カテゴリー「おすすめCD(クラシック)」の132件の記事

2008年12月 1日 (月)

音楽とはかくも怖ろしいもの ヘルベルト・ケーゲル指揮ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団 ビゼー「アルルの女」「子供の遊び」「カルメン」

「音楽とは素晴らしいものだが、それを職業にしようというのは怖ろしいことである」(ジョルジュ・ビゼー)

ビゼーのこの言葉は、彼が作曲家として生前に評価を得ることが出来なかったことに由来しています。ビゼーというのもまた不幸な人で、オペラ史上最高の有名作である「カルメン」の作曲家でありながら、その「カルメン」の初演は無残なまでの失敗。
その原因は、スペイン情緒を多く取り入れた音楽に聴衆が戸惑ったことと、主人公が貧しい労働者階級の女であることが不評を買ったとされています。「カルメン」の初演時の批評が残っており、中には「舞台上で殺人を繰り広げるなどなんて不謹慎だ」という、「お前はアホか」と言いたくなるような勘違い批評があることはかなり有名ですが、その他にも「旋律がない」「深みがない」「音楽的価値が皆無」という今から見ると首をかしげたくなるような批評に満ち溢れています。「カルメン」は再演では大成功しますが、その時にはビゼーは病気ですでに世を去っており、結局、彼自身が成功の美酒に酔うことはありませんでした。

そのビゼーの作品を指揮しているヘルベルト・ケーゲル。この人も不幸な人です。

ヘルベルト・ケーゲル指揮ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団 ビゼー「アルルの女」「子供の遊び」「カルメン」 声楽家としての才能をまず見出されたケーゲルですが、児童合唱団などに属するには年齢制限にひっかったため、ピアニストを目指し、それも第二次大戦に兵隊として参加した際に手を負傷したため叶わず、指揮者になりますが、指揮者として最も必要な資質である人心掌握術にケーゲルは長けてはいませんでした。このCDで演奏しているドレスデン・フィルハーモニーとも後に険悪な関係に陥ります。

そんな不幸な音楽家同士の組み合わせによる演奏。これが異様な演奏になっています。

ケーゲルの指揮するドレスデン・フィルは完璧なアンサンブルを聴かせますが、余りに完璧すぎるため、聴いているうちに怖くなってくるほどです。また音も非常に美しいのですが、楽器が鳴らしているのに人間の声に聞こえるような「この世ならぬ」と形容したくなるような美しさに満ちた表情を見せる瞬間が何度もあります。

「アルルの女」は劇付随音楽、「子供の遊び」はタイトルからもわかるとおり愛らしさを追求した作品、「カルメン」はオペラのための音楽で、いずれもエンターテインメント指向の音楽のはずですが、ケーゲルの指揮すると楽しさは余り感じられず、逆に「彼岸の響き」のようなゾッとする音楽に触れることになります。

拳銃で頭を撃ち抜いて自殺するという、壮絶な最期から、「狂気の名指揮者」として再評価が進むケーゲル。しかし、狂気を剥き出しにするタイプの指揮者ではなかったため、残された音盤の全てに狂気が刻印されているわけではありません。しかしながら、このビゼー作品集だけは誰もがその特殊性を聞き分けることの出来る得意な音盤です。

音楽とは実は怖ろしいものです。その怖ろしさを知りたくない人は、このCDは聴かないで下さい。

ビゼー/L’arlesienne Suites.1  2  Jeux D’enfants  Carmen Prelude: Kegel / Dresden.po

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2008年11月30日 (日)

穏健派? 誰が? ヘルベルト・ブロムシュテット指揮シュターツカペレ・ドレスデン ドヴォルザーク交響曲第8番

1927年、アメリカでスウェーデン人の牧師夫妻のもとに生まれ、両親の祖国であるスウェーデンで音楽教育を受けた指揮者、ヘルベルト・ブロムシュテット。NHK交響楽団の名誉指揮者として日本でもおなじみの存在です。
スウェーデン人ということで、北欧ものにも適性を見せるブロムシュテットですが、ドイツ正統派の曲目も得意としています。
ところで、日本人音楽評論家の間では、「ブロムシュテットは穏健派、無個性」という意見が幅を利かせています。N響の定期演奏会などで、情熱的で力強い音楽を聴かせるブロムシュテットなのですが、なぜか実演でのブロムシュテットは考慮に入れられていないようです。

