カテゴリー「日本映画」の100件の記事

2019年1月12日 (土)

これまでに観た映画より(123) 中島哲也監督作品 松たか子主演作 「告白」

ブルーレイで日本映画「告白」を観る。わが家初のブルーレイディスク。「告白」は映画館でも観ているが、気に入ったのでブルーレイディスクを購入したのだ。湊かなえ:原作、中島哲也:脚本・監督作品。出演は、松たか子、木村佳乃、岡田将生、新井浩文、山口馬木也ほか。

映画ファンから絶賛される一方で、映画の作り手側からは、「あんなの映画じゃない」「説明過多だ」(説明不足でわけがわからないという意見もあるのが面白い)「PVみたいだ」「途中で寝た」などと酷評された問題作。日本で最も権威があるとされるキネマ旬報の2010年度ベストテン邦画の第2位、最も華やかな(しかし大手映画会社の持ち回りとの悪評も高い)2010年度の日本アカデミー賞最優秀作品賞、脚本賞、監督賞、編集賞を受賞しているが、その一方で映画芸術誌ではワースト1に選ばれてもいる。

体育館や校舎など撮影は栃木県の廃校を利用して行われたという(教室はセット撮影)。松たか子は実は泳ぐことが出来ず、劇中でプールに飛ぶ込むシーンがあるので、脚本を読んで「どうしよう」と思い、中島監督に「私、泳げないんですけど」と告白。中島監督は落胆しつつも「大丈夫」と答えたそうである
いざ、本番になるとプールの水は腰の高さまでしかなく、水中を歩いていけるので問題なかったそうだ。

ある中学校が舞台。教師の森口悠子(松たか子)が、幼い娘の愛美(ドラマ「Mother」の演技で世間を驚かせた芦田愛菜が演じている)の死にまつわる告白を始める。愛美は事故死として処理されたが、実はクラスの生徒二人に殺されたのだという。ここから森口悠子の静かで冷酷な復讐劇が始まる。

ほぼ全編に渡って音楽が流れており、PVを多く手掛けた中島哲也監督らしい作品だ。セリフの量も膨大で、セリフに寄りかかりすぎと思う人がいてもおかしくないほどである。

「命」がテーマの重い作品であり、軽々しいところは一切ない。人間の重みの軽重を問う一方で、罪を犯した人間の命の重み、被害者の命の重みなどがケースとして扱われ、生きるとは、生きさせるとはどういうことなのかも問いかけてくる。そしてそうしたことを考えること自体が人間の傲慢さであり、病んだ部分なのではないかとさえ思えてくる。

キーを握る二人の女優、松たか子と木村佳乃(かつてライバルとして良く比較された二人だ)の演技にともに凄みがあり、特に松たか子の演技はこれまで出演した映画の中でも最高だろう。

独特の映像美も相まって、他では余り観たことのない世界が広がっている。あるいは賛否両論ということ自体がこの映画の成功を物語っているのかも知れない。


ブルーレイディスクは特別版で、DVDがもう一枚ついており、そこにはメイキング映像、中島監督と主演の松たか子へのインタビュー、重要な生徒を演じる橋本愛(北原美月役)、西井幸人(渡辺修哉役)、藤原薫(下村直樹役)の3人へのインタビュー、生徒37人からの一言メッセージ、劇団ひとりによる「告白」特別講義、各劇場による舞台挨拶や品川女学院(広末涼子の母校として知られる)における中島監督と松たか子による特別授業、TVスポットなどが収められている。TVスポットではパガニーニの「24の奇想曲」より第24番のピアノ編曲版とドヴォルザークの「新世界」交響曲が用いられているが、本編にはそれらは用いられておらず、主題歌はRadiohead、音楽は日本のインディーズバンド、エンディングはヘンデルの「オンブラ・マイ・フ」のピアノ編曲版が使われている。



