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2019年6月 5日 (水)

真宗大谷派山城2組 仏教市民講座「生きる」2019.5.15@池坊短期大学

2019年5月15日 四条室町の池坊短期大学にて

午後7時から室町四条下ルの池坊短期大学で、真宗大谷派山城2組(そ)主催の仏教市民講座「生きる」に参加。洗心館6階の第1会議室での講演である。今日の話し手は岐阜県大垣市にある医療法人徳養会沼口医院の院長で真宗大谷派の僧侶でもある沼口諭。

今は寿命が延び、ほとんどのお年寄りが病院で亡くなるという時代である。平均寿命は84歳になったが、健康寿命は男性で8歳ちょっと、女性で12歳と少し短い。「健康なまま、ある日ぽっくり死にたい」という理想を持っている人は8割に上るのだが、実際にそうした往生が叶う人は1割ほどしかいないということで、大半の人は不自由な生活と向き合わねばならなくなる。西洋にはそうした場合、チャプレンという宗教者が病院にいて患者と接するのだが、日本にはそうした人はいない。東日本大震災後、「それはおかしいんじゃないか」と声が起こったそうで、臨床宗教師という資格が生まれ、沼口もそうした人を採用しているそうである。

癌と向き合う様々なケースが語られたのだが、京都シネマで「がんになる前に知っておくこと」を観たことがこんなところで生きる。話の内容をより確実に理解することが出来た。弥陀のお導きなのか否か。

60歳の女性は癌になり、ずっと愛知県のがんセンターまで通って抗がん剤の治療を受けてきたのだが、余り良くならないし、先もそう長くない。思い残したことといえば夫と旅行に行けなかったこと。旅行に行く場合、抗がん剤の治療をやめる必要があったようだが、「やめる」という手段もありだそうで、最終的にはやめる決断をする。ところが体調が思いのほか良くならず、旅行が行けるまでには回復しない。そこで病室で折り鶴アートを提案され、折り鶴を亡くなるまで折り続けたそうだ。彼女が折った鶴は今も病院内に形を変えてアートとして飾られているそうである。

昔は若い人がかなり多く死んだ。例えば1920年前後にはスペイン風邪の流行で若い人がバタバタと亡くなるという出来事があったのだが、今は17歳以下で亡くなる人はとても少ない。お年寄りが病院にいて死ぬのを待っているというケースも多いのだが、お年寄りなので信心深い。ということでお内仏にお祈りがしたいという希望を持つ人も多いのだが、これまでの病院ではそれは叶わなかった。希望が通らないという状況ではまずいということで、最近の病院ではそうした要望に応えられるようになってきているそうである。また、入院していると一人になる場所がない。トイレの個室ぐらいしかないのだが、そこでしか一人の時間を持てないというのは精神的に貧しいことだろうというので、沼口の病院には「瞑想室」という一人だけのスペースが設けられており、一人だけの時間が確保出来るようになっているそうだ。「瞑想室」と名付けたが、瞑想をするための部屋ではなく、あくまで一人きりになれる場所を「瞑想室」呼んでいるだけのことである。

これまで肉体面や心理的なケアはなされてきたが、内面世界に関することはおざなりになっており、これからはそうしたスピリチュアル面でのケアが重要になってくるようである。

仏教的な因果を医学面から見ると、因が病気で果が死でしかないが、そうしたスピリチュアル的なケア、真宗的な解釈によると、果は様々なことへの「目覚め」となるようである。

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