カテゴリー「大阪」の10件の記事

2017年3月21日 (火)

笑いの林(85) 「宮村優子×桜 稲垣早希プレゼンツ in 大阪!」

2017年3月4日 大阪・弁天町の世界館にて

JR弁天町駅から北へ。安治川沿いにある世界館という劇場で、「宮村優子×桜 稲垣早希プレゼンツ in 大阪!」の2回公演を観る。一帯は工業地帯で、それ以外のものはほとんどない。世界館も元々は倉庫だったものを改修し、入り口付近のファサードをお洒落にして、2004年に劇場としてオープンしている。プロレスの会場になってりしているようだ。
「宮村優子×桜 稲垣早希プレゼンツ」公演は今回が3回目。初回は昨年初めに、二人の出身地である神戸で行われ、2回目は東京で開催された。神戸公演では、みやみーこと宮村優子は旦那の悪口ばかり言っていたが、その後、離婚している。

第1部は正午開演の公演で、「みやむー&さきの部屋~お昼は楽しくおしゃべりの回」でトークショー。第2部が午後5時開演の公演で、「みやむー&さきの部屋~夜はわいわいゲームの回~」でゲームコーナーである。

第1部は、二人とも私服で登場。まずは早希ちゃんが、「3回目ですが、全部来ているという人」と聞く。結構いる。次いで、「今日が初めての人」と聞くとこれもまあまあいる。宮村優子が、「どうも宮村優子です」と自己紹介をし、早希ちゃんが、「それはみんな知ってます。知らないで来ている人がいたら頭おかしい」と突っ込む。

アスカのコスプレで来ている、早希ちゃん公演常連の女の子がいるのだが、早希ちゃんと宮村優子に発見して貰い、声を掛けられたので嬉し泣きしていた。

まずは「ババ抜きトーク」。二人とも相手に話して欲しい話題を5つ用意して紙に一枚ずつ書き、ババ抜きの要領で引いて、トークを行うというもの。
早希ちゃんが先攻で引く。お題は「ハマっているもの」。早希ちゃんはYouTubeにハマっているそうで、自身も公式YouTubeチャンネルを立ち上げて、有名YouTuberのHIKAKINさんを真似したサキキンというキャラクターを演じている。サキキンは極端なぶりっこ&ナルシストキャラなのだが、早希ちゃんを知らない視聴者から叩かれまくっているそうで、「ボケ、ブス、シネ!」と早希ちゃん曰く「覚えやすい」暴言で罵られているそうだ。アスカの子だと知っている人でも、「アスカじゃない時はこういう子なんだ」と思い込んで、「ぶりっこは嫌われますのでやめた方がいいですよ」と心配してメッセージを書き込んでいるという。
宮村優子は、いつも下に小さい文字で「本当に聞きたい質問」を書いており、「早希ちゃんの属性はSですか? Mですか?」と聞いている。宮村優子はずっと「自分はMだ」と思って生きてきたのだが、最近になって「あれ? Sじゃない?」と気づいたそうである。「早希ちゃんは、いじめるのが好き? いじめられるのが好き?」と聞かれた早希ちゃんは、「その言葉にゾクゾクしているのでMです」と言うも、「Mの女の方がモテる」とも言って、「一応M」ということにしておく。宮村優子は、「男性はMの方が多いらしい」と言っていたのが、そうなのか?
宮村優子が引いたのは、「最近、日本の焼きそばがおかしいので食べてみて」。カップ焼きそばの味が妙なことになっているそうで、昨年のクリスマスには「ショートケーキ味」、今年のバレンタインデーには「チョコレート味」、そして今は「納豆味」が出ているそうである。「ショートケーキ味」と「チョコレート味」は今は手に入りにくいそうで、わざわざ取り寄せたそうだ。
スタッフが、裏でカップ焼きそばを作っている間に、早希ちゃんに二つ目の質問、「何フェチですか?」。早希ちゃんは「首フェチ」だそうで、うなじを見るのが好きだそうである。男性が物を落として拾おうとして屈んだときに見える首の裏側をガン見するそうだ。女性のうなじが素敵なのはわかるのだが、男のうなじについてはよくわからん。「ホクロがあるとなおいい」と言っていたが、こちらはなんとなくわかる。南野陽子もホクロがなかったら魅力半減だろうし。泣きぼくろがチャームポイントという女性も多い。ついでに、「お風呂に入ったとき体のどこから洗いますか?」とも小さい字で聞いていた。
宮村優子は長風呂で1時間ぐらい入っており、体は洗わないそうである。彼女は現在もオーストラリア在住なのだが、オーストラリアのバスタブは浅くてすぐに冷めるのでずっとお湯を入れ続ける必要があるそうだ。子供二人も入れるので長くなるという。早希ちゃんが、「人妻」と言いかけて止め、宮村優子は「シングルマザー」と言った。

できあがったカップ焼きそばの試食。劇マズで、早希ちゃんは一口食べるのが精一杯だったが、みやむーは「まずくはない」と言って、全て一口以上食べていた。宮村優子は自分で、「バラエティーではおいしくないタイプ?」と言い、早希ちゃんも「ちょっとおかしいです」と言っていた。

宮村優子への質問2つ目は、「ハマっているもの」でかぶってしまう。みやみーはマンガが好きなのだが、オーストラリアでも買える電子書籍版は、以前は紙の書籍に比べると半年遅れで刊行されていたそうで、「ONE      PIECE」などは早く続きが読みたくなるため、日本に帰った際にまとめ買いしていたのだが、重いしかさばるので苦労していたという。だが、今は単行本と電子書籍がほぼリアルタイムで出るようになったそうだ。ちなみに宮村優子はアニメは見ないそうである。アニメを見ていると、声優さんがスタジオで今どんな作業をしているのか、スタッフがどう工夫しているのかがわかって映像が浮かんでしまうため、集中できないそうである。一種の職業病である。
なお、宮村優子が遠山和葉役で出演している「名探偵コナン」の最新映画が来月公開されるそうである。

