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2019年4月13日 (土)

これまでに観た映画より(124) 「翔んで埼玉」

2019年4月4日 MOVIX京都にて

MOVIX京都で、関東人必見といわれるバカ映画「翔んで埼玉」を観る。東京人から蔑まれ、通行手形がないと都内に入ることすら出来ないという20世紀の架空の埼玉を題材とする、とんでも作品である。
原作は魔夜峰央の未完成の漫画作品。監督:武内英樹(千葉県出身)。出演:二階堂ふみ、GACKT、伊勢谷友介、中尾彬(千葉県出身)、ブラザートム(埼玉県育ち)、麻生久美子(千葉県出身)、島崎遥香(埼玉県出身)、麿赤児、益若つばさ(埼玉県出身)、竹中直人(神奈川県出身)、加藤諒、武田久美子、小沢真珠、成田凌(埼玉県出身)、京本政樹ほか。埼玉県出身の有名人が多数カメオ出演している。

 

夏暑いことで知られる埼玉県熊谷市に住む菅原夫妻(ブラザートムと麻生久美子が演じている)とその娘の愛海(島崎遥香)が、都内で行われる結納に参加するため車で向かっている。愛海の結婚相手は浦和に住んでいるのだが、都内に務める埼玉都民であり、都内に家を建てるつもりということで都内を会場に選んだのだ。愛海は埼玉暮らしにうんざりしており、都内に引っ越せるということでウキウキである。埼玉のFMであるNACK5からは、さいたまんぞうの「なぜか埼玉」が流れているが、その後、埼玉の都市伝説ラジオドラマが始まる。物語は、ラジオドラマ内と熊谷市に住む一家の間を行きつ戻りつしながら進む。

ラジオドラマ内では、都内の超一流私立高校の白鵬堂学院高校(旧東京府立第一高等女学校である都立白鴎高校に由来するのかどうかは不明)に、美男子である麻実麗(GACKT)が転校してくるところから始まる。麗はアメリカ帰り、英語だけでなくフランス語、スペイン語、北京語などを操る才子であり、宝塚の「ベルばら」さながらの白鵬堂学院高校の女子達は全員夢中になる。生徒会長で白鵬堂学院高校内唯一の男子である壇ノ浦百美(どう見ても女だが男という設定。二階堂ふみ)は、最初こそ麗に反発を覚えるが、その後、ボーイズラブへと発展していく。

ラジオドラマ内の埼玉県人は、縄文時代そのままの竪穴住居での生活を送っており、通行手形がないと都内に入ることは許されず、不法侵入が見つかった場合は即座に捕獲、追放が行われていた。ラジオドラマ内の東京都民は埼玉県人を毛嫌いしており、埼玉県人と関わったということがわかっただけで卒倒する有様である。
白鵬堂学院高校は、住所によって学級と待遇が変わり、都心がA組、周辺になるに従ってクラスが下になるというヒエラルキー構造で、最下級のZ組は埼玉県から引っ越してきた現都民が所属している。Z組の教室は離れの廃屋が割り当てられ、今もなお、ぽっとん便所の使用を強制されている。体調が悪くなっても医務室に入ることは許されず、百美からは「埼玉県人にはそこらへんの草でも喰わせておけ!」などと吐き捨てられる。
Z組の面々は埼玉県生まれであることを恥じており、差別されるのは当然として埼玉に恨みすら感じている。そんな埼玉県人に失望を感じる麗。実は麗は生まれは埼玉であり……。

 

埼玉あるある(浦和と大宮は仲が悪い、名産がない、出身地を聞かれて思わず「東京です」と答えてしまうなど)は勿論、千葉あるある(「東京」を冠するものがやたらと多い、茨城県と一緒の「チバラキ」扱いされると怒る、「とにかく海はあるぞ」など)、東京あるある(ブランドや箔付けが大好き。故郷と呼べるような場所を持たない)などの小ネタが満載であり、関東人ならクスリと笑える要素に溢れている。逆に他の地方の人達にとってはピンとこないことが多いかも知れない。ギャグなどは日本全国共通だと思われるが、東京都民と他の関東の県人の距離感などは上手く掴めないのではないだろうか。

役名からして非現実的だが、物語展開からは徹底してリアリズムが排除されている。映画の内容を考えれば当然で、ストーリー展開の面白さよりも、馬鹿馬鹿しさに徹底的に浸るべき映画となっている。埼玉、千葉(野田にはヌーが出るらしい)、神奈川(東京都の腰巾着。ヒーローは加山雄三)の南関東に隠れた形にはなっているが、群馬(謎の巨大生物が生息しているとしてニュースになる秘境)、茨城(名前を聞いただけで百美が卒倒)という北関東も登場する。栃木県だけ影が薄いが、クライマックスには那須塩原の栃木県民が参加していることが確認出来る。

余りにも馬鹿馬鹿しい差別を描いたおバカ映画であるが、世の中にはこれらと同等な差別が横行しており、差別の根っこがそもそも馬鹿なことであること考えると、「面白うてやがて哀しき」という言葉も浮かぶ。

 

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