カテゴリー「バレエ」の7件の記事

2018年10月22日 (月)

京都国際舞台芸術祭 KYOTO EXPERIMENT 2018 セシリア・ペンゴレア&フランソワ・シェニョー 「DUB LOVE」

2018年10月18日 左京区岡崎のロームシアター京都ノースホールにて

午後8時から、ロームシアター京都ノースホールで、京都国際舞台芸術祭 KYOTO EXPERIMENT 2018 セシリア・ベンゴレア&フランソワ・シェニョーの「DUB LOVE」を観る。

セシリア・ベンゴレアとフランソワ・シェニョーはフランスのパリを拠点に活動しているダンサー兼振付家である。先日、ロームシアター京都サウスホールで公演を行ったロレーヌ国立バレエ団の「トリプルビル」第1作目「DEVOTED」の振付も担当している。

コンセプト:セシリア・ベンゴレア、アナ・ピ、フランソワ・シェニョー。構成・出演:セシリア・ベンゴレア、フランソワ・シェニョー、アレックス・マグラー(役割構成:アナ・ピ)。ヒップホッフ振付コラボレーション:アンジェ・クエ。ダブルプレートプレーヤー:DJ High Elements。

ジャマイカの音楽に乗せて行われるコンテンポラリーダンスである。
タイトルにもある「DUB」というのはレゲエの音響加工技術だそうで、様々な音を加工する。
1950年代のジャマイカで興り、60年代にはスカ(東京スカパラダイスオーケストラでも知られる裏打ちの高速テンポを特徴とする音楽)の要素も取り入れて、その後もロックやミニマルの影響を受けつつ発展したという。


上手側に鏡が張られており、下手から照明を照らすことで、反射した光が下手の壁に影を作る。舞台上のダンサー、上手の鏡像、下手の影の3つが平行して進む形になる。

8分の6拍子の音に合わせてまずフランソワ・シェニョーが登場。 2番手がアレックス・マグラー、ラストがセシリア・ベンゴレアという順に登場。
思い思いの振りで踊った後で、同じ仕草で踊り始める。

その後、3人とも爪先立ちでバランスを取った後で、3人が肩を組み、しゃがんで右足を上げたり、男性ダンサー2人の支えで、セシリアが上体を反らせつつ移動したりするなど、バランスの芸が行われる。

バランスを取るには相手に合わせる必要があるため、この時点で「愛」である。

ちょっとした休憩タイムの水入り後で、3人のダンサーがDJに合わせて歌う。メロディーよりリズム優先で、即興性に富む。

その後も、4分の4拍子のスカのリズムに合わせてダンスが行われ、やがてスカが後退すると全員同じ振付になり、バランス芸が再び現れた後で、爪先立ちで肩を組んだ3人がソロリソロリと退場して終わる。あたかも鏡像のように、あるいはバッハの音楽のように遡行されて。


描いているものはシンプルなのであるが、演劇にしろ音楽にしろ映画にしろ、単純なものを単純に描くのは案外難しい。その点、コンテンポラリーダンスは簡単なものを簡単に表現することに長けている。それがダンスの強みでもある。

今日は満員札止めの観客がDJも含めた4人を大いに称えた。



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2018年10月 4日 (木)

ロレーヌ国立バレエ団 「トリプルビル」@ロームシアター京都サウスホール

2018年9月21日 ロームシアター京都サウスホールにて

午後7時から、ロームシアター京都サウスホールで、ロレーヌ国立バレエ団の「トリプルビル」を観る。「DEVOTED」「STEPTEXT」「SOUNDDANCE」という3つの短編からなる連作。

ロレーヌ国立バレエ団は、フランス・ロレーヌ地域圏ムルト・エ・モゼル県のナンシーに本拠地を置くバレエ団。1980年代にフランス全国19カ所に設けられた国立振付センターの一つであり、劇場と教育機関を併せ持つロレーヌ国立バレエの専属バレエ団である。
正式名称は国立振付センター・ロレーヌ・バレエ団。コンテンポラリー・バレエ作品の制作を中心に据えている。現在の所属ダンサーは26人。2011年7月以降、ピーター・ヤコブソンが芸術監督として指揮を執っている。

