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2018年11月18日 (日)

観劇感想精選(266) 第15回明治大学シェイクスピアプロジェクト(MSP)「ヴェニスの商人」

2018年11月9日 東京・神田駿河台の明治大学駿河台キャンパス・アカデミーコモン3階アカデミーホールにて観劇

午後5時30分から、明治大学アカデミーコモン3階にあるアカデミーホールで、第15回明治大学シェイクスピアプロジェクト「ヴェニスの商人」を観る。一休さんのとんち的な解決が有名な作品。

アカデミーコモンは、私の在学中にはなかった建物である。明治大学の旧5号館(ゼミ棟)、6号館(文学部が主に使用)、7号館(政治経済学部が主に使用)、大学院棟の跡地に建てられている。地下にある明治大学博物館や阿久悠記念館には入ったことがあるが、上階に入るのは今日が初めてとなる。
私が卒業してからの明治大学に関してはそれほど多くを知っているわけではないのだが、講義は主にリバティタワーで行っており、アカデミーコモンは生涯学習の拠点になっているらしい。

明治大学は、文学部文学科に演劇学専攻があるが、ここはあくまでも学問としての演劇を研究する専攻であり、実践は演劇サークルに任せられていた。ただ、ライバルである早稲田大学の演劇専修が実技方面にも力を入れ出していたということもあり、アカデミーコモン竣工と同時に遅ればせながら追随を始めた結果始まったのが明治大学シェイクスピアプロジェクト(MSP)である。
毎年1回、明治大学の学生のみの出演、演出、制作でシェイクスピア作品を上演するというもので、今回も原書テキストの日本語訳から学生が手掛けている。

監修に明治大学文学部兼任講師の青木豪、コーディネーターに文学部准教授の井上優、各部門の指導にはプロがスタッフが入るが、実際の上演に携わるのは学生のみである。

演出は文学部4年の山﨑心(女性)さん。プロデューサーは文学部2年の関口果穂さん。
テキスト日本語訳を手掛けているのはコラプターズという学生翻訳チーム。19名からなる団体で、既卒生や大学院生のメンバーも含まれる。今年度は、やはり文学部生が11名と圧倒的に多いが、国際日本学部(現在は中野キャンパス)、理工学部や農学部(いずれも生田キャンパス)、法学部の学生も名を連ねている。「ヴェニスの商人」では法律用語も重要になるので、法学部生の協力も必要になるだろう。
下訳チームと検討会チームに分かれて作業を行ったそうで、下訳に約半年掛け、その後、本公演のテキストを仕上げたそうである。シェイクスピアのセリフには掛詞が多いのだが、英語の掛詞を日本語に直訳しても単語が違うために掛詞にならない。ということで、かなり苦労したであろうことが察せられる。

バンドメンバーも全員明大生。楽器を演奏するということで、ここは所属学部がばらけている。オーケストラで使われる楽器を担当しているのは明治大学交響楽団のメンバーなのかも知れないが、パンフレットには書かれていないためよくわからない。

出演者は文学部在学生が最大派閥。そのほかの分野でも文学部在学生はやはり目立つ。所属専攻に関しては書かれていないためわからない。


舞台中央に一際高い台が設けられており、真ん中から階段が降りている。下手の高い場所はバンドスペース、上手の台はバルコニーに擬されている。セットは比較的シンプルだ。エリザベス朝演劇を意識しているのだと思われる。

舞台通路なども使った演出である。

まずは、バンドがエリザベス朝風の音楽を奏でる中、出演者全員のダンスでスタート。

アカデミーホールであるが、多目的の講堂であるため、声が通りにくかったり響きすぎて発声が不明瞭になったりするが、次第にこちらの耳も慣れてくる。
内観はロームシアター京都サウスホールの客席をやや多くしたようなものである。天井が高いため、出演者が声を飛ばすのは難しそうに感じた。

出演者であるが、俳優志望ではない学生達であるということを考えれば十分レベルは高い。配役に関してであるが、「見る目があるな」という印象を受ける。役が各々の演技にちゃんと合っている。
演技に関しては仕草が説明的すぎるところがあったり、漫画のキャラクター的動きになってしまっていることがあるが、無料公演でこれだけの仕上がりのものが出来上がるのだから大したものだ。明治大学というのはやはり凄い大学だと思う。客席には制服を着た高校生も多くいたが(女子ばかりだよね、やっぱり。高校時代は女子の方が優秀だから)、この人達にも是非明治大学に入ってMSPに参加して貰いたいと思う。

喜劇なので、ラストも大団円で本来は終わるのだが、今回の演出ではラストに悪夢のシーンが設けられている。
ユダヤ人の高利貸しシャイロックが悪役として有名な「ヴェニスの商人」であるが、シェイロックの憎悪を生んだのは他ならぬアントーニオの行いと、ヴェニスの人々による苛烈なユダヤ人差別であり、これを告発する意味があったと思われる。正直、やり過ぎだとは思うが、若いんだからこれぐらい暴れてくれるのは頼もしいとも思える。


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