「スクリーンで観た時の感想」 2010年8月26日

TOHOシネマズ二条で日本映画「告白」を観る。湊かなえ原作、監督・脚本:中島哲也、主演:松たか子。

愛娘を殺害された中学校の女性教師が犯人である教え子に復讐を図るという物語である。

直接手を下さず、ジワジワと犯人を追い詰めていく女教師の復讐の姿が怖ろしい。

重たいがそれだけ見応えのある作品であった。

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これまでに観た映画より(122) ケラリーノ・サンドロヴィッチ監督作品 「罪とか罰とか」

DVDで、日本映画「罪とか罰とか」を観る。成海璃子主演作。ケラリーノ・サンドロヴィッチ監督作品。出演は他に、永山絢斗(ながやま・けんと。瑛太の弟)、段田安則、奥菜恵、犬山イヌコ、大倉孝二、山崎一、安藤さくら、入江雅人、市川由衣、佐藤江梨子、六角精児、田中要次(BOBA)、緋田康人、広岡由里子、高橋ひとみ、石田卓也、森若香織、行定勲、玉置孝匡、串田和美、徳井優ほか。いなくてもいい役で「時効警察」つながりの麻生久美子がカメオ出演している(当初は脚本になく、特別に出てくれることになったので、役を作ったとのこと)。

重層構造の映画で、様々なシーンが一つにまとまっていくという構造を持つ。文学における意識の流れ的な手法も用いられる。

売れないグラビアアイドルの円城寺アヤメ(成海璃子)が、自身が映っているグラビアが逆さまに印刷され、鼻の下に変なシミまでつけられていることに怒る。コンビニで雑誌を確認したアヤメは、「立ち読み禁止」を示す店長(徳井優)に「買いますから」といいつつ、お金がないことに気付き、万引きしてしまう。マネージャーの風間涼子(犬山イヌコ)に連れられてコンビニに謝罪に訪れるアヤメ。取り調べに来た警官に一日署長の話を持ちかけられたアヤメは、やむなく一日署長を務めることに。アヤメが一日署長を務める警察署にはアヤメの元彼である春樹(永山絢斗)がいた。この春樹というのが連続殺人を犯している殺人鬼であるが、アヤメは春樹が殺人鬼であることを隠し、付き合ってきたのだった。

演劇を主舞台とするケラリーノ・サンドロヴィッチらしい作品。緻密な構造が印象的だが、その分、出来すぎの印象を受け、現実感が乏しいような印象も受ける。私は高く評価したいが、嘘くさいと感じる人も出てくるだろう。


レンタルDVDだが、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、成海璃子、犬山イヌコの3人によるコメンタリーが全編に渡って入っている。内容よりも、注文したケーキが大変なことになって大騒ぎになったりしていて笑える。

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2019年1月10日 (木)

これまでに観た映画より(121) 「白夜行」

2011年3月1日 MOVIX京都にて

一日ということで、映画を観に行くことにする。今日観るのは日本映画「白夜行」。綾瀬はるか主演でドラマ化もされている、東野圭吾の代表作の一つである。MOVIX京都での鑑賞。原作:東野圭吾。脚本:入江信吾、山本あかり。脚本&監督は33歳の若手、深川栄洋。

出演:堀北真希、高良健吾、田中哲司、戸田恵子、姜暢雄(きょう・のぶお)、粟田麗(あわた・うらら)、緑友里恵、斎藤歩、長谷川愛、小池彩夢(こいけ・あやめ)、吉満亮太、宮川一郎太、山下容莉枝、中村久美、黒部進、船越英一郎ほか。

昭和55年、廃ビルの一室で、質屋を営む桐原洋介(吉満亮太)の他殺体が発見される。第一発見者は小学生達で、ビルは入り口が塞がれており、密室状態であった。桐原の家内である弥生子(戸田恵子)と、質屋の従業員で弥生子と不倫の関係にあった松浦勇(田中哲司)が容疑者として浮かぶ。桐原家の二階は戸が閉まるようになっており、階上には桐原の息子の亮司がいた。弥生子にも松浦にも確固としたアリバイはないが、どうやらホシである可能性は低いようだ。