そんなブロムシュテットのデビュー盤、シュターツカペレ・ドレスデンを指揮した、ドヴォルザークの交響曲第8番。1974年の録音。

ヘルベルト・ブロムシュテット指揮シュターツカペレ・ドレスデン ドヴォルザーク交響曲第8番ほか 1548年創設という途轍もなく長い歴史を誇るオーケストラ、シュターツカペレ・ドレスデン。ブロムシュテットは1975年から1985年までシュターツカペレ・ドレスデンの首席指揮者を務めていますが、シェフをちょくちょく変える傾向のあるシュターツカペレ・ドレスデンのトップに君臨した指揮者としては10年は長い方です。

ブロムシュテットは、音の美しさで知られるシュターツカペレ・ドレスデンから、単に美しいだけではない熱気と若さに溢れた音楽を引きだしています。デビュー盤からしてブロムシュテットは穏健派でも無個性でもありません。ブロムシュテットとシュターツカペレ・ドレスデンが残した録音を「輸入盤で聴くと」、いずれも美音と情熱と造形美との均衡の取れた優れた音楽を楽しむことが出来ます。

「輸入盤で聴くと」と、条件を入れたのは、実はブロムシュテットとシュターツカペレ・ドレスデンの国内盤CDからは、ブロムシュテットの美質はほとんど聞き取れないからです。
ブロムシュテットとシュターツカペレ・ドレスデンの録音のプロデューサーは実は日本人なのですが、彼は当初はブロムシュテットの名も知らず、シュターツカペレ・ドレスデンの美音を録りたいという理由で録音していました。その結果、ブロムシュテットの美質に全く気付かず、情熱的な部分を排除した単に美しいだけの音が国内盤には入ってしまうこととなりました。聞き比べてみれば違いは歴然。そして、国内盤CDだけを聴いた音楽評論家がブロムシュテットの音楽を「穏健派、無個性」と見なすようになったのだと思われます。

Dvorak / Schubert/Sym.8 / 6: Blomstedt / Skd

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2008年10月31日 (金)

セルジュ・チェリビダッケ指揮ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団 ショスタコーヴィチ交響曲第1番&第9番、バーバー「弦楽のためのアダージョ」

セルジュ・チェリビダッケ(1912-1996)は20世紀に活躍した指揮者の中でも最も異色の活動を行った人です。
ルーマニアに生まれたチェリビダッケは、若くしてベルリン・フィルに認められ、一時はベルリン・フィルの1シーズンをほとんど一人で振るほどでしたが、癇癪持ちで口の悪い彼は次第に楽団員の反感を買うようになり、フルトヴェングラーの後継者争いに敗れて、カラヤンにベルリン・フィルの常任の地位を奪われました。

カラヤンが録音活動を通して全世界に認められていくことに反発したのか、チェリビダッケは、レコード用の録音というものを一切認めず、コンサートの模様を収めた映像作品に関しても「あれは音楽ではなくてスペクタクルショーだ」と言い放ちました。

演奏活動においても、常識外れに長いリハーサル時間を要求し、どんなオーケストラでも自分自身の音色に染め抜くことに専心しました。

チェリビダッケは、通俗的な作品を嫌いましたが、彼が多く仕事をしたのは、通俗的な曲の演奏も多く行う放送局のオーケストラ。これは放送局のオーケストラは資金が潤沢で、リハーサルに多くの時間を割けるという理由も大きかったようです。ということで、レコード用の録音には否定的だったチェリビダッケも、放送用のライブ録音は多く残しています。

そんなチェリビダッケも晩年になると、自分が死んだら放送用の録音の発売を許可することを仄めかすようになり、実際、チェリビダッケの死後、遺族が「海賊盤が多く出ることを懸念する」という理由でメジャーレーベルからのCD発売を許可し、チェリビダッケの正規録音が世に出ることになります。

セルジュ・チェリビダッケ指揮ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団 ショスタコーヴィチ交響曲第1番&第9番、バーバー「弦楽のためのアダージョ」 今日紹介するCDも放送用音源からCD化されたもの。

ショスタコーヴィチの交響曲第1番と第9番、サミュエル・バーバーの「弦楽のためのアダージョ」が収録されています。EMIからの発売。

チェリビダッケの演奏の特徴は、低音をしっかりと築き、その上を磨き抜かれた高音が駆け巡るというもので、重厚な味わいがありますが、音はクリアです。

ショスタコーヴィチの交響曲第1番は、ショスタコーヴィチ17歳時の作品ですが、チェリビダッケのどっしりとしたアプローチゆえか、若い作曲家の作品ではなく、成熟した音楽として聞こえてきます。