早希ちゃんへの3つ目の質問。「他の芸人との関係」。後輩芸人の堀川絵美が「エヴァンゲリオン」もろくに見たこともないのに、綾波レイならぬデブ波レイをネタでやっているのだが、「知れ渡る前にやめさせます」と言う。吉本の女芸人は毎年ひな祭りの日に、今いくよ・くるよ師匠が開催するひな祭り会を開いているそうで、いくよ師匠が他界してからは、くるよ師匠一人が主催しているという。そこで、シルク師匠から、「癌にならない食事法」を伝授されたそうで、3つのものを避けると良いと言われたのだが、宮村優子が3つとも当ててしまったため(よく知られている種類のものである)「あれ? 私だけ知らんかったんかな? 結構みんな、『おー!』て言ってたのに」と訝しむ。まあ、フードファディズムになりかねないので信じるかどうかは自分で決めるしかない。
川絵美はまだ芸歴が浅いので、まだくるよ師匠に存在を知られておらず、ひな祭り会に呼ばれたことはないそうである。早希ちゃんは「(「くるよ師匠に)知られる前に(レイを)やめさせます」とも言う。

USJのエヴァンゲリオンに行ったことがあるかどうかという質問もある。みやみーは昨日、USJに行ってエヴァを体験してきたそうだ。早希ちゃんもみやみーに「一緒に行こう」と誘われたのだが、営業の仕事が1本入っていて行けなかったという。やはり職業病が出て、アスカのセリフが聞こえるとアスカモードになってしまい、ついセリフを口にしてしまうそうで、隣のお客さんは双方向からアスカの声がするため、「???」状態になっていたという。ちなみに、USJでは宮村優子本人だとは気がつかれなかったそうで、エヴァグッズを3つ買ったのだが、「『エヴァンゲリオン』、お好きなんですね」と笑顔で言われたとのこと。まさか本物の声優が目の前にいるとは誰も思うまい。

ここで、ラスト。「好きなタイプは?」を無理矢理「好きなたこ焼きのタイプは?」に変えて、舞台上にたこ焼き器が置かれ、タコではない具を入れたたこ焼き作りが始まる。宮村優子が「音楽はないのかな?」と言ったためBGMがかかるが、音源を用意していなかったため、たこ焼き作りには不似合いなビーチボーイズの「サーフィンU・S・A」が流れていた。
「よっちゃんイカ」、「サクランボ」、「グミ」(以上、みやむー持ち込み)、「ミニトマト」、「フリスク」、「グミ」(以上、早希ちゃん持ち込み)を入れたたこ焼き。当然、美味しくなるはずはないのだが、宮村優子は「まずいけど平気」だそうである。
ラストと言いつつ焼いている間に、宮村優子が質問に答えることになった。「これまでで一番笑ったことは?」。宮村優子はお笑い好きだそうで、和牛や銀シャリがお気に入りだという。大阪吉本と東京吉本の芸人についてであるが、テレビを見ていても東京の芸人なのか大阪の芸人なのかは意識せず、大阪で見ていた芸人が東京のお笑い番組で見ないのに気づいて、「ああ、大阪の芸人さんだったんだ」と思う程度だそうだ。
ちなみにアニメ芸人は大半が東京在住で、大阪にいるのは早希ちゃんと南斗水鳥拳のレイ(がっき~)だけだそうである。「レイ違い」だそうだ。なお、二人とも苗字は稲垣である。


第2部までの間、時間を潰さねばならないのだが、弁天町というのは本当にオーク200しか行く場所がない。取り敢えずオーク200にあるカフェで昼食を食べ(カサブランカという店名なのに、ギリシャのミコノス島の絵が飾ってあるという、コンセプトのよくわからない店であった)、書店やら映画のポスターが飾ってあるコーナーやらを見て回る。弁天町付近も少し歩いてみたのだが、「危険」という感じはしないものの、「夜はまずそうだ」という雰囲気がある。よく似た雰囲気の他の場所は思いつかないが、敢えて挙げるなら西池袋に少しだけ近いかも知れない。

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2017年1月 9日 (月)

好きな短歌(37)

みいくさにこよひ誰が死ぬ寂しみと髪吹く風の行方見守る 

石上露子(ゆふちどり)

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2016年3月 1日 (火)

観劇感想精選(177) 「Honganji」

2016年1月20日 大阪・上本町の新歌舞伎座にて観劇

午後6時から大阪・上本町(うえほんまち)の新歌舞伎座で「Honganji」を観る。本願寺石山合戦を描いた舞台。石山本願寺のあった大阪で今日初日を迎え、今後全国での公演が予定されている。

原作:保志忠彦、脚本:斎藤栄作、演出:ウォーリー木下。題字:紫舟(代表作:大河ドラマ「龍馬伝」ほか)。衣装:小篠ゆま(コシノヒロコの次女)。
出演:陣内孝則、水夏希(みず・なつき。元宝塚雪組トップ。私と同じ千葉市出身である)、諸星和己、姜暢雄(きょう・のぶお。代表作は「トリック」)、ウダタカキ、瀬下尚人、板倉チヒロ(男性)、植本潤、倉持明日香(元AKB48。父親は元プロ野球選手の倉持明)、岸祐二、ルウト(男装読者モデルとしても活躍する女優・女性モデル)、奥村佳恵、大橋吾郎、滝口幸広、渡辺大輔、佐野和真、蒼乃夕妃、尾花貴絵(父親は元プロ野球選手で現・読売ジャイアンツ投手コーチの尾花高夫)、押田瑞穂、木下政治、市川九團治ほか。

本願寺石山戦争の話で、知り合いの知り合いである市川九團治が出て、ウォーリー木下が演出を務めるという情報だけを手に入れて新歌舞伎座に向かったため、姜暢雄や倉持明日香などが出演するということは、新歌舞伎座の入り口前に飾られたお花の宛先で知った。

