カテゴリー「室内楽」の28件の記事

2019年9月19日 (木)

コンサートの記(592) 大阪クラシック2019 第2公演&第4公演

2019年9月8日 大阪シティ信用金庫本店2階講堂と大阪市中央公会堂中集会室にて

午後1時から北浜にある大阪シティ信用金庫本店で行われる第2公演に向かう。第2公演は無料である。
大阪クラシックは、普段は演奏が行われない場所が用いられるのが楽しみの一つである。用がないので大阪シティ信用金庫本店には行ったことがないのだが、2階に講堂があり、ここで演奏が行われる。普段はまず入れない場所なので興味深い。

第2公演は、大阪交響楽団のメンバーによる室内楽演奏である。出演は、ホルン:細田昌弘&小曲善子、ヴァイオリン:里屋幸&吉岡克典、ヴィオラ:南條聖子、チェロ:大谷雄一。

曲目は、モーツァルトのディヴェルティメント第15番より第1楽章とベートーヴェンの2つのホルンと弦楽四重奏のための六重奏曲。

チェロの大谷雄一がマイクを手に曲目解説などを行う。弦楽四重奏と2つのホルンという編成のための曲はそれほど多くはないのだが、モーツァルトとベートーヴェンという二人の作曲家がそろってこの編成のための曲を書いているという。

モーツァルトのディヴェルティメント第15番第1楽章。音響設計がされていない会場ということで、弦がかさついて聞こえ、ホルンの不安定さも目立ってしまう。

ただ人間の耳というのは大したもので、ほどなくして環境に馴染んでしまい、音楽が良く聞こえ始める。

ということでベートーヴェンの2つのホルンと弦楽四重奏のための六重奏曲は満足して聴くことが出来た。

2つホルンと弦楽四重奏のための六重奏曲の第2楽章が始まって程なくして、上手の入り口から大植英次がすっと入ってくるのが目に入る。

演奏が終わると、大植英次がマイクを手にステージの前に進み、挨拶と大阪交響楽団の紹介を行う。大谷雄一は演奏が始まる前に「今日はアンコールはありません」と明言していたのだが、大植英次が「アンコール聴きたいですよね」と聴衆に聞いて無茶ぶり。ベートーヴェンの2つのホルンと弦楽四重奏のための六重奏曲より第3楽章がもう一度演奏された。

大植は「ベートーヴェンの年は来年(生誕250)なのだが、我々はいつも先取りして行う」と語っていた。また大阪交響楽団のモットーである「聴くものも、演奏するものも満足できる音楽を!」を絶賛し、「海外ではいつも使わせて貰ってます」「著作権はありませんよね」と語っていた。


第3公演も無料公演なのだが、スケジュールが重なっているため、そちらは聴かずに大阪市中央公会堂中集会室で行われる第4公演へと向かう。大阪フィルハーモニー交響楽団団員達による演奏で、これは1000円の有料公演である。

出演は、宮田英恵(ヴァイオリン)、石田聖子(チェロ)、宮本聖子(ピアノ)によるピアノトリオ。全員がベルリンへの留学経験があるため、ベルリン・トリオという名も名乗っているそうである。まず宮田英恵がスピーチを行うのだが、聖子が二人いたり、「宮」や「田」の字が重なっていて結構ややこしいという話から入って、曲目の解説を行う。

メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番とブラームスのピアノ三重奏曲第1番という、ピアノ三重奏曲第1番を重ねたプログラムである。宮田によるとメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番は、彼が二十歳の時に書かれたもので、二十歳というと普通はまだ若いと思われる年齢だが、メンデルスゾーンは38歳の若さで亡くなってしまうため、作曲家としてはすでに中期に差し掛かっていると見なされるそうである。

メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番は、仄暗い情熱を湛えた曲であり、メンデルスゾーンの早熟ぶりを窺うことが出来る。

ブラームスのピアノ三重奏曲第1番の前には、チェロの石田聖子がスピーチを行う。本来はメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番のみで収めようと思ったのだが、大阪クラシックの持ち時間は45分で、どれだけゆっくり演奏したとしても45分持たないということで、ブラームスのピアノ三重奏曲第1番も演奏することにしたという。ブラームスがピアノ三重奏曲第1番を作曲したのは21歳と若い頃だったのだが、その後に改訂され、今日演奏されるのもその改訂版だという。

スケールの大きな曲だが、ブラームスとしては開放的な曲調を持っており、メンデルスゾーンが「暗」、ブラームスが「陽」という一般的なイメージとは逆の楽曲で構成されているのが面白い。

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2019年7月 9日 (火)

楽興の時(30) 「Kyo×Kyo Today vol.5」

2015年1月30日 京都芸術センター講堂にて

午後7時から、京都芸術センター講堂で、「Kyo×Kyo Today vol.5」を聴く。京都芸術センターで京都市交響楽団のメンバーが室内楽を演奏するという企画。毎年1回、冬の時期に行われていて、今年が5年目で5回目の演奏会になるが、1回から4回まではこうした催しがあることすら知らなかった。昨年、やはり京都芸術センター講堂で、30回有効のパスポートを観たとき、開場前に京都芸術センターのチケット売り場で「Kyo×Kyo Today」のことを知ったのである。

