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2018年12月20日 (木)

コンサートの記(471) パーヴォ・ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団来日演奏会2018名古屋

2018年12月13日 名古屋・栄の愛知県芸術劇場コンサートホールにて

午後6時45分から、愛知県芸術劇場コンサートホールで、パーヴォ・ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマ―フィルハーモニー管弦楽団(ドイツ・カンマ―フィルハーモニー・ブレーメン)の来日演奏会を聴く。午後6時45分開演というと他の地方では中途半端な時間帯のように思えるが、名古屋では主流の開演時間である。

曲目は、モーツァルトの歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」(ヴァイオリン独奏:ヒラリー・ハーン)、シューベルトの交響曲第8番「ザ・グレイト」


改修工事が終わったばかりの愛知県芸術劇場コンサートホール。パイプオルガンの工事が行われたほか、ホワイエのカーペットが全面的にブルーものに変更され、内部も白木の香りが漂っていて新鮮な空気である。詳しい改修部分についてはホームページで発表されているようだ。


名古屋では何度も聴いているパーヴォとドイツ・カンマーフィル。以前、パーヴォが舞台上手から登場したことがあったのだが、今日は下手袖から登場する。ドイツ・カンマーフィルはお馴染みとなった古典配置での演奏。無料パンフレットにメンバー表が載っており、第1ヴァイオリンにHozumi Murata、ヴィオラにTomohiro Arita、ファゴットにRie Koyamaと、日本人が3人参加していることがわかる。


モーツァルトの歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲。パーヴォは冒頭で低弦を強調し、他の弦よりわずかに長めに弾かせるなどして迫力を十分に出す。ただ、主部はドラマ性よりも煌びやかで快活な雰囲気をより前面に出している。
ナチュラルトランペットとバロックティンパニを使用し、弦がビブラートをかなり抑えたピリオド・アプローチでの演奏である。


モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」
現代最高クラスの天才ヴァイオリニストであるヒラリー・ハーン。以前に名古屋で、パーヴォ指揮ドイツ・カンマーフィルと共演したベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を聴いている(諏訪内晶子の代役)。

極めて純度の高いヴァイオリンの響きをヒラリーは奏でる。美と悲しみが寄り添い合い、一瞬混ざり合っては儚げに散っていくという、桜のようなモーツァルトだ。時折、聴いていて胸が苦しくなる。
パーヴォ指揮のドイツ・カンマーフィルは、楽章の末尾をふんわりと柔らかく演奏したり、急激な音の増強を効果的に用いるなど、効果的な伴奏を奏でる。第3楽章のトルコ風の堂々とした響きも見事だ。

アンコール演奏。ヒラリーは、「バッハのジークです」と日本語で紹介してから弾き始める。彼女が15歳でデビューした時の曲がバッハの無伴奏である。この程、続編が出て、全曲がリリースされたが、「聖典」と呼ばれてベテランヴァイオリニストでさえ演奏することをためらう作品に、若い頃から取り組んで発表していたことになる。というわけで万全の演奏。技術、表現力ともに満点レベルである。


シューベルトの交響曲第8番「ザ・グレイト」。この曲ではトランペットはモダンを用いているが、ピリオドのスタイルは貫かれている。

冒頭から速めのテンポを採用。この曲でもロッシーニ・クレシェンドのような音の急激な盛り上がりが効果的である。やはりパーヴォのオーケストラコントロールは最上級で、タクトで描く通りの音がオーケストラから引き出される。まるでベーゼンドルファーを華麗に弾きこなすピアニストを見ているかのようだ。
また、各楽器を巧みに浮かび上がらせ、普通の演奏では渾然一体となってしまう部分を重層的に聴かせることに成功している。古典的なフォルムを構築しつつロマン的内容を詳らかにするという理想的演奏の一つである。
「天国的な長さ」といわれる「ザ・グレイト」であるが、テンポの速さに加えてパーヴォとカンマーフィルの巧みな語り口もあり、全く長く感じなかった。
美しい音型が蕩々と続く「ザ・グレイト」。この演奏を聴いていると、ブルックナーの初期交響曲がシューベルトに繋がっていることがよくわかる。


アンコールは、パーヴォの定番であるシベリウスの「悲しきワルツ」。いつもながらの超絶ピアニシモが聴かれる。
以前に比べると随所でテヌートが聴かれるのが興味深かった。



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