本願寺の話ということで、受付には「宗務関係者」という普通の舞台公演ではまず見受けられない部署も設けられていた。

夏目雅子が「西遊記」で三蔵法師を演じて以来、何故が僧侶には女優が扮するという習慣らしきものが出来てしまい、今回の舞台でも本願寺十一世・顕如光佐と本願寺十二世で東本願寺一世の教如は女優が演じている。なお、教如の弟で西本願寺一世(こちらもまた本願寺十二世を名乗っている)の准如は舞台には登場しない。

舞台後方には屏風上の壁。舞台中央には小さな坂があり、開演前からその上に作り物の生首が乗っている。

開演10分前当たりから後方の壁に石山本願寺寺内町の絵が投影される。今回の公演は、映像が徹底的に駆使された場面転換が行われる。

開演すると「かごめかごめ」の歌が流れてくる。やがて歌声が歪むと同時に溶暗。照明が舞台に当たると、生首は市川九團治演じる平将門のものに変わっており客席に向かって語りかける、やがて九團治は前身を現し、歌舞伎の見得を切る(新歌舞伎座という劇場名であるにも関わらず基本的に歌舞伎の公演は行われないという変わった劇場なので、「高島屋!」という声は掛からなかった)。
九團治演じる平将門は「Honganji」の狂言回し(ストーリーテラー)の役割も担う。

平将門は関東一円を支配し、新皇として独立を図るも、下野守藤原秀郷に敗れて戦死。首は京の七条河原にさらされるも東国目指して飛んで行き、下総岩井を目指すも江戸で墜落。将門の霊は怨念を持ったまま現世を彷徨っている。そして16世紀、再び日の本の国に乱世を起こすべく、将門の霊は凶暴化した。
その将門に斬りかかる少年が一人。三郎という名の少年こそ後の織田三郎信長であった。将門に「欲しいものは何か?」と問われ、「天下だ」と答えた三郎に将門は「情というものを掛けず鬼に徹するならそなたを天下人にしてやろう。ただし、ただ一度でも情を掛けたなら全ては水の泡となるだろう」と告げる。実はこの時の三郎信長の天下像は「この世を極楽浄土に変える」という日蓮宗的発想なのだが、それに関しては深く掘り下げられてはいない。
成人した信長(陣内孝則)は仏を信じぬ「第六天魔王」と称してして将門の力を受けながら天下人への道を突き進む。

一方、後に足利第十五代将軍となる足利義昭(木下政治)は朝倉氏を頼って越前にいたが、そこで十三代将軍・義輝(塚原卜伝に師事した剣豪将軍として知られる)が討ち死にしたことを知らされる。十四代将軍に就いたのは三好三人衆の傀儡・義栄。このままでは足利将軍家の威光は地に落ちると考えている義昭だが朝倉では頼りになりそうにない。そこで明智光秀(ウダタカキ)を通じて、織田を後ろ盾にしようと目論む。義昭の下にやって来た信長は横柄な態度ではあったが、義昭を将軍の座に押し上げることを約束する。
大坂の「天下一の要害の地」に建つ石山本願寺では、東の京にいる三好三人衆(三好長逸、三好政康、岩成友通)、その更に東にいる足利義昭を擁した織田信長が共に西に寄せてくる気配を感じ、石山本願寺も危ないのではないかとの声が上がる。しかし、門主である顕如(水夏希)は徹底した「非戦」を説いていた。だが、顕如の息子である教如(ルウト)、紀伊の雑賀(鈴木)孫一(諸星和己)率いる雑賀衆に戦いを挑むなど好戦的。教如は勝手に本願寺寺内町の門徒らに信長への宣戦布告を行ってしまい、顕如も戦いを選ばざるを得なくなる。顕如は雑賀衆の頭領である雑賀孫一が真宗門徒であるため本願寺の味方になってくれるよう頼む。かつては織田信長に雇われたこともあったため様子見であった孫一だったが、雑賀衆数人が信長の配下で活躍する伴長信(板倉チヒロ)らに殺害されたことを知り、本願寺方に付くことに決める。

平将門の怨念が渦巻く中で、いよいよ信長の近畿における戦いが始まる。足利義昭を担いで上洛し(ただ、輿に乗っているのは信長で、どう見ても義昭ではなく信長の上洛である)。京を追われた三好三人衆は野田城や福島城(「野田」「福島」共に現在も駅名として残っており、大阪によく来る人ならどの辺に城があったすぐにわかる)を築城し信長の侵攻に備える。野田や福島と石山本願寺とは目と鼻の先である。三好三人衆と組んだ本願寺は信長との和議を結ぶ。

明智光秀が信長の使者としてやって来る。織田と本願寺の和睦の条件として5000貫を要求するのだが、顕如は門徒から寄付された金を信長のために払うつもりはないと拒否する。光秀は、本願寺の侍女である光(みつ。奥村佳恵)に何故か惹かれるものを感じるのだが、実は光は光秀の実の娘であることが後に判明する。
その光が慕っているのは教如。だが、教如は「自分は僧侶ではなく武将として生まれてくるべきだった」と今の境遇を嘆いている。
浅井・朝倉連合軍に味方したということで信長は比叡山延暦寺を焼き討ち(比叡山の焼き討ちの規模に関しては諸説あり、実態は不明である)。この劇では通説とは違い、明智光秀が延暦寺に容赦ない攻撃を仕掛け、羽柴秀吉は最初は比叡山に籠もる人達に同情的である。
石山本願寺も比叡山の二の舞になる可能性が高いことを悟った顕如はいよいよ信長との戦を決意する。ただそれは信長のような「攻め、奪うための戦い」ではく、あくまで石山や全国の門徒を「守るための戦い」と説くだが……。

平将門と本願寺の両方に繋がる武将には徳川家康がいるのだが、この劇では家康は一切登場しない(セリフにすら出てこない)。またその後、幕末に至るまで密接な関係にあった毛利氏の当時の当主である毛利輝元も声のみの出演に留まっている。毛利水軍は出てくるのだが、乗り組み員として登場するのは雑賀衆達である。

