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2018年3月19日 (月)

コンサートの記(362) 小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトⅩⅥ ラヴェル 歌劇「子どもと魔法」&プッチーニ 歌劇「ジャンニ・スキッキ」

2018年3月16日 左京区岡崎のロームシアター京都メインホールにて

午後7時から、左京区岡崎のロームシアター京都メインホールで小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトⅩⅥ ラヴェル 歌劇「子どもと魔法」&プッチーニ 歌劇「ジャンニ・スキッキ」を観る。
当初、「子どもと魔法」は小澤征爾が指揮する予定だったが、急病ということで、公演の副指揮者であり昨夏のセイジ・オザワ松本フェスティバルでも「子どもと魔法」を指揮したデリック・イノウエが代役を務める。小澤の降板によるチケット払い戻しや減額はないが、本来は有料のパンフレットが入場者全員に無料で進呈されることになった。

パンフレットには、2000年からの小澤征爾音楽塾塾生の名簿が載っており、その中には泉原隆志(京都市交響楽団コンサートマスター)、滝千春(ヴァイオリニスト)、長原幸太(読売日本交響楽団コンサートマスター)、林七奈(大阪交響楽団コンサートミストレス)、宮本笑里(ヴァイオリニスト)、遠藤真理(チェリスト。読売日本交響楽団ソロ・チェロ奏者)、宮田大(チェリスト)、難波薫(フルーティスト。日本フィルハーモニー交響楽団&紀尾井ホール室内管弦楽団メンバー)、上田希(クラリネット奏者。いずみシンフォニエッタ大阪&アンサンブル九条山メンバー)、金子平(読売日本交響楽団首席クラリネット奏者)、小谷口直子(京都市交響楽団首席クラリネット奏者)、吉岡奏絵(日本センチュリー交響楽団クラリネット奏者)、稲垣路子(京都市交響楽団トランペット奏者)、朴葵姫(ギタリスト)、十束尚宏(副指揮者)、三ツ橋敬子(副指揮者)、村上寿昭(副指揮者)らの名を見つけることが出来る。

当初は「ジャンニ・スキッキ」が前半、小澤の振る「子どもと魔法」が後半の予定だったが、順番は入れ替わっている。

演奏は、小澤征爾音楽塾オーケストラ。日本、中国、台湾、韓国を中心としたアジア諸国からオーディションを勝ち抜いた若者達によって編成された祝祭管弦楽団である。「子どもと魔法」には、日本人の若者から選抜された小澤征爾塾合唱団と、京都市少年合唱団が加わる。

まず、ラヴェルの歌劇「子どもと魔法」。私は以前に、大植英次指揮大阪フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会で演奏会形式による上演を聴いたことがある。
指揮はデリック・イノウエ。演出:デイヴィッド・ニース(メトロポリタン歌劇場首席演出家)。出演:エミリー・フォンズ、駒田敏章、マリアンヌ・コルネッティ、キーラ・ダフィー、清水多恵子、町英和、キース・ジェイムソン、栗林瑛利子、藤井玲南(ふじい・れな)、山下未沙ほか。

指揮のデリック・イノウエは日系カナダ人の指揮者。メトロポリタン歌劇場でたびたびタクトを執っている他、日本のオーケストラの指揮台にも登場。京都市交響楽団の定期演奏家にも客演したことがあり、私も聴いている。1985年のヴィットリオ・グイ指揮者コンクールで優勝。イタリアのキジアーナ音楽院でフランコ・フェラーラに師事。桐朋学園大学留学時とタングルウッド音楽祭で小澤征爾に師事している。桐朋学園では秋山和慶と尾高忠明にも学んだ。

そのデリック・イノウエであるが、急の代役ということもあってか、小澤征爾音楽塾オーケストラからラヴェルに相応しい輝かしい響きは引き出せず、苦戦気味である。

ラヴェルの歌劇「子どもと魔法」はファンタジーであり、筋書きらしい筋書きはない。家具だの動物だのが言葉を使って騒ぎ出すという話である。
物語が展開されるわけでははいので、オーケストラの魅力を欠くと、苦しくなってしまう。デイヴィッド・ニースの演出は、ぬいぐるみなども使った賑やかなものだったが、やはり「子どもと魔法」は演奏会形式で行った方がイメージが拡がって良いようにも感じた。

プッチーニの歌劇「ジャンニ・スキッキ」。プッチーニ唯一の純喜劇オペラであり、「外套」「修道女アンジェリカ」と共に三部作として構想・初演されたものである。初演は1918年にメトロポリタン歌劇場で行われたが、「ジャンニ・スキッキ」のみ好評だったと伝えられている。私は5年ほど前に河内長野で「ジャンニ・スキッキ」の上演を観たことがある(井村誠貴指揮、岩田達宗演出)。

指揮はジョセフ・コラネリ。メトロポリタン歌劇場の常連であり、特にイタリアものを得意としている。現在は、グリマーグラスフェスティバル音楽監督とニューヨーク・グリニッジ・ヴィレッジのオペラ芸術監督。演出は引き続きデイヴィッド・ニースが担当。出演:ロベルト・ディ・カンディア、サラ・タッカー、マリアンヌ・コルネッティ、アレッサンドロ・スコット・ディ・ルツィオ、キース・ジェイムソン、清水多恵子、デイヴィッド・クロフォード、ドナート・ディ・ステファノ、駒田敏章、エミリー・フォンズ、塙翔平、寺田功治、松澤佑海(まつざわ・ゆみ)、後藤春馬(ごとう・かずま)、石田天星、北村穂乃香。

ダンテの「神曲」に由来する話。台本はジョヴァッキーノ・フォルツァーノが手掛けているが、これが実によく出来た汎用性のあるシチュエーションコメディーに仕上がっている。
フィレンツェの富豪であったブオーゾ・ドナーティの遺産を巡る話で、設定では一応、1299年のフィレンツェということになっているが、普遍的な話なので時代設定を変えて行われることも多い。今回も舞台を1960年代に変えての上演となる。ということで、登場人物の格好も現代風だったり、一昔前の映画に出てきそうな趣を持っていたりする。

ジョセフ・コラネリの指揮する小澤征爾音楽塾オーケストラは、生き生きとして瑞々しい張りのある音を奏でる。「子どもと魔法」の時と同じオーケストラのはずなのだが、まるで違って聞こえる。作曲家の資質の違いを考える必要もあるが、指揮者の能力に残酷なほどの差があるということなのだろう。

ニースは紫色の毒々しいソファーを用いることで、ブオーゾの親族達の俗っぽさを表している。みなブオーゾの遺産が欲しい。人間なら当然のことでもあり、特別に非難されることでもないのだが、ブオーゾが全遺産に修道院に寄付しようとしていたことが混乱と笑いを生み、リヌッチオ(アレッサンドロ・スコット・ディ・ルツィオ)とラウレッタ(サラ・タッカー)という恋する若き二人の美しさが強調されることになる。ちなみにジャンニ・スキッキと娘のラウレッタはフィレンツェ市出身者ではないようで、とかく見下されているようだ。フィレンツェは京都市の姉妹都市であるが、京都もまたそうしたところのある街である。フィレンツェを京都の鏡と見立てた上演も出来そうだ(というより、5年前にそのことを私は岩田達宗さんに提唱していたりします)。

このオペラでは、ラウレッタが歌う「ねえ、私のお父さん」というアリアがとても有名である。実はカラオケのJOYSOUNDにはこの曲が入っていて、私はたまに歌うことがある。



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