ショスタコーヴィチの交響曲第9番は、歪んだユーモアを特徴とする曲ですが、チェリビダッケはしなやかさと迫力を合わせ持つ独特のアプローチを示しています。

バーバーの「弦楽のためのアダージョ」は、ミュンヘン・フィルのストリングスの壮絶なまでに美しくも優しい、慈愛に満ちた音が聴く者の胸を揺さぶります。

ショスタコーヴィチ/Sym.1  9: Celibidache / Munich.po+barber: Adagio

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2008年10月24日 (金)

湯浅卓雄指揮アルスター管弦楽団 アルヴォ・ペルト 「タブラ・ラサ」、「バッハの主題によるコラージュ」、交響曲第3番

エストニア生まれの世界的作曲家、アルヴォ・ペルトの「タブラ・ラサ」、「バッハの主題によるコラージュ」、交響曲第3番を収めたCDを紹介します。湯浅卓雄指揮アルスター管弦楽団ほかによる演奏。NAXOSレーベル。

アルヴォ・ペルト 「タブラ・ラサ」ほか 湯浅卓雄指揮アルスター管弦楽団 アルヴォ・ペルトは、1935年エストニア生まれ。初期は当時の流行にならって前衛的な作品を書いていましたが、次第に独自の路線を歩むようになり、ロシア正教に改宗してからは宗教的崇高さを目指したとも思える美しい作品を作っていきます。癒しのムードに満ちた作品の数々は1990年代に一世を風靡しました。

そんなペルトの作品から、「タブラ・ラサ」、「バッハの主題によるコラージュ」、交響曲第3番を演奏しているのが湯浅卓雄指揮のアルスター管弦楽団。

「白いボード(生まれたばかりの人間の喩え)」という意味の「タブラ・ラサ」は2つのヴァイオリンと管弦楽のための作品で、ヴァイオリン独奏は、レズリー・ハットフィールドとレベッカ・ヒルシュ。疾駆する2つのヴァイオリンと、それを支えるオーケストラの対比から生まれる独特の世界観が魅力的です。

「バッハの主題によるコラージュ」は、J・S・バッハの主題によるバロックそのままの音響と、現代的な不協和音の音楽が繰り返される意欲的な作品。

交響曲第3番は、繰り返される弦楽の刻みが、深層意識の海を潜水艦で進んでいるような、独特のイメージを引き起こします。

大阪生まれで、NAXOSの看板指揮者の一人である湯浅卓雄の指揮する北アイルランドのアルスター管弦楽団の演奏も見事です。

ペルト/Sym.3: 湯浅卓雄 / Ulster.o

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2008年10月22日 (水)

エフゲニー・スヴェトラーノフ指揮ソビエト国立交響楽団 カリンニコフ 交響曲第1番

わずか35歳(満34歳)で亡くなったヴァシリー・カリンニコフ(1866-1901)。
彼の交響曲第1番は、余りにもロマンティックな旋律が特徴で、隠れた名曲でありました。
ネーメ・ヤルヴィ盤やテオドル・クチャル盤の登場により、知名度も上がったカリンニコフの交響曲第1番ですが、以前より決定盤とされていたのは、エフゲニー・スヴェトラーノフ指揮ソビエト国立交響楽団盤。

エフゲニー・スヴェトラーノフ指揮ソビエト交響楽団 カリンニコフ交響曲第1番 1975年の録音ですが、旧ソ連は軍事や宇宙開発競争に力を入れすぎたためか、音楽大国でもありながら、録音技術は貧弱で当盤も録音に関しては満足のいくものではありません。

ただ、演奏の良さは録音の悪さを超えて伝わってきます。スヴェトラーノフ、ソビエト国立交響楽団ともに祖国の作曲家への深い共感を持って演奏しており、この曲の欠点ともいうべき若書き的生硬さも良く補われています。

スヴェトラーノフには、NHK交響楽団を指揮したライブ盤があり、録音はそちらの方がずっと優秀ですが、コテコテのドイツ派オーケストラであったN響の音はこの曲をやるには重心が重く、カリンニコフの青春の息吹はソビエト国立響盤の方がより鮮明に伝わってきます。

「エフゲニー・スヴェトラーノフ指揮ソビエト交響楽団 カリンニコフ交響曲第1番の現行盤CD」

カリンニコフ/Sym.1  2: Svetlanov / Ussr State So

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2008年10月14日 (火)

ルネ・レイボヴィッツ指揮ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 「ベートーヴェン交響曲全集」

ルネ・レイボヴィッツ(1913-1972)がロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団を指揮して完成させた「ベートーヴェン交響曲全集」を紹介します。元々は、初心者向けの会員制レーベル、リーダーズ・ダイジェストのための録音されたものですが、現在は、SCRIBENDUMから出ています。

