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2018年10月 9日 (火)

観劇感想精選(258) ミュージカル「シティ・オブ・エンジェルズ」

2018年9月29日 大阪・上本町の新歌舞伎座にて観劇

午後5時30分から、大阪・上本町の新歌舞伎座で、ミュージカル「シティ・オブ・エンジェルズ」を観る。1940年代のロサンゼルスとハリウッドを舞台としたサスペンス・コメディ。トニー賞6部門に輝き、ローレンス・オリビエ賞なども受賞した評価の高い作品である。
脚本:ラリー・ゲルバート、上演台本・演出:福田雄一。出演:山田孝之、柿澤勇人(かきざわ・はやと)、渡辺麻友、瀬奈じゅん、木南晴夏、勝矢、山田優、佐藤二朗ほか。作曲は「スウィート・チャリティ」(大阪でも玉置成実主演で上演されたことがある)のサイ・コールマン。

スタイン(柿澤勇人)は、ハリウッドの駆け出し脚本家。自身の分身ともいうべき存在のストーン(山田孝之。スタインもストーンも共に「石」という意味である)を主役にしたハードボイルドサスペンス「シティ・オブ・エンジェルズ」が映画化されることが決まり、希望に燃えている。しかし、プロデューサーで映画監督のバディ・フィドラー(佐藤二朗)から再三にわたる脚本へのダメ出しを受け、書き直しを余儀なくされる。駆け出し脚本家だけにスタインの本は拙いところも多いが、バディからの指示を受けるごとに更に酷いものへと変わっていく。

本の中ではロサンゼルスの私立探偵ストーンが、アローラ・キングズリー(瀬奈じゅん)という富豪夫人から、家出した義理の娘のマロリー(渡辺麻友)を探して欲しいという依頼を受けている。その後、元警官だったストーンの回想シーンになるのだが、警察時代の同僚であったムニョス(勝矢)との間で白人対有色人種を巡る諍いとなった場面がアーヴィングからダメ出しを受け、イケメン対非モテの対立に変えざるを得なくなってしまう。
納得がいかないスタインだが立場が弱いため、ハリウッドの大物であるバディに逆らうことは出来ず、作品中にバディをモデルにしたプロデューサーのアーウィン・S・アーヴィングを登場させて抵抗するのが精一杯で……。

比較的制作されることの多いハリウッドものである。新歌舞伎座でもフランシス・スコット・キー・フィッツジェラルドを主役にしたミュージカル「スコット&ゼルダ」が上演されたことがあり、それ以前にも筒井道隆と長塚京三が主演した「グッドラック、ハリウッド」という同傾向の作品を観たことがある。

ラストで「フィクションとリアルの合体」が語られるのだが、「フィクションの力」が全面に押し出されており、爽快な仕上がりとなっている。

山田孝之と柿澤勇人以外は、基本的に一人の俳優が現実世界での役とフィクション内での役の二役を演じる。

山田孝之は本当に器用な役者で、パントマイム、アクション、歌にダンスと何でもこなす。チョイ抜けイケメンのストーンの存在にリアリティーを持たせることが出来ているのは彼の実力の高さ故だろう。

大阪府出身の木南晴夏。デビューから数年はヒロイン役を射止めることが出来ずにいた苦労人である。美人タイプではないが、深夜の連続ドラマ「家族八景」で主役の火田七瀬を務めて以降は順調で、今年の6月には玉木宏と結婚している。
この芝居では時事ネタ(ZOZOTOWNの前澤社長と剛力彩芽、「万引き家族」など)がアドリブやオリジナルのセリフとして語られるのだが、木南が演じるウーリーが恋人について語る場面では、「カンタービレを奏でるのが上手いイケメンの指揮者」と玉木のことを示唆するセリフを言って客席から拍手を貰っていた。

佐藤二朗はとにかくアドリブを飛ばしまくる。おそらく演出家から「佐藤が笑わせるようなことを言い、他の出演者は絶対笑わないようにする」と指定された場面では、徹底して他の出演者を笑わせにかかっていた。

一線級の俳優を揃えているため、演技の水準は高いのだが、やはり本職のミュージカル俳優である柿澤勇人の歌とダンスの実力は図抜けており、彼という柱がいたからこそ、他の俳優も生きるという結果になっていたように思う。

最後は、出演者全員が1階席客席通路を通ってのハイタッチ会となり、私も通路に近い席にいたため、全員とハイタッチを交わすことが出来た。



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