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2018年4月 6日 (金)

コンサートの記(367) サカリ・オラモ指揮フィンランド放送交響楽団来日演奏会2007大阪

2007年2月12日 大阪・中之島の(旧)フェスティバルホールにて

午後2時から大阪・中之島にあるフェスティバルホールで、サカリ・オラモ指揮フィンランド放送交響楽団の来日演奏会を聴く。オラモとフィンランド放送交響楽団の来日公演を聴くのは2度目、前回は京都コンサートホールでの公演に接している。

サカリ・オラモは、1965年生まれの指揮者。シベリウス・アカデミーで、ヨルマ・パヌラに指揮を師事し、加えてヴァイオリニストとしても研鑽を積む。かつてはフィンランド放送交響楽団のコンサートマスターだったということもあるオラモ。指揮者としてのデビュー時の相手もフィンランド放送交響楽団だそうで、楽団員達とは古くからの気心の知れた間柄だ。
オラモは、サー・サイモン・ラトルの後任としてバーミンガム市交響楽団の首席指揮者に任命されて一躍脚光を浴びたが、バーミンガム市響のシェフの座(現在の肩書きは音楽監督)からは近く離れる予定で、今後は首席指揮者の地位にあるフィンランド放送交響楽団と、新たに音楽監督に就任するロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団を主たる活躍の場にするものと思われる。

フィンランドのオーケストラということで、東京などの公演ではシベリウス作品をプログラムに盛り込んでいるフィンランド放送響であるが、大阪公演ではシベリウスの名は演奏曲目にはない。
ブラームスの「悲劇的序曲」、チャイコフスキーの「ロココの主題による変奏曲」(独奏チェロと管弦楽のための作品だが、今回はトランペットを独奏としたバージョンで演奏する。ソリストを務めるのは、人気、実力とも世界最高のトランペッターといわれるセルゲイ・ナカリャコフ)、ベートーヴェンの交響曲第5番というプログラム。

残響の少ないフェスティバルホールの、ステージから遠い天井桟敷に座ったため、音そのものの美しさを楽しむことは出来なかったが、フィンランド放送交響楽団の高い機能と、オラモの雄弁な指揮を楽しむことは出来た。フィンランド放送交響楽団は20年ほど前の来日公演ではオーケストラの技術がボロボロで、評価も同様に散々だったそうだが、技術面では著しい向上を見せており、解像度の高い音楽を繰り広げる。

ブラームスの「悲劇的序曲」では、ひんやりとした弦と、輝かしい金管の音色の対比が鮮やかであり、オラモの指揮もタイトルに込められた悲劇的な雰囲気を的確に引き出している。

「ロココの主題による変奏曲」で、オラモとフィンランド放送響は更に優れた実力を発揮。ロシア風の冷たく拡がりのある音色から、心からの温もりを感じさせるロマンティックで優しい音色まで、自在に操る様は魔術のようだ。
チェロ独奏のための曲をトランペット(正確にはフリューゲルホルンというトランペットとは微妙に違う楽器)で吹いてしまおうという挑戦は無謀にも思えるが、名手ナカリャコフだけに技術的な不満は感じさせない。しかしチェロに比べるとトランペットはどうしても分が悪い。高度なトランペット演奏技術が求められるわりには聴き映えが今ひとつという点でも損だ。

ナカリャコフは、アンコール曲に超絶技巧を思う存分披露できる「ベニスの謝肉祭」(ジャン・パティステュ・アーバン作曲)を選び、神懸かり的な技術を披露。客席を圧倒する。


メインのベートーヴェンの交響曲第5番では、オラモは理知的な演奏を繰り広げる。大編成による演奏だが、弦楽器のビブラートを抑え気味にするなどピリオド奏法の影響も見られ、良い意味で折衷的なスタイルを採用(配置もヴァイオリンが両翼に来る古典的配置を基本としながら、、コントラバスは舞台上手奥に置くという折衷様式であった)。ベートーヴェンが書いた楽譜を客観的に丁寧に音に変えていく。基本のテンポは速めだが伸縮自在であり、表情も多彩。第1楽章と第2楽章をアタッカで繋いだのも個性的だ。
音楽にのめり込むことはないが、その分、曲の効果を十全に発揮させる計算がなされており、第4楽章冒頭の輝かしさにも瞠目させられた。「秀才によるベートーヴェン」という言葉が浮かぶ名演奏。
まだ交響曲第5番を聴いただけだが、オラモのベートーヴェンはかなり期待して良さそうだ。

アンコールはやはりシベリウス。最近はアンコール曲の定番となった感もある「悲しきワルツ」が演奏された。オラモはピアニッシモの部分を聴き取るのが難しいほど弱い音で演奏してみせる。昨年来日したパーヴォ・ヤルヴィとドイツ・カンマーフィルもアンコール曲として演奏した「悲しきワルツ」で、ピアニッシモを強調していた。この曲のピアニッシモの部分をかなり弱くするというのは流行りなのだろうか。

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