ちなみに京都芸術センターは旧・明倫小学校の校舎を利用しているが、講堂と体育館が別であったことがわかる。講堂は2階にあるが体育館は1階にあり、今はフリースペースとして使われている。体育館が講堂も兼ねているのが普通なので(私が卒業した小学校も、様々な催しが行われる木屋町通沿いの元・立誠小学校もそうである)、旧・明倫小はかなり珍しいケースである。

今日の出演者は、長谷川真弓(ヴァイオリン)、山本美帆(ヴァイオリン)、金本洋子(かなもと・ようこ。ヴィオラ)、木野村望(きのむら・のぞみ。ヴィオラ)、ドナルド・リッチャー(チェロ)、垣本昌芳(ホルン)、小谷口直子(クラリネット)。

オール・モーツァルト・プログラムで、弦楽五重奏第6番、ホルン五重奏曲、クラリネット五重奏曲「シュタードラー」。5回目の公演ということに掛けて全て5重奏の曲が選ばれている。

なお、京都市交響楽団は現在、小学生を対象とした音楽鑑賞教室を京都コンサートホールで行っており(指揮は京都市交響楽団の首席常任客演指揮者の高関健)、今日は午前10時20分からの公演と午後2時からの公演があり、更に夜もこの公演があるということで、弦楽奏者達は今日は一日中弾きっぱなしということになるそうだ。

まず、第1ヴァイオリンを務める長谷川真弓によるマイクを使った挨拶がある。いかにも良家のお嬢さんという感じの声と話し方である(弦楽奏者は楽器が高い上に小さな頃からのレッスン料金もバカにならないので、ほぼ100%、親が金持ちだといわれている。一方、管楽器は中学校の吹奏楽部で初めて楽器に触り、というケースが多く、楽器は学校持ちでレッスンは先輩達が教えてくれるため、必ずしも良家出身とは限らないそうだ。以上は、NHK交響楽団の首席オーボエ奏者である茂木大輔のエッセイによる。茂木によると、N響の場合でも弦楽器奏者と管楽器奏者とでは雰囲気が違うそうである)。

弦楽五重奏曲第6番。第1ヴァイオリン:長谷川真弓、第2ヴァイオリン:山本美帆、第1ヴィオラ:金本洋子、第2ヴィオラ:木野村望、チェロ:ドナルド・リッチャー。
リッチャーが中央に陣取り、下手に長谷川と山本のヴァイオリン奏者、上手に木野村、金本のヴィオラ奏者が並ぶ。
元々小学校の講堂ということで残響はないが、シャンデリアの下がるお洒落な内装の講堂の雰囲気はモーツァルトの音楽に合っている。音の通りも申し分ない。ただ、両サイドは磨りガラスであるため、オーケストラの演奏は無理そうだ。
1956年の創設直後に「モーツァルトの京響」という評判を取った京都市交響楽団。創設当時のメンバーは当然ながらもういないが、モーツァルト演奏時に重要となる緻密なアンサンブルは今も生きている。

 

ホルン五重奏曲。ヴィオラの金本洋子が降り、代わりにホルンの垣本昌芳が加わる編成。舞台下手から、時計回りに、長谷川、山本、リッチャー、木野村、垣本という布陣。
モーツァルトの時代のホルンは、唇と管の中に突っ込んだ手のみによって音程を変える、今ではナチュラルホルンと呼ばれるものだったため超絶技巧が必要とされたが、現代のホルンはピストンが付いているため、ナチュラルホルンよりは演奏がしやすい。このホルン五重奏曲も、ホルン協奏曲4曲を献呈されたホルン奏者、ロイトゲープのための作曲されたとされる。モーツァルトはイタズラ好きであったため、わざとナチュラルホルンでは演奏の困難なメロディーを書いたりしているが、垣本の技術に遺漏はなく、優れた室内楽演奏となる。

 

クラリネット五重奏曲「シュタードラー」。今日演奏される曲の中で一番有名な曲である。喫茶店などのBGMとしてもよく用いられる曲であるため、聴くと「ああ、知ってる」となる人も多いと思われる。