ルネ・レイボヴィッツ指揮ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 「ベートーヴェン交響曲全集」 現代音楽の解釈者として定評のあったルネ・レイボヴィッツが何故かリーダーズ・ダイジェストに録音した「ベートーヴェン交響曲全集」。初心者向けということもあってか、普通はベートーヴェンの交響曲全集などには入っていない「アテネの廃墟より“トルコ行進曲”」なども収録されています。

1961年の録音ということで、音がややかさつき気味なのが難点ですが、ベートーヴェンのメトロノーム指定に徹底して従った解釈は今聴いても新鮮です。

ベートーヴェンのメトロノーム指示に従っているということで、かなり速めのテンポによるキレのある演奏が示されています。ピリオド的な解釈を取り入れている昨今の演奏に相通じる、あるいは昨今の解釈の先駆ともいうべき優れた全集です。

ベートーヴェン/Comp.symphonies: Leibowitz / Rpo

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2008年10月 6日 (月)

林美智子(メゾ・ソプラノ) 「地球はマルイぜ ─武満徹SONGS─」

武満徹が残した歌曲全21曲をメゾ・ソプラノの林美智子が歌ったアルバム「地球はマルイぜ ─武満徹SONGS─」(ビクターエンタテイメント)を紹介します。編曲は野平一郎と野平多美。

林美智子 「地球はマルイぜ ─武満徹SONGS」─ 生前、「ポール・マッカートニーのような作曲家になりたい」と話していた武満徹。しかし、武満は何よりも「響き」の作曲家であり、メロディーメーカーとして評価を受けることは結局ありませんでした。

「歌」の人ではなかったということで、武満が残した歌曲は多くありません。ここに収められた21作品でほぼ全てです(中でも「MI.YO.TA」は武満の没後に、武満が遺したメロディーに谷川俊太郎が詞を書いて歌曲としたもので最初から歌曲として書かれたものではありません)。

クラシックの歌曲としては格調が高くなく、ポピュラーとしてはメロディーが親しみやすくないという、中途半端な作品という評価も出来ますが、世界中の作曲家に影響を与えた武満徹という人物が書いた、誰にも似ていない作品群ということで、その個性には絶対的なものがあります。

タイトルにもなった“地球はマルイぜ”という歌詞の出てくる「○と△の歌」、「めぐり逢い」、「燃える秋」、「翼」、、「『他人の顔』よりワルツ」、「死んだ男の残したものは」など、現代音楽の作曲家としてではない、もう一人の武満徹の世界に触れることの出来るCDです。

武満徹(1930-1996)/Comp.songs: 林美智子(Ms) 野平一郎(P) 大萩康司(G) 松野弘明(Vn) Etc

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2008年9月28日 (日)

徹底されたカラヤン美学 ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 チャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」(1971年盤)

帝王カラヤンの十八番中の十八番というべきレパートリーだったのが、チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」。カラヤンはスタジオ録音だけでも実に7回もこの曲をレコーディングしています。今日紹介する、1971年のEMI盤は5回目の録音。
1971年といえば、カラヤンとベルリン・フィルの絶頂期ともいうべき時期で、ベルリン・フィルの威力はこれ以上を望めないほどです。

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 チャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」(1971年盤) カラヤン&ベルリン・フィルの最大の特徴はサウンドの威力、最大の美点は耽美的ともいうべき磨き抜かれたサウンドですが、チャイコフスキーの「悲愴」はそのいずれにおいても、このコンビの実力を示すのに最も適した曲でした。

第1楽章の冒頭から音の威力全開で、他の演奏とはまるで異なることがわかります。

歌も、音色が溢れて滴り落ちるような美音も全てがカラヤンの美学に染め抜かれていて、オーケストラ演奏の極北ともいうべき地点に達していることが感じられます。

第3楽章の爆発力、第4楽章の洗練度なども特筆事項。

果たして、こうした演奏がチャイコフスキーの本質を突いたものなのかというと疑問を持たざるを得ませんが、究極のオーケストラ演奏とはいかなるものなのかを知ることの出来る希有の名盤です。

チャイコフスキー/Sym.6: Karajan / Bpo

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2008年9月23日 (火)

サー・チャールズ・マッケラス指揮スコットランド室内管弦楽団 「ブラームス交響曲全集」

1925年生まれの名指揮者、サー・チャールズ・マッケラスが、スコットランド室内管弦楽団を指揮して完成させた「ブラームス交響曲全集」(TELARC)を紹介します。交響曲全4曲の他、交響曲第1番第2楽章の別バージョン、「大学祝典序曲」、「ハイドンの主題による変奏曲」を収録。