「DEVOTED」。セシリア・ペンゴレア&フランソワ・シェニョーの振付である。
緑のレオタードに身を包んだ女性バレリーナ達のダンス。フィリップ・グラスのミニマルミュージック、「Another look at Harmony part Ⅳ」が流れる。パイプオルガンが繰り返され、その後、合唱が加わる。
まずは回転したり足を上げたりと、いかにもクラシックバレエといった感じの振りから入るが、ダンサーの数が徐々に減っていき、ソロダンサー(オオイシ・サキコという日本人のようだ)の舞踊が始まってからコンテンポラリーの要素が加わり、その後も群舞でもクラシックとコンテンポラリーの合わさったダンスが繰り広げられる。
フィギュアスケートでもそうだったが、以前は東洋人は白人に比べてプロポーションの面で大きく見劣りがしていた。だがそれも昔のこと、食習慣の影響もあり、今はそうしたハンディはほとんどない。
一度溶暗してから、3人のダンサーがつま先で立ち続ける中、一人のダンサーが後ろ向きに進むという場面がある。つま先であるため、バランス面でも体力的にもかなりきつそうである。ただそれがその後の踊りの開放感にも繋がっているようである。

「STEPTEXT」。鬼才ウィリアム・フォーサイスの振付。音楽はJ・S・バッハのヴァイオリン・パルティータ第2番より“シャコンヌ”だが、最初のうちは細切れに用いられる。
まず黒い衣装の黒髪の男性ダンサーが舞台下手前方へと歩み出て、円を描くようなダンスを行う。ダンサーが引っ込んでから、今度は黒人系の男性ダンサーが現れて、やはり同じようなダンスをする。
その後、舞台上手から髪を茶色に染めた男性ダンサーと赤い衣装の女性ダンサーが現れて、パ・ド・ドゥを行う。最初に出てきたダンサーと二番目に登場したダンサーをもデュオを行ってたり、別々に踊ったりする。やがて女性ダンサーの相手が次々に入れ代わる。パ・ド・ドゥの時はシャコンヌが鳴り続けて、一段落してソロやデュオが始まると音楽が止まる。
男女の関係性と人生の移ろいを描いているような作品である。

「SOUNDDANCE」。ジョン・ケージのパートナーとしても知られたマース・カニンガムの振付。来年、2019年はカニングハム生誕100年に当たり、来年行われる予定の記念公演でも本作品が取り上げられるという。
舞台上3mぐらいの所から金色のカーテンが降りており、背面を覆っている。中央下に穴があり、そこからダンサーが出入りする。ダンサーはオレンジのシャツを着ており、まずは男性ダンサー一人の踊りでスタートするが、踊り手がどんどん増えていく。
音楽は、デイヴィッド・チューダーの「無題」(1975/1994)。電子音による音楽である。
女性ダンサーが持ち上げられることが多く、アクロバティックな動きも多用される。音そのものを身体によってデッサンしたような作品であり、祝祭生が高い。終盤にはダンサーが一人一人去って行き、最初に登場したダンサーが舞台を後にして幕となる。

終演後にアフタートークがある。出演は、ロームシアター京都の橋本裕介とロレーヌ国立バレエ団芸術監督のピーター・ヤコブソンとリハーサルディレクター&コーディネーターリサーチのトーマス・キャレイ。ピーターとトーマスは英語で話し、千代その子が通訳を務める。

