カテゴリー「映画音楽」の29件の記事

2019年10月11日 (金)

「怪盗ルビイ」より「たとえばフォーエバー」

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コンサートの記(596) 原田慶太楼指揮 京都市交響楽団 「THE MUSIC OF JOHN WILLIAMS:STAR WARS AND BEYOND」@ロームシアター京都

2019年9月29日 ロームシアター京都メインホールにて

午後3時から、ロームシアター京都メインホールで、原田慶太楼(はらだ・けいたろう)指揮京都市交響楽団による「THE MUSIC OF JOHN WILLIAMS:STAR WARS AND BEYOND」を聴く。アメリカの映画音楽の巨匠、ジョン・ウィリアムズの音楽を取り上げる演奏会。MCは、有村昆。藤岡幸夫司会の音楽番組「エンター・ザ・ミュージック」の映画音楽特集の回では毎回見かける有村昆だが、生で見るのは初めてである。

原田慶太楼は、今回が京響デビューとなる。1985年東京生まれ。幼少時よりインターナショナルスクールに通い、17歳の時に単身渡米してインターラーケン芸術高校音楽科で指揮を吹奏楽界の巨匠として知られたフレデリック・フェネルに師事。その後、複数の大学で学び、二十歳でジョージア州のメーコン交響楽団のアシスタント・コンダクターに就任。2010年にタングルウッド音楽祭で小澤征爾フェロー受賞。この時からジョン・ウィリアムズのアシスタントを務めるようになる。これまでに指揮をロバート・スパノ、マイケル・ティルソン・トーマス、オリバー・ナッセン、ヘルベルト・ブロムシュテットに師事。今年の夏までシンシナティ交響楽団と同楽団のシンシナティ・ポップス・オーケストラのアシスタントコンダクターを務め、来年からはジョージア州のサヴァンナ・フィルハーモニー管弦楽団の音楽&芸術監督に就任する予定である。

 

曲目は第1部が、「オリンピック・ファンファーレとテーマ」、「ジョーズ」(The Shrak Theme from Suite from Jaws)、「スーパーマン」(Superman March)、「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」(Raiders March)、「E.T.」(Flying Theme)、「ジュラシック・パーク」(The theme from Jurassic Park)、「シンドラーのリスト」(Theme from SCHINDLER'S LIST for Violin and Orchestra)、「ハリー・ポッターと賢者の石」(Hedwig's Theme)。
第2部では、「スター・ウォーズ」全8作からジョン・ウィリアムズと原田がコンサート用にまとめた音楽全曲が披露される。音源にはなっていないため、コンサートでしか聴けないバージョンだそうである。

 

今週の京都市交響楽団のスケジュールは変則的。昨日、同じロームシアター京都メインホールで「ドラゴンクエスト」の音楽を演奏しており、2日続けての演奏会開催となる。原田とのリハーサルは数日前に行い、原田はその後、東京交響楽団のコンサートを指揮してから京都に戻り、ゲネプロを行って本番ということになるようである。

2日続けての公演ということもあってか、楽団員の顔ぶれも定期演奏会とは異なり、コンサートマスターには客演の「組長」こと石田泰尚。第2ヴァイオリン副首席の杉江洋子、ヴィオラ首席の小峰航一、オーボエ首席の髙山郁子、クラリネット首席の小谷口直子らは降り番である。映画音楽に強いエキストラも何人か参加しているようだ。第1部ではホルンの1番は首席の垣本昌芳が吹いたが、第2部では水無瀬一成に変わった。

 

今日は3階席2列目の真ん真ん中という、音響的には最も良い部類に入ると思われる席である。

開演時間となり、楽団員が登場する。定期演奏会ではないので拍手はどうするのかなと思ったが、全員が客席の方を向いて立っている。だが、拍手が起こらない。なんとも妙な光景である。コンサートマスターの石田泰尚が姿を見せてようやく拍手が起こる。
つまり、定期演奏会に来ているお客さんは今日は客席にはほとんどおらず、拍手のタイミングがわかっていないのだ。別に私一人で拍手しても良かったのだが、複数の人が拍手しないとつられて拍手が起こるということはあり得ないので無駄である。複数のスタッフが袖でサクラの拍手を行うべきだったのかも知れないが。
今日来ているのはあくまでジョン・ウィリアムズの音楽が好きな人が大半で、これを機に京都市交響楽団の定期演奏会に通うようになるという人はほとんど現れないと思われ、また普段、定期演奏会に通っている人は映画音楽には興味がないのであろう。ジャンルの分断が起こっている。

