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2018年12月25日 (火)

観劇感想精選(278) 下鴨車窓 「人魚」

2009年12月13日 下鴨のアトリエ劇研にて観劇

午後7時から、アトリエ劇研で下鴨車窓の公演「人魚」を観る。作・演出:田辺剛。出演:平岡秀幸、森衣里、豊島由香、宮部純子。

例によっていつとも知れぬ時代のどことも知れぬ場所が舞台である。「人魚」といっても、アンデルセンの「人魚姫」に出てくるような可憐な存在ではなく、シレーヌ(セイレーン)伝説に出てくるような、人肉を漁る邪悪な存在として人魚が登場する。

沖で歌を歌い、若い漁師を惑わせ、食い殺していた人魚が捕獲される。人魚は棺桶のような水槽に入れられ、首を縄で繋がれている。

人魚の面倒は一組の親娘が見ているのだが、人魚は口が悪い上に、臭いによって蝿が集まるという不快な存在である。

人魚が殺されないでいるのには理由があった。人魚はこの世のものとは思えないほど甘い歌を歌うのである。村の長老達がその人魚の歌を聴きたがっているのだ。しかし人魚はその求めに応じようとはしない。

一日に数時間、人魚は海の中で泳ぐのを許されるのだが、そんなある日、面倒をみていた娘が恋している若い漁師が溺れて人魚に近づきすぎてしまったために、食い殺されるという事件が起きる。それでも親娘は人魚の面倒を見続け……。


最近の田辺剛が好んで用いる寓意の手法による作品だが、これまで以上に寓意と物語の調和が高まり、完成度も同時に上がっているのが感じられる。

若い漁師達の誘惑して食らうという邪悪な存在でありながら、美しい声で歌うために生かされている人魚。美と悪という二つの要素を抱えた存在と人間との在り方が描かれており、興味深い。

役者陣は、時折、台詞に喋らされているような印象を受けることもあったが健闘していたと思う。

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