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2019年6月23日 (日)

観劇感想精選(307) OSK日本歌劇団 「Salieri&Mozart サリエリとモーツァルト 愛と憎しみの輪舞(ロンド)」

2019年6月6日 大丸心斎橋劇場にて観劇

午後6時30分から、大丸心斎橋劇場でOSK日本歌劇団の公演「Salieri&Mozart サリエリとモーツァルト 愛と憎しみの輪舞(ロンド)」を観る。作・演出・振付:上島雪夫。音楽:浅野五朗、長野雄輔。出演:虹架路万、愛瀬光、千咲えみ、城月れい、椿りょう、柚咲ふう、唯城ありす、凜華あい、雅晴日、朝風まりあ、知颯かなで、せいら純翔、緋波亜紀(特別専科所属)。
このところ、大阪ではちょっとしたサリエリ・ルネッサンスが起こっており、大丸心斎橋劇場でサリエリの曲目を並べた「サリエリムジカ」という音楽会が催されたり、中之島の中央公会堂で日本テレマン協会が「サリエリ復権」と銘打ったコンサートを予定していたりする。

モーツァルトとサリエリの関係を描いた作品としては、ピーター・シェーファーの戯曲「アマデウス」とそれを基にした映画が有名であり、今回の「Salieri&Mozart」も多くの部分が「アマデウス」をなぞっている。戯曲「アマデウス」には、風と呼ばれる人物2人が登場して、狂言回しの役割を主に担うのだが、今回の劇にも風役に相当する2人がストーリーテラーを務めている。

まず冒頭では、モーツァルトの墓が登場して、ウィーン市民がモーツァルトの墓参に訪れたり、アントニオ・サリエリ(虹架路万)が花を手向けに来たりするが、モーツァルトは共同墓地に埋葬されており、正確な埋葬場所も不明。慰霊塔としての墓石が建てられたのはモーツァルトの死後半世紀以上が経過してからで、史実ではない。この他にもモーツァルトが遺作である「レクイエム」を完成させていたりと、芝居としての嘘が多いが、思いの他しっかりとした本による公演であり、結構感動する。

ウルフガング・モーツァルト(愛瀬光)が子供じみた下劣なところのある人物であるとするのは「アマデウス」と一緒であるが(ピーター・シェーファーは残されたモーツァルトの手紙からモーツァルトの性格を類推している)、音楽に対しては心から打ち込んでおり、純粋に人々に良い音楽を届けたいと願っているのに対して、サリエリは至高の音楽を書き上げたいという我欲と名誉心から音楽に取り組んでおり、敗北を悟るという展開になっている。
サリエリは音楽の神を崇拝しているが、モーツァルトは父親であるレオポルトの束縛を脱するべく「自由」を音楽に盛り込んでおり、新しい音楽として市民からは好評であるがヨーゼフⅡ世皇帝を始めとする貴族階級の人からは理解されない。サリエリはその逆で音楽を尊ぶ故に新鮮な音楽を生み出すことが出来ないのだが、だからこそ保守的な貴族階級からは高く評価されているという対比が上手く示されている。そんな中でサリエリの「自分だけがわかってしまう」がための苦悩も丁寧に描かれていたように思われる。

モーツァルト作曲の音楽も電子音で流れるが、本編の多くの音楽は浅野五朗と長野雄輔によるオリジナルで、躍動感にはやや欠けるところもあったが、日本人ミュージシャンによる音楽劇としては充実している。サリエリとモーツァルト、コンスタンツェ(千咲えみ)による三重唱は特に良かったように思う。

ラストには、OSKお得意のレビューもあり(音楽は、モーツァルトの「トルコ行進曲」、「フィガロの結婚」より「恋とはどんなものかしら」、交響曲第25番第1楽章、「魔笛」より「復讐の心は炎と燃え」、ピアノ協奏曲第20番第2楽章、「ドン・ジョヴァンニ」より「お手をどうぞ」、「フィガロの結婚」序曲などをアレンジしたもの。ラストは団歌「桜咲く国」)、見応えのある出来に仕上がっていた。

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