 

日本でも活躍の場を広げている原田慶太楼は、若々しく、スケールの大きな音楽作りが特徴。ただ、ジョン・ウィリアムズの音楽性もあるのだと思われるが、ずっと押しの音楽作りを続けるところがあり、「スター・ウォーズ」の音楽は聴いていてかなり疲れたのも事実である。

有村昆は、映画のエピソードなどを紹介。「E.T.」の自転車が飛ぶシーンでは、ジョン・ウィリアムズが自転車が浮き上がるシーンに合わせて指揮することがどうしても出来なかったため、まずジョン・ウィリアムズに自身が最適と思うテンポで演奏して貰い、スピルバーグの方がそれに合わせて映像を作った(撮影したのか編集したのかは不明。話の流れからいって再度撮影した可能性の方が高いが)という話や実はE.T.が乗っていた自転車は日本製であるということ(大阪にあるKUWAHARAというメーカーのもの)、同じモデルの自転車が最近再発売されたことなどを語る。当時、アメリカの子ども達にはKUWAHARA(桑原商会)のBMX用自転車が大人気であり、撮影のために日本からわざわざKUWAHARAのBMXを取り寄せたそうである。ちなみに復刻版であるが5万円以上するそうでかなり高い。

「ジュラシック・パーク」は、CGの使用によって全世界を驚愕させた作品だが、当時はまだCGの精度は高くなく、実際には7分程度しか使われなかったそうで、それ以外は案外アナログな手法が取られていたそうである。

「シンドラーのリスト」に関しては、原田が「自分の作品の中で一番良くコンプリティリー(満足している)な作品」としてジョン・ウィリアムズがこの曲を挙げていたことを語る。原田は日本にいるときからインターナショナルスクール育ちで、その後、アメリカに拠点を置いているため、日本語よりも英語の方がずっと得意のようで、日本語の発音もそうだが、日本語で上手い言葉が見つからず英語の単語を挙げることが何度かあった。
映画ではユダヤ人であるイツァーク・パールマンが濃厚で思い入れのあるヴァイオリンを奏でるのだが、今回ソロを取る石田泰尚はやはり日本人なのでサラサラしている。

「ハリー・ポッターと賢者の石」のHedwing's Themeでは原作者であるJ・K・ローリングから「子どもを思わせるような楽器を」というリクエストがあったため、ジョン・ウィリアムズはチェレスタを選んだという話が二人から紹介される。ハリー・ポッターシリーズではふくろうが重要なイメージとなっているのだが、ヴィオラを中心とする弦楽がふくろうの羽ばたきを表現していると原田は語った。

 

第2部の「スター・ウォーズ」。演奏が始まる前に、有村昆が、「この中で『スター・ウォーズ』シリーズを1作でも見たことがあるぞという方、拍手をお願いします」と言い、盛大な拍手が返ってくる。それはそうである。「スター・ウォーズ」を観たことがないのにコンサートに来ていたとしていたらその方が変だ。ただ原田が「京響の方々から拍手がない」と言い、「でも楽器を持っていたからでしょう」と自らフォローするも、有村が「ご覧になったことありますよね?」と楽団員に聞く。
有村「反応が薄い」
実は第2ヴァイオリンの三瀬由起子さんが、Twitterで「スター・ウォーズ」を知らないということを明かしており、団員に「フォースを守る話」と聞かされても「ホーシ」と聞き間違え、更に「フォースってなんですか?」という状態なので、多分そんな人も多いのだろう。

先に書いたとおり、通して聴くと疲れるのだが、音の鳴りは完璧で、ジョン・ウィリアムズの実力の高さを知ることが出来るし、各曲の個性やインパクトも強烈である。ある意味、どんなクラシック作品よりもアメリカ的な音楽であるといえるのかも知れない。グスターボ・ドゥダメル指揮ロサンゼルス・フィルハーモニックが全曲ジョン・ウィリアムズによるコンサートを行い、ドイツ・グラモフォンからライブ録音によるCDが出ているが、もうアメリカのクラシック作品と捉えてもいいのではないだろうか。ハリウッド映画の音楽、そして誰もが知っているメロディーということで、まさにアメリカの象徴的なものなのだから。

