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2018年11月19日 (月)

観劇感想精選(267) 「野村万作・野村萬斎狂言公演『舟渡聟』『小傘』」@びわ湖ホール

2018年11月10日 びわ湖ホール中ホールにて観劇

午後5時から、びわ湖ホール中ホールで「野村万作・野村萬斎狂言公演 『舟渡聟(ふなわたしむこ)』 『小傘(こがらかさ)』」夜の部を観る。

野村万作と萬斎の親子がびわ湖ホールで毎年行っている狂言公演。今回は萬斎の長男である野村裕基(ゆうき)が参加し、三世代揃い踏みとなる。


舞台の上に背面が松の木の能舞台が再現されている。午後5時を過ぎると野村萬斎が一人で登場し、初心者でもわかるようにとプレトークを行う。萬斎が「ありがたいことに。びわ湖ホールがオープンしてから毎年来させて頂いております。ひょっとして毎回来ているという方いらっしゃいますか?」と聞くと手を挙げる猛者がいた。


まず、能舞台の紹介を行った(「こちらが橋懸りというものでして、こちらがミニステージのようなもの。“Bridge and Mini Stage.”、英語で言っただけです何も変わりません」)後で「舟渡聟」の解説。大津が舞台の曲であり、他の狂言では「この辺りに住まいいたす者でござる」というのが一般的だが、この曲では「これは矢橋の浦に住まいいたす船乗りでござる」と具体的な自己紹介を行うのが特徴である。ちなみに萬斎は、「この8月には北京で、9月にはパリで『この辺りに住まいいたす者でござる』と言ってのけた」そうである。
その他に、「狂言で座っている人は無視していい」などの約束事を解説する。
舟の操縦についてだが、「エア」という言葉を萬斎は強調。午後1時からの昼の部の公演でプレトークを行っている間に、「エアでもエアプレインとエアボートは違う」と思いついたそうで、「ハイジャックはパイロットを揺するが、エアボートは船頭が率先して揺する」ことを述べていた。
京都を拠点にしている狂言大蔵流にも「舟渡聟」はあるのだが、展開が違い、シチュエーションの面白さには乗らないものになっているそうで、「『舟渡聟』は和泉流の方が面白い」という。

「小傘」は、博打に溺れて一文無しになった男がニセ僧侶になるという話である。「僧侶になれば食えるんじゃないか」という発想で安易に僧になり済ましたところ、折良く堂守を募集している人と出くわす。往事はインターネットも何もないので、街道に出て目に付いた人をスカウトするのが一般的である。運の要素が今よりも強い。
僧侶になり済ましたはいいが、経典は読めない。そこで、男は賭場で覚えた「傘の小唄」をいかにも経を読んでいるように唱えることでやり過ごそうとするのである。
「そんな無教養な人でも念仏は知っている」ということで、「なーもーだー」という念仏を萬斎が謡い、
萬斎 “Repeat after me.”
で観客が後を追うというワークショップのようなものを行う。萬斎は、「歌に自信がある人は一緒に謡って欲しい」と言ったが、本編では謡うよりも観ている方が楽しいという類いのものだったので、謡う人はほとんどいなかったように思う。


「舟渡聟」。聟を演じるのが野村裕基である。公文式のCMで親子共演も果たしているので、お馴染みの存在になりつつある。見るからに「才子」といった感じの萬斎とは違って優男風であるが、声は父親によく似ている。
まだ19歳ということもあって狂言方としては駆け出しですらなく、「舟渡聟」も初役だそうである。
潜在能力はともかくとして、現時点では演じるどころか役に振り回されている感じだが、持って生まれた品の良さが強く感じられ、今後が楽しみな存在である、というより萬斎の息子なのだから将来の狂言界を背負って立つのは当たり前という世の認識もあるだろう。プレッシャーも凄まじいだろうな。

船頭を演じるのは祖父の野村万作。やはり芸の深さが違う。


「小傘」。野村萬斎は、僧の小唄を思いっ切りユーモラスに謡う。普通はばれそうなのに、疑うということを知らない田舎者達の素直さと滑稽さも見物となる。
学生時代はバンドを組んでいたこともあるという野村萬斎。踊り念仏の場面でのリズム感の良さは、そうした経験が生きているのかも知れない。知らんけど。
ちなみに、ニセ僧侶が言うことには、「小傘こそ最高の仏具」だそうで、後光を表しているのだという。勿論、口から出任せである。


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