演奏前にクラリネット奏者の小谷口直子がマイクを持って挨拶をする。クラリネットは楽器の歴史の中では比較的若い楽器であり、モーツァルトの晩年になってようやく普及したため、モーツァルトが書いたクラリネットのための曲も多くはないのだが、クラリネット協奏曲と、今日演奏するクラリネット五重奏曲を書いてくれたお陰でクラリネット奏者は至福の時を味わうことが出来ると小谷口は語る。小谷口は2010年より文化庁派遣芸術家在外研修員としてウィーン国立音楽大学に留学したが、「ウィーンは京都によく似たところがある」という。ウィーン市民の排他的なところと京都人の排他性は似ているが、小谷口はそれには触れず(触れたら怒る人もいるだろうし)、芸術と街が一体になった雰囲気や、京都なら御所、ウィーンなら宮殿を中心として発展しているところ、カフェ文化が街に根付いていることなどを挙げる。モーツァルトの音楽というと小谷口はウィーンのメランジュという泡立てコーヒーの味を思い出すそうだ。モーツァルトの曲調を例えるのに「夢のように」という言葉を使いたいという小谷口だが、ウィーンには「悪夢のように甘すぎるケーキ」や「悪夢のように不味い飯」などもあったそうである。「最近はクラリネットを吹くよりも喋る方が得意になった」と言って、客席を笑わせる。

弦楽のメンバーはホルン五重奏曲の時と一緒。垣本と小谷口が入れ替わるが、小谷口は中央に正面を向いて座り、舞台上手に木野村、リッチャーが陣取る。

小谷口のクラリネットは伸びやかで、典雅さにも欠けていない。弦楽奏者4人も緻密なアンサンブルで聴かせ、はんなりとした演奏となる。

アンコールとしてクラリネット五重奏曲の第4楽章よりアレグロの部分が再度演奏された。

客席であるが、オール・モーツァルト・プログラムということもあってか、若い女性も多い。京都堀川音楽高校の生徒だろうか、制服を着た女子高生達もいる。一方で、男性の方は白髪頭の人が目立つ。あるいはクラシックの聴衆の世代交代は女性よりも男性の方が上手くいっていないのかも知れない。

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2019年5月25日 (土)

楽興の時(29) 「テラの音 Vol.13 ~チェロとピアノの織りなす調べ~」

2019年5月19日 北白川の真宗大谷派圓光寺にて

午後6時から、北白川山田町にある真宗大谷派圓光寺で行われる「テラの音(ね) Vol.13 ~チェロとピアノの織りなす調べ~」を聴く。今回は、西村あゆみと西村まなみの姉妹によるピアノとチェロのコンサートである。

姉の西村あゆみ(ピアノ)は、京都市立音楽高校(現・京都市立京都堀川音楽高校)を経て、大阪教育大学教育学部教養学科芸術専攻音楽コースを卒業。第4回クオリア音楽フェスティバル大学の部3位、2014年京都ピアノコンクール一般部門金賞並びに全部門最優秀賞京都新聞賞などを受賞している。京都芸術祭「デビューコンサート」に出演し、京都芸術祭聴衆賞も受賞している。
妹の西村まなみは、京都市立京都堀川音楽高校、京都市立芸術大学音楽学部を卒業。第25回クラシック音楽コンクール全国大会チェロ部門大学の部第4位、第3回宗次ホール弦楽四重奏コンクール第1位およびハイドン賞を受賞。第70回全日本学生音楽コンクール名古屋大会チェロ部門大学部の第3位、第31回京都芸術祭音楽部門新人賞も受賞している。


曲目は、第1部が、エルガーの「愛の挨拶」、ラフマニノフの「ヴォカリーズ」、マーク・サマーの「Julie-O」、カザルス編の「鳥の歌」、サン=サーンスの「白鳥」、田中カレンの「はくちょう」、カサドの「親愛なる言葉」、フォーレの「夢のあとに」。第2部が、尾高尚忠の「夜曲」、木村弓の「世界の約束」、久石譲の「風の谷のナウシカ」より組曲「5つのメロディー」、両毛地方民謡「八木節」、中島みゆきの「糸」


有名曲が並ぶが、マーク・サマーはジャズの作曲家兼チェリストであり、「Julie-O」はピッチカートで始まるノリの良い曲である。
真宗大谷派圓光寺は、茶山の東側の中腹にあり、白川通まですぐそこの割には山深い印象を受けるのだが、「鳥の歌」、サン=サーンスの「白鳥」、田中カレンの「はくちょう」の鳥シリーズが演奏された時には、偶然、ウグイスが鳴き続け、歌比べのような形になった。

田中カレンの「はくちょう」は、はくちょう座を描いた曲である。西村あゆみが小学4年生の時に練習していたのだが、大好きだった学校の先生が妹さんを亡くした時に、「『きっとはくちょう座の星になって見守ってくれてるよ』って言って弾いてあげなよ」と母親から言われて、音楽室で先生に聴かせたという思い出があるそうだ。

フォーレの「夢のあとに」は、ノートルダム大聖堂が火災に遭った日に、チェリストのゴーティエ・カプソンが大聖堂の近くに駆けつけて弾いたことでも話題になったが、今日取り上げたのは、そのこととは特に関係がないようである。


第2部は全曲日本人の作曲家による作品が並ぶ。尾高忠明の父親としても知られる尾高尚忠の「夜曲」は、橋本國彦にも通じるようなフランス音楽からの影響と日本的な旋律を三部形式で書き上げた作品。なかなか魅力的である。