ピーター・ヤコブソンは、「ダイバーシティ(多様性)」を大切にしているそうで、ロレーヌ国立バレエは、クラシックバレエに固執せずにあらゆるジャンルのバレエやダンスに取り組んでおり、またバレリーナやダンサーもクラシックバレエの技術のみを見るのではなく、それぞれの哲学や創造性などを重視して採用を決めるそうである。
またロレーヌ国立バレエは毎年テーマを掲げており、一昨年のテーマは「ラ・バレエ」。フランス語では「ラ」は女性名詞に付く冠詞だそうで、バレエは女性名詞ということになるのだが、本当にそうなのかを問うために女性バレリーナのみによるプログラムを組んだりしたそうだ。その他にも、ダイバーシティとしてあらゆる時代のバレエを一年で取り上げたり、表現のダイバーシティとして、パリのポンピドゥーセンターの前庭で「ディスコフット」という作品を上演したこともあるという。ダンサーがディスコを踊りながらフットボール(サッカー)を行うという作品で、実際にゴールマウスがあり、ボールを蹴り込むと1点が入るのだが、その他にも審判へのアピールも得点要素になるそうである。審判はサッカーの審判ではなく審美眼の持ち主として存在しており、優れたディスコダンスを行うと1点入るという仕組みなのだそうだ。
ピーターもトーマスも今後も様々な作品に取り組みたいと語っていた。


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2018年7月19日 (木)

コンサートの記(403) 高関健指揮 京都市交響楽団 オーケストラ・ディスカバリー2018「Bravo! オーケストラ」第1回“華麗なるバレエの世界”

2018年7月1日 京都コンサートホールにて

午後2時30分から京都コンサートホールで、京都市交響楽団 オーケストラ・ディスカバリー2018「Bravo! オーケストラ」第1回“華麗なるバレエの世界”を聴く。昨年度までのオーケストラ・ディスカバリーは午後2時開演だったが、今回からマチネーの定期演奏会と同じ午後2時30分開演に改められている。今日の指揮者は京都市交響楽団常任首席客演指揮者の高関健。今回は桧垣バレエ団との共演で、ステージの奥部を上まで上げた二段舞台での上演となる。ということで今日はポディウム席、ステージ横席共に販売されておらず、最前列と2列目も奥で行われるバレエが見えないため空席となっている。ナビゲーターはガレッジセール。

演目は前半が、チャイコフスキーのバレエ「くるみ割り人形」から「小序曲」~「行進曲」~「子どもたちの小ガロップと親たちの登場」、チャイコフスキーのバレエ「白鳥の湖」から「情景」と第2幕「オデットと王子のグラン・アダージョ」。後半が、プロコフィエフのバレエ「シンデレラ」ハイライト。

桧垣バレエの出演者は、プリマバレリーナの小西裕紀子を始め、今井大輔、林杏香(はやし・きょうこ)、中尾圭子、蘆原絵莉子、中井高人(たかと)、福島元哉、榎本心、和田健太郎、中谷美咲、大久保真貴子ほか。


今年度はチケットの売れ行きが良く、油断して買うのが遅れたため、2階サイド席の最もステージから遠い場所の席になった。以前だったら音の通りが悪い席だったが、舞台をすり鉢状にして後部の反射板代わりにすることで、音響の改善に成功したようである。ステージからは遠いが音には問題はない。

今日もコンサートマスターは客演で、植村太郎が入る。泉原隆志は降り番で、フォアシュピーラーは尾﨑平が務める。第2ヴァイオリンの首席も客演の小宮直に託された。


まずは「くるみ割り人形」。京響の好調は続いており、エレガントな響きが聴き手を楽しませてくれる。
桧垣バレエ団は予想していたよりも本格的な上演。後方ステージ上は賑やかで、多彩な踊りが展開された。

上演終了後、マイクを手にしゃがれた声で自己紹介。昨日まで風邪を引いており、今日治ったばかりだという。
ガレッジセールの二人が登場し、ゴリが「今日、お金掛かってるから京響の皆さんの給料が出なくなるなんてことはないでしょうか?」と冗談をいう。
その後、ガレッジセールと高関の3人がいったん退場して後方ステージに上がる。ゴリは「NGKより眺めが良い」といって、川ちゃんに「そんなこと言っちゃ駄目でしょ」とたしなめられていた。その後、小西裕紀子が後部ステージ上に呼ばれ、ガレッジセールの二人からの質問に答えていく。小西、それからその後に登場した小学6年生の団員二人は止まっている時も両つま先を外側に向けたバレエのポーズであり、いつでも踊りに入ることが出来るようこれを常に保つ必要があることを述べる。「オーケストラの皆さんは楽器を使いますが、私たちは体を楽器にして」常に磨き続けることを心がけているそうである。バレリーナは公演中の待ち時間も長いのだが、いつ本番になってもすぐに対応できるよう体を最善の状態に保ち続けているそうだ。

