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2018年5月19日 (土)

コンサートの記(386) 通崎睦美コンサート 「今、甦る! 木琴デイズ」vol.9 ~歌謡曲とタンゴ

2018年5月15日 京都文化博物館別館ホールにて

午後7時から、京都文化博物館別館ホール(旧日本銀行京都支店)で、通崎睦美コンサート「今、甦る! 木琴デイズ」vol.9 ~歌謡曲とタンゴを聴く。

エッセイ『天使突抜1丁目』、平岡養一の伝記『木琴デイズ 平岡養一「天衣無縫の音楽人生」』などでも知られる木琴奏者の通崎睦美のコンサート。今回は、ゲストとしてギターの松本吉夫と京都フィルハーモニー室内合奏団のメンバー(クラリネット:松田学、ファゴット:小川慧巳、ヴィオラ:松田美奈子、コントラバス:金澤恭典)を迎えて送る。

今回、通崎が用いる木琴は、1935年に通崎が私淑する平岡養一がシカゴで購入した、ディーガン・アーティスト・スペシャル・ザイロフォン №266。1962年に低音側に7本の鍵盤が追加され、4オクターブから4オクターブ半の音域に改良されている。

曲目は、木琴+クラリネット+ファゴット+ギター+ヴィオラ+コントラバスの編成で、「丘を越えて」(古賀政男/野田雅巳編曲)、ロシアン・ジプシー・メロディーズ(平岡版。ロシア民謡/松園洋二編曲)、木琴とギターによる「エストレリータ」(ポンセ/平倉信行編曲)、ピアソラの「タンゴの歴史」よりボルデル1900、木琴とギターとコントラバスで「ラ・クンパルシータ」(平岡版。ロドリゲス/西邑由記子編曲)、木琴ソロで「この道~からたちの花」(山田耕筰/西邑由記子編曲)、木琴とヴィオラとファゴットで「雨に濡れても」(バカラック/西邑由記子編曲)、木琴とクラリネットとコントラバスで「オブラディ・オブラダ」(レノン&マッカートニー/西邑由記子編曲)、木琴とヴィオラとコントラバスで「クレズマー・ダンス」組曲(伝承曲/野田雅巳編曲)、木琴とクラリネットで「宵待草」(多忠亮/西邑由記子編曲)、全員登場で「山寺の和尚さん(平岡版。服部良一/松園洋二編曲)、「UFO」(都倉俊一/野田雅巳編曲)。

通崎睦美を含めて京都市立芸術大学音楽学部出身の出演者が多い。それぞれの奏者になぜその楽器を選んだのかを通崎が聞くコーナーがあったのだが、ファゴットの小川慧巳(えみ)は、通崎の中学の後輩で、その中学校には管弦楽部があり、そこに入部。最初はメロディーを弾ける楽器が良いと思い、フルート、ヴァイオリン、クラリネット、オーボエなどを希望楽器として書いたそうなのだが、誰かが「ファゴット空いてるってよ」と言ったため、どんな楽器なのかわからないまま第5希望としてファゴットと記入。結局、ファゴットと書いたのは小川だけで、それからファゴット奏者になったようである。
ヴィオラの松田美奈子は元々は幼少期からヴァイオリンを弾いていたのだが、市立芸大時代にヴィオラの方が人数が少ないから有利ということで転向。当時はバブルの真っ盛りでヴィオラ演奏の仕事が山ほどあり、稼ぎすぎたため学生であるにも関わらず税務署から問い合わせが来たという。
クラリネットの松田学は、最初はトランペット希望だったのだが、唇で形を作ってマウスを吹いて音を出すことが出来ない。一晩練習するも出来ず、即日クラリネットに転向したという。
コントラバスの金澤恭典(かなざわ・やすのり)は、徳島県出身で、徳島県では子供のオーケストラ活動が盛んなのだが、子供の頃に、チェロを見て「格好いい!」と思い、ただ楽器名がわからなかったため、楽器図鑑を見て、「コントラバス」っていうのか、と間違えて覚えてしまい、コントラバスを希望。実際に、コントラバスが出てくると、「なに? この楽器?!」と思ったそうである。

木琴によるクラシック音楽演奏にこだわったという平岡養一。ただ、日本の音楽を演奏することもあり、平岡本人は「隠し芸だ」と語っていたという。

今は、木琴奏者よりもマリンバを演奏する奏者の方が多くなり、本職のプロ木琴奏者は、かつては平岡養一一人、今は通崎睦美一人だけという状態である。そうした中で、木琴ソロの演奏を聴くことの出来る貴重な機会でもある。「丘を越えて」などの懐メロから、ピアソラなどの本格的なタンゴ、「雨に濡れても」などの映画音楽、ビートルズナンバーである「オブラディ・オブラダ」、コントラバスの金澤恭典が「UFO!」と叫ぶ「UFO」など、多彩な曲目と優れた演奏、京都文化博物館別館ホールの自然な響きのプレゼンスを楽しむことの出来た夜であった。

アンコールとして、まず全員で「UFO」の後半が演奏され、最後は通崎の独奏で、「見上げてごらん夜の星を」がしみじみと歌い上げられた。



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