久石譲が「風の谷のナウシカ」のために書いた音楽をチェロとピアノのための組曲にまとめ上げた「5つのメロディー」は、久石の傑出したメロディーメーカーとしての才能を再確認出来る優れた楽曲である。

二人の安定した技巧による演奏を間近で聴けるというも贅沢な感じがする。

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2019年4月28日 (日)

コンサートの記(550) ローム ミュージック フェスティバル 2019 「リレーコンサートB ローム ミュージック フレンズ 木管&弦楽スペシャル・アンサンブル」

2019年4月20日 ロームシアター京都サウスホールにて

午後6時30分からロームシアター京都サウスホールで行われるロームミュージックフェスティバル2019の室内楽公演「リレーコンサートB ローム ミュージック フレンズ 木管&弦楽スペシャル・アンサンブル」を聴く。前半が木管アンサンブルの演奏で、ロッシーニの歌劇「セビリャの理髪師」より「序曲」「第1幕アリア『陰口はそよ風のように』」「第1幕カヴァティーナ『私は町のなんでも屋』」(山本真編曲)とビゼーの「カルメン」組曲より「前奏曲」「セギディーリャ」「アルカラの竜騎兵」「闘牛士」「ハバネラ」「闘牛士の歌」「ジプシーの踊り」(山本真編曲)。後半が弦楽八重奏によるメンデルスゾーンのずばり八重奏曲変ホ長調。


前半の木管アンサンブルの演奏。出演は、濱崎由紀(クラリネット。東京藝術大学、上野音楽大学非常勤講師。藝大フィルハーモニア管弦楽団と横浜シンフォニエッタのクラリネット奏者)、吉岡奏絵(クラリネット。日本センチュリー交響楽団クラリネット奏者)、荒絵理子(オーボエ。東京交響楽団首席オーボエ奏者)、本多啓祐(オーボエ。東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団首席オーボエ奏者)、黒木綾子(ファゴット。ザルツブルク・モーツァルティウム管弦楽団ファゴット奏者)、岩佐政美(ファゴット。読売日本交響楽団ファゴット奏者)、高橋臣宜(たかはし・たかのり。ホルン。東京フィルハーモニー交響楽団首席ホルン奏者)、熊井優(ホルン・神奈川フィルハーモニー管弦楽団ホーン奏者)、そしてコントラバスの高橋洋太(東京都交響楽団コントラバス奏者)が加わる。

普段は別の楽団に所属している面々が、ロームからの奨学金を得ていたという繋がりで一堂に会して行う室内楽演奏会。各々が楽しそうに演奏しているのを見るのも喜びの一つである。


後半、メンデルスゾーンの弦楽八重奏曲変ホ長調。出演は、島田真千子(ヴァイオリン。セントラル愛知交響楽団ソロコンサートマスター)、中島麻(ヴァイオリン。イルミナートフィルハーモニーオーケストラコンサートマスター)、青木調(あおき・しらべ。ヴァイオリン。NHK交響楽団ヴァイオリン奏者)、吉田南(ヴァイオリン。まだ学生だが、藤岡幸夫が司会を務める「エンター・ザ・ミュージック」に単独ゲスト出演して藤岡に絶賛されている)、金丸葉子(ヴィオラ。ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団ヴィオラ奏者)、須田祥子(ヴィオラ。東京フィルハーモニー交響楽団首席ヴィオラ奏者)、横坂源(チェロ。ソリストとして活躍)、渡邊方子(わたなべ・まさこ。NHK交響楽団チェロ奏者)。

メンデルスゾーンの弦楽八重奏曲は、私が最も好きな室内楽曲の一つだが、弦楽奏者8人が必要ということで(編成も弦楽四重奏団2つ分である)実演に接する機会は余り多くない。
チェロ奏者2人以外は立ったままでの演奏である。
メンデルスゾーン16歳時の作品であるが、ほとばしるような旋律、陰影の濃さなど「モーツァルトを凌ぐ神童」といわれたメンデルスゾーンの才能が脈打っているのが感じられる。
実演ということで音の受け渡しを目で確認出来るのも面白い。

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2019年1月24日 (木)

コンサートの記(512) 村治佳織&リチャード・ヨンジェ・オニール デュオリサイタル2011伊丹

2011年11月3日 伊丹アイフォニックホールにて

この日は、午後7時から伊丹アイフォニックホールで、ギタリストの村治佳織とヴィオラ奏者のリチャード・ヨンジェ・オニールのデュオリサイタルがある。

村治佳織はもはや説明不要の人。日本を代表するギタリストである。リチャード・ヨンジェ・オニールは、ヨンジェというミドルネームからわかる通り、韓国系の人で、ジュリアード音楽院と南カリフォルニア大学でヴィオラを修めている。韓国ではアイドル的な人気があるようで、村治佳織はリチャード・ヨンジェ・オニールと韓国でデュオリサイタルを行ったときに、オニールに対する若い女性の黄色い声が凄かったと紹介した。


