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2019年2月14日 (木)

観劇感想精選(290) シリーズ 舞台劇術としての伝統芸能vol.2 能楽「鷹姫」

2019年2月3日 左京区岡崎のロームシアター京都サウスホールにて観劇

午後2時からロームシアター京都サウスホールで、シリーズ 舞台芸術としての伝統芸能vol.2 能楽「鷹姫」を観る。

イェーツが能に触発されて書いた舞踊劇「鷹の井戸」を横道萬里雄が新作能「鷹の泉」として改作・翻案したものを観世寿夫が新たに「鷹姫」としたもの。1967年に初演されている。

出演:片山九郎右衛門(鷹姫)、観世銕之丞(老人)、宝生欣哉(空賦麟)。岩:浅井文義、味方玄、浦田保親、吉浪壽晃、片山伸吾、分林道治、大江信行、深野貴彦、宮本茂樹、観世淳夫。
囃子方:竹市学(笛)、吉阪一郎(小鼓)、河村大(太鼓)、前川光範(太鼓)。
後見:林宗一郎。

空間設計は、dot architects(ドットアーキテクツ。家成俊勝&赤代武志)が手掛ける。


絶海の孤島が舞台である。その島には、鷹の泉と呼ばれる、飲めば永遠の命を得られるという霊水が湧き出ている。鷹の泉を守るのは鷹姫と呼ばれる謎の乙女だ。

島には、鷹の泉の霊水を求めて長年住み着いている老人がいる。鷹の泉はもう何十年を湧き出ておらず、いつ湧き出るのかも不明である。

島に一人の若者がやって来る。王の第三王子である空賦麟(くうふりん)である。空賦麟も霊水である鷹の泉を求めてきたのだが、老人に泉の由来を聞かされ、早く帰るように言われる。
その時、鷹が鳴く。老人は、泉を守る鷹姫の声だと空賦麟に告げる。やがて姿を現した高姫に空賦麟は戦いを挑むのであるが……。


「岩」と呼ばれる謡い達がずらりと並ぶ様は異様であり、異界での物語であることを印象づけられる。「岩」は元々は地謡が務めていたらしいのだが、装束と面をつけて「岩」として舞台上に現れるようになったようだ。物語の語り手であり、ある意味、島と鷹の泉の状況そのものともいうべき存在である。泉そのものを演じていることから主役とする見方もあるようだ。

赤い着物の鷹姫は居ながらにして高貴にして畏るべき存在であることが伝わってくる。空賦麟と対決した後、背後の坂を上って消えていく様は、霊的であり、鷹の泉の霊力は鷹姫の存在あってのことであることを告げる。泉は湧くには湧くのだが、鷹姫去った後では……、ということで悲しい結末が待っている。


老人を演じる観世銕之丞の威厳、鷹姫役の片山九郎右衛門の可憐さ、空賦麟役の宝生欣哉の凜々しさなど、配役は絶妙であり、能の幽玄な味わいが存分に発揮されている。
dot architecsのセットも効果的であった。


第2部としてディスカッションが設けられている。出演は、西野春雄(法政大学名誉教授・能楽研究所元所長)、観世銕之丞、片山九郎右衛門。

西野春雄は、「鷹姫」の初演を観ているそうで、当時、西野は22歳。それから50年以上が経ったことを紹介する。
能の存在をイェーツに紹介したのは、イェーツの秘書で詩人でもあったバウンズである。バウンズは、フェノロサの遺稿の翻訳を手掛けた人であり、それを通して能を知り、イェーツにも紹介することになった。イェーツは「能こそ私の理想とする演劇だ」と感激し、「鷹の井戸」を書いたそうである。


観世銕之丞は、dotarthitecsによるセットが、緩やかで短いが上り下りのあるものであり、稽古はしていたが、馴染むのに時間が掛かり、今日の本番でようやく間に合ったことを明かす。「鷹姫」の初演時にはまだ子どもであり、客席で観ていたそうだ。また、「鷹姫」に関しては何度も観てはいるが教わったことはないそうで、観た時の記憶を頼りに自己流で行ったものであることを語る。

片山九郎右衛門は、2年前の2017年が「鷹姫」初演50周年に当たるということで、周囲で話題になっており、自分もやってみたいということで今回の上演に漕ぎ着けたことを語った。また、dot architecsへの感謝も片山から述べられた。



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