観劇感想精選(55) プロペラ犬 「マイルドにしぬ」
2007年12月8日 大阪・梅田のHEPホールにて観劇
午後6時30分より、大阪・梅田のHEPホールで、プロペラ犬の旗揚げ公演「マイルドにしぬ」を観る。
プロペラ犬は女優の水野美紀が放送作家の楠野一郎とともに立ち上げた演劇ユニット。楠野一郎の脚本と水野美紀の主演だけが固定で、その他は、公演ごとにゲストを招くというシステムで公演を続ける予定だという。今回は河原雅彦との二人芝居。演出は入江雅人。共演の河原も演出の入江も、ともに水野の人選だという。
「マイルドにしぬ」は事前の情報に乏しかったが、ナンセンスなショートコメディーのオムニバス公演であった。オムニバスとはいえ、それぞれの話には繋がりがある。
笑えた。水野美紀がナンセンス・コメディーをやっているというので笑える要素も多いし(つまり無名の俳優が同じことをやっても笑えない)、河原雅彦の受けの芝居が良いと言うこともある。しかし何といっても(こういうことを書くと二人には却って失礼に当たるかも知れないが)水野美紀と河原雅彦の役者としての抜群の上手さ、これに尽きる。二人が舞台に立っているだけで演劇空間が作れてしまうのである。この二人ならどんな本でも、あるいは本なしセットなしのエチュードだけでもかなり面白いものが出来てしまうはずだ。
水野美紀の舞台には最近立て続けに接しているし、河原雅彦の舞台を生で観るのは5年ぶりだが(前回は木野花が演出した、鴻上尚史の「トランス」。紅谷先生役を演じたのは、ともさかりえで、この共演がきっかけとなって河原はともさかと結婚することになる)舞台を収録したDVDはいくつか観ていた。だが、これほど良い俳優だとは今日の今日まで気がつかなかった。
水野と河原の場合、その演技は演じているというよりも、あるべきものがあるべきところに嵌るという感覚に近い(指揮者のヘルベルト・フォン・カラヤンが岩城宏之に語ったという「ドライブするのではなくキャリーするんだ」という言葉があるが、音楽ではなく演劇でその言葉の意味を実感できたのはこれが初めてである)。更に、間近で観ていたからわかったのであるが、並の舞台俳優なら10の手順を要して表現するところを二人は2つか3つの段取りで出来てしまう。「凄い役者というのは本当に凄いんだな」と感心してしまった。
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兵庫県の淡路島に、造り酒屋の四男坊として生まれた笹野高史。子供の頃は「笹野のぼん」などと呼ばれたそうですが、幼い頃に両親が死去し、以後は親戚の家を頼って、男兄弟四人で支え合って育ちます。そんな笹野少年の夢は映画俳優になること。しかし、決して男前とはいえない笹野少年は人前では「映画俳優になりたい」とは口に出来ませんでした。そんな笹野少年の心の支えだったのが、男前でないのに映画の主役を張っていた渥美清。
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