事件を担当する笹垣潤三(船越英一郎)のもとに、桐原が当日、西本文代(山下容莉枝)という女の家に行っていたという情報が入る。文代のもとに聞き込みに行く、笹垣と古賀久(斎藤歩)。文代は留守で、文代の娘の雪穂が対応に出る。やがて文代は戻ってくるが、アリバイを話せない。しかし、聞き込みを続けたところ、文代は事件のあった時間に公園のブランコに乗っているところを目撃されていた。文代には寺崎忠夫(宮川一郎太)という恋人がいた。文代とともに寺崎にも容疑がかかるが、寺崎は車を運転中に事故死してしまう。更に文代もガスが充満した自室で亡くなっているのを発見される。事件は容疑者不在のまま迷宮入りしようとしていた。

文代の娘の雪穂は、遠縁の唐沢礼子(中村久美)の幼女となる。やがて高校生となった唐沢雪穂(堀北真希)。学校では模範的な生徒で、いじめられっ子の川島江利子(緑友里恵)と交流するなど、優しさも見せる女性へと成長していた。一方、桐原の息子である亮司(高良健吾)は女遊びをするなど危険な道を歩んでおり、ずっと年上で薬剤師の免許を持ちながら今はホステスに身を落としている栗原典子(粟田麗)と同棲していた。殺人の被害者の息子と、容疑者の娘。二人には何の接点もないように感じられたのだが……。

内面に怖ろしい一面を隠しながら美貌でのし上がっていく雪穂。そんな雪穂を演じる堀北真希がこの映画の主役である。しかし堀北は抑制された演技で内面の怖ろしさを表現しようとしているものの、どうしても優等生的なイメージが強く出てしまい、悪女にはなりきれていない。

しかし、そんな堀北が主役であることで、脇の役者達の演技が光って見える。偶然の産物かも知れないが、結果的には良かったのかも知れない。特に、二時間ドラマの帝王こと船越英一郎は、「こんな良い役者だったっけ?」と思うほど優れた演技を見せ、事件を粘り強く追い続ける刑事を好演していた。

怪しげな魅力が光る亮司を演じる高良健吾もはまり役である。

そして、木村多江をも凌ぐかと思うほどの薄幸ぶりで、濡れ場も演じる典子役の粟田麗(同じ1974年生まれということもあり、私は密かに彼女を応援している)は出番は短いながらも強烈なイメージを残した。

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2019年1月 8日 (火)

これまでに観た映画より(120) 「ノルウェイの森」

2011年2月1日 TOHOシネマズ二条にて

TOHOシネマズ二条で上映されている「ノルウェイの森」を観に出掛ける。原作はもちろん村上春樹。ベトナム生まれでフランス育ちのトラン・アン・ユン監督作品。出演は、松山ケンイチ、菊地凛子、水原希子、霧島れいか、初音映莉子、玉山鉄二ほか。なお、YMOのメンバーの内、主人公ワタナベ(松山ケンイチ)がアルバイトをするレコード店の店長として細野晴臣が、直子(菊地凛子)が入寮(実質的には入院)することになる阿美寮の門番として高橋幸宏が出演している。村上春樹と交流があるはずの坂本龍一は出演していないが、まあ、オファーがあっても教授は出演しないだろうな。

村上春樹の小説は映像化が困難であり、過去に村上春樹の中学の先輩である大森一樹が監督した「風の歌を聴け」があるのみ。それも不評だった(短編では「パン屋再襲撃」も映像化されている)。