一方、架空の人物は数多く登場し、雑賀衆はほぼ全員架空の人物であり、雑賀孫一に父親を殺され、恨みを抱いている織田方の女鉄砲打ち橋本雷(はしもと・らい。演じるのは倉持明日香)も架空の人物である(織田信長の鉄砲指南役を務めた橋本一巴という実在の人物の娘という設定ではあるが、橋本一巴を殺したのは雑賀孫一ではない)。

本願寺石山合戦は正親町天皇の勅命により和睦となるのだが、これも実は五摂家筆頭・近衛氏とのパイプを持つ伴長信の策略によるものという設定になっている。

実在の人物の描き方に特徴があり、森蘭丸(姜暢雄)は無邪気にして残忍な性格(劇中で羽柴秀吉が「森蘭丸は浄土真宗の門徒」と語るシーンがあるがこれは史実である)、羽柴秀吉(瀬下尚人)は日和見主義者、明智光秀は知に優れているが一本気な性格が災いしている。
ルイス・フロイスは「キリスト教の布教を足がかりとして日本を植民地にすることを狙っている」奸計の人として描かれている。

また、平将門の桔梗姫伝説というものが登場し、明智光秀の家紋が桔梗であることはよく知られているため一応伏線にはなっているのだが、信長が光秀の謀反を事前に察知するということはない。
浄土真宗的な考えが展開されるということもないが、「戦いとは何か」と問いは強く打ち出されており、基本的には「良き戦いなどない」という結論で終わることになる。

ただ、平将門の怨霊は成仏することなく、次なる戦乱の時代を求めて、時代を下っていくことにはなる。将門の不気味な笑いで劇は終わる。


ウォーリー木下が演出する舞台を観るのは久しぶりであるが、ジャグリングなどを行うパフォーマンスのメンバーを多く入れるなど(ラストではちょっとした仕掛けがある)賑やかな演出を行っている。また映像を使うことで場面転換を一瞬に行う技術は興味深いが映画的であるということもいえる。それが良いことなのか悪いことなのかは保留としておくが。

ルイス・フロイスが「かごめかごめ」の歌詞はヘブライ語であると唱える場面がある。日ユ同祖論というものでよく取り上げられるものである。私自身は日ユ道祖論には懐疑的、というよりほぼ否定しているが、そういったものがあるということだけは紹介しておく。

初日ということで、演技の方は万全とまではいかなかったが、きちんとした仕上がりにはなっていた。比較的知名度の低いキャストが並んでいるが、殺陣を始めとするアクションシーンが多いため、運動神経の発達した俳優を優先して起用した結果だと思われる。
ただ、確かにお金が掛かった演出ではあるが、チケット料金はもう少し抑えても良いのではないだろうか。私は門徒だから行ったけれども、他の宗教若しくは無宗教だったら「高いので観に行かない」となったはずである。


終演後、カーテンコールに応えた陣内孝則は「トレンディ俳優の陣内孝則です」と冗談を込めた挨拶を行う。「本日はお足元のしっかりした中(大阪では雪も雨も降らなかったようだ)お越し下さいまして誠にありがというございます。本日はシリアスな劇でしたので、最後は和んで頂くためにパントマイムを行います。ご当地、後藤ひろひと氏から伝授された『カブトムシで脱臼』」と言って、左腕に乗せたカブトムシを上へと這わせる様を見ているうちに無理な姿勢になって脱臼するというパフォーマンスを行った。
その後、陣内は諸星和己に、「SMAPについてコメントを」と無茶ぶり。諸星はジャニーズ事務所の光GENJI出身であるがジャニーズを離れて20年以上経つということもあって、「「『カブトムシで脱臼』から『SMAPが号泣』」とボケた後で、「知ったこちゃない!」と言う。その後、「みなさん一人一人の幸せな人生、幸せになれる道を見つけて下さい」と言った諸星は「締めに良いこというなあ」と自画自賛するが、陣内孝則が、「明日はまた別のストーリーとなっております。別のお話を楽しむために明日も」とどう考えても出鱈目を言い始めてしまったため、銃を差し向けて「いい加減にしろ!」と止めていた。

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2015年11月 7日 (土)

観劇感想精選(168) 「GS近松商店」

2015年10月7日 大阪・上本町の新歌舞伎座にて観劇

午後6時30分から、大阪・上本町(うえほんまち)の大阪新歌舞伎座で、新歌舞伎座新開場五周年記念「GS近松商店」を観る。大阪の新歌舞伎座というと、なんば駅前にある純和風の荘厳な外観のものが有名であったが、老朽化のために、現在は上本町に移っている。外観も普通のビルである。洗練されたともいえるが、和の趣は後退した。ちなみになんばにあった新歌舞伎座は外観は今も残っている。

仲間由紀恵主演の「琉球ロマネスク テンペスト」を観て以来となる大阪新歌舞伎座。今回の「GS近松商店」はタイトルからも分かるように近松門左衛門が書いた文楽床本『女殺油地獄』と『曽根崎心中』を基に、舞台を現代に置き換えた悲恋劇として鄭義信(チョン・ウィシン)が練り上げたものである。近松の作品はそのほとんどが大坂を舞台に描かれており、近松関連の作品を観るにはやはり浪花が一番であろう。というわけで、この芝居でもセリフは関西弁が用いられている(方言指導:一木美貴子)。

作・演出:鄭義信。出演:観月ありさ、渡部豪太、小島聖、姜暢雄(きょう・のぶお)、朴璐美(ぱく・ろみ)、みのすけ、星田英利(ほっしゃん。)、山崎銀之丞、今井咲貴(いまい・さき)、平田敦子、チョウヨンホ、荒谷清水(あらたに・きよみ)、山村涼子、升毅、石田えり他。

