菅原ゆうき、孫高宏、橘義(たちばな・ただし)、野秋裕香(のあき・ゆか)、浜崎大介、三坂賢二郎、森万紀、吉村祐樹ほか。吉村祐樹演じる小西酒造の小西新右衞門を狂言回しとして物語は展開される。

幕が上がると、出演者達が総出演で、完全停止状態からゆっくりと動き出す。上手と下手に光で文字が浮かび上がり、小林一三の前半生が説明される。小林一三(この劇では瀬川亮が演じる)は1873年1月3日、山梨県北巨摩郡韮崎町(現在の韮崎市)生まれ。誕生日の1月3日にちなんで一三と名付けられている。慶應義塾(この当時はまだ大学ではなく各種学校から旧制専門学校に昇格したばかり)を卒業後、新聞記者を志すも果たせず三井銀行に入社、大阪支店に勤務。この時代に後に夫人となる丹羽コウ(この劇では平井久美子が演じる)と出会っている。名古屋支店に転勤後、再度大阪へ。物語はこの時、小林一三が数えで27歳の年に始まる。
小林はアキという女性と見合い結婚したばかりだが、早くも不仲であり、アキは東京の実家に帰ってしまう。三井銀行大阪支店に転勤したばかりの小林だが、早々に3日連続で無断欠席。実は小林は丹羽コウと有馬温泉に行っていたのだ。名古屋時代から小林の家政婦として働いている、かよ(今井佐和子)は小林とコウに結婚を勧める。

小林は東京に転勤。その後、北浜銀行の創設者である岩下清周(いわした・きよちか。演じるのは若杉宏二)に請われて新設の証券会社の支配人に着任すべく大阪に戻るが、折からの不況で話自体がなくなってしまい、34歳にして浪人生活に。小林は電鉄事業に可能性を見いだし、箕面有馬電気軌道(略称:箕有「きゆう」鉄道。現在の阪急宝塚線の前身)の設立に尽力。岩下清周はこの時、多額の設立資金を出資し、小林の要請により箕有鉄道の初代社長に就任する。
自身は箕有鉄道の専務となった小林。梅田から箕面を経て宝塚まで伸びる箕有鉄道であったが、箕面は田園地帯。必要性があって作られる鉄道ではあったが採算の取れる見込みはない。田舎を走るため「ミミズ列車」などと開業前から笑われていたが、小林は池田市を中心とした土地を買い上げ、そこに住宅街を作ることで街と乗客を一度に生み出すという奇策を発案、成功する。こうして鉄道事業を軸に乗せた小林は、宝塚に新たなレジャー施設を開設。室内プールをメインとするこの宝塚新温泉パラダイスは失敗に終わるが、丁度、流行っていた三越少年楽団にヒントを得て、室内プールを劇場に改装した宝塚少女歌劇(現在の宝塚歌劇団)の第1回上演「どんぶらこ」(桃太郎を題材にした喜歌劇)は大成功を収める。その後も、豊中グラウンドでの全日本中等学校野球選手権大会(現在の全国高等学校野球選手権大会の前身)、宝塚での職業野球チームの結成(のちの阪急ブレーブス)、ビジネス街であった梅田に阪急百貨店を創設するなど、アイデアを次々を形にしていく。私利私欲と誹られることもあったが、小林は岩下の「実業家には二種類ある。一つ目は金銭を第一に考えるもの。二つ目は国民の幸せを願うもの」という言葉を胸に、「二つ目でありたい」と強く願っていた。

谷崎潤一郎や大澤壽人などに代表される阪神間モダニズムそのものの生みの親ともいうべき小林一三。阪神間に限らず、関西地方在住なら観ておきたい芝居である。劇そのものはともかくとして小林一三という男の人生はとにかく面白い。

元宝塚の平みちは、まず宝塚の男役スターとして登場して、「モン・パリ」を歌う。その後、与謝野晶子としても登場。ラストでは「スミレの花咲く頃」のリードボーカルと取った。

阪急創業者の話を阪急中ホールで行うということで、開演前のベルは阪急電車のアナウンスがあるときのもの、開演時のベルは阪急電車発着時のものが使われていた。また第2幕開演前には「スミレの花咲く頃」のチャイムが流れた。



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