プログラムは、村治のギターソロでロドリーゴの「フェラリーフェのほとり」、村治とオニールの共演で、「スペイン民謡組曲」より4曲。シューベルトのアルペジオーネ・ソナタ(ヴィオラ独奏、ギター伴奏版)、J・S・バッハの無伴奏チェロ組曲第3番のヴィオラとギターのための編曲版(編曲:佐藤弘和)、村治のギターソロで、スタンリー・マイヤーズ作曲・ジョン・ウィリアムズ編曲(ジョン・ウィリアムズはギタリストである。同姓同名の映画音楽作曲家ではない)の「カヴァティーナ」とディアンスの「タンゴ・アン・スカイ」、ジナタリのチェロとギターのためのソナタ(ヴィオラ版)である。

真っ赤なドレスで登場した村治佳織は、持ち前の美音を生かした演奏で、「フェラリーフェのほとり」を披露する。

オニールと村治の共演。オニールは磨き抜かれた音を持つ演奏家で、村治との相性はピッタリである。ただアルペジオーネ・ソナタを演奏するにはちょっと音色が明るすぎるかなという印象を受けたのも確かである。


休憩を挟んで、後半。村治佳織は白いズボンの上に紺のワンピースという装いに着替えて出てくる。J・S・バッハの無伴奏チェロ組曲第3番、ヴィオラとギターのための編曲版。チェロ独奏とはかなり違った印象を受ける。ちなみにバッハは純音楽として作曲したが、編曲者の佐藤弘和により、ギターの妖精とヴィオラの王子が森の中で出会うという設定がなされ、6からなる曲全部に副題が付けられている。余計なことのようにも思えるが、まあ、聴くのに邪魔にはならないし、いいのだろう。


村治佳織によるギターソロ。「カヴァティーナ」も「タンゴ・アン・スカイ」も村治の十八番だが、「カヴァティーナ」はやや大味だったし、「タンゴ・アン・スカイ」は技術で何とかねじ伏せたという格好。流石の村治でも毎回名演というわけにはいかないようだ。


ジナタリのチェロとギターのためのソナタは村治、オニールともに好調で優れた出来となった。


アンコールはオニールが村治に紹介したというブラジル民謡「カント・アンティーゴ」。美演であった。

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2019年1月23日 (水)

コンサートの記(511) 神尾真由子ヴァイオリン・リサイタル2019@びわ湖ホール

2019年1月14日 びわ湖ホール大ホールにて

午後2時から、びわ湖ホール大ホールで、びわ湖ホール名曲コンサート「神尾真由子ヴァイオリン・リサイタル」を聴く。ピアノ伴奏は夫君でもあるミロスラフ・クルティシェフが受け持つ。

2007年に行われた第13回チャイコフスキー国際コンクール・ヴァイオリン部門の覇者である神尾真由子。日本人現役ヴァイオリニストの中でも別格級の一人であり、技術に限れば一二を争う実力者である。ヴィルトゥオーゾタイプであり、パガニーニやロシアものなどを得意としている。1986年、大阪府豊中市生まれ。桐朋女子高校音楽科で原田幸一郎に師事し、チューリッヒ音楽院ではザハール・ブロンに学んでいる。


曲目は、ドビュッシーのヴァイオリン・ソナタ、フランクのヴァイオリン・ソナタ、ガーシュウィンの歌劇「ポーギーとベス」より(ハイフェッツ編)、ブロッホの「ニーグン」、ワックスマンの「カルメン幻想曲」


ピアノのミロスラフ・クルティシェフは第13回チャイコフスキー国際コンクール・ピアノ部門で最上位(1位なしの2位)に輝いており、この時に神尾と知り合ったのかも知れない。


ドビュッシーのヴァイオリン・ソナタ。思いのほかスケールの小さなヴァイオリンで冴えもない。びわ湖ホール大ホールは室内楽向きの音響ではないということもあるのだが、技術面に比して表現面はまだ余り磨かれていないのかも知れない。バリバリの技巧派である神尾だが、センス第一の曲目が不得手の可能性もある。
ミロスラフ・クルティシェフのピアノはドビュッシーの面白さを存分に表していただけにこの曲でのヴァイオリンは不満が残る。

フランクのヴァイオリン・ソナタは神尾の優れた構造力が前に出ており、スケールもぐっと拡がってなかなかの演奏となる。


神尾の真骨頂が発揮されるのは、後半のガーシュウィンから。20世紀最高のヴィルトゥオーゾであるハイフェッツが編曲したガーシュウィンの「ポーギーとベス」からの6曲は、スイング感こそないが、技術面の冴えと神尾独特の艶のある音色で魅せる。クルティシェフはこの曲でもアメリカ的なリズムの処理に長けた演奏を聴かせ、相当な巧者であることがわかる。