ただ、そう考える日本人は少ないわけで、だからこそ聴衆の分断が起きているのである。アメリカなどでは映画音楽による定期演奏が行われているのだが、日本では難しそうだ。日本の映画音楽も手掛けるべきなのだが、残念ながら知られている日本映画の音楽はそれほど多くはない。京都市交響楽団は、新たな戦略を募集していて、映画音楽やライトクラシックの音楽会で客層を広げようと考える人も多いと思われるのだが、今日の雰囲気だとそれは大して意味がなさそうである。映画音楽を聴く人はクラシックのコンサートには来ないし、逆もしかり。やはりYouTubeなどによる映像配信が最良の手なのかも知れない。ガリシア交響楽団という、世界的には無名なオーケストラを私はよく知っているのだが、それはなぜかといえばYouTubeチャンネルを持っていて、演奏をよく配信しているからである。「百聞は一見にしかず」というが、映像配信なら百聞と百見が共に可能なのだから、昨日行った霊光殿天満宮の額にあった通り「天下無敵・必勝利運」となるのではないか。

 

アンコールでは「スター・ウォーズ」メインテーマ完全版を原田と有村の二人で指揮する。途中で二人はライトセーバーを取り出して指揮。実は有村はライトセーバーが大好きで、TOKYOSAVERZというライトセーバーを使った殺陣ダンスユニットのプロデュースも行っているそうである。

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2019年8月26日 (月)

坂本龍一 2種の「Batavia」

 

 

 

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2019年8月20日 (火)

コンサートの記(586) 久石譲&新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ2019京都公演

2019年8月11日 京都コンサートホールで

午後5時から京都コンサートホールで、久石譲&新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ2019京都公演を聴く。新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラであるが、組織としては新日本フィルハーモニー交響楽団と同一である。コンサートマスターは豊嶋泰嗣。

全曲、久石譲作品が並ぶというプログラム。前半が、組曲「World Dreams」(世界初演)、Deep Ocean。後半が、[Woman]for Piano,Harp,Percussion and Strings(改訂初演)、Kiki's Delivery Service Suite(交響組曲「魔女の宅急便」。世界初演)。全曲、久石譲の指揮。久石譲は、Kiki's Delivery Service Suiteの一部ではピアノも担当する。

全曲、ヴァイオリン両翼の古典配置での演奏である。


世界初演となる組曲「World Dreams」は久石らしいリリカルな作風である。「ベートーヴェン交響曲全集」なども完成させている久石であるが、指揮者として誰かに師事したということはないはずなので、基本的には拍を刻むオーソドックスな指揮を見せる。なぜか小指を立てて指揮棒を握っているのが妙に印象的である。

今回のツアーにはAプログラムとBプログラムがあり、京都公演ではBプログラムが演奏されるのだが、Aプログラムとの違いは2曲目のみである。
その2曲目のDeep Oceanは、グラハム・フィットキン作品を思わせるミニマルミュージックでこれまた現代音楽家としての久石譲の王道を行く作品である。9曲からなるのだが、5拍子の曲が目立つ。久石は5つの拍を、三角形を描く拍と上下の二つに分けて指揮した。


[Woman]for Piano,Harp,Percussion and Strings。1曲目は「草の想い」、2曲目は「崖の上のポニョ」の旋律を元にした作品である。久石オリジナルの現代音楽を目的に来たのだが、お馴染みの久石メロディーを聴くとやはり楽しい。
3曲目は「Les Aventuriers」の新編曲。久石作品の中では評価が高い曲のようだが、私は本格的に聴くのは初めてだと思う。


ラストとなるKiki's Delivery Service Suite(交響組曲「魔女の宅急便」)。クラリネット奏者、トランペット奏者、トロンボーン奏者が立って演奏するなど、ソロ的な見せ場があり、コンサートマスターの豊嶋泰嗣にもソロが用意されている。マンドリンやアコーディオンを入れた編成で、幼時へのノスタルジアが掻き立てられるような仕上がりとなっていた。「魔女の宅急便」は、架空のヨーロッパを舞台とした映画とされているが、久石が書いた音楽は、スタジオジブリ作品の中でも日本人の琴線に最も触れやすい旋律に満ちている。


アンコールとしてまず久石譲のピアノによる「あの夏へ」が演奏される。懐かしくも切ない思い出も多い今の季節に最も相応しい楽曲である。

アンコール2曲目は、「ハウルの動く城」のために書かれた「Merry-go-round(人生のメリーゴーランド)」。聴き手の想像がどんどん広がっていくような曲と演奏である。