途中休憩時間20分を含めて上演時間約3時間25分の大作であり、そのため開演時間が早めに設定されている。

GS近松商店は「ガソリンスタンド近松商店」の略であり、大阪に近い片田舎にあるガソリンスタンドと、同じ街にある寂れた劇場「寿楽座」の二箇所が主舞台となる。

新歌舞伎座ということで、開演前には定式幕が降りている。まず口上役(舞台上では旅回りの役者一座の座長)である山崎銀之丞が前口上を述べる。ちなみに、1階席の前から2列目までに座った人には、事前にビニールシートが席に置かれているが、山崎は「舞台上からあるものが飛んで来ます」と予告する。そのためビニールシートを使ってよける練習というものを行う。

幕が開く。GS近松商店。近松家の長男である幸一(升毅)は、今は酒屋である中村家の養子となり、中村酒店の主となっている。その幸一がトラックを運転してGS近松商店の前に乗り付ける(本物の自動車を運転している。この舞台では他にオートバイも実物を運転するなど外連が多い)。幸一は継母である美也子(石田えり)と不仲になり、近松家を飛び出して中村家の養子に入ったのだった。GS近松商店ももう過去の遺物。客が訪れる方が珍しいという有り様で、幸一の妹の近松百合子(小島聖)と菊子(観月ありさ)の二人が経営を行っているが、赤字が解消される見込みはない。菊子の夫である太一(姜暢雄)は店を売った後の算段しか考えていない。ちなみに菊子と太一の夫婦関係は冷え切っており、夫婦としての営みは三年に渡って行われていない。更に太一は浮気をしている。
菊子は右足が悪く、いつも足を引きずっている(「びっこ」という放送禁止用語も舞台なので使われる)。

菊子の姉である百合子が、GS近松商店に歩いて帰ってくる。百合子は元カレである写真館経営の奥寺(みのすけ)の結婚式に出席するために出掛けたのだが、途中で参列するのが馬鹿馬鹿しくなってしまい、パチンコに行って帰ってきたのだという。百合子と奥寺は深い仲になったのだが、結局、奥村は陽子(平田敦子)という太った女を結婚相手に選んだ。しかし、これが後に失敗であったことがわかり、奥村は百合子に復縁を求めるようになる。百合子は奥村の申し出を頑なに拒否し続けている。

新歌舞伎座の花道を使って、賑やかな一団がやってくる。男達は野球のユニフォームを着ており、女達はチアリーダーの格好をしている。この村の青年団達だ(全員、大阪の地名を苗字としている)。リーダーは天王寺(星田英利)。そこへ、金属バットを持った男が殴り込んでくる。寿楽座の跡取りである片岡光(渡部豪太)である。光は酷い吃音の持ち主(「どもり」という放送禁止用語も舞台なので普通に用いられる)。チアリーダーの一人である愛美(山村涼子)にフラれたため、復讐しに来たのだった。返り討ちに遭う光だったが、菊子の仲裁で何とかことは収まる(ここで観月ありさが放水シャワーで水を撒き、客席まで水が飛んでいく)。光は菊子の姿に惹かれる。その後、毎日のようにGS近松商店にやってくるようになる光。

一方、寿楽座では、夏祭りのための「仮名手本忠臣蔵」の稽古が行われていた。旅回りの役者・沢村雪之丞(山崎銀之丞)が、演出を行うのだが、演じるのが演技はど素人の村の青年団ということもあり、上手くいかない。寿楽座の主は片岡善三(荒谷清水)であるが、善三は先代の主の妻であった米子(石田えり。二役)と再婚したのであり、光と妹の千夏(今井咲貴)にとっては義父となる。米子は、「GS近松商店の美也子さんにそっくり」と言われるが、「私の方が美人」と言い張る。だが、そんな米子も光が吃音になったのは、善三と再婚してからであり、自身の再婚が息子に悪い影響を与えてしまったのではないかと気に病んでいた。

中村酒店の主となった幸一も問題を抱えていた。叔父の進(チョウヨンホ)が借金まみれであり、それを解決するために幸一の縁談を勝手に進めてしまっていたのだ。相手は大手旅館・満月屋の令嬢。これで金銭面は解決するのだが、幸一には愛する人がいた。中国人パブ「シルクロード」で働く玲玉(リン・イー。朴璐美)である。二人は結婚を誓い合っていたが、玲玉は日本への渡航費などで「シルクロード」に借金がある。このままでは金銭面で行き詰まることは目に見えている幸一であるが、人の良さから天王寺に金を貸してしまい、その天王寺の店が不渡りを出し、自責の念から天王寺は自殺してしまい、借金は更に膨らんでしまうのだった。

身体や精神に障害を抱えていたり、マイノリティーに含まれる人物が登場したりするが、鄭義信の彼らに対する眼差しは温かいものの、結果に関してはシリアスな姿勢を貫き通す。ノーマライゼーションが完遂されない限り、彼らの存在は憐憫の情で見られ、それは取りも直さず見下されているということに他ならず、人間として好ましいものではないと知っているからだろう。

「女殺油地獄」と「曽根崎心中」がベースになっているが、一人の人物に二つの物語を背負わすのは流石に酷であり、菊子と光が「女殺油地獄」を(ガソリンスタンドが舞台なのはそのためである)、幸一と玲玉のカップルが「曽根崎心中」の部分を受け持ち、二組の男女の悲劇が同日に行われる。もし、片方の悲劇が起こらなかったら、もう片方は起こらなかったはずだが、たまたま日が悪く、田舎特有の地元意識や自身が持つ障害、将来への不安などが重なった悲劇は起こる。

祭り囃子が鳴り響き、「仮名手本忠臣蔵」が下手ながらも演じられ、花火の音が聞こえるなど、ハレの気配満載であり、笑いの場も多く盛り込まれているのだが(一人二役を演じている石田えりの早替えの場が何度もある)、強く感じるのは人生というものの不安定感である。我々はかくも不安定な世界に何とかしがみついて生きている。二組の死はこの世界で毎日繰り返されている「死」の1ケースに過ぎない。それほどまでに世界というのは残酷なものであり、人間はただでさえ厳しい世界というものを自らの意思により一層峻険なものに変えてしまう愚かな生き物なのである。