「白鳥の湖」。小西裕紀子と今井大輔のパ・ド・ドゥである。ダイナミックさと華麗さを併せ持ったバレエが展開される。高関指揮の京響も万全の演奏を聴かせた。


後半、プロコフィエフのバレエ「シンデレラ」ハイライト。この曲ではガレッジセールの二人が交互にナレーションを担当する。元々俳優志望だったゴリの方がナレーションは上手い。川ちゃんはちゃんと読もうとする気持ちが強すぎた結果、文を短く切りすぎて却って伝わりにくくなっていた。
物語性が強いということで、小西裕紀子によるユーモア溢れる演出が生きている。舞踏会に妖精が現れるところではストップモーションを採用。意地悪な継母(演じるのは蘆原絵莉子)とその娘達の踊りでは、若い娘達には男達がすぐに支えにくるのに、継母には誰も寄ってこないため、継母が床を踏みならして「誰か来なさい!」と強制する場面が加わっていた。継母はコミックリリーフ的な扱いであり、皆で客席中央通路に出て紙吹雪を撒くシーンでも一人でいつまでも紙吹雪を投げ続けるというわがままぶりを発揮して笑いを誘っていた。バレエのユーモラスなシーンはサイレント映画に通じるところがあり、観ていて、「ああ、チャップリンだ、バスター・キートンだ、ヒッチコックだ」と様々な無声映画を連想した。
高関指揮の京響もシャープで所々にわさびを利かせた演奏を展開し、プロコフィエフを聴く楽しみを十全に味わわせた。

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2017年3月24日 (金)

観劇感想精選(205) ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」2017大阪

2017年3月1日 梅田芸術劇場メインホールにて観劇

午後6時30分から、梅田芸術劇場メインホールで、ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」を観る。シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」をフランス人のジェラール・プレスギュルヴィックがミュージカル化したもの。潤色・演出は宝塚歌劇団の小池修一郎。宝塚歌劇でも上演されたことがあるようだが、今回は新演出での上演である。音楽監督は太田健。
出演は主役クラスはWキャストで、今日の出演は、古川雄大、生田絵梨花(乃木坂46)、馬場徹、小野賢章(おの・けんしょう)、渡辺大輔、大貫勇輔。レギュラー出演者は、香寿たつき、シルビア・グラブ、坂元健児、阿部裕(あべ・ゆたか)、秋園美緒、川久保拓司、岸祐二、岡幸二郎ほか。ダンサーが多数出演し、華やかな舞台となる。

このミュージカルは、「死」と名付けられたバレエダンサー(大貫勇輔)の舞踏で始まる。背後の紗幕には爆撃機と爆撃される街の映像が投影される。
「死」は常にというわけではないが、舞台上にいて出演者達に目を配っている。ロミオ(古川雄大)が失望する場面が合計3度あるのだが、その時はロミオと一緒になって踊る。ロミオに毒薬を手渡すのも「死」の役目だ。
今日は出演しない「死」役のもう一人のバレエダンサーは、連続ドラマ「IQ246」にも出演して知名度を上げた宮尾俊太郎で、宮尾が舞う日のチケットは全て完売である。

イタリア・ヴェローナ。時代は現代に置き換えられており、登場人物達はスマートフォン(セリフではケータイと呼ばれる)や動画サイトを使っている。舞台は観念上のヴェローナのようで、実際のヴェローナにはない摩天楼が建ち並び、BOXを三段に重ねたセットが用いられる。
ヴェローナを二分するモンタギュー家とキャピュレット家。モンタギュー家は青地に龍の旗をはためかせ、モンタギューの一党も青系の衣装で統一されている。一方、赤字にライオンの旗をトレードマークとするキャピュレットの一族は赤系の服装だ。
モンタギューとキャピュレットの間では争いが絶えない。特にキャピュレット家のティボルト(渡辺大輔)と、モンタギュー家のマーキューシオ(小野賢章)は不倶戴天の敵という間柄である。
ヴェローナ大公(岸祐二)が両家の仲裁に入り、「今度争った場合は刑に処す」と宣言する。