渡邉暁雄によってアメリカのオーケストラを目標に組織された日本フィルハーモニー交響楽団を前身とする新日本フィル。日フィル争議によって小澤征爾と共に日本フィルハーモニー交響楽団を飛び出したメンバーによって結成されているが、残されたメンバーによって市民のための楽団として再スタートした現在の日本フィルよりも新日本フィルの方がよりアメリカ的な音楽スタイルを指向しているように思われる。小澤征爾が長きに渡ってボストン交響楽団の音楽監督を務めていたことと関係があるのかどうかはわからないが、映画音楽をベースとした作品の演奏には、やはりアメリカ的な感性を追求するオーケストラが合っており、今日も艶のある音色と明るい響きによって久石作品に込められた夢を広げていた。


ポピュラー系の聴衆が多いということもあってか、客席はほぼオールスタンディングとなり、新日フィルのメンバーが下がってからも久石譲が一人現れて喝采を受けるという、俗にいう一般参賀も行われた。久石譲は大袈裟に手を振って笑いを誘っていた。

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2019年1月26日 (土)

「シェルブールの雨傘」

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2018年12月27日 (木)

コンサートの記(479) 京都新聞トマト倶楽部 京響バレンタインコンサート「ミュージカル界のシンデレラガール新妻聖子を迎えて!」

2010年2月11日 京都コンサートホールにて

午後2時から京都コンサートホールで、京都新聞トマト倶楽部 京響バレンタインコンサート「ミュージカル界のシンデレラガール新妻聖子を迎えて!」を聴く。

タイトル通り、ミュージカル俳優の新妻聖子を迎えてのコンサート。新妻聖子はデビューが鮮烈で、ミュージカル界のシンデレラガールと騒がれたが、現在は日本を代表するミュージカル俳優となっており、シンデレラガールというのは今はちょっと違うような気がする。

指揮は井村誠貴(いむら・まさき)。オペラを中心に活躍している指揮者で、小さくまとまっているようなところがあるが、旋律を歌わせるのは得意なようである。

まずオーケストラだけでレナード・バーンスタインの「ウエストサイド物語」セレクション(編曲者不明)が演奏され、その後で、濃いピンク色のドレスを纏った新妻聖子が登場、「マイ・フェア・レディ」より“踊り明かそう”、「レ・ミゼラブル」より“夢破れて”、「キャッツ」より“メモリー”が歌われる。新妻の歌は伸びやかで力強さもあり、聴いていて心地良い。

ヨハン・シュトラウスⅡ世の歌劇「千夜一夜物語」間奏曲が演奏された後、再び新妻が登場して、「エリザベート」より“私だけに”を歌った。


休憩後の第二部。まずラフマニノフの交響曲第2番第3楽章が演奏される。ややスケールが小さいが、歌は美しい。

そして、今度は紫色のドレスに着替えた新妻聖子が登場し、映画「ボディーガード」より“I will always love you”、「ある愛の歌」から同名主題歌、NHKドラマ「陽炎の辻」の主題歌で、新妻の持ち歌である「愛をとめないで」が歌われる。言うことなしである。

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2018年12月26日 (水)

コンサートの記(478) 園田隆一郎指揮 京都市交響楽団 オーケストラ・ディスカバリー2018 「Bravo!オーケストラ」第3回「ファンタジック!オーケストラ」

2018年12月23日 京都コンサートホールにて

京都コンサートホールでオーケストラ・ディスカバリー2018「Bravo!オーケストラ」第3回「ファンタジック!オーケストラ」を聴く。午後2時30分開演。今日の指揮者は園田隆一郎。

ロビーでプレイベントがあり、園田隆一郎と京響の楽団員達が、ちびっ子からの質問に答える。質問は事前に募集し、スタッフが選んだものをシニアマネージャーの柴田さんが読み上げる。

京響の出演者は、泉原隆志(ヴァイオリン)、上野博昭(フルート)、小谷口直子(クラリネット)、ハラルド・ナエス(トランペット)、宅間斉(たくま・ひとし。打楽器)、松村衣里(まつむら・えり。ハープ)。

小谷口直子が、「小さいお友達、こんにちは! 聞こえないな。こんにちは! 大きなお友達もこんにちは!」とクラリネットのおば……、じゃなかったお姉さん風の口調で挨拶をしていたりする。