近松の時代も今も、男と女、そして人間と人間社会の本質は変わっていないのだろう。

出演者達は、二度カーテンコールに応え、最後は座長の観月ありさが、「本日はお越し下さりまして、まことにありがとうございました」と挨拶して幕となった。

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2015年5月 7日 (木)

コンサートの記(189) 「大阪4大オーケストラの響宴」2015

2015年4月22日 大阪・中之島のフェスティバルホールにて

午後6時30分から、大阪・中之島のフェスティバルホールで、「大阪4大オーケストラの響演」を聴く。在阪常設プロコンサートオーケストラ4つが一堂に会するという試み。これまでも関西フィルハーモニー管弦楽団首席指揮者の藤岡幸夫と日本センチュリー交響楽団首席指揮者の飯森範親が親友だというので合同でコンサートを行ったりしていたが、大阪フィルハーモニー交響楽団と大阪交響楽団を加えた4つのオーケストラが揃って演奏するのは史上初だという。

出演と曲目は、前半が、藤岡幸夫指揮関西フィルハーモニー管弦楽団による黛敏郎の「BUGAKU(舞楽)」と飯森範親指揮日本センチュリー交響楽団によるサン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」(電子オルガン独奏:山本真希)。後半が、外山雄三指揮大阪交響楽団によるストラヴィンスキーのバレエ組曲「火の鳥」(1919年版)と井上道義指揮大阪フィルハーモニー交響楽団によるベートーヴェンの交響曲第7番。演奏されるのがいずれもそれなりの長さのある曲で、舞台転換にも時間が掛かるということで、長時間の演奏会となるため、通常の演奏会よりも30分早くスタートする。

午後6時10分頃から、井上道義(大阪フィルハーモニー交響楽団首席指揮者)、外山雄三(2016年4月より大阪交響楽団ミュージック・アドヴァイザー就任予定)、飯森範親(日本センチュリー交響楽団首席指揮者)、藤岡幸夫(関西フィルハーモニー管弦楽団首席指揮者)によるプレトークがある。

「大阪4大オーケストラの響演」はフェスティバルホール側から持ちかけられた企画だそうだが、それを快諾したのは井上道義だそうで、「4つオーケストラがあるんだからブラームスの交響曲全4曲を1曲ずつやればいいんじゃないか」と井上は考えたのだが、その案は飯森と藤岡が断ったそうである。ブラームスの演奏にかけては朝比奈隆時代以来からの伝統と定評のある大阪フィルが絶対的に有利である。
外山雄三は、自身が来年から就任する大阪交響楽団のポストをよく把握していないようで、「音楽監督」と言っていた。ミュージック・アドヴァイザーという肩書きが比較的最近出来たものなのでピンと来ないのかも知れない。
フェスティバルホールは音響設計はされているが多目的ホールであるため、パイプオルガンは設置されていない。にも関わらず、飯森がサン=サーンスの「オルガン付き」交響曲を選んだのは、飯森によると、「大阪フィルさんが、オルガン入りの曲を演奏するというので、それに合わせたつもりだった」とのことである。今日はアーレンオルガン社製の電子オルガンが用いられる。
井上は、「このホールは3階席の音が良い(反響板がないため)のですが、遠いので、見えますか?」と3階席に語りかける。今日は私も3階席で演奏を聴く。

まずは、藤岡幸夫指揮関西フィルハーモニー管弦楽団による黛敏郎のバレエ音楽「BUGAKU(舞楽)」。同一コンビによる演奏を、以前にザ・シンフォニーホールで聴いたことがある。藤岡は「やるなら邦人作曲家の作品がいい」ということで、黛の「BUGAKU」を選んだ。

「題名のない音楽会」の司会者としてもお馴染みであった黛敏郎。若い頃は「天才」というあだ名で呼ばれていたという。東京音楽学校(現・東京芸術大学音楽学部)在学中にデビュー。パリ国立高等音楽院に留学するも、「もう学ぶことは何もない」と言って、1年ほどで退学し、日本に戻って作曲活動に入る。ただ、その後、「題名のない音楽会」の司会業や、自民党右派的思想による政治活動にのめり込んで、作曲を余りしなくなってしまう。友人である岩城宏之や武満徹(共に故人)が、「黛さん、作曲して下さい」と何度もいったが、寡作に終わっている。ただ実力的には日本音楽史上屈指の存在であったことは間違いない。岩城によると、子供っぽい性格であったようで、飛行機に乗るときはファーストクラスの一番前の列でないと納得しない。しかもシャンパンを必ず注文するのだが、実は黛は下戸でアルコールは一滴も飲めず、雰囲気を楽しむためだけにやっていたのだという。
改憲して軍隊を持つべきだという思想を黛は持っていたが、海上自衛隊の艦船に乗り、「誰が何といおうとここには軍隊がある、戦艦がある」と感涙していたということで、その思想も戦争ごっこをしたり、軍艦や戦闘機に憧れるという子供時代の感情をそのまま持って成人してしまったと結果と見た方が自然のような気もする。

「BUGAKU」は、ニューヨーク・シティ・バレエ団からの依頼で書かれたバレエ音楽で、オーケストラの楽器が雅楽の音色を模した音を出すなど、和のテイストが前面に押し出された傑作である。岩城宏之指揮NHK交響楽団や湯浅卓雄指揮ニュージーランド交響楽団による名盤も出ている。マンガ「のだめカンタービレ」で、千秋真一が唯一指揮している日本人作曲家の作品としても知られている。

アメリカ式の現代配置での演奏。藤岡と関西フィルは以前もこの曲を取り上げているということもあり、スケール、色彩感ともに優れた演奏を展開する。空間の広いフェスティバルホールでの演奏であるため、ザ・シンフォニーホールで演奏された時ほどの迫力はなかったが、満足のいく出来である。