サー・チャールズ・マッケラス指揮スコットランド室内管弦楽団 「ブラームス交響曲全集」 ブラームスというとどうしても、「暗い」「重い」というイメージがありますが、メカニックに優れたスコットランド室内管弦楽団を振ったマッケラスは、そうしたブラームスに対する先入観を覆す鮮やかな演奏を繰り広げています。

小回りの利く室内管弦楽団の長所を生かして、構造は明晰、細かい音の動きもよくわかります。そして音色は明るく張りがあり、音楽はエネルギーに満ちています。それでいながら、ベテラン指揮者だけが出せる自然な憂いが全編に漂っており、エネルギッシュなだけのブラームスには陥っていません。

重厚なブラームスだけがブラームスではないことを教えてくれる痛快な名盤です。

ブラームス/Comp.symphonies: Mackerras / Scottish.co

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2008年9月 9日 (火)

エイノユハニ・ラウタヴァーラ 「カントゥス・アークティクス」ほか ハンヌ・リントゥ指揮ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団

現役の作曲家としては世界的に最も人気のあるエイノユハニ・ラウタヴァーラ。1928年生まれのフィンランド人のこの作曲家の作品は、神秘的で清々しい響きが特徴であり、特に近年の作品はヒーリングムードにも満ちていて、多くの人を魅了しています。

ラウタヴァーラ 「カントゥス・アークティクス」ほか ハンヌ・リントゥ指揮ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団 今日紹介するのはラウタヴァーラの比較的初期の作品を集めたCDで、鳥とオーケストラのための協奏曲「カントゥス・アークティクス」、ピアノ協奏曲第1番、交響曲第3番を収録。

演奏は、昨年、名古屋フィルへの客演でシベリウスの好演を示したハンヌ・リントゥの指揮するロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団(ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団)。NAXOSレーベル。

鳥の鳴き声の録音を使用した「カントゥス・アークティクス」はアイデア、曲調共に面白く、ピアノ協奏曲第1番(ピアノ独奏:ラウラ・ミッコラ)、交響曲第3番も、近年のラウタヴァーラ作品に特徴的な神秘感こそさほどではありませんが、清らかな響きが印象的です。

指揮者のハンヌ・リントゥは1967年生まれ。このCDの録音は1997年に行われているので、当時リントゥはまだ30歳だったわけですが、とてもそんな若い指揮者の録音とは思えないほどの統率力を発揮しています。
リントゥは今後が楽しみな指揮者の一人です。

ラウタヴァーラ/Piano Concerto.1  Sym.3  Etc: リントゥ / Scottish.o

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2008年9月 2日 (火)

長岡京室内アンサンブル 「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」ほか

京都府長岡京市において、1997年に結成された長岡京室内アンサンブル。主宰者である森悠子は、パイヤール室内管弦楽団やフランス国立放送フィルのヴァイオリン奏者、リヨン高等音楽院助教授、シカゴ音楽院教授などを務めていた名手です。

森が、故郷である長岡京市に帰省した際に、歯科医の戸渡孝一郎から、「是非、地方からクラシック音楽を、それもアンサンブルをやって欲しい」という要請があり、森自身は、「東京から文化発信するのは簡単だが、地方で生み出すのは困難」との思いがあったようですが、戸渡の情熱にほだされ、弦楽アンサンブルである長岡京室内アンサンブルを結成しました。森自身が「この人にやって貰いたい」という人を集めた長岡京室内アンサンブルは、高い合奏力を持ち、瞬く間に日本を代表する弦楽アンサンブルとの評判を勝ち得ました。

長岡京室内アンサンブル 「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」ほか

ここで紹介するのは長岡京室内アンサンブルのデビューアルバム。ヘンデルの「合奏協奏曲」変ロ長調、モーツァルトのセレナード第13番「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」、バルトークの「弦楽のためのディヴェルティメント」、シベリウスの「弦楽オーケストラのためのロマンス」の4曲を収録。SACDハイブリッド盤。

濃やかな表情が印象的な演奏が揃っていますが、特にモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」は大変芸の細かい個性的な演奏で、世界レベルでいっても相当高度な名演となっています。

Handel / Mozart / Bartok/Concerto Grosso / Serenade.13 / Divertimento: 長岡京室内.ens (Hyb)

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2008年8月19日 (火)

エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルハーモニー交響楽団 ショスタコーヴィチ交響曲第8番

交響曲第7番「レニングラード」でレニングラード包囲戦を描いたショスタコーヴィチは、続く交響曲第8番でも戦争を題材として取り上げました。レニングラード包囲戦と同様、独ソの激しい攻防のあったスターリングラード(現在のボルゴグラード)包囲戦になぞらえて、「スターリングラード」ともかつては呼ばれたこの曲は、エフゲニー・ムラヴィンスキーの指揮によって初演されました。

エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルハーモニー交響楽団 ショスタコーヴィチ交響曲第8番 その初演者にして、のちに曲を献呈されたムラヴィンスキーによる交響曲第8番。ソ連で録音されたものが、のちに西側ではオランダのフィリップス・レーベルから出ましたが、フィリップス盤は長らく廃盤となっています。そこでタワーレコードが独自に出したのが上のCD。

原盤のピッチに問題があるそうで、やや高めの明るい音になっていますが(最近、他のレーベルからピッチを修正した盤も出ました)、演奏は凄絶であり、ショスタコーヴィチの交響曲第8番の演奏としては、まず第一に挙げられる録音でしょう。

ムラヴィンスキーの抉りのきいた厳しい音楽作りに、レニングラード・フィルの鋼の如く強力な音が加わった、辛口の好演です。

ショスタコーヴィチ:交響曲第8番/ムラヴィンスキー

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2008年8月17日 (日)

広上淳一指揮日本フィルハーモニー交響楽団 レスピーギ「ローマ三部作」

1991年、当時33歳だった広上淳一が日本フィルハーモニー交響楽団を指揮して録音したデビュー盤、レスピーギの「ローマ三部作」(「ローマの噴水」、「ローマの松」、「ローマの祭」)を紹介します。キャニオン・クラシックス。

広上淳一指揮日本フィルハーモニー交響楽団 レスピーギ「ローマ三部作」 1984年に第1回キリル・コンドラシン国際指揮者コンクールに優勝し、そのダイナミックな指揮姿と、強烈なエネルギーを放射する音楽作りで世界的な注目を浴びつつあった広上淳一がデビュー録音に選んだのはレスピーギの「ローマ三部作」。音楽史上屈指の華麗なオーケストレーションを誇る曲ですが、それだけに過去の名盤も多い三部作を、それも東京でも上位とは目されていない日本フィルハーモニー交響楽団(日フィル)を指揮して録音するというのはかなりの勇気がいることだと思われますが、そこはさすが広上というべきか、30代前半の指揮者が日本のオーケストラを指揮して録音したとは思えない、華麗な音絵巻を広げていきます。

特に優れているのは、「ローマの噴水」。印象派風とされるこの作品の、光の変化までも音で描いてみせる技術は卓越しています。日フィルの音の美しさも特筆事項。

その日フィルは、低音を支える楽器群がやや弱く、高音が比較的目立ちます。それが「ローマの松」や「ローマの祭」ではオーケストラとしての力の弱さを感じさせる一因になっていますが、それでも1990年代初頭に日本人の若い指揮者と日本のオーケストラがこれだけのレスピーギを演奏していたということを伝える貴重な証言となっていることは間違いないでしょう。

レスピーギ:ローマの噴水/広上淳一&日本フィル

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2008年8月15日 (金)

サイモン・ラトル指揮フィルハーモニア管弦楽団 ショスタコーヴィチ交響曲第10番&サイモン・ラトル指揮バーミンガム市交響楽団 ブリテン鎮魂交響曲

若き日のラトルが録音したショスタコーヴィチの交響曲第10番と、ブリテンの鎮魂交響曲をカップリングしたCDを紹介します。現在、この組み合わせのCDは廃盤のようですが店頭にはまだあるかも知れませんし、個別なら手に入ります。

サイモン・ラトル指揮 ショスタコーヴィチ交響曲第10番&ブリテン鎮魂交響曲 ショスタコーヴィチの交響曲第10番は1985年の録音、ラトルが30歳を迎える年に行われました。この録音が行われた当時、「ショスタコーヴィチの交響曲第10番といえばカラヤン」といわれるほど、カラヤン盤のイメージが強力だったのですが、そこに若きラトルが登場したということで、カラヤンとラトルどちらが上なのかと雑誌上で話題になったりもしています。ショスタコーヴィチの交響曲が盛んに録音されるようになった現在では少し影が薄くなった印象は否めませんが、それでもラトルの若き日の記録として重要なCDです。

