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2018年7月24日 (火)

観劇感想精選(248) 兵庫県立ピッコロ劇団第61回公演「蒲団と達磨」

2018年7月18日 尼崎・塚口の兵庫県立ピッコロシアター大ホールにて観劇

午後7時から、尼崎・塚口の兵庫県立ピッコロシアター大ホールで、兵庫県立ピッコロ劇団第61回公演「蒲団と達磨」を観る。作・演出:岩松了。
10年前からピッコロ劇団の代表を務める岩松了が30年前の自作を演出上演する。
1988年に初演された「蒲団と達磨」(当時は副題に「お父さんの性生活」というものがついていたそうだ)。1989年の岸田国士戯曲賞受賞作である。冒頭部分を「良い書き出しの例」として平田オリザが自著で挙げていることから知名度は高い。

出演:森好文、樫村千晶、平井久美子、堀江勇気、野秋裕香、山田裕、杏華、菅原ゆうき、今仲ひろし、風太郎、中川義文、岡田力。

ピッコロシアター大ホールの入り口にピッコロシアターの館長である大西裕士とピッコロ劇団代表の岩松了が立っており、お出迎えのお辞儀などをしていた。
私のようにチケットぴあの券で入る人は少数派のようで、取り置きチケットの机の前に人が並んでいる。チケットもぎりも今日は木全晶子さんらピッコロ劇団員が行っていた。

一人娘の結婚披露宴を終えた夜、夫(役名は野村春樹。高校の生物の先生である。演じるのは森好文)と妻(樫村千晶)が蒲団(田山花袋の「蒲団」は念頭に置いておいていいだろう)の上に座っている。背後には送迎の運転手(山田裕)が後ろを向いて寝転んでいる。
妻がお茶を入れ、二人でお手伝いの水谷(杏華)などのことなどを話している。ちなみに一番重要な役のはずの一人娘は一切舞台に登場しない。また夫妻の会話に登場する母親も姿を現すことはない。
夫の妹である久子(平井久美子)、妻の弟である和樹(堀江勇気)とその妻の時江(野秋裕香)なども集い、普段は心の奥に秘めている感情が不意に表に現れたり……。

会話劇であり、会話の情報量が多い。ただピッコロ劇団の団員は比較的抑えた発声を行っているため、肝心の場面でのセリフが上手く聞き取れないという憾みがある。
夫婦の部屋にはなぜかはわからないがカラオケの装置がある。1988年当時に使われていたものが復元されているのだが、モニターはなく、テープを差し込んで、歌詞本を見て歌うシステムである。ラスト近くで無口なコンちゃん(苗字は近藤らしい。演じるのは今仲ひろし)がこのカラオケを歌うシーンがある。コンちゃんの友人である新倉(風太郎)が「無口な奴の歌は本気だからな」と言うが、歌ったことでコンちゃんの感情のたがが外れてしまったことがわかる。
お堅い夫の秘密が露見したり、妻の前夫の小松(岡田力)が訪ねてきたり、久子が胸に秘めているものがさりげなく示されたりと、いくつかの大きな山のようなものはあるのだが、全体を通した起伏のようなものは抑えられており、ありがちな日常に波立ったちょっとした波紋のようなものを描く小津映画的手法が採られている。



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