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2019年1月23日 (水)

コンサートの記(511) 神尾真由子ヴァイオリン・リサイタル2019@びわ湖ホール

2019年1月14日 びわ湖ホール大ホールにて

午後2時から、びわ湖ホール大ホールで、びわ湖ホール名曲コンサート「神尾真由子ヴァイオリン・リサイタル」を聴く。ピアノ伴奏は夫君でもあるミロスラフ・クルティシェフが受け持つ。

2007年に行われた第13回チャイコフスキー国際コンクール・ヴァイオリン部門の覇者である神尾真由子。日本人現役ヴァイオリニストの中でも別格級の一人であり、技術に限れば一二を争う実力者である。ヴィルトゥオーゾタイプであり、パガニーニやロシアものなどを得意としている。1986年、大阪府豊中市生まれ。桐朋女子高校音楽科で原田幸一郎に師事し、チューリッヒ音楽院ではザハール・ブロンに学んでいる。


曲目は、ドビュッシーのヴァイオリン・ソナタ、フランクのヴァイオリン・ソナタ、ガーシュウィンの歌劇「ポーギーとベス」より(ハイフェッツ編)、ブロッホの「ニーグン」、ワックスマンの「カルメン幻想曲」


ピアノのミロスラフ・クルティシェフは第13回チャイコフスキー国際コンクール・ピアノ部門で最上位(1位なしの2位)に輝いており、この時に神尾と知り合ったのかも知れない。


ドビュッシーのヴァイオリン・ソナタ。思いのほかスケールの小さなヴァイオリンで冴えもない。びわ湖ホール大ホールは室内楽向きの音響ではないということもあるのだが、技術面に比して表現面はまだ余り磨かれていないのかも知れない。バリバリの技巧派である神尾だが、センス第一の曲目が不得手の可能性もある。
ミロスラフ・クルティシェフのピアノはドビュッシーの面白さを存分に表していただけにこの曲でのヴァイオリンは不満が残る。

フランクのヴァイオリン・ソナタは神尾の優れた構造力が前に出ており、スケールもぐっと拡がってなかなかの演奏となる。


神尾の真骨頂が発揮されるのは、後半のガーシュウィンから。20世紀最高のヴィルトゥオーゾであるハイフェッツが編曲したガーシュウィンの「ポーギーとベス」からの6曲は、スイング感こそないが、技術面の冴えと神尾独特の艶のある音色で魅せる。クルティシェフはこの曲でもアメリカ的なリズムの処理に長けた演奏を聴かせ、相当な巧者であることがわかる。

ブロッホの「ニーグン」では神尾の情熱に火が付き、聴き手を巻き込む圧倒的な「カルメン幻想曲」へと繋がっていく。若い頃のチョン・キョンファのような「獰猛」なヴァイオリンだ。カルメンだけにそのスタイルがとても良く合っている。真っ赤なドレスもこの曲を意識したものなのかも知れない。


アンコールは2曲。まずマスネの「タイスの瞑想曲」が演奏される。抒情的なメロディーを慈しむかのように演奏するヴァイオリニストが多いが、神尾はこの曲でもエモーショナルでドラマティックな演奏を繰り広げる。他ではまず聴けない情熱的な「タイスの瞑想曲」である。

ラストは、ディニーク作曲・ハイフェッツ編曲の「ホラ・スタッカート」。キレキレである。

神尾の卓越したメカニックとユニークな音楽性が印象的な演奏会であった。


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