「ノルウェイの森」は村上春樹の長編としては、ほぼ唯一といっていいリアリズムに書かれた小説であるが、それでも作品の魅力は繊細な心理描写の筆致にあり、映像化は困難である。今回の映画でも村上春樹作品の映像化として成功かというと否だろう。「ノルウェイの森」は村上春樹の作品の中でもとりわけリリカルなので、抒情派のトラン・アン・ユン監督がそれを映像化すると綺麗すぎるという結果になっていて、それを批判する人があるかも知れない。ただ、興味深いのは映画を観ているうちに、それが村上春樹を原作にしたものではなく、夏目漱石作品を映像化したものに思えてくる点である。「現代の夏目漱石」といわれることもある村上春樹だが、映像化されたものを観てそれを再確認することになった。
というわけで、村上春樹ファンよりも夏目漱石ファンにお薦めしたい映画である。

役者では、当初、ユン監督から「直子のイメージではない」と断られるも粘り勝ちで直子役を勝ち取った菊地凛子が、まるで直子が憑依したかのような演技を見せるのが印象的。ただ、直子に対する思い入れが強すぎるためか、キズキ(高良健吾)との関係をワタナベと草原で語るシーンでは感情表現が激しすぎて逆に観客に訴えかける力が弱まってしまっている。あそこはもっと淡々とやった方が効果的だし、村上春樹らしくもある。ただ、菊池凛子の直子は予想を遥かに超えて良かった。

主役のワタナベ(原作ではワタナベトオル。村上春樹はテレビを見ない人なので俳優の渡辺徹を知らなかったのだろう)を演じる松山ケンイチも細やかな演技を見せてで好演。ワタナベ役として最適だったのではないだろうか。

残念なのはミドリを演じた水原希子。演技未経験で、ユン監督から厳しい演技指導を受けたそうだが、それでも他の役者に比べると演技力の不足は顕著であり(ユン監督が日本語を理解出来たならOKを出さなかっただろうと思われるテイクも用いられている)、外見もキャラクターも直子と被ってしまっているので、ミスキャストだろう。ミドリはもっと元気溌剌としたタイプの女優がやらないと直子との対比が生まれない。


原作にない部分では永沢(玉山鉄二)とワタナベが女遊びをした話をしてハツミ(初音映莉子)を傷つける場面、雪の日のワタナベと直子の激しいやり取りとその直後の屋外でのシーン、直子がキズキの幻影を見る(実際はキズキは現れず、代わりにレイコ<霧島れいか>が直子を探して駆けてくる)情景などは効果的であった。

逆に私が原作の中で気に入っている、ワタナベとミドリがミドリの実家から火事を眺めるシーン(二人の感情の燃え上がりを象徴している)や、直子の葬式の場面(自殺者の葬儀ということで冷たさに満ちている)、レイコとワタナベによるギターを用いた音楽葬の話などはなく、残念である。ラストシーンは原作の通りだが、原作のままあれをやってしまうと、小説を知らずに映画を観に来た人には意味がわからないものになってしまっていたのではないだろうか。もう一工夫欲しかった。

ただ、村上春樹原作ということを意識せず、一つの映像作品として観た場合は出来は悪くはない。もしDVDやブルーレイが発売されたなら私は購入すると思う(その後、実際にブルーレイを購入した)。

原作は36歳になったワタナベがハンブルクの空港に着陸した旅客機内で「ノルウェイの森」を聴いてパニックに襲われるというシーンから始まるのだが、それはカットされている。ただ、私が今36歳で、その時に「ノルウェイの森」が映画化されるというのはタイミングが良かった。

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2019年1月 5日 (土)

