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2019年1月30日 (水)

天満天神繁昌亭 2019年一月天神寄席「信長・秀吉・家康」

2019年1月25日 大阪・天満天神繁昌亭にて

午後6時30分から、大阪の天満天神繁盛亭で、一月天神寄席「信長・秀吉・家康」を聴く。

番組と出演者は、「荒大名の茶の湯」笑福亭風喬、「大名将棋」笑福亭仁喬、「太閤の白猿」森乃福郎、「家康の最期」旭堂南海、中入り後、鼎談「時代小説と落語」(桂春團治、高島幸次)、「本能寺」桂米左。なお、鼎談に出演予定だった小説家の木下昌輝がインフルエンザのために降板となり、急遽、旭堂南海が加わって鼎談という形になった。

織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の三英傑であるが、落語は基本的に庶民を描くものであり、偉人は登場しない。今回行われる上演でも、旭堂南海の「家康の最期」は講釈。前半の他の演目も講釈を原作とするもので、桂米左の「本能寺」は歌舞伎を原作とするものである。


「荒大名の茶の湯」。徳川家康の参謀である本田佐渡守正信と、豊臣恩顧の7人の大名(加藤清正、池田輝政、浅野幸長、黒田長政、加藤嘉明、細川忠興、福島正則)の茶の湯の会を描いた作品である。
家康から7人の大名を篭絡するよう命を受けた本田正信が、茶会に7大名を招くのだが、細川忠興以外の6人は純粋な武人で、茶の湯についてはなにも知らない。そこで教養人である細川忠興に相談し、全員が忠興の真似をすることになるのだが、真似すべきでないところも真似してしまうという笑い話である。家康はほんのちょっとしか登場しない。
笑福亭風喬は、枕として「有馬で某国立大学の先生を相手に落語をした時の話」をする。「『落語は頭のいい人が笑うんです。頭の悪い人はなにが可笑しいのかわかりません』と話してから落語をしたところ、あの人たちよく笑うんです。なに話しても笑う」と言っていた。
加藤清正の顔が大きく、髭も長かったという話がオチにも繋がっている。


「大名将棋」。登場人物は、紀伊徳川家2代目の若殿とその家臣。若殿が家臣と将棋を指すのだが、家臣が負けたときは鉄扇で2度頭を叩く、ただ若殿が負けることはないということで、若殿は銀将を真後ろに動かし、金将を斜めに下がらせ、自分の桂馬は名馬だといって4つも5つも進ませ、槍(香車)を横に進ませ、角行を左右に飛車を斜めに、王将は「八艘飛びじゃ」と言って盤の下に隠してしまうという体で、無理やり負けということにされた家臣たちは鉄扇でしたたかにはたかれ、「もう石焼き芋屋にでもなろうか」と転職を考えるありさま。それを知った家老の石部金吉郎が若殿に立ち向かうという話である。


「太閤の白猿」。東雲節の由来を探るという話。秀吉が登場するのだが、主人公になるのは秀吉によく似ているということで大坂城に招かれて優遇されている白猿の方である。この作品にも加藤清正や福島正則は登場するのだが、鍵を握っているのは「独眼竜」伊達政宗である。


講釈「家康の最期」。家康が大坂夏の陣で討死したという仮説を元にした話である。江戸時代に出来た話だが、神君家康を書くのはまずいということで、「本を刷るのはまずいが、筆写したものは良し。売るのはまずいが、貸本屋に置くのはOK」ということだったそうである。
真田幸村が魔神のような活躍を見せる。結構、不気味である。
ちなみに、家康の影武者となったのが南光坊天海でその正体は明智光秀、というのは旭堂南海が付け加えたものだという。


鼎談「時代小説と落語」。桂春團治と高島幸次(大阪大学招聘教授)が小説家の木下昌輝に話を聞くはずが、木下がインフルエンザに罹患し、熱は下がったが医師から外出禁止令を受けているということで欠席。高島が木下からのメールを読み上げた後で、「加藤清正や福島正則が、『清正』『正則』と呼ばれることはない。諱といって本名を呼ぶのは失礼に当たる」ということで、「そういうことを本に書いている」と自分の本を紹介し始めてしまう。ちなみに高島は大阪天満宮で古文書解読の市民講座を開いているのだが、木下はそこでの生徒だそうである。

旭堂南海が呼ばれ、三英傑のことを書いた講釈は多数存在するが、落語はほとんどないという話をする。
高島は、落語の良さとして、「時代そのものがわかる」ことを挙げる。落語には、長屋の小僧が代官に気に入られて跡継ぎになる話があるそうなのだが、そうしたことは実際に数多く起こっていたそうで、ちょっと前まで日本の教科書には「江戸時代は士農工商の身分社会でした」と書かれていたが、実際は身分は流動的で、武士と庶民がいただけで庶民間に階級はなく、金で武士になることも出来た(坂本龍馬は商人を本家とする階級の生まれ、中岡慎太郎は庄屋の倅である)。春團治は、「確かに農民は身分が低いからと馬鹿にするという落語はありませんな」と語る。
ちなみに春團治は、来月大阪松竹座で行われる芝居に落語の祖とされる安楽庵策伝役で出演するそうで、出番は少ないが、高島から「主役よりも良い役」と言われていた。


トリとなる「本能寺」。歌舞伎のために書かれた本を説明を加えながら一人語り用にしたものである。元となった歌舞伎の演目は現在では廃れてしまって上演されず、上方落語の芝居噺としてのみ残っているそうだ。
鳴り物、ツケ入りの上演。
桂米左は、歌舞伎の見得や立ち回りを大げさにやって笑いを取っていた。



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