飯森範親指揮の日本センチュリー交響楽団によるサン=サーンスの交響楽第3番「オルガン付き」。飯森だけは暗譜での指揮であった。
なお、配置転換の時間の都合上だと思われるが、今日のセンチュリー響は関西フィルと同じアメリカ式の現代配置で演奏を行った。
センチュリー響は中編成のオーケストラであるため、フェスティバルの広い空間で演奏するには不利であり、最も割を食う形となる。
音の大きさには不満もあったが、造形自体はしっかりした演奏であった。ただ、音色などにフランス的なエスプリが感じられず、国籍不明の音楽となっていた。センチュリー響もドイツものの演奏で売ってきた経緯があるので、フランス的な色彩感を出すのは難しいのかも知れない。
電子オルガンは思ったよりも遥かに良い音色で鳴る。オルガン前面にスピーカーがあるほか、フェスティバルホールの天井から下がっている3台のスピーカーからも電子オルガンの音色が響いた。

後半に登場するオーケストラはいずれもドイツ式の現代配置での演奏。
外山雄三指揮大阪交響楽団によるバレエ組曲「火の鳥」(1919年版)。外山はプレトークで、「4つのオーケストラが演奏するとなると時間が掛かるので、なるべく短い曲、ただラストが盛り上がる曲を」ということで、バレエ組曲「火の鳥」を選んだと話していた。4つのオーケストラの演奏の中で、演奏時間は約20分と最も短い。

日本指揮者界の大御所的存在である外山雄三。1931年生まれであり、今年で84歳になる。NHK交響楽団の正指揮者であるが、近年のN響は外国人指揮者重視の傾向があるため、N響を指揮する機会は少ない。大フィル、京響、名古屋フィル、仙台フィル、神奈川フィルなどの常任指揮者を歴任しており、オーケストラトレーナーとして定評がある。来年85歳の指揮者をミュージック・アドヴァイザーとして迎える大阪交響楽団には、「外山に合奏力を鍛えて貰おう」という意図があったと思われる。もっと若い名トレーナーやオーケストラビルダーはいるのだが、大響は経済基盤が安定していないため、売れっ子の人には手が出ないという事情もあると思われる。

外山指揮の演奏を聴くのは多分、9年ぶりである。2006年の京都市交響楽団設立50年記念コンサートを先斗町歌舞練場で聴いて以来のはずだ。外山指揮の関西での演奏会はその後もあったが、食指が動かなかった。
外山は作曲家としての才能の方が指揮者のそれより豊かだと私は感じている。関東にいた頃は、外山が指揮する自作自演や日本人作曲家の作品演奏を聴いていた。ただ、関西で外山が指揮する曲目にはそうしたものがないため、「お金を払ってまで聴きたい」とは思えなかったのだ。

現代音楽の作曲家(作風的には所謂、現代音楽的ではないが)でもあるということもあり、外山指揮の20世紀音楽は聞き物である。普段は音の厚みも密度も今一つの大阪響であるが、今日は外山の指揮棒への反射神経の良い、スマートな演奏が展開される。音の威力がそれなりにあるので、音色が淡彩であっても余り気にならない。技術的にも納得のいく水準には達している。

トリを飾るのは、井上道義指揮大阪フィルハーモニー交響楽団によるベートーヴェンの交響曲第7番。大フィルは昨年の4月、井上道義首席指揮者就任と同時に定期演奏会の会場をザ・シンフォニーホールから、新しくなったフェスティバルホールに戻しているが、本拠地ホールでの演奏ということもあり、飛び抜けて舞台に馴染んでいるという印象を受けた。やはりオーケストラの本当の実力は本拠地ホールで聴かないとわからないのかも知れない(他の3つのオーケストラの本拠地ホールはザ・シンフォニーホールである)。
井上は、今日登場した指揮者の中では一人だけノンタクトで指揮。大フィルの奏者を信頼して、拍は小刻みにせず、出だしだけ振ったり、頭の上で右手を回したりと、タイミングや歌い回しなどを指示することの方が多い。
ピリオド・アプローチによる演奏であり、ヴァイオリンなどは時に徹底したノンビブラート奏法に徹する。楽譜はベーレンライター版によるものであったが、序奏の部分で主題が行方不明になるなど、不思議な箇所があった。
弦、管共に、音の抜けは今日演奏した4つのオーケストラの中で断トツ。フェスティバルホールを本拠地としているアドバンテージは大きいだろう。井上の表現も情熱的でノリが良く、「これぞ人類史上初のロック」と感じられる演奏になった。一方で、造形美も確かであり、熱くなる余りバランスが悪くなるということもなかった。優れたベートーヴェン演奏である。

最後に、4人の指揮者が登場し、4人の女性スタッフから花束を受け取るが、井上がまずそれを客席へと投げ、飯森、外山、藤岡もそれに続いた。井上は来年も「大阪4大オーケストラの響演」開催が決まっていることを語り、「来年こそはブラームスの交響曲を」と言うが、飯森に「それだけは嫌です」と断られていた。

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2012年10月21日 (日)

5代目おけいはんWEB投票

5代目おけいはん選挙

京阪電鉄のイメージガールである「おけいはん」決定投票が京阪のWEBサイト内で行われています。お気に入りの子に1票入れてみませんか。

http://www.okeihan-daiboshu.com/

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2007年2月28日 (水)

帰京、帰洛、帰阪

東京に帰ることを「帰京」という。同じく京都に帰ることを「帰洛」といい、大阪の場合は同様に「帰阪」という。しかし、日本の都市の中で、その土地に戻ることを指す、誰もがわかる用語を持つのは、この東京、京都、大阪だけだ。つまり江戸時代の三都である(地元の人だけに通用する言葉なら全国のあらゆる都市にあるようだが)。

大阪よりも人口が多い横浜は「浜」という漢字一字で表されることがあるが、「帰浜」という言葉が使われることは少ない。

京阪神という言葉で、京都や大阪と並び称される神戸であるが、「帰神」という言葉は神戸の人にしか通じない。他の土地の人に、「帰神(きしん)してます」と電話で話しても、「え? 何を寄進したの?」と聞き返されそうだ。