キャピュレット卿(岡幸二郎)とキャピュレット夫人(香寿たつき)は、娘のジュリエット(生田絵梨花)をパリス伯爵(川久保拓司)に嫁がせようとしていた。ロミオにいわせるとパリスは「いけ好かない成金」であるが、キャピュレット卿は借金があり、ジュリエットと結婚したあかつきには借金を肩代わりしてもいいとパリスは言っていた。
ジュリエットはこの物語では16歳という設定。本当の愛というものを知らないうちに親が決めた相手と結婚することに疑問を感じている。だが、キャピュレット夫人は、「自分は結婚に愛というものを感じたことなど一度もない」と断言する。キャピュレット夫人も親の言いなりでキャピュレット卿と結婚したのだが、夫に魅力は感じず、夫も女遊びに励んでいたので負けじと浮気を繰り返していた。
そしてキャピュレット夫人は、ジュリエットが不義の子だということを本人に告げる(このミュージカルオリジナルの設定である)。のちにキャピュレット卿は、ジュリエットが自分の子供ではないと気づき、3歳のジュリエットの首を絞めて殺そうとしたのだが、余りに可愛い、実の娘以上に可愛いので果たせなかったというモノローグを行う。

キャピュレット夫人(くわえ煙草の時が多い)は、甥のティボルトになぜ戦うのか聞く。ティボルトは、「人類はこれまでの歴史で、どこかでいつも戦ってきた」と人間の本能が戦いにあるのだという考えを示す。キャピュレット夫人は愛の方が重要だと主張するがティボルトは受け入れない。

一方、ヴェローナ1のモテ男であるロミオは、数多くの女を泣かせてきたが、今度こそ本当の恋人に会いたいと願っている。マーキューシオやベンヴォーリオに誘われて、キャピュレット家で行われた仮面舞踏会にロミオは忍び込む。パリス伯爵に絡まれていたジュリエットだが、ロミオと出会い、互いに一目惚れで恋に落ちる。だが、ロミオの正体がばれ、パリス伯爵との結婚が急かされるという結果になってしまう。

バルコニーでジュリエットが、「ロミオあなたはなんでそんな名前なの?」という有名なセリフを語る。ロミオがバルコニーに上ってきて、二人は再会を喜び、「薔薇は名前が違ってもその香りに変わりはない」というセリフを二人で語り上げる。

ティボルトもまた従妹であるジュリエットに恋していた。ティボルトも15歳で女を知り、それ以降は女に不自由していないというモテ男だったのだが、本命はジュリエットだった。日本の法律では従兄妹同士は結婚可能なのだが、キャピュレット家には従兄妹同士は結婚出来ないという決まりがあるらしい。
ティボルトはこれまで親の言うとおり生きてきたのだが、それに不満を持つようになってきている。ただ、自由に生きることにも抵抗を覚えていた。

一方、モンタギュー家のロミオ、ベンヴォーリオ、マーキューシオも大人達の言うがままにならない「自由」を求めており、自分達が主役の社会が到来することを願っていた。いつの時代にもある若者達の「既成の世界を変えたい」という希望も伝わってくる。

バルコニーでの別れの場。ジュリエットは父親から「18歳になるまではケータイを持ってはならない」と命令されており、ロミオと連絡を取る手段がない。ジュリエットはロミオに薔薇を手渡す。「明日になっても気が変わらなければ、この花を乳母(ジルビア・グラブ)に渡して」と言うジュリエット。ロミオは勿論心変わりをすることなく、訪ねてきた乳母に薔薇の花を返す。かくして二人はロレンス神父(坂元健児)の教会で結婚式を挙げる。フレンチ・ミュージカルであるため、フランス語で「愛」を意味する「Aimer(エメ)」という言葉がロミオとジュリエットが歌う歌詞に何度も出てくる。