これまでに観た映画より(119) 「書道ガールズ!! わたしたちの甲子園」

2010年6月4日 MOVIX京都にて

MOVIX京都で日本映画「書道ガールズ!! わたしたちの甲子園」を観る。

日本一の製紙の街・四国中央市。しかし不況のため、商店街のシャッターを下ろす店が増えていた。愛媛県立四国中央高校書道部では新入部員達が次々とやめていくという事態に。そんな中、新たに赴任してきた臨時教師の池澤(金子ノブアキ)が書道部の顧問を務めることになり、音楽をかけながら書道をするというパフォーマンスを行う。書道部部長の里子(成海璃子)は池澤に反発するが、部員の清美(高畑充希)は池澤に影響を受け、書道パフォーマンスを始める。里子らは清美に反発を覚えるが、やがてその書道パフォーマンスを競う「書道パフォーマンス甲子園」を企画し、全国に募集をかけて、その「書道パフォーマンス甲子園」を実現させる。

実話を基にした映画。特別に面白いという印象は受けなかったが、書道パフォーマンスに青春をかける高校生の熱演ぶりには感動を覚える。地味な映画かも知れないが、静かな感動を呼ぶ良質の映画といって良さそうである。

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2019年1月 4日 (金)

これまでに観た映画より(118) 「Kー20 怪盗二十面相・伝」

DVDで日本映画「K-20 怪盗二十面相・伝」を観る。原作:北村想、脚本・監督:佐藤嗣麻子、出演:金城武、松たか子、仲村トオル、國村準、本多奏多、益岡徹、高島礼子、鹿賀丈史ほか。

第二次大戦が避けられた後の日本というパラレルワールドで繰り広げられる冒険活劇。


1949年・帝都。華族制は今なお堅持され、身分の差は厳しく、人々は自分の職業を選ぶことも禁じられているという格差社会が続いている。上流階級を狙った窃盗も少なくなく、特に怪人二十面相なる男が暗躍している。怪人二十面相は新たなエネルギーとして開発されたテスラ装置を盗むと予告。軍警(警察)はそれを拒もうと躍起になっている。

サーカス団の花形俳優・遠藤平吉は(金城武)は、あるカストリ雑誌(三流写真誌)の男(鹿賀丈史)から、近く執り行われる、男爵で名探偵の明智小五郎(仲村トオル)と羽柴公爵家の令嬢・葉子(松たか子)との結納の儀の写真を撮ってくれないかと頼まれる。羽柴公爵家はテスラ装置を未来のエネルギー源として開発を推進してきた羽柴財閥のトップだ。

結納の儀の当日、平吉が、写真を撮ろうとすると、カメラのシャッターが起爆装置となり、爆発が起こる。すぐに平吉は怪人二十面相として逮捕されるのだった。


脚本も演出もよく練られており、楽しめる映画になっている。

俳優では、盗みを稼業とする源治を演じる國村準の演技が渋く、一番印象的。松たか子は、大きな悲鳴の上げ方、令嬢としての気位の高さ、コメディーの要素などを自然に演じきっているが彼女ならまだ出来るような気もする。金城武と仲村トオルの演技は熱演だがまずまずといったところだ。

美術もしっかりとしているし、娯楽作として観るには十分な映画だろう。

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2018年12月29日 (土)

これまでに観た映画より(117) 「ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~」

DVDで日本映画「ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~」を観る。太宰治の小説の映画化。根岸吉太郎監督作品。出演:松たか子、浅野忠信、室井滋、伊武雅刀、妻夫木聡、広末涼子、堤真一ほか。

昭和21年、厭世的な小説家、大谷(浅野忠信)は、中野の小料理屋「椿屋」で5千円を盗む。椿屋の主(伊武雅刀)と女房(室井滋)は大谷の家まで押しかけてくるが、大谷はナイフを振りかざし、逃げてしまう。翌日、大谷の妻である幸(松たか子)は椿屋で働き始める。そこへ大谷がやってきて、盗んだ5千円を何とか返す。聞くところによると、京橋のバーで大宴会を繰り広げ、それを心配したママに5千円建て替えて貰ったというのだ。

生きるのが嫌で嫌でたまらない小説家と、それに寄り添い、振り回される妻の切ないドラマが繰り広げられる。

昭和21年当時を再現したセットや映像美が見事だが、ラストの生への力強いメッセージが、何にも勝って心に響いた。

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2018年12月21日 (金)