鎮魂交響曲は、ベンジャミン・ブリテンが日本の皇紀2600年(1940年)記念のための音楽として日本政府から依頼されて作曲した作品。記念の年のためにブリテンが作曲した作品が「鎮魂交響曲」であると知った日本政府が激怒したという話が残っていますが、実際は、ブリテンの「鎮魂交響曲」は完成は、皇紀2600年には間に合わなかったそうで、日本政府には「ブリテンの曲は祝典に相応しくないものらしい」との情報が伝わっていただけのようで、激怒したというのは後から作られたエピソードのようです(あるいは締め切りに間に合わない上に不穏当な内容らしいというので怒らせたという可能性もあります)。

ラトルとバーミンガム市交響楽団が鎮魂交響曲を録音したのは1984年、ラトルはまだ20代でしたが、バーミンガム市交響楽団から人間の声のような有機的な響きを引きだしており、こちらは今もなお同曲の代表的録音として評価したい名演です。

サイモンラトル指揮フィルハーモニア管弦楽団 ショスタコーヴィチ 交響曲第10番 現行盤CD

サイモン・ラトル指揮バーミンガム市交響楽団 ブリテン 鎮魂交響曲ほか 現行盤CD

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NAXOS「偉大なる映画音楽集」

カール・デイヴィス指揮ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団による「偉大なる映画音楽集(GREAT MOVIE THEMES)」と題された音盤を紹介します。NAXOSの録音・発売。

カール・デイヴィスの本業は映画音楽の作曲家。彼が作曲した「チャンピオン」のテーマの当CDに収録されています。

ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団は、リヴァプール出身のサー・サイモン・ラトルの最初期のキャリアに大きく関与していたり、また広上淳一が首席客演指揮者を務めていたことやサー・チャールズ・マッケラスと名盤を録音していることでも知られるオーケストラ。カール・デイヴィスはロイヤル・リヴァプール・フィルのポップスシリーズの指揮者も務めています。

カール・デイヴィス指揮ロイヤル・リヴァプール・フィル 「偉大なる映画音楽集」 収録曲は、ジョン・ウィリアムズ作曲「レイダース 失われたアーク」のメインテーマ、ダニー・エルフマンの「スパイダーマン」のテーマ、ジョン・ウィリアムズの「シンドラーのリスト」のテーマ、ヴァンゲリス作曲の「炎のランナー」、「007」より“ジェームズ・ボンドのテーマ”、ジェームズ・ホーナー作曲「タイタニック」のメインテーマ、アラン・シルヴェストリの「フォレスト・ガンプ」組曲、ジョン・バリーの「ダンス・ウィズ・ウルヴス」、ジョン・ウィリアムズ作曲「ハリー・ポッターと賢者の石」組曲など。

ロイヤル・リヴァプール・フィルはイギリスのオーケストラということもあり、思いっきりの良さには多少欠けるところがありますが、心地良いサウンドを奏でています。

例えば、「シンドラーのリスト」のオリジナル・サウンドトラックでヴァイオリンを弾いているのは世界的なヴァイオリニストのイツァーク・パールマンだったりするので、それらに比べる聴き劣りはするかも知れませんが、有名な映画音楽を立て続けに聴くことが出来るのは当盤の強みです。

コンピレーション/Great Movie Themes: Carl Davis / Royal Liverpool Po

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2008年8月14日 (木)

サカリ・オラモ指揮バーミンガム市交響楽団 グリーグ 「ペール・ギュント」組曲ほか

フィンランド出身の指揮者、サカリ・オラモが、当時音楽監督の地位にあったバーミンガム市交響楽団を指揮して録音したグリーグ・アルバムを紹介します。エラート・レーベル(ワーナー)。オラモとバーミンガム市響のコンビによる録音第1弾でした。

サカリ・オラモ指揮バーミンガム市交響楽団 グリーグ 「ペール・ギュント」組曲ほか 「ペール・ギュント」組曲第1番と第2番、演奏会用序曲「秋に」、「交響的舞曲集」を収録。2000年にバーミンガムのシンフォニー・ホールで録音されました。

バーミンガム市交響楽団(CBSO)を一躍メジャーオーケストラに押し上げたサー・サイモン・ラトルの後任としてバーミンガム市響のシェフとなったサカリ・オラモ。
オラモは1965年生まれですので、30代前半新名門オーケストラのポストを得たことになります。

このグリーグ・アルバムでは、CBSOから瑞々しくも凛とした音を引き出したオラモ。現代音楽のアンサンブルのコンサートマスターを務めた経験もあるだけに、過度にロマンティックになるのを避け、適度な切れ味の良さを発揮しており、理想的なグリーグ演奏を繰り広げています。エラート(現在はワーナーに完全に吸収され、レーベル名のみ存続)のクリアな録音もプラスに作用しています。