泉原隆志は、7歳と5歳のお子さんがいらっしゃるそうだが、子ども達が出場しているサッカーの試合などを観戦しているのが、「至福の時」だと述べていた。
上野博昭は、料理が趣味だという。
ハラルド・ナエスは多趣味で、車やラジコンなども好きだという。

「いつも何時間ぐらい練習してるんですか?」という質問には、上野博昭が、「全体の練習が午前10時半から4時頃まであるので、それがある日は、それほど練習出来ないです。長くても3時間くらい」と答えるが、小谷口直子は、「私は多分、上野さんより長く練習していると思います。何時間練習すれば良いというものではなく、プロの演奏家というのは出来るまでやらなければいけないと思ってます。なので私はイライラいながら長く練習してます。すぐ出来ちゃう人は短くていいと思うんですけど」と語っていた。

宅間斉は、「打楽器の場合は練習に困る」と言っており、自宅に置けない打楽器が多いので、「練習場で練習するようにしてます」と答えていた。

「旅先での練習はどうしているんですか?」という質問には、ハラルド・ナエスと泉原隆志がミュートをつけた演奏をやってみせる。トランペット場合はマウスだけで吹く練習をすることがあるそうだ。ホテルでは大きな音は立てられないため、ヴァイオリンも一番強いミュートを使って練習するそうである。

園田隆一郎には、「どうやったら指揮者になれるんですか?」という質問があり、「ピアノやヴァイオリンなんかは、3歳からやってます、6歳からやってますという方がいらっしゃると思いますが、6歳で指揮をやってますという方はいらっしゃらないだろうし、いると困る。人間性に問題が出る可能性がある」ということで、「音楽大学に指揮科というものが一応あるので、そこに入って勉強するのが良いと思います。というより、それ以前にはやらない方がいいと思います。自分がやっている楽器を極めて、それから指揮をどうしてもやりたいと思っても遅くない」
「指揮棒を使う時と使わない時の違いは?」という質問には、「使う時、使わない時というより、指揮棒を使う人と使わない人がいると思います。僕はいつも使います。大きいホールでやる時、あるいはオペラなんかでは白くて細いものが動いてた方が見やすい」と語っていた。


曲目は、前半が、チャイコフスキーのバレエ組曲「くるみ割り人形」から「花のワルツ」、フンパーディンクの歌劇「ヘンゼルとグレーテル」序曲、ルロイ・アンダーソンの「舞踏会の美女」、ロジャースの「サウンド・オブ・ミュージック」から「エーデルワイス」「サウンド・オブ・ミュージック」「ドレミの歌」(合唱:京都市少年合唱団)、後半がオーケストラ・ライブ演奏によるアニメーション・フィルムの上映で「スノーマン」(作曲:ハワード・ブレイク)。

「スノーマン」の上映があるということで、ステージ後方に巨大スクリーンが下りており、前の席のお客さんから映像が見えないと困るというので、オーケストラも奥の方に詰めて配置、ステージも平らになっている。


まずはチャイコフスキーの「くるみ割り人形」より「花のワルツ」。「くるみ割り人形」は、クリスマスが舞台になっているということで、この時期によく演奏される。
園田隆一郎はこの手の音楽はお手の物である。
今日は舞台を平らにしているため、やはり音が上に行く感じはある。音響的には今日はいまいちのようだ。

演奏終了後に園田は、「この方達にコンサートを仕切っていただきましょう。がレッジ-セールのお二人です」と紹介。出てきたゴリは、「俺らコンサート仕切るの無理です」と言う。
ゴリは、「川田からの質問なんですけど、園田さん、(コンサートマスターとフォアシュピーラーの)お二人としか握手しないのは?」と聞く。今日のコンサートマスターは泉原隆志、フォアシュピーラーは尾﨑平である。園田は、「いつものことなので」「みんなそうなので気にしたことない」「心は全員とやっているつもりで」と述べる。
ゴリは、「言ってみれば、この方(泉原)がボス、リーダーで、こちら(尾﨑)がサブリーダー」と語る。コンサートマスターはドイツでの言い方で、英語圏では「リーダー」と言うのが普通である。川田は、「人間関係が悪いのかと思いました」

「花のワルツ」に関しては、ゴリが「CMで聞いたことあります」と言い、園田も「僕が子どもの頃、車のCMで流れてました」と語る。それから、「今、丁度、映画でやってます」と園田が言い、ゴリが客席に「観たっていう人」と聞くが数名しか手が上がらず、ゴリは「これは、観てない方が多いか、四十肩の方が多いか」


