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2018年8月13日 (月)

観劇感想精選(251) 「アンナ・クリスティ」

2018年8月4日 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて観劇

午後5時30分から、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで「アンナ・クリスティ」を観る。近年、再び注目を浴びつつあるアメリカの劇作家、ユージン・オニールの初期作品の日本初演である。テキスト日本語訳:徐賀世子、演出:栗山民也。出演:篠原涼子、佐藤隆太、たかお鷹、立石涼子、原康義、福山康平、俵和也、吉田健悟。

「アンナ・クリスティ」は1921年にピューリッツァー賞を受賞している。1930年にグレタ・ガルボ主演で映画化されており、マリリン・モンローが自身の初主演舞台に選んだ作品でもあるそうだ。

ニューヨークの海岸近く、サウス通りの「坊さんジョニー」という酒場。スウェーデン系のクリス・クリストファーソン(たかお鷹)が、娘のアンナ・クリストファーソン(アンナ・クリスティの名で呼ばれる。演じるのは篠原涼子)との再会を待っている。クリスとアンナは、アンナが5歳の時に別れてから一度も会っておらず、15年ぶりの再会となる。

生まれてからずっと船乗りとして生活してきたクリスは家庭を顧みず、妻が亡くなってからもアンナをミネソタ州の親戚ところに預けっぱなしにしていた。アンナは数年前からミネソタ州のツインシティーの一つ、セントポールで暮らしていたという。子守をやって過ごしていると手紙には書いてあった。

クリスは家代わりにしているはしけ船に老いた商売女のマーシー(立石涼子)を住まわせていたが、娘に会う手前、出て行って貰いたいとお願いをする。

クリスが食事に出ている間にアンナがやって来る。マーシーは一目でアンナと気づくが、自身のことは「クリスとはたまに会う」間柄ということにする。共に酒を飲むうちに、アンナは自身の身の上話を始める。ミネソタの田舎では奴隷のように扱われ、親戚の男に犯されたこと、家を飛び出してセントポールに移ってからは子守の仕事に就くが、限界を感じ、売春婦へと身をやつしたこと。何もしてくれなかった父への愚痴。
やがて対面したクリスとアンナ。クリスはアンナのこれまでを全く知らず、想像しようともしない。二十歳になったアンナにクリスは「陸の男」と結婚するように言う。自分のような「海の男」は駄目だと。
だが10日後、ボストンの港に移った親子のところに、難破船が近づく。難破船に乗っていたアイルランド人のかま焚き係であるマット・バーグ(佐藤隆太)とアンナとは一目で恋に落ちるが、マットはクリスが嫌悪する「海の男」であり……。

「アンナ・クリスティ」というタイトルであり、クレジットにもタイトルロールである篠原涼子の名前が一番上に来るのだが、本当の主役というべき存在はアンナの父であるクリスであるように思われる。好き勝手に生きてきて娘のことを一度も顧みなかったが男の贖罪の物語ともいえる。もっとも自分に原因があることでもクリスは「海の運命」のせいにしてしまって正面から向き合おうとしないというダメ男の部分があるのだが。ユージン・オニールが自身と自身の父親を投影したのだろう。
今日はパンフレットを買ったのだが、実際、「アンナ・クリスティ」は初演時のタイトルは「クリス・クリストファーソン」だったそうで、2011年にはロンドン・ウエストエンドでジュード・ロウの出演で話題となったとあるから、イギリスでの上演はクリスが主役という解釈で行われたのだろう。

13年ぶりの舞台出演で、初の舞台単独主演となった篠原涼子。テレビドラマや映画ではヒット作をいくつも持っているが、今回はセリフが浮き気味であり、的を上手く射抜けないもどかしさがある。表情や佇まいは魅力的なのだが。やはり映像の人なのか。

日大芸術学部出身で、デビューが舞台だったという佐藤隆太。ワイルドで腕力だけが自慢のマットを飾り気のない演技で見せる。マットはクリスと相似形だけに噛み合った演技をする必要があるのだが、上手くはまっていたように思う。

真の主役ともいうべきクリスを演じた、たかお鷹。老いた放蕩児の悲哀をそこはかとなく感じさせる演技が良かった。

かつての自分や娘との和解を得たクリスだが、目の前に広がる霧に不鮮明な未来を見いだしたところで芝居は終わる。

今日はアフタートークがある。出演は、篠原涼子、佐藤隆太、たかお鷹の主要キャスト3人。司会は朝日放送の桂紗綾(かつら・さあや)アナウンサーが担当する。
「ほっとする時」、たかお鷹は「家で家内と二人で飲んでいる時」(「そう言えって言われてます」だそうだ)、篠原涼子は「台所」。水が流れる場所が好きだそうだ。阪神タイガースファンで日大櫻丘高校時代は野球部に所属しいた佐藤隆太は「甲子園」だそうで、明日から夏の全国高等学校野球選手権大会が甲子園で始まることから、「体調に気をつけて」と言うも、「ここで言うことじゃないですね」とも話していた。
子どもの頃の夢について、たかお鷹は「家具職人」と答え、「実は今でも夢を諦めていない」と語る。篠原涼子は「保母さんかメイクアップアーティスト」で、娘が生まれてから保育園やっていた「保母一日体験」のようなものに参加したことがあるそうだが、「無理だと思いました」とのこと。佐藤隆太は「先生」が子どもの頃の夢で、「英語教師になりたい」と本気で思ったことが一時期あったそうである。



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