オラモとCBSOはこの後、「シベリウス交響曲全集」を発表。しかし、いずれも初期の録音である、この「グリーグ・アルバム」と「シベリウス交響曲全集」以降は、これといった録音を生み出せないままコンビ解消となりました。少し残念です。

Grieg: Peer Gynt Suites nos 1 & 2, In Autumn etc / Sakari Oramo, CBSO

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2008年8月 2日 (土)

リッカルド・ムーティ指揮ベルリン・フィル、スウェーデン放送合唱団、スウェーデン室内合唱団ほか モーツァルト 「レクイエム」「アヴェ・ヴェルム・コルプス」

リッカルド・ムーティの指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、スウェーデン放送合唱団、スウェーデン室内合唱団ほかの演奏による、モーツァルトの「レクイエム」(ジュースマイヤー版)と「アヴェ・ヴェルム・コルプス」を収めたCDを紹介します。EMIクラシックス。

リッカルド・ムーティ指揮ベルリン・フィル、スウェーデン放送合唱団、スウェーデン室内合唱団ほか モーツァルト「レクイエム」「アヴェ・ヴェルム・コルプス」 ムーティの指揮は極めてドラマティックですが、時に威圧的でもあり、好悪を分かちそうではありますが、世界最高レベルとされるスウェーデン放送合唱団とスウェーデン室内合唱団の晴朗なアンサンブルは抜群で、合唱に関しては数多いモーツァルトの「レクイエム」の録音の中でもトップを争うものと思われます。

時に威圧的とはいえ、ムーティの真摯にして入魂の指揮もモーツァルトに対する畏敬の念が感じられ、好印象です。

モーツァルト/Requiem  Etc: Muti / Bpo Pace W.meier Lopardo J.morris Etc

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2008年7月30日 (水)

ダニエル・バレンボイム指揮シカゴ交響楽団 「ワーグナー 序曲・前奏曲集」

ダニエル・バレンボイムが、1994年に当時音楽監督の地位にあったシカゴ交響楽団を指揮して録音した「ワーグナー 序曲・前奏曲集」のCDを紹介します。TELDEC。

ダニエル・バレンボイム指揮シカゴ交響楽団 「ワーグナー 序曲・前奏曲集」 歌劇「さまよえるオランダ人」序曲、歌劇「タンホイザー」序曲、歌劇「ローエングリン」第1幕前奏曲、歌劇「ローエングリン」第3幕前奏曲、楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕前奏曲、楽劇「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死の全6曲を収録。

世界最高のメカニックを誇るシカゴ交響楽団。この録音ではワーグナーの音楽よりもシカゴ交響楽団のアンサンブルの威力が前面に出ている感じはありますが、それでも現役の指揮者によるワーグナーとしては最高水準に達しています。

ユダヤ人でありながらワーグナー指揮者として世界的な名声を誇り、イスラエルにおけるワーグナー演奏も行っているダニエル・バレンボイムの指揮も堂に入ったもの。

しかし、一昔前の巨人のようなスケールを持ったワーグナー演奏と、現役世代のワーグナー演奏には大きな違いがあり、ドロドロとした情念のようなものが後退して、スタイリッシュな演奏が増えています。それが少し寂しくもあります。

ワーグナー/Orch.works: Barenboim / Cso

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2008年7月27日 (日)

生誕100年 カレル・アンチェル指揮 スメタナ「わが祖国」(1963年盤)

今年(2008年)が生誕100年に当たる、チェコの名指揮者カレル・アンチェル(1908-1973)が1963年に手兵であったチェコ・フィルハーモニー管弦楽団を指揮して録音した、スメタナの「わが祖国」を紹介します。スプラフォン・レーベル。

カレル・アンチェル指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 スメタナ 連作交響詩「わが祖国」(スプラフォン) 1968年のプラハの春で、西側に亡命したアンチェル。亡命直前に、やはりチェコ・フィルを指揮した「わが祖国」のライヴ盤(こちらは音楽祭の方の「プラハの春」での収録)が最近になって出たようですが、アンチェルとチェコ・フィルの「わが祖国」といえばやはりこの1963年盤。名盤中の名盤として知られています。
録音に古さが感じられるのが難点ですが、情熱と気品を合わせ持ったアンチェルの音楽性はやはり魅力的。「ボヘミアの森と草原から」の冒頭のように熱い音楽でも決して暴力的な響きにはならず、弦と管、拡がりと抑制などのバランス感覚にアンチェルがいかに秀でていたかの証左となっています。

スメタナ/Ma Vlast: Ancerl / Czech Po