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2018年6月17日 (日)

観劇感想精選(245) M&Oplays 「市ヶ尾の坂」2018大阪

2018年6月9日 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて観劇

午後7時から梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで、「市ヶ尾の坂」を観る。作・演出・出演:岩松了、出演:大森南朋、麻生久美子、三浦貴大、森優作、池津祥子。

1992年、横浜市青葉区市ヶ尾町にある坂の近くの三兄弟の実家が舞台。特筆すべき大きな出来事は起こらず(大きな動きは全て伝聞の形で登場する)淡々と進む会話劇にして心理劇である。

近くに住む朝倉家の専業主婦、カオル(麻生久美子)が次男の隼人(三浦貴大)と話している。内容はカオルの幼い頃の思い出だ。カオルは福岡県甘木市(現・朝倉市)の出身であり、そこには自宅から離れた大きな楠木のそばの隠れ家や三つ並んだ水車(三連水車)があった。カオルは水車のそばで撮った写真があることを話し、「今度持ってくる」と隼人に話す。三連水車は三兄弟の比喩になっている。
隼人の兄である司(大森南朋)と弟の学(森優作)は共に郵便局員(務めている郵便局は別)、隼人は渋谷にある会社に務めているサラリーマンだ。

カオルの夫は画家の朝倉(岩松了)。息子のヒロシはカオルの実子ではなく、朝倉と先妻・アズサとの間の子である。ヒロシの面倒を見る家政婦の安藤(池津祥子)も三兄弟の家に通っている。近所づきあいもあるようだが、会話の内容から情報がもたらされるだけである。

長ゼリフが多用され、言葉遣いや話し方の人物のキャラクターが投影されているが(カオルは上流階級出身者のような言葉遣いをする)テクニカルな印象も強く、今現在の演劇に比べると舞台に馴染んでいない印象を受けるのも事実である。「市ヶ尾の坂」は、私が宮沢章夫演出公演に出演したことのある「アイスクリームマン」の次に書かれた岩松の戯曲であるが、その場にいない人のことが延々と語られるなどといった共通点も窺える。

劇的なことは余り起こらないがじわじわとと染みこんでくるような味わいがある。

三兄弟の長男である大森南朋であるが、顔がだんだん父親の麿赤児に似てきているのが印象的である。

今月の17日で40歳になる麻生久美子。情感を殺しながら語る場面が秀逸。存在しているだけで場面を作ることの出来る人であり、彼女がアラフォー女優のトップランナーの一人であることは贔屓目ではなく疑いようがない。

池津祥子も出番は短いながらも印象深く、岩松了は今回はカツラをかぶって登場したが、それだけで笑いが起こっていた。

今日はカーテンコールで岩松了が、「特別に出演者から一言」と振る。麻生久美子が池津祥子と顔を見合わせて、「ほんとにー?!」と言っているのが口の動きでわかった。
池津祥子は、「昨日お好み焼きを食べ」て「粉ものが大好き」と語り、「今日は思いのほかお茶が掛かってしまい(ネタバレをするとカオルがお茶をかぶるシーンがある)、後で後ろの鏡を見たら目の下(のメイク)が……」ということで見た目が汚くなってしまったことを前方のお客さんに詫び、「大阪大好きです」ということも忘れなかった。大森南朋はまだ明日の当日券があることを語り、森優作は大阪出身であることを告げて「名前だけでも覚えて帰って下さい」と言った。三浦貴大は大森南朋から「お母さん(山口百恵)のことでも」と振られ、その話はしなかったが、兄弟役3人でカラオケに行き、やはり大森も森も三浦に山口百恵の歌をリクエストするそうで、三浦は「さよならのあれ(「さよならの向こう側」)を」歌ったそうである。大森は、「歌、めっちゃ上手い!」と言っていたが、芸能一家に育ち、実母も実兄も歌手ということでセンスは受け継いでいるのだろう。



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