二人の結婚の噂が流れ、街では、「綺麗は汚い、汚いは綺麗」という「マクベス」のセリフを借りた歌が流れる。「顔は綺麗と思った女性でも」という意味である。

再びモンタギューとキャピュレットの諍いが起こる。マーキューシオがティボルトとの戦いに敗れて死に、その腹いせでロミオはティボルトを刺し殺してしまう。ヴェローナ大公はロミオにヴェローナからの永久追放を宣言するのだった。


常に人々を見下してきた「死」が、ラストになって敗れる。ロレンス神父がジュリエットに死んだようになる薬を手渡したことをロミオにメールするのだが、ロミオはケータイをなくしてしまっており、事実を知らないまま「死」から手にした毒薬で自殺し、それを知ったジュリエットも短剣で胸を突き刺して後を追う。ここまでは「死」のシナリオ通りだったのだが、ロミオとジュリエットの愛に心打たれたモンタギュー卿(阿部裕)がキャピュレット卿と和解。ロミオとジュリエットの名は後世まで残るものと讃えられる。ロミオとジュリエットの死が愛を生んだのだ。「死」は息絶える仕草をし、ここにおいて愛が死に勝ったのである。


楽曲はロック風やクラブミュージック調など、ノリの良いナンバーが比較的多く採用されている。拍子自体は4分の4拍子や4分の3拍子が多く、リズムが難しいということはない。
ベンヴォーリオがのぼせ上がったモンタギュー一族をなだめる場面があり(「ロミオとジュリエット」を翻案した「ウエスト・サイド・ストーリー」における“クール”の場面のようである)、これまたベンヴォーリオがマントヴァ(この劇では売春街という設定になっている)に追放されたロミオを思って一人語りをしたり伝令も兼ねたりと、ベンヴォーリオは原作以上に重要な役割を与えられている。


2013年のミュージカル「ロミオ&ジュリエット」でもロミオを演じた古川雄大は安定した歌と演技を披露する。
ジュリエットを演じた乃木坂46の生田絵梨花はミュージカル初挑戦であるが、実力はあるようで、すでにオーディションを突破しなければキャスティングされないミュージカル「レ・ミゼラブル」にコゼット役での出演が決定している。生田絵梨花はピアノが得意で日本クラシック音楽コンクール・ピアノ部門での入賞歴があり、現在は音楽大学に在学中。ということでソニー・クラシカルのベスト・クラシック100イメージキャラクターも務めていたりする。演技はやや過剰になる時もあるが、歌は上手いし、筋は良い。
ティボルト役の渡辺大輔とマーキューシオ役の小野賢章も存在感があって良かった。

カーテンコールは3度。最後は大貫勇輔が客席に向かって投げキッスを送りまくり、笑いが起こっていた。

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2013年10月25日 (金)

これまでに観た映画より(58) 「ブラック・スワン」

Blu-rayで、アメリカ映画「ブラック・スワン」を観る。ナタリー・ポートマン主演作。ダーレン・アロノフスキー監督作品。この映画でナタリー・ポートマンは2010年のアカデミー主演女優賞と、ゴールデングローブ女優賞を受賞している。

セルのBlu-rayは観ているが、レンタルのBlu-rayディスクを観るのは初めてである。最近はBlu-rayとDVDが同時に発売されるケースが多いので、今後はレンタルBlu-rayも増えていくことだろう。

「ブラック・スワン」は、ニューヨークのバレエ・カンパニーを舞台にした心理サスペンスホラーである。

トマ・ルロワ(ヴァンサン・カッセル)が率いるニューヨークのダンスカンパニー。長年、プリマドンナを張ってきたベスが引退することになり、新演出による「白鳥の湖」のヒロインを選ぶことになる。ニナ(ナタリー・ポートマン)はその筆頭候補であるが、新演出では白鳥と黒鳥(ブラック・スワン)の両方を踊ることになっており、清純な白鳥を踊るのにニナは申し分ないが、精密な機械のようなダンスであり、蠱惑的な黒鳥を舞うにはエモーショナルな部分が足りない。ニナにはヒロインになる夢があるが、そのうちに、自分のドッペルゲンガーや幻覚などを頻繁に見るようになる。トマを誘惑し、失敗するもなんとかヒロインの座を射止めたニナ。しかし、幻覚などの症状は重くなっていく…