ブロッホの「ニーグン」では神尾の情熱に火が付き、聴き手を巻き込む圧倒的な「カルメン幻想曲」へと繋がっていく。若い頃のチョン・キョンファのような「獰猛」なヴァイオリンだ。カルメンだけにそのスタイルがとても良く合っている。真っ赤なドレスもこの曲を意識したものなのかも知れない。


アンコールは2曲。まずマスネの「タイスの瞑想曲」が演奏される。抒情的なメロディーを慈しむかのように演奏するヴァイオリニストが多いが、神尾はこの曲でもエモーショナルでドラマティックな演奏を繰り広げる。他ではまず聴けない情熱的な「タイスの瞑想曲」である。

ラストは、ディニーク作曲・ハイフェッツ編曲の「ホラ・スタッカート」。キレキレである。

神尾の卓越したメカニックとユニークな音楽性が印象的な演奏会であった。


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2019年1月 2日 (水)

コンサートの記(489) 漆原朝子&ベリー・スナイダー ロベルト・シューマン ヴァイオリン・ソナタ全3曲と3つのロマンス

2018年12月21日 京都コンサートホール小ホール・アンサンブルホールムラタにて

午後7時から、京都コンサートホール小ホール・アンサンブルホールムラタで、漆原朝子とベリー・スナイダーによるロベルト・シューマンのヴァイオリン・ソナタ全3曲と3つのロマンスを聴く。

漆原姉妹の妹さんである漆原朝子。以前、大阪倶楽部4階ホールで室内楽の演奏会を聴いたことがある。茂木大輔のエッセイに飛行機を止めたという話が載っていたっけ。

ベリー・スナイダーは、1966年にヴァン・クライバーン国際コンクールで3つの賞を獲得したことがあるというピアニスト。1970年よりイーストマン音楽院ピアノ科教授を長年に渡って務めたほか、マンチェスターのロイヤル・ノーザン・カレッジ・オブ・ミュージック、ロンドンのトリニティ・カレッジとギルドホールスクール、ポーランドのアカデミー・オブ・ミュージック、フライブルク音楽学校、ニューヨークのマンハッタンスクール・オブ・ミュージック、ミシガン大学、ヒューストン大学でマスタークラスを行っている。


曲順は、ヴァイオリン・ソナタ第1番、ヴァイオリン・ソナタ第3番、3つのロマンス、ヴァイオリン・ソナタ第2番。


ヴァイオリン・ソナタ第1番。ムラタホールの音響がシューマンをやるにはや乾き気味なのが難点だが、その後は耳も慣れて特に気にならなくなる。
最終楽章のドラマティックな展開が印象的である。


ヴァイオリン・ソナタ第3番。この曲では、漆原の高音の美しさが特に気に入った。


3つのロマンス。オーボエあるいはクラリネットもしくはヴァイオリンと伴奏ピアノのために書かれた作品である。ロマンスと聞いて想像するような愛らしさよりも深い思索を感じされる作品であるが、漆原は丁寧な演奏で聴かせた。


ヴァイオリン・ソナタ第2番。シューマンのヴァイオリン・ソナタの中では最もスケール豊かな作品である。第3楽章冒頭ではピッチカートが連続する部分があるなど、表現の幅も広い。漆原のヴァイオリンはスケールの大きさを感じさせ、展開も巧みである。

ベリー・スナイダーは、ソリストとしても活躍しているようだが、伴奏ピアニストとしてかなりの実力者のようで、上手く漆原を立てて丸みのある音できちんとした設計を行っていく。

音で読む叙事詩のような演奏会であった。


アンコール演奏。漆原は、「今日はお越し下さってありがとうございました。クララ・シューマンの3つのロマンスから第1曲」と言って演奏を始める。可憐な作品で、ロベルトとの作風の対比がよい効果を生む。

その後、「リーダークライス」第2集から第1曲と第12曲の編曲版が演奏された。

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2018年10月29日 (月)

コンサートの記(446) 「時の響」2018楽日 アンサンブルホールムラタ第3部 京都フィルハーモニー室内合奏団×辻仁成 「動物の謝肉祭」

2018年10月21日 京都コンサートホール小ホール・アンサンブルホールムラタにて

「時の響」2018楽日。午後4時から、京都コンサートホール小ホール アンサンブルホールムラタ(通称:ムラタホール)で行われる第3部コンサートを聴く。大ホールでは第3部の演奏会は行われないので、これが「時の響」2018最後の催しとなる。

出演は、京都フィルハーモニー室内合奏団。語りは辻仁成(つじ・ひとなり)。辻仁成は、昨日今日とムラタホールに出演。ギター弾き語りなども行ったようだ(ミュージシャンの時は「つじ・じんせい」名義である)。
司会を舞台俳優の福山俊朗が務める。

曲目は、フォーレの「パヴァーヌ」、ドビュッシーの「ゴリウォーグのケークウォーク」と「夢」(いずれも室内オーケストラ編曲版)、ラモーの「タンブーラン」、サン=サーンスの組曲「動物の謝肉祭」朗読付き(台本&朗読:辻仁成)。