フンパーディンクの歌劇「ヘンゼルとグレーテル」序曲。歌劇「ヘンゼルとグレーテル」も西洋ではクリスマスの上演が慣習化している作品である。
ゴリが、「ヘンゼルとグレーテルという兄妹が、森の中に行ったら、お菓子の家があるのを発見します。ですが、なんとあろうことかお菓子の家は魔女の家で、捕まって食べられそうになったところを、二人で作戦を練って、魔女を釜に落として焼いて、って残酷ですね」と内容を説明する。
色彩感豊かな精緻で優れた演奏である。

演奏終了後、川田が「映像が見えました。内容想像してたら魔女が迫っているところわかりました」と言い、ゴリも「音と想像で映像が」と語る。


ルロイ・アンダーソンの「舞踏会の美女」。園田は、「小学校の音楽の時間に、ベートーヴェンとかモーツァルトとかバッハとか、シューベルトも紹介されるかな? ヨーロッパの作曲家、だいたい200年ぐらい前の人を教わって、アメリカはその時代、有名な作曲家はいませんが、100年ぐらい前になると、アンダーソンとかバーンスタインとか有名な人が出てきます」と紹介。ゴリに「舞踏会というとヨーロッパのイメージがありますが、園田さん、舞踏会って行かれたことあります?」と聞かれた園田は、「イタリアに15年ぐらい住んでましたが、イタリアでは舞踏会はあんまりやらない。ウィーンとか北の方でよくやられてます」と話す。
舞踏会は、寒い冬を乗り切るため、体を寄せ合って温め合うことを目的としているという説もある。
ゴリは、「でも日本人じゃ恥ずかしいですよね」と言い、園田に聞くと、「私は無理です」と断言で返ってきたため、「でも断ると失礼なんでしょ?」と続けたが、「私は断るのが精一杯」と返される。

「舞踏会の美女」は、藤岡幸夫と関西フィルハーモニー管弦楽団がテーマ音楽のように使っており、藤岡が司会を務める「エンター・ザ・ミュージック」でもオープニングテーマとなっている。京都市交響楽団の明るめの音色はアメリカ音楽に合っている。
演奏終了後に、園田は、「ヨーロッパとは違ったアメリカ的な華やかさ」とルロイ・アンダーソンの作風を評する。


ロジャースの「サウンド・オブ・ミュージック」には、京都市少年合唱団の団員が参加する。小学校3年生から中学校3年生まで入団可能であり、今日は小学校4年生から中学校3年生までのメンバーが登場する。身長180㎝の男子がいるのだが、中学校2年生であり、「君、中3じゃないの?」とゴリに言われる。入団テストでは、課題曲と自由曲を歌うのだが、自由曲は映画音楽などを選ぶ人が多いようだ。ゴリは、「B'zとか歌う人はいないんだ?」と聞いて、身長180㎝の男の子に、「いないです!」と即答されていた。

今時の子ということで、名前も今時であり、メンバー表を見ると、瑠月(るる)という女の子がいたり、「風凜(ふうりん)」という名の子がいたり、「瑚琳(こりん)」という子もいるが、両親が小倉優子かコリン・デイヴィスのファンなのだろか? 「織温(おりおん)」という子もいるが、男の子だよね? 「真心子(まみこ)」「心音(みお)」「奏心(かなみ)」など、「心」と書いて「み」と読ませる名前も目立つが、漢字から察するに「心音」さんと「奏心」さんは、ご両親が音楽家か音楽好きである。

中央通路で、京都市少年合唱団の津幡泰子(つばた・やすこ)が指揮をする。

「エーデルワイス」には、ギターとして猪居亜美が参加するのがさりげなく豪華である。

日本語での歌唱。やはり少年合唱団の声は心に響く。「ドレミの歌」ではラストで皆が手を繋ぎ、ポーズを決め、客席から拍手喝采。鳴り止まないため、ゴリに、「この拍手、あと2時間続きます」と言われる。更にゴリから「感動した!」「最後良いね!」「男女で手を繋ぐのが、俺らフォークダンスの時」などと言われていた。


後半、サイレントアニメーション映画「スノーマン」の上映。上映時間は26分である。ボーイソプラノとして、京都市少年合唱団の団員である北岸慶が参加する。
原作:レイモンド・ブルッグス、監督:ダイアン・ジャクソン、音楽:ハワード・ブレイク。