日本三大都市圏の一つ中京圏の中心で日本第4の都市である名古屋に帰ることをいう「帰名」も一般的ではなく、IMEでも変換されない(名古屋では普通に使われているようだが)。札幌市に帰ることを指す「帰札」はIMEで一発変換できるが、辞書には載っていないので俗語なのだろう。

江戸時代の三都は今でも特別な都市であることが、こうしたことからもわかる。

千葉は「葉」という一字で表せるのだが、「帰葉」という言葉は存在しない。「帰葉」といっても通じる人には通じると思うが、通じる人にしか通じない言葉というのは言葉として弱すぎる。

というわけで、2日前に「千葉に帰り」、今日「帰洛した」私なのだった。

※なお、辞書に載っているのは、「帰京」と「帰洛」だけです。「帰阪」という言葉は全国的に通用すると思いますが、辞書には載っていません。

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2006年11月20日 (月)

大阪に行って驚いたこと

大阪に行って驚いたのは、午後4時過ぎに門や柵を閉ざして入れなくしてしまう神社の多いこと。
関東や京都にも夕方になると入れなくなる神社はあるが、それらは大抵由緒正しい神社で、重要な建築があり、それらを守るために閉門している。そして閉門する時間は大体午後6時頃。日が高いうちに境内への立ち入りを禁じてしまうのは大阪の神社だけであり、ありふれた小さな神社に出入り制限があるのも私の知る限りでは大阪だけだ。

なぜ大阪の神社は早めに門を閉ざしてしまうのか。一つ思い当たるのは日本一多い浮浪者の存在。神社の境内は野宿に適している。野宿ぐらいさせてあげてもいいじゃないかとも思うが、夜の境内が浮浪者だらけになってしまったらそれは困るだろう。だから問題が起きないよう早めに門を閉ざすようになったのかも知れない。

あるいは放火を防ぐためだろうか。京都では夜間も出入り自由だった「須賀神社・交通神社」という神社が数年前、夜中に放火されて全焼している。明るい内に門を閉ざしてしまえば、放火される可能性は低くなる。

更に言えるのは大阪といういう街は何に関しても終了時間が早いということ。レストランのラストオーダーの時間も早いので最初は驚いた。京都なら「これからかき入れ時だろう」という時間でも大阪の飲食店は閉まってしまう。夜遅い時間帯は来る客が比較的少ないということで効率を優先しているのだろうか。それともずっと以前からの習慣で、それを今でも守っているのだろうか。さて、本当のところはどうなのだろう。

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2006年10月 3日 (火)

大阪に纏わる噂の真贋

東京にいる頃は、嘘か本当かわからない大阪に関する噂をよく聞きました。関西に移り、大阪の街にも頻繁に行くようになったので、その噂の真贋を検証してみました。

1,「大阪人は駅のホームに並ばない」
これはそんなことはありません。大阪人もちゃんと列を作ります。2列になることが多いです。

2,「大阪人は待っていた電車が到着したら、降りる人を待たず我先に乗る」
これも嘘です。というより、降りる人を降ろさずに乗り込んだら車内が混んで仕方がありません。ただ、降りる人が完全に降りるのを待たずに乗る人はいます。

3,「大阪人同士の喋りは漫才のようだ」
これはその通り。しかし全員がそういうわけではありません。まあ、当たり前ですね。

4,「大阪人は京都人が嫌いだ」
そういう人もいます。京都は関東人にとってはとてもイメージが良い街ですが、関西ではマイナスイメージを持つ人も多いです。

5,「大阪人は納豆を食べない」
いや、納豆好きの人は結構います。

6,「大阪人はラテン気質だ」
ラテン気質かどうかはわかりませんが、コンサートや演劇の終演後、拍手が一番熱心なのは大阪ですね。盛り上がってます。東京人や京都人や名古屋人は大人しいです。

ほかにも大阪にまつわる噂は幾つかあったと思いますが、すぐには思い出せないので、取り敢えずこれぐらいにしておきます。

なお、これらはあくまで私が見た限りでの大阪ですので、本当にこれが大阪人の本質なのかどうかはわかりません。まあ、本当に本当の本質がわかる人はほとんどいないと思いますが。

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2006年7月16日 (日)

大阪の暑さ

京都も暑いが大阪の街もまた暑い。ただ暑さの種類は異なる。

京都の暑さは主に地形によるものであるが、大阪の暑さは地理的条件もさることながら、人口密集による部分も多い。ただでさえ、人口が多いのに(夜間人口は約260万人で日本第3位、人口密度は日本第6位)、1日の人口流入率は日本一で(これにより昼間人口は約360万となり、横浜を抜いて日本第2位となる。昼間の人口密度は正確な資料がないが、大阪より人口密度の高い都市は、東京23区を除けばみな小規模&中規模都市であり、人口流入は少ないためおそらく東京といい勝負だと思われる)とにかく人だらけという状態になる。

特に繁華街は東京よりもゴミゴミしているということもあって人の熱気がもの凄い。人の数そのものは、例えば東京の渋谷やの新宿ほどではないが、大阪は人が集まる場所が狭い地域に集中しているため(例えばキタは梅田駅周辺、ミナミは道頓堀や心斎橋)、ところによっては東京の比ではないほど人が密集している。

人が密集するところは電気消費量も自動車の排気ガスの量も半端ではない、ということで気温は更に上がる。

京都は街全体が蒸し風呂と化したような暑さであり、上からの日光と下からの照り返しと地熱が生む垂直方向の暑さであるが、大阪は暑さは日射しもさることながら、人の熱気が更に気温を上げる水平方向の暑さだ。

どちらの暑さがましかというと、どちらもましではない。体感温度は多分、京都の方が高いだろう。ただ私の場合は、人の多さから生まれるストレスに、より体力を消耗させられる大阪の夏の方が苦手である(但し観光名所に限って言えば、垂直方向の暑さと観光客の多さが生む水平方向の暑さが加わる京都の方が耐え難い)。

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