フォーレの「パヴァーヌ」。人気曲である。京都フィルハーモニー室内合奏団も典雅さを意識した演奏を行う。

ドビュッシーの「ゴリウォーグのケークウォーク」と「夢」は、いずれもピアノ曲を室内オーケストラ用に編曲したものの演奏。編成にピアノは含まれていない。
ピアノ向けの曲なので、室内オーケストラで演奏すると音が滑らかすぎて流れやすくなるようだが、なかなか聴かせる演奏になっていたように思う。


ラモーの「タンブーラン」は、太鼓とタンバリンが活躍。弦楽はピリオド不採用であったが、古楽の雰囲気を良く表したものになっていた。


メインであるサン=サーンスの組曲「動物の謝肉祭」。朗読を担当する辻仁成が、この日のために書き下ろしたオリジナルテキスト版を自ら初演する。

辻仁成で京都というと、「やっと会えたね」という言葉がよく知られているが、それももう過去のこととなった。

その後、中性を意識したスタイルへと変わった辻仁成。今日もそんな感じである。

辻仁成はまずミュージシャンとしてデビューし、その後に詩人として文壇に登場。小説家に進んだのはその後である。

辻が書いたテキストは、小説家・辻仁成よりも詩人・辻仁成の要素を強く出したものである。動物たちの集まったカーニバルの日の夜明けから日没までを舞台に、「人生」をテーマとした語りが行われる。
辻は、京フィルの団員や客席を笑わせることを第一としているようだが、慣れていないということもあって空回りする時もある。他は冗談音楽だから良いのだけれど、「白鳥」の時にテーマを歌うのは流石にやり過ぎである。チェロの旋律美を楽しみにしていた人もいるだろうし。
ともあれ、ラストは「悩みのない動物=人間の本能的部分」の礼賛で締め、メッセージにはなかなか良いものがあったように思う。

京フィルの演奏のレベルもなかなか。
ピアノは佐竹裕介と笹まり恵の二人が担当したのだが、「ピアニスト」では二人とも楽譜も満足に読めないレベルのピアノ初心者演技入りでたどたどしく弾き、かなりの効果を上げていた。サン=サーンスもこうしたものを望んでいただろう。

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2018年10月16日 (火)

コンサートの記(437) フォーレ四重奏団来日演奏会2018大津

2018年10月7日 びわ湖ホール小ホールにて

午後2時から、びわ湖ホール小ホールでフォーレ四重奏団の来日演奏会を弾く。

フォーレを名乗っているが、ドイツ・カールスルーエ音楽大学出身者のドイツ人達によって結成された団体であり、弦楽四重奏団ではなくピアノ四重奏団である。常設のピアノ四重奏団は世界的にもかなり珍しい。

マルタ・アルゲリッチを始めとする多くの音楽家から高く評価されており、2006年には名門ドイツ・グラモフォン・レーベルと契約し、リリースしたCDはいずれも好評を得ている。

メンバーは、エリカ・ゲルトゼッツアー(ヴァイオリン)、サーシャ・フレンブリング(ヴィオラ)、コンスタンティン・ハイドリッヒ(チェロ)、ディルク・モメルツ(ピアノ)。

曲目は、フォーレのピアノ四重奏曲第1番、シューマンのピアノ四重奏曲変ホ長調、ムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」(グレゴリー・グルズマン&フォーレ四重奏団編曲)。

びわ湖ホールは大ホールにも中ホールにも何度も来ているが、小ホールに入る機会は余り多くない。幸田浩子のソプラノリサイタルと、平田オリザやペーター・コンヴィチュニーが参加したオペラに関するシンポジウムで訪れたことがある程度である。

フォーレのピアノ四重奏曲第1番。フォーレ四重奏団が自らの団体名に選んだ作曲家であり、思い入れも強いと思われる。
ディルク・モメルツのフォーレによくあったピアノの響きが印象的である。フォーレというと「ノーブル」という言葉が最も似合う作曲家の一人であるが、それ以外の影の濃さなども当然ながら持ち合わせている。フォーレ四重奏団は音の輪郭がシャープであり、音楽の核心を炙り出す怜悧さを持っているが、アルバン・ベルク・カルテットに4年間師事していたそうで、「道理で」と納得がいく。

シューマンのピアノ四重奏曲変ホ長調。ノスタルジックな曲調であり、フォーレ四重奏団の叙情味溢れる演奏を行う。ヴァイオリンとヴィオラがハーディ・ガーディを模したような音型を奏でるところがあるのだが、少年時代の憧れが蘇ったような、なんともいえない気持ちになる。

メインであるムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」。ピアノ奏者のディルク・モメルツが、師であるグレゴリー・グルズマンによる同曲のピアノ三重奏版を再編曲したものである。
ピアノのパートもムソルグスキーの原曲とは異なるが、かなり意欲的な編曲となっている。ピアノ独奏による「プロムナード」が雄々しく奏でられ、「こんなに意気揚々と美術館に向かう人などいるのだろか?」と思うが、ある意味、自身の編曲に対する自信の表れなのであろう。ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロなどが一音ずつ奏でられたり、ピッチカートの多用、コルレーニョ奏法、ヴァイオリンをミュートにしてのノンビブラート演奏で奏でることで弦楽器らしからぬ響きを出させるなど、特異奏法やヴィルトゥオーゾ的要素、諧謔精神に富んだものとなっている。時代が変わったということもあり、クラシック界でも音楽だけでなくユーモアの精神などで楽しませることの出来る人が多くなった。良い傾向であると思う。頑固な職人タイプの音楽家には逆に生きにくい時代かも知れないけれど

アンコール演奏。まずはフーベルト作曲の「フォーレタンゴ」。弦を強く止めることでギロような音を出すという特殊奏法が用いられている。演奏もノリノリである。

最後は、N.E.R.Oの「ワンダフルプレイス」。チェロのコンスタンティン・ハイドリッヒが英語で客席に話しかけ、口笛で演奏に加わることを聴衆に求める。まずフォーレ四重奏団が4小節ほどの短いメロディーを奏で、聴衆に口笛で吹いて貰う。ハイドリッヒは「僕が左足を上げたら口笛スタートでもう一度左足を上げたらストップね」ということで演奏スタート。私も口笛は得意なので参加。吹けない人は当然ながら聴くことしか出来ない。ハイドリッヒが左足を上げて、聴衆の口笛スタート。良い感じである。ハイドリッヒがもう一度左足を上げて口笛ストップ。良い感じである、と思ったが、なぜか一人だけ吹き続ける人がいて、ハイドリッヒも苦笑いである。終盤になるとハイドリッヒがマイクを持ってボイスパーカッションも披露。ラストは聴衆達の口笛を何度もリピートさせて終わる。

とても楽しいコンサートであった。



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2018年6月16日 (土)

コンサートの記(396) 作曲家 平田聖子の世界 「親鸞が音楽で現代に甦る。」

2018年6月10日 京都コンサートホールにて

午後2時から京都コンサートホールで、作曲家 平田聖子の世界 「親鸞が音楽で現代に甦る。」を聴く。

平田聖子は愛知県出身の作曲家。愛知県立芸術大学音楽学部作曲科で小林秀雄(著名な批評家とは別人)に作曲を師事。1995年より宗教音楽の作曲をライフワークに定め、親鸞の世界を作曲し始めている。

出演は、親鸞和讃を歌う会合唱団、大阪ゲヴァントハウス合唱団、波多野均、大田亮子、三輪陽子、伊藤公一、居福健太郎、垣内みどり、中西俊哉、中西雅音(まさお)、戸塚ふみ代、石橋直子、佐久間真理、羽塚知啓(はつか・ともひろ)、荒山淳。平田聖子は司会と指揮を務める。

演目は小品が並ぶ。「破闇(はあん)」(龍笛のための)、「弥陀の本願信ずべし」、「南無阿弥陀仏をとなるれば」、「金剛堅固の信心の」、「信は願より生ずれば」、「十方微塵世界の」、「白骨章」、清風宝樹をふくときは」、「桜の森の満開の下」(弦楽四重奏のための)、「天地いっぱい なむあみだぶつ」、「本願力のめぐみゆえ」

浄土真宗のコンサートということで関係者も多く、普段の京都コンサートホールとは雰囲気が異なる。出演者は名古屋に縁のある人が多く、名古屋にある真宗大谷派の同朋大学の教員が2名(佐久間真理、荒山淳)、名古屋芸術大学の教員が3人(波多野均、伊藤公一、石橋直子)、名古屋フィルハーモニー交響楽団の関係者が3名(中西俊哉、戸塚ふみ代、石橋直子)、愛知県立芸術大学関係者が平田聖子を含めて5名(波多野均、三輪陽子、垣内みどり、戸塚ふみ代)、そして真宗大谷派の名古屋音楽大学の出身である大田亮子に名古屋東照宮雅楽部所属の羽塚知啓(篳篥&コントラバス)という顔ぶれである。

平田聖子の作風であるが、メロディーよりも響きの作曲家であることが感じられる。弦楽の合奏を聴くと宗教音楽の作曲家であると同時に現代音楽の作曲家であることもわかり、仏教音楽、童謡、印象派、黒人霊歌風など幅広い作風を誇っていることも確認出来る。

合唱とメゾソプラノ、アルト、テノール、室内楽という編成による「清風宝樹をふくときは」は、フルートの旋律から察するにラヴェルの「ダフニスとクロエ」より日の出へのオマージュであるように思われる。


無料パンフレットの背面に、「弥陀の名号となえつつ」のボーカル譜が印刷されており、アンコールでは聴衆も一緒に歌う。関係者が多いということもあってか、みんな結構歌ってくれていた。

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