ガレッジセールの二人も、中央通路のすぐ後ろの席に座って映画を観る。ゴリの隣に座った若い女性はマネージャーさんだと思われる。

老年に達している父親(総入れ歯である)とまだ若い母親の間に生まれた少年が、ある雪の日にスノーマン(雪だるま)を作る。その日の夜、真夜中過ぎに目覚めた少年は、スノーマンが動き出すのを目撃、一緒に遊び、部屋の中で踊ったりしたりして楽しんだ後、外に出てバイクに二人乗りして(多分、スノーマンは無免許運転)から、北極を目指して旅立ち、その後、スノーマンの国で本物のサンタクロースと出会う。幸福感に満ちて帰途に就き、眠りに落ちた少年だったのだが……。

佐竹裕介が弾くピアノでスタート。アニメーションに合わせての演奏ということでかなり難しそうである。灯りをつけたり消したりも音楽で行うため、難度が高いが、園田と京響はクリアしていく。

スノーマンと少年が空を飛ぶシーンで、ボーイソプラノが入る。

演奏終了後、ステージに戻ったゴリから園田は「いかに大変だったか、汗の量を見てわかります。サウナ帰りじゃないですか」と言われる。
園田は、「オペラとかバレエとか相手が人間なので、1秒ぐらいずれても合わせてくれるじゃないですか。ただ相手が機械なので、いい勉強になりました」と語る。

ゴリは、ボーイソプラノ独唱の北岸慶に、「次の消臭力のCMに出るのは君だよ」と言っていた。


アンコール演奏は、アンダーソンの「そり滑り」。ノリは万全ではなかったかも知れないが、よく整った演奏であった。



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2018年11月27日 (火)

「シェルタリング・スカイ」テーマ

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2018年11月 8日 (木)

フランシス・レイ 「ある愛の詩」

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2018年9月 1日 (土)

コンサートの記(417) ローマ・イタリア管弦楽団 「映画音楽名曲選」@京都コンサートホール

2018年8月22日 京都コンサートホールにて

午後6時30分から京都コンサートホールで、ローマ・イタリア管弦楽団の「映画音楽名曲選」コンサートを聴く。

ローマ・イタリア管弦楽団は、1990年創設のオーケストラである。クラシックと映画音楽の演奏を両輪として活動しており、室内楽や小編成のアンサンブルでの公演も行っているという。映画音楽に関しては多くのサウンドトラックのレコーディングを手掛けており、エンリオ・モリコーネ作品のほか、「ライフ・イズ・ビューティフル」や「イル・ポスティーノ」などの映画本編の演奏を担当している。

以前は、ローマ室内管弦楽団の名義で日本ツアーを行っていたが、今回はローマ・イタリア管弦楽団として日本中を回る。これまでに関東各地と愛知県日進市、静岡県浜松市で演奏会を行っており、今後は、呉、山口、福岡県、熊本、宮崎、大分、鹿児島を経て関東に戻り、長野、静岡、楽日となるてつくば市のノバホールまで計24会場を回るという大型ツアーである。このうち、鹿児島市文化第1ホール、東京オペラシティコンサートホール、ノバホールでの3公演は吉俣良特別プロデュース公演であり、「篤姫」や「江~姫たちの戦国~」で知られる吉俣良が出演して自作を中心としたコンサートを行う。

曲目は、ジョルジュ・オーリックの「ローマの休日」メインテーマ、ヘンリー・マンシーニの「ティファニーで朝食を」より“ムーンリバー”と「ピンクパンサー」のテーマ、ジョン・ウィリアムズの「シンドラーのリスト」よりテーマ、マックス・スタイナーの「風と共に去りぬ」より“タラのテーマ”、ピエトロ・マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲(ゴッド・ファーザー」パートⅢ)、ニーノ・ロータの「ゴッド・ファーザー」より“愛のテーマ”、「ロミオとジュリエット」よりテーマ、「山猫」より“愛のテーマ”、「フェリーニのアマルコムド」よりテーマ、「道」よりテーマ、「8 1/2(はっかにぶんのいち)」よりテーマ、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの交響曲第25番第1楽章(「アマデウス」)と歌劇「フィガロの結婚」序曲(「アマデウス」)、ニコラ・ピオヴァーニの「ライフ・イズ・ビューティフル」メインテーマ、フランシス・レイの「ある愛の詩」テーマ、「白い恋人たち」テーマ、「男と女」よりテーマ、ミシェル・ルグランの「シェルブールの雨傘」より“愛のテーマ”、エンリオ・モリコーネの「海の上のピアニスト」より“愛を奏でて”、「ニュー・シネマ・パラダイス」より“愛のテーマ”、「ミッション」よりメインテーマ、「続・夕日のガンマン」よりテーマ。当日になって曲順を大幅に入れ替えている。