これまでに観た映画より(114) 「歩いても歩いても」

DVDで日本映画「歩いても歩いても」を観る。是枝裕和監督作品。出演:阿部寛、夏川結衣、樹木希林、YOU、高橋和也、原田芳雄ほか。

事故で亡くなった長男の17回忌に集まった家族の一日を淡々と描きながら、その中に登場人物達の様々な感情が交錯するという作品。

役者達の演技がリアルで、演出がよく練られていることがわかる。おそらくリハーサルも何度も繰り返しているのだろう。

無駄を削ぎ落とした日本映画らしい映画といえる。

「結婚出来ない男」で共演した阿部寛と夏川結衣がこの映画では夫婦役で出ており、キャラクターは違うものの、ドラマの続きを観ているような面白さもあった。

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2018年12月10日 (月)

これまでに観た映画より(113) 「フラガール」

DVDで日本映画「フラガール」を観る。李相日監督作品。出演:松雪泰子、豊川悦司、蒼井優、山崎静代、池津祥子、徳永えり、三宅弘城、寺島進、高橋克実、富司純子ほか。

常磐ハワイアンセンター(現・スパリゾートハワイアンズ)創設に至るまでのストーリーを描く映画である。

昭和40年、福島県いわき市。炭坑の街であるいわきであるが、石炭産業は斜陽に向かっていた。常磐炭坑で人員整理が行われる中、常磐ハワイアンセンターの構想が持ち上がる。フラダンスを踊るダンサーを炭坑の娘の中から生み出そうという計画も同時に出来る。ダンサーを教えるためにやって来た元SKDのダンサー、平山まどか(松雪泰子)は、炭坑の街の余りの貧しさに仰天。炭坑の少女達もダンスの経験はなく、計画はいきなり難局にぶち当たることになる……。

ダンス未経験の少女達が上達してプロのダンサーになるまでの、一種のスポ根ものの要素もはらみ、友情と別れ、親族の死なども描かれて、感動の秀作となっている。

豊川悦司が普段の知的なイメージとは180度異なる役に挑んでいるのも面白い(それでも知的な部分が残っているのがいいのだが)。

それにしても役者というのは凄い。作品の良さもさることながら役者の凄さを感じる映画であった。

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2018年12月 9日 (日)

これまでに観た映画より(112) 北野武監督作品「アキレスと亀」

DVDで日本映画「アキレスと亀」を観る。北野武監督作品。出演、ビートたけし、樋口可南子、柳憂怜、麻生久美子、中尾彬、伊武雅刀、徳永えり、大杉漣、筒井真理子、大森南朋ほか。

芸術を志した倉持真知寿という男の悲喜こもごもの人生を描く。

群馬県の富豪の家に生まれた真知寿は、絵画好きの父親(中尾彬)の影響もあって幼い頃から絵を描き始める。やがて真知寿の父親の会社は倒産。父親は自殺し、父親の弟(大杉漣)の家に預けられた真知寿は冷たい仕打ちを受け、やがて養護施設に引き取られる。

成人した真知寿(柳憂怜)は印刷会社で働きながら絵の学校に通うが、志を同じくする仲間が一人また一人と減っていく。そんな中で真知寿は幸子(麻生久美子)という伴侶を得た。

中年になった真知寿(ビートたけし)は幸子(樋口可南子)とともに制作を続けるのだが、絵はやはり売れない……。

少年時代の真知寿は哀しく、青年時代の真知寿は寂しげだが、中年になって幸子と共に制作を続ける真知寿の姿はまるでコントのよう。ここのペーソスとユーモアの対比とバランスは見事である。

そして、ほっとさせられるラストシーン。真知寿は芸術を必死で追い続けていたが、それよりも大切なものをすでに見つけていたのだ。

見終わって少し温かい気持ちにさせられる作品である。

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