憑依型の演者の心理を巧みに突いた心理劇である。見終わった後に残るものは少ないが、観ている間は、ナタリー・ポートマン演じるニナの心理もなんとなくではあるがわかり、のめり込むことが出来る。

傑出した映画ではないかも知れないが、心理サスペンスホラーとしてはなかなか上手く出来た作品だと思う。

バレエダンスを吹き替えなしで演じきったナタリー・ポートマンには「ブラーヴァ!」である。

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2008年7月11日 (金)

これまでに観た映画より(28) 「リトル・ダンサー」

DVDでイギリス映画「リトル・ダンサー」を観る。2000年制作。スティーヴン・ダルドリー監督作品。

1984年、イギリス北部の炭坑の町。11歳のビリー・エリオットはボクシングをやっているが、彼にはやる気がない。そんなある日、工事のため下の階でやっていたバレエレッスンをボクシングをやっている体育館の脇でやることになる。もともとダンスのとりこだったビリーはレッスンを見ているうちにバレエに次第に惹かれていくのであった。しかし炭坑の町だけに父親は、「男らしくない」と強硬に反対し……。

ビリー・エリオットの成長を描く爽快な一編である。観ていてワクワクする。ここにはドラマがある。現代人はドラマを好まなくなったなどと、利いた風に人は言うけれど、そんなわけがないことがこの映画を見ればわかると思う。
映像の美しさも特筆事項。そして、無惨な炭坑の町をきちんと描くという社会的な部分も決して忘れていない。見応えのある作品である。

原題は「ビリー・エリオット」。その名の通り、バレエを描くと言うよりも、むしろビリーという少年をきちんと描いている。家族の愛の強さと大切さもちゃんと教えてくれる。
6歳でダンスを始め、2000倍のオーディションを勝ち抜いた、ビリー役のジェイミー・ベル(1986年生まれ)の見事なダンスにも瞠目。観て絶対に損はしない一本である。

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2008年5月 8日 (木)

ワレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管弦楽団 ウリヤーナ・ロパートキナ主演   チャイコフスキー バレエ「白鳥の湖」

2006年5月から6月にかけて、サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場で行われた公演を中心に収録された、チャイコフスキーのバレエ「白鳥の湖」のDVDを紹介します。DECCAレーベル、イギリスのBBC、日本のNHKの共同制作。指揮はワレリー・ゲルギエフ、演奏はサンクトペテルブルク・マリインスキー劇場管弦楽団(旧称:キーロフ劇場管弦楽団)。オデット姫とオディールの二役をウリヤーナ・ロパートキナが舞い、ジークフリート王子をダニーラ・コルスンツェフが踊っています。
マリウス・プティパとレフ・イワーノフが1895年に完成させた振付を基に、コンスタンチン・セルゲーエフが1950年に振付改訂をしたマリインスキー劇場版を使用した公演。

サンクトペテルブルク・マリインスキー劇場 DVD「白鳥の湖」 ゲルギエフ指揮

ロパートキナとコルスンツェフ、マリインスキー劇場バレエ団の華麗な舞いと幻想的な振付、セットの豪華さも見所ですが、ドラマティックな音楽をスコアから引き出したゲルギエフの指揮が見物、聴き物。第1幕冒頭では、空中にある見えない鍵盤を奏でるかのように指をヒラヒラさせながら指揮をするゲルギエフの独特の指揮姿も見ることが出来ます。

個人的には「白鳥の湖」の全曲盤は聴き通すのに骨が折れるので、DVDを観た方が音楽も楽しめます。ゲルギエフ盤DVDはBBCとNHKの協力による映像も美しく、「白鳥の湖」のDVDとしてはトップランクです。

バレエ&ダンス/Swan Lake(Tchaikovsky): Lopatkina Korsuntsev Gergiev / Kirov Opera (輸入盤)

バレエ&ダンス/Swan Lake(Tchaikovsky): Lopatkina Korsuntsev Gergiev / Kirov Opera (国内盤)

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