今日はステージからは遠いが音は良い3階正面席で聴く。なおポディウム席、2階ステージ横席、3階サイド席は発売されていない。

イタリアはクラシック音楽の祖国ではあるが、名門オーケストラはあっても一流オーケストラはないというのが現状である。指揮者に関してはアルトゥーロ・トスカニーニに始まり、カルロ・マリア・ジュリーニ、クラウディオ・アバド、リッカルド・ムーティ、リッカルド・シャイー、ジュゼッペ・シノーポリ、最近話題のダニエレ・ガッティに至るまで、オーケストラビルダーとしても名高い多くの逸材が生まれているが、イタリア国内はオーケストラコンサートよりもオペラが盛んということもあってオーケストラ自体の名声が上がらない。名門よりもむしろ最近出来たミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団やアルトゥーロ・トスカニーニ・フィルハーモニー管弦楽団の方が高い評価を得ていたりする。

というわけで、機能に関しては余り期待していなかったのだが、想像していたよりもはるかに優れたオーケストラであった。透明な音と朗らかなカンタービレが特徴。管の抜けも良いが、弦はそれ以上に優れており、流石は「弦の国」のオーケストラと感心させられる出来であった。今後も日本でハイレベルな演奏を聴かせてくれそうである。

今回のツアーの指揮を務めるのは、ニコラ・マラスコ。フォッジア・ウンベルト・ジョルダーノ音楽院とペスカーラ音楽院で指揮をピエロ・ベルージやヨルマ・パヌラ、リッカルド・ムーティらに師事。2005年にはジュゼッペ・パターネ指揮コンクールで優勝している。マラスコは曲によってはピアノ独奏も担当しており、多才であるようだ。
「シンドラーのリスト」、「ニュー・シネマ・パラダイス」などではヴァイオリン独奏も務めたコンサートマスターのアントニオ・ペッレグリーノは、ローマ・イタリア管弦楽団の創設者の一人で、ローマ歌劇場第2ヴァイオリン奏者を経て同楽団のコンサートマスターも務めたという経歴の持ち主である。1999年から2003年まではフェーデレ・フェナローリ音楽院やアブルッツォ・ユース・オーケストラでオーケストラ演奏法指導者としても活躍していたそうだ。

ローマ・イタリア管弦楽団は、室内オーケストラより一回り大きめの編成。メンバー表を見たが、ほぼ全員がイタリア人のようである。アメリカ式の現代配置を基本としているが、ティンパニを舞台上手、ヴィオラの隣に置くなど独自性が見られる。「ティファニーで朝食を」より“ムーンリバー”では、出だしがサティの「ジムノペディ」第1番を意識した編曲だったりとアレンジにも凝っている。エレキ音はギターなどは用いず、全てキーボード(赤毛のミレラ・ヴィンチゲラという女性奏者が担当)で出しているようだ。

映画音楽だけでなく、マスカーニやモーツァルトの演奏も優れている。特にマスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲はイタリアのオーケストラでないと出せないような絶妙の彩りが特徴である。
指揮のニコラ・マラスコは強弱のコントラストを大きくつけた音楽作りをする。パースペクティヴの作り方も上手い。

アンコールは、ペッレグリーノのヴァイオリン独奏による「愛の賛歌」、更にオーリックの「ローマの休日」メインテーマが再度演奏される。豊かな歌と輝かしい音が印象的であった。

20世紀のクラシック音楽がどんどん歌から離れていく一方で、劇伴やポップスはよりメロディアスなものへと発展を遂げていく。音楽史的には、12音楽を始めとして響きの音楽へと転換していくクラシック部門に耳目を奪われがちになるが、ポピュラー部門に関していうなら20世紀ほど旋律が追求された時代はこれまでなかったように思う。録音技術やマスメディアの発達で世界各国の音楽をいながらにして聴くことが出来るようになったことも大きいだろう。望めば24時間音楽が聴ける環境が整ったことでメロディーの世界は広大無辺は大げさにしても一個人や国家の壁を越えて広がるようになっている。
というわけで、クラシックのコンサートホールでは例がないほど甘い